コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
- 日時: 2015/01/24 21:51
- 名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)
拝啓、天国のお父さんとお母さん。
ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
今日も私の前を、
パンツが飛んでー。
男の怒声が飛び交ってー。
何だか炎まで飛んできてー。
挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
……私、人生間違えましたでしょうか?
***** ***** *****
初めまして、というのもなんですが。一応。
桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
私が誰だか当てられるでしょうk((殴
大変失礼しました。
ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。
☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→
読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
それでは。
お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』
現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
→>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272
『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296
目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575
エピローグ
>>576
あとがき
>>577
お知らせ☆
現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263
期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387
童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412
黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400
企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中
・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516
番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
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- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.327 )
- 日時: 2012/04/17 22:12
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜
その夜だ。すごく喉が渇いたので、あたしはそっと銀の部屋を出た。
冷蔵庫を物色して麦茶を頂戴する。あー、喉が潤う。
すると、外から何やら物音が聞こえてきた。あっちの方は、中庭か?
「……あ」
月が綺麗な夜。月光に照らされたその下で、オリジナルがいた。何やら虚空へ向けて蹴りを放っている。あれは多分、テコンドーだ。
こんな夜遅くに何をしているんだろう?
「おり——じゃない。昴、何をしているの?」
「あ、美鈴ちゃん。こんな時間まで起きていたの?」
額に浮かんだ汗をTシャツの襟ぐりで拭うオリジナル。
「あたしは喉が渇いていて……いいからあたしの質問に答えてよ」
「俺はちょっと格闘技の練習。翔ちゃんに付き合ってもらうのも悪いし、こうして1人で頑張っている訳。テコンドーを」
飛んで、後ろへ回し蹴りを放つオリジナル。
そんなの見てれば分かるよ、テコンドーぐらい。あたしだってできるし。
「でも、何の為に? 十分強いじゃん」
「お、嬉しい事を言ってくれるじゃない。でも残念、俺はそんなに強くないんだよ。周りのみんなが強いから、少しでも練習しなきゃ遅れちゃう」
なるほど。翔とかは本物の死神——世界を一瞬で焦土と化せるぐらいの炎、地獄業火を使う死神だ。死神の力を遣わなくても、中国武術と棒術をマスターしているので強い。
それに空華もいる。王良家当主である為、奴は結構何でもできる。体術でもトリッキーな動きをしてくるし、術を使わなくても暗殺とかできるだろうし。
その点、オリジナルは『闇の踊り子』としての力を使わなければ、ただの運動神経がいい奴だ。少しでも強くありたいのだろう。
「それに、銀ちゃんを守らなきゃ。人を守るって言っているのに、弱くちゃ示しがつかないよ」
「……銀。好きなの?」
「黒影寮の全員とはライバルだと自負している」
虚空に蹴りを放ちながら答えるオリジナル。
あたしは少し離れたところにあるベンチに腰かけ、テコンドーの練習に励むオリジナルの後姿を見ていた。
「銀ちゃんは誰にでも優しいし、疑わない。だからこそ守ってあげたくなる。傍にいて、笑顔でいてほしいんだ」
「……格好いい事言うじゃん」
「そうかな?」
「そうだよ。ほら、餞別として麦茶をやろう。飲め♪」
「ちょ、無理矢理かよ」
オリジナルは苦笑いを浮かべながら、グラスに注いだ麦茶を一気に飲み干した。
その時だ。
木々が何故かざわついた。同じように、心の奥もざわつく。
「はぁい。そこの子はー、黒影寮の椎名昴君とお見受けするわん」
月を背負って現れたのは、真っ赤な髪と緑色の瞳を持った人工血液を吸っている女性だった。年からして20代前半。
その女性は、ニッコリと笑うと、
「神威銀ちゃんを渡してくれないかしらん。お姉さん、さっさと済ませちゃいたいのよん」
「断る。美鈴ちゃん、下がっていて」
「どうして? この女の人、危ないよ。あたしもここに——」
「いいから」
オリジナルはやけに真剣な表情で、あたしを黒影寮に押し込んだ。
その女性と戦いが始まる。ガラス越しで見えたのは、女性が人工血液を吐き出して剣を作ってオリジナルに襲いかかっていた光景だった。
途端に、腕や足に激痛が走る。あたしは思わず短い悲鳴を上げてしまった。
赤く線みたいなものが腕を走っている。オリジナルが、あの赤い剣で斬られたのだろう。
「……みんなを、呼ばなきゃ!」
痛みをこらえて、あたしは立ち上がる。そして全員が寝ている部屋へと走った。
足にもどんどん傷は浮かんでくる。そのたびに激痛で悲鳴を上げそうになったけど、何とかこらえた。
全員の部屋がある廊下へたどりつき、あたしは息を吸い込む。これだけの声量があれば、全員を叩き起こせる。いざとなったら力を使って起こしてやる!
「全員、起きろ——————————!!」
ビリビリと窓ガラスが震える。
次の瞬間、どたどたという音が聞こえてきて、全員が眠そうな表情で部屋から顔を出した。特に翔は機嫌が悪そうだった。
「テメェ、一体どういう了見だ? 夜中の2時に叩き起こすとは、よほど——!」
「おり——違う違う。昴が大変なの!」
「ハァ?」
全員は首を傾げる。
あたしは急いで訳を話した。30秒で黒影寮の全員は、戦闘準備を完了させた。
***** ***** *****〜昴視点〜
急いで美鈴ちゃんを黒影寮に押し込めちゃったけど、まぁ大丈夫でしょ。これでみんなを起こしてくれたら最高。
あー、でも。結構傷ついたな。
「どういう事? 地で武器を作るなんて——創造主?」
「違うわん。あんな下等な奴らと一緒にしないでよん。お姉さんは、もっと高貴な存在よ——吸血鬼なの」
吸血鬼。ははぁん、ドラキュラって事か。
漫画家何かでも見た事あるし、にんにくとかが効くのか?
「残念だけどん、にんにくは効かないわよん? お姉さん、にんにく大好物だから。あ、十字架も好きだし、木の杭で指されても死なないからねん?」
無敵だな、こいつ?!
俺は目の前に見える星を踏み、反閇を発動させた。
「炎——炎解!!」
魔法陣が浮かび上がり、炎の竜巻が吸血鬼の女へと襲いかかる。
しかし、吸血鬼は地で作られた剣を一振りしただけで、炎の竜巻を霧散させた。
「お姉さんね、咲音紅って言うの」
「ご丁寧にどうも」
「銀ちゃんを渡す気はないかしらん?」
「ないですね」
誰が銀ちゃんを渡すものか。全部守らなきゃ。
足がずきずきと痛むが、その痛みを乗り越える。俺は腰を低く落として、身構えた。
咲音紅と名乗った吸血鬼は、困ったような表情を浮かべる。
「仕方ないわん。じゃあ、多く血を流して死んでもらおうかしらん」
血の剣を振り上げて、紅は笑った。
その時、バァチと音がする。見れば、そこには黒影寮の全員と紫月と美鈴ちゃんが立っていた。
「昴、助けに来たぞ!!」
「翔ちゃん!」
紅は、面倒くさそうに舌打ちをすると、
「あーぁ。もう面倒くさいわん。全員殺しちゃおうかしらん」
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.328 )
- 日時: 2012/04/18 21:42
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜
面倒くさいと言ったあの吸血鬼女。オリジナルから聞いた名前は咲音紅。
なるほど。吸血鬼の女王を出してきたか。リヴァイアサンめ……どうしてこんなにも面倒くさい奴を出してくるのかな?
紅は血の剣を肩に担ぎ、
「さっさと神威銀ちゃんを渡してくれないかしらん? 早くしてくれないん?」
「……断る」
銀は鈴に早変わりし、扇を構えた。緋扇だっけ?
首から下げた鏡から、ディレッサと……あれ? 何か増えてない? 赤い髪の女の子がプラスされているんだけど。
「きゃーっ! 翔君翔君翔君萌え!」
「な、アカツキ?! テメッ……離れろ暑苦しい!」
「いやぁん、何この子ツンデレ? そんなところも可愛い!」
アカツキと呼ばれた赤い髪の女の子——どうやら死神らしい。赤いから炎の死神とか?
鈴は頭を抱えて、翔からアカツキを引き剥がした。
「どうして引き剥がすのさ!」
「いいからあの子をぶっ飛ばしちゃって。そうしたら好きなだけイチャイチャしてもいいから」
そういう事なら! と、アカツキは目に炎をともして紅の方を向いた。
紅は面倒くさそうに頭を掻くと、
「獄炎使いの死神か……。地獄業火の下のランクを調伏できるってさすがじゃないん?」
「お、そりゃどうも。ディレッサ! あいつの魂を食らえ!」
「あ、今無理」
ゲフ、とディレッサはゲップをした。何で?
鈴はまさか、と言ったような感じで、ディレッサに問いかける。
「お前……脱走して魂を食らいに行ったか?」
「うん、お腹いっぱい。ハンバーグとナポリタンとオムライスと——洋食づくしだった」
鈴は渾身の力でディレッサの黒髪をひっぱたいた。使えないと怒鳴っていた。
ディレッサを鏡の中へ戻して、次に呼び出したのは天地である。確か雲を操る悪魔だったような感じがするな。
「で、鈴。何?」
夜中だったので、天地は結構機嫌が悪い。
だがしかし、鈴は無視をして鏡の中からさらに現を呼び出す。
「よし、これで大丈夫だ」
「何が大丈夫なのかしらん?」
「ん?」
斬撃が黒影寮全員に襲いかかった。だけど、あたしには斬撃は来なかった。
どうしてだろうと思っていたら、黒影寮の全員があたしを守っていてくれたからだ。そのせいで、全員が体のあちこちに傷を作る。
……どうして、守ろうとするの?
「お前は、俺らのように戦えないでしょ……?」
オリジナルはニッコリと、だけどどこか苦しそうな笑顔を浮かべた。
何だよ、それ。俺らのようには戦えない?
「ふざけんな! みんな死んじゃったらお終いじゃん!」
「死なないよ。俺は、俺らは絶対に」
オリジナルは全員を励ますように、声をかけた。
こいつの背中はこんなにも大きかったのか? 今まで興味をなくしていたあたしは一体何?
オリジナルはこんなにも格好いいんだ。崇拝していなかったあたしが馬鹿だった。
「……すみれさん?」
鈴が小さくあたしの本当の名前を呼ぶ。
あたしは拳を握った。
決めた。もうこの体がどうなろうと知ったこっちゃない。オリジナルも亜種も何だ。ばれたら死ぬ? そんなのどうだっていい。
あたしはこの椎名昴を、黒影寮を、守りたいんだ。
「あらん?」
紅が変な声を上げたのが聞こえた。
背後からは、黒影寮が驚いた声を上げる。
「み、れいちゃん?」
オリジナルはあたしを見下ろし、不思議そうにあたしの偽名を呼んだ。
あたしは今、黒影寮の全員の前に仁王立ちをしている。両腕を目いっぱい広げて、彼らを守ろうと。
「ごめん、みんな。あたし、今まで嘘をついていた」
その台詞を聞いて、鈴が察したのか、必死な声で怒鳴って来た。
「ダメだ! 今ここで正体を明かすと、死——!」
「そんなの関係ないよ」
関係ない。そうだ、関係ないのだ。
だって黒影寮は、こんなに多く傷を作ったのにあたしを守ろうとした。それだけで十分格好いいじゃないか。
「ただの女の子には引っ込んでいてもらいたいものねん」
「ただの女の子? 舐めないで。あたしを誰だと思っているの?」
拳を握り、地を蹴る。大砲が撃たれたかのようなドンッという大きな音を立てて、あたしは紅の懐に潜り込んだ。
反応が遅れた紅を見上げ、あたしはその腹へ拳を3発叩き込んだ。
「3コンボ——純白の剣舞(ホワイトソード・アーツ)」
7本の光の剣が出現し、紅へと襲いかかった。
紅はあたしから離れると、血の剣であたしの攻撃を弾き飛ばす。
「何を、したのん? お腹が痛いんだけどん」
「あたしはコンボで反閇技を発動する拳士なの」
反閇、と聞いて黒影寮がハッとしたようにオリジナルを見た。オリジナルは首を傾げている。
「あたしの名前は椎名すみれ————黒影寮の副寮長、椎名昴の亜種だ!」
あたしの中で、少しだけ痛みが走った。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.329 )
- 日時: 2012/04/20 22:17
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜
ずっと隠していた事があった。
本当はオリジナルを崇拝しようと何度も思っていた。けれど、できなかった。
オリジナルは格好よくて、でもあたしには崇拝できないと思っていた。
何でかって? 亜種はオリジナルよりも弱い存在だから。あたしは椎名昴の副産物であり、白影寮の副寮長。
だけど、ね。それだけじゃ理由にならないの。
あたしがオリジナルを嫌いに——興味を持たなかったのは、あたしがオリジナルよりも強いから。
自分の生命力や他人の生命力を吸い取ってコンボを発動させる反閇技。それが、あたしが使える唯一の戦術だから。
「椎名、すみれ……。なるほど、亜種ねん。椎名昴の——そこのお坊ちゃんの副産物の、禁忌の亜種。よく存在できたわねん」
紅は舌なめずりをした。
よく存在できた。あはは。もう自覚しているよ、どうして存在しているのかが謎だったし。
「それでも、亜種はオリジナルが望んでいてくれるから生きられる存在。心のどこかで、オリジナルがあたしを思っていてくれればいい。あたしがこんな子であってほしいと言ってくれれば、あたしは生きていけれる」
「それが、オリジナルよりも強い存在だとしても?」
「……それは分からない」
オリジナルは何が何だか分からないと言ったような表情をしていた。
まぁ、当たり前だ。亜種は、大体無意識のうちに生まれる。『自分がこうであってほしい』『自分がこうなったらどうなるのだろう?』と思った存在が、あたし達亜種なのだ。
あたしは拳を構え、地を蹴った。
オリジナルは『自分と同じぐらいに速い』と望んでいてくれていたのだろう。オリジナルのように、あたしは速く走れる事ができた。
「ハッ!」
紅の胸を5回殴る。あたしの拳に光がともった。
それを見た紅は、舌打ちをしてあたしに蹴りを叩き込んでくる。脇腹に回し蹴りがめり込んだが、技はそれでも発動する。
「5コンボ——白銀の波動(プラチナ・ウェーブ)」
虚空に突き出した拳から出たのは、波状の光。それが紅を貫く。
だけど、上手く血を利用したのか紅は波状をよけた。
「やるわねん」
「ま、そちらもなかなかですよ」
回し蹴りを叩き込まれた脇腹を見やる。
うーん、骨にひびは入っているかもしれないけど、何だか赤黒くなっているし。毒でも送り込まれたか?
「紅の死刑靴(クリムゾン・ブーツ)よん。針のように鋭い血を作り、足に装備してお嬢ちゃんのお腹にキックしたの。その際にお姉さんの血を送り込んだのよ。猛毒なのよん?」
紅は不敵に笑う。
ビキリ、と体のどこかで音が鳴ったような気がした。これは毒を送り込まれたからではない。オリジナルにあたしの存在がばれたから、あたしが壊れようとしている。
オリジナルにばれたらそこで亜種はお終い。そのままどこか暗い闇の中に放り込まれて終了。
それでも、あたしはオリジナルを守らなくてはならない。
「オリジナルは、昴はとても格好いい」
「あらん? ここでノロケ? お姉さん、妬けちゃうわよ?」
紅は茶化したように言うけど、あたしは真面目だった。
オリジナルは全部を守ろうと、誰よりも強くなろうと努力している奴だった。好きな人にも全力で立ち向かうような人だった。ものすごい努力を積み重ねている人だった。
だったらあたしは、その人のようになろう。
その人の強さを超えて、その人も守れる亜種になろう。
「……あんたはオリジナルがどんな気持ちで努力して、強くなろうとしたかなんて知らない。そんな奴の気持ちを踏みにじろうって言うならば、あたしは全力であんたを殺しにかかる!」
その時だ。
鈴の胸元に下げられた鏡が、ふいに揺れた。
「よーく言ったな、すみれ!」
「……その声は!」
凛とした声が響き渡り、鏡から誰かが現れる。
黒いコートに黒い髪。灰色のニット帽子をかぶり、紅を見据える茶色い瞳はとても大きい。少し胸は小さいけど、それなりに身長はあった。
嘘でしょ。何で……?
「翔子ちゃん!!」
「やっほー、すみれ。助けに来てあげたんだから感謝しなさいよね? コンビニのスイーツおごりなさいよ」
腕組みをして翔子ちゃんはニッコリと笑った。死神のくせに。
「あら、お嬢ちゃんは誰かしらん?」
「あたしか? じゃあすみれが名乗ったんだし、名乗らせてもらお————ふがふが」
あたしは翔子ちゃんの口をふさいだ。
「どうして名乗ろうとするのかな? 死んじゃうよ? 翔子ちゃんが死ぬんだったら、あたしはその前に翔子ちゃんを美味しく頂く」
「気持ち悪いわ。はいはい、分かっていますよ。すみれはあそこで名乗らなきゃいけないような雰囲気だったもんねー。でも安心してー、あたしは炎の——ふがふが」
「だから設定も言うなこのアホウ!」
「アホウ?! アホウって言うなよお前がアホウだろ!」
「うっさいわこの貧乳! あたしの方がおっぱい大きいもん!」
「んだとコラァ! オリジナルが乳は小さい方がいいと望んだからこんなスタイルになったんだ! 好きでなったんじゃないやい!」
翔子ちゃんとあたしは舌戦を繰り広げる事となった。
紅の咳払いで我に返り、吸血鬼の方へ向き直る。
「翔子ちゃん、あの人は吸血鬼なの」
「分かっているよ?」
「協力してくれるよね?」
「あたしが後衛だけどね」
「助かるよ。翔子ちゃんならいくら生命力を吸い取っても大丈夫だしね」
「そうだね」
あたしは拳を構え直した。今度は、翔子ちゃんがいる。
黒影寮を守るんだ!
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.330 )
- 日時: 2012/04/22 22:09
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜
「よいしょぉ!」
あたしは紅に向けて3コンボを放った。
光の剣が現れ、紅を貫く。あ、だけど血の鎧に守られた。くそっ(思い切り舌打ち、ここ重要)
「翔子ちゃん、こいつどうにかしてよ!」
「だから、あたしは後衛だっての」
翔子ちゃんは懐から赤い銃を取り出した。
これは、オリジナルである翔で言えば鎌である。翔は鎌ではなく銃を選んだみたい。
紅へ銃口を向けた翔子ちゃんは、迷わず引き金を引いた。
「紅蓮の星(クリムゾン・スター)」
銃口から発せられたのは、赤い炎の銃弾。
紅はそれを寸のところでよけた。チッ。
「その炎——」
「ご名答。これは地獄業火(インフェルノ)——あたしも死神よん? お姉さん?」
翔子ちゃんはニッコリと笑って銃を乱射しまくった。
あたしがいるという事を無視して。
「しょーこちゃぁぁぁん?! あたしがいるんですけどぉぉぉお?!」
「知るか。踊れ踊れ」
「くそ貧乳! チビ! だからモテないんだよ!」
「モテなくたって別にいいし? あたしは将来一生独身で生きて行くと決めた今決めた!」
「そんな事を言っていたら子孫に困るよ?」
「知るかよ。オリジナルが望んだらそうしてやるさ」
翔子ちゃんめぇ……!
紅はさすがにブチ切れたらしく、自分の唇を噛み切った。血があふれ出してくる。
「これはさすがに答えるわねん。お姉さん——そろそろ限界なんだけど?」
「だったら力を使いはたしてさっさとくたばってくれないかしら? 存在見ているだけで邪魔だわ。特にその胸」
翔子ちゃんが恨めしそうに紅の胸を凝視する。そこには翔子ちゃんがないサイズのクリーチャーが……。
あぁ、なんて悲しき亜種の運命。
「殺す! 絶対殺す! それかその乳、半分よこせ!」
「大きくたって苦労するものよ? 肩こり酷いし」
「肩こりが何だ! 女性の象徴がそんなに大きい事を誇れ!」
半泣きの翔子ちゃんが紅に噛みつくように言う。
まぁ、いいか。これでチャンスができた。そのまま紅に近づいて、拳を突き出す。
「うらぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
紅に拳の連打を叩き込んだ。
「く、ふ?!」
「はいはい、逃げようとしないのよ」
翔子ちゃんも負けじと紅に向かって乱射。今度は正確な射撃です。
およそ30秒後、あたしは紅に渾身の1発を叩き込んで空へ飛ばす。
「翔子ちゃん、ナイスな射撃でした」
「ハッ。舐めるなよ」
翔子ちゃんは銃を懐にしまう。あたしも拳の骨を鳴らして終わった。
「「白金と紅千本桜(プラチナ・クリムゾン・サウザンド)」」
はらりと、赤と白の桜の花が、紅へ襲いかかった。
***** ***** *****
「あれ、足が痛くないや。どうしてだろう」
今までずっと痛かった足が、何でか収まった。うーん、謎だ。
翔子ちゃんは貧乳と言われた事が気に入らなかったのだろう、あたしにずっとしがみついている。正直痛い。
すると、オリジナルが何だか難しい顔をしていた。
「えーと、亜種? だっけ。俺の」
「そ。オリジナル」
「何か、そう呼ばれるのが嫌なんだけど。昴って呼んでよ、いつもみたいに。すみれ」
オリジナル——いや、昴は笑顔を浮かべた。
あはは。オリジナルらしいや。
「OK、今度からそうさせてもらうよ」
「ありがたいや。で、その子は翔子ちゃんって呼ばれていたけど——すみれの友達?」
翔子ちゃんを指した昴は、不思議そうに首を傾げた。
いや、まぁ、そうなんだけど。
「気安く指を差すな、マナー違反だぞ。まぁいい、この際だから言っておくが、あたしは東翔の亜種だ。名前は東翔子な」
「俺の?!」
翔は意外にも驚いていた。
翔子ちゃんは恨めしげに翔を睨みつけ、
「そうだぞ、オリジナル! お前のせいであたしは貧乳だのチビだの何だの言われるんだからな! あ、でも男嫌いはないから安心しろこの少女容姿死神さん。あたしは異性が嫌いだという事はさらさらない」
何だとーっ! と、翔が叫び声を上げる。
翔子ちゃんはそれを軽く無視すると、銀を見つめた。鈴からチェンジしたらしい。
「で、お前が鈴のもう1つの人格かぁ。初めましてこんばんわ。可愛いね」
「え、あの、ありがとうございます?」
困惑した表情を浮かべる銀。あーぁ、困っているよ。
翔子ちゃんを銀から引き剥がし、あたしは黒影寮の全員に会釈をした。
「今までありがとう。楽しかった。鏡の向こうで、あたし達は生きている事を忘れないでね」
「すみれ、また会えるか?」
オリジナルが、さびしげな表情を浮かべて訊いてきた。
会えるかどうかは分からない。でも、神様次第。
「さぁね。昴、恋——頑張りなよ?」
「……おう!」
昴は自信満々に言い放った。
ふーん、自信あるねぇ。だったら。
「銀」
「ハイ?」
翔子ちゃんに耳打ちして、作戦を伝える。翔子ちゃんは快諾してくれた。
そして2人で、銀の頬に軽くキスをした。
「「「「「————————?!!」」」」」
黒影寮、声にならない悲鳴を上げる。
「あたし達、女の子もイケる方ですから? じゃーね、バイバイ」
「こら、待て!」
銀の胸元に下げられた鏡から、あたし達は白影寮に帰った。
楽しかったな。この数日間♪
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.331 )
- 日時: 2012/04/23 19:49
- 名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: yU8XJsFi)
2人にキスされる・・・うらやますぃ←
*反省会
肝心な場面で使えなかった及川さん。
今度は気をつけなさいとか、
そんな生ぬるい説教ではない。
鈴ならきっと・・・
鈴 「テメェさっきはよくも無断で・・・しかも洋食フルコースじゃねーか」
及川「ちっ違うんですよコレは深海よりも深い理由がありまして」
鈴 「あ? 何だ言ってみろ」
及川「(遠くを指差して)あっ、珊瑚さん帰ってきた!(逃亡)」
その後めっちゃどつかれたのは言うまでもない。
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