コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
日時: 2015/01/24 21:51
名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)

 拝啓、天国のお父さんとお母さん。
 ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
 私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
 今日も私の前を、

 パンツが飛んでー。

 男の怒声が飛び交ってー。

 何だか炎まで飛んできてー。

 挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
 ……私、人生間違えましたでしょうか?

***** ***** *****

 初めまして、というのもなんですが。一応。
 桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
 私が誰だか当てられるでしょうk((殴
 大変失礼しました。

 ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
 私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
 では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。

☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→

 読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
 それでは。


お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』

現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272

『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296


目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575

エピローグ
>>576

あとがき
>>577

お知らせ☆

現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263

期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387

童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412

黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400

企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中

・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516

番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
>>485 >>486 >>487 >>488 >>489

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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.287 )
日時: 2012/03/23 16:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 山下愁はある意味で変態です。馬鹿です。そして変態です。

第11章 王良家こんぷれっくす!


 朝です。私はいつも通りに起きました。
 空華さんも寝たと思いますが、布団にいません。王良家全員がいません。
 どこに行ったのでしょうね?

「こら起きろ寝ぼすけども!」

 ガラガラスッパァァァァァン! とすがすがしいぐらいに襖が開かれました。
 空華さんがおたまを肩に担ぎながら、1人1人を殴り起こして行きます。もちろん寮長である翔さんにも容赦はなし。昴さんも叩き起こしました。
 皆さんぼんやりと目を開きます。

「ふぇ……空華、何で?」

「俺様はこう見えていつも早起きなの。毎朝4時に起きて町内ランニングしてんだからね? 兄弟の朝飯作るのに習慣づいちゃったよ!」

 空華さんは誇らしげに言います。
 寮内でものすごい低血圧を誇る翔さんは、ごしごしと目をこすります。そして大きな欠伸をして背筋を伸ばしました。

「眠いなら顔を洗って来な。この辺り、朝は水が冷たいから。炎ー、味噌汁よそってー、おたまこっちあるから!」

「兄ちゃんパース」

「受け取れー」

 空華さんは廊下の向こうにおたまを投げつけました。次の瞬間、パシッと音がします。炎華君がおたまを受け取った音でしょう。
 のろのろと黒影寮の皆さんは行動を開始します。空華さんの言われた通り、顔を洗う為に洗面台へ行きました。
 私はいつもスッキリ起きられますが……。

「先に着替える? 朝ごはん食べる?」

 まるで主婦の如く空華さんが問いかけてきました。私、娘?

「あ、着替えます」

「じゃ、着替え終わったら大広間来てね」

 ひらりと手を振って、空華さんは出て行きました。さすが大兄弟の1番目。当主様。
 鏡の中から見ていた鈴も、空華さんの姿に感嘆しました。

「すげぇな。案外、人の世話をするの得意なんじゃないの?」

「そうですね。空華さん、いいお嫁さんになれますよ」

「お前に言われたくないと思うぜ。それ」

 鈴に断り、私は普段着に着替えました。

***** ***** *****

「京都観光に行ってきたらどうですか?」

 朝ごはんの最中に、天華さんが提案しました。

「晩御飯の買い物も行かなくてはなりませんし、夏のいい思い出にもなるでしょう。兄さん、案内してあげたらどうです?」

「別に俺様は構わないけど……どーする?」

 空華さんは皆さんに確認を取ります。
 漬物をポリポリかじっていた怜悟さんは、「頼む」と言いました。それに続いて、全員が頷いて行きます。

「じゃ、京都観光をするとして。天華達はどうする? ついてくるか?」

「皆さんがよければ、僕達もついて行きましょう」「ついて行くわ」「ついて行くです」「うん」「俺も俺も!」「姫も」「すいもー」

 全員が頷きました。
 と言う訳で!


「清水寺ってぇぇぇぇぇぇぇ人が流れてるぅぅぅぅぅぅぅぅ」


 清水寺へ続く道。人が混み合っていますきつすぎますきついです本当に!
 暑いし混み合っているし、さすがに気持ち悪くなってきました。それに皆さんとは離れ離れになってしまいましたし……。
 すると、ポンと誰かが私の肩を叩きました。

「ひゃ?!」

「間抜けな声だな」

 私の肩を叩いたのは、何と悠紀さんでした。
 悠紀さんは私の腕を引っ張って、人のいない広場みたいなところに入りました。ふぅ、少し気分が楽になりました。

「僕って人ごみ嫌いなんだよね。空華の記憶の仕事人ってさ、この範囲の人達の記憶を改竄できるかな?」

「無理だと思いますよ?」

 そうだよね、と悠紀さんは苦笑いを浮かべますと、私にハンカチを投げてよこしました。

「日射病になるから、それかぶってなよ」

「でも、悠紀さんは……」

「僕はいいの。普段ニートみたいな生活しているんだから、たまには格好つけさせてよ」

 言葉使いなんて、戦闘じゃあまり役に立たないんだからと付け足しますと、悠紀さんはベンチに座ってぶらぶらと足を投げ出しました。
 お言葉に甘えて、私は悠紀さんのハンカチをかぶります。自分のタオルを使えばいいのですが、せっかくの好意ですので。

「言葉使いで清水寺まで行っちゃダメかな……」

「さぁ……? でも、こんなに混んでいますしね……。少しくらいいいでしょうか」

 でもこれでばれたら魔法少年扱いですね、と私が笑うと、

「それもいいかもしれないね。僕は小説家になるのが夢なんだから、それぐらいやらないと」

「実行する気ですか?!」

「当然。銀、こっちおいで。お姫様だっこで連れて行ってあげる」

「丁重にお断りさせてもらってもいいですか」

 冗談で言ったつもりでしたのに。本気にしました。
 悠紀さんは残念そうに舌打ちをすると、またベンチに足を投げ出します。

「……悠紀さんは、私の事をどう思いますか?」

「いきなりどうしたの」

「いえ。ただ少し訊いてみたくなりましたので」

 ふーん、と悠紀さんは頷きます。そしてぼんやりと空を見上げながら答えました。

「ま、放ってはおけない奴って感じ? 僕にとってはね」

「そうですか」

「ここで愛の告白でもしてもらいたかった? そんなのは寮長に言いなよ。僕は言わないよ」

 してくださいなんて一言も言ってませんけどね。
 悠紀さんはため息をついて立ち上がると、私に手を差し出しました。

「ほら、行くよ。寮長達は、きっと清水寺で待機してる」

「ハイ。行きましょうか」

「ただし、ちょっと飛ぶけどね」

「え」

 悠紀さんはスゥ、と息を吸い込むと、言霊を発動します。

「【風よ吹け。僕達を清水寺まで運べ!】」

「え、えぇぇぇぇえ!」

 風を操って悠紀さんと私は清水寺まで行きました。
 何を、しているんですか悠紀さんんんんんんん!!

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.288 )
日時: 2012/03/23 22:30
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 山下愁はある意味で変態です。馬鹿です。そして変態です。

第11章 王良家こんぷれっくす!


 色々なところを巡り、京都観光を終わらせました(山下の技量により割愛)
 そして夜です。
 空華さんの提案でコンビニで大量の花火を買い、それをしようという事になり——

「どうして私は浴衣を着ているんでしょうね、お庭でやるのに」

「風情があっていいじゃない。銀さん、綺麗よ?」

 綺華さんも紫色の浴衣を着ています。日華さんは赤い浴衣で、姫華ちゃんはピンク色の浴衣です。
 私はちなみに、綺華さんに借りた青い浴衣です。
 皆さん、私達を見た瞬間に「おぉぉぉお……」と言いました。似合ってますでしょうか?

「ひゃははははは! 見ろこれ、二刀流!」

「やめ、暑ッ暑ッ!! 炎華テメェ止めろ馬鹿!」

「ぎゃぁぁぁ! 翔兄ちゃんが地獄の業火で参戦してきたぁ?! くっそー、負けないぞコラ!」

 炎華さんは2本の花火を手に翔さんを追いかけまわします。
 対して翔さんは、中学生相手に大人気なく、2本の花火を手にして逃げ回っていました。

「銀ちゃんもどう? 花火乱舞」

 空華さんが1本の花火を片手に、私に訊いてきました。
 私は見ているだけで楽しいので、首を横に振りました。

「いいの? 参加しなくて」

「見ているだけで結構楽しいですよ」

 そっか、と空華さんは頷いて、バケツに花火を突っ込みました。そして私の隣に腰を下ろします。
 遠くで「にーちゃーん!」と花火を持った手を振る炎華さんに手を振りつつ、空華さんは言いました。

「京都までついて来させちゃってごめんね。俺様の修行の為に」

「いいですよ。だって、こんなに楽しい京都旅行は初めてですから。空華さんの御兄弟にも会えましたし」

 あはは、と空華さんはいつもの調子で笑いました。
 すると、隣からツンとした匂いがします。ミントのようなそんな香りです。視線を向けると、空華さんがキセルを片手に庭を見つめていました。

「喫煙しているんですか? ダメですよ、未成年の喫煙は」

「そんな事はしないよ、俺様は煙草は吸わないし。これはハッカ。ガムみたいな感じだよ。うちの家族は大体気持ちを落ち着かせる為に吸ってる訳」

 気持ちを落ち着かせる、ですか。

「そうなんですか——って、空華さんは何に緊張しているのですか? 気持ちを落ち着かせる為に吸っているんでしょう!」

「え、いや、ただちょっと、」

「答えてください! 気になります」

 ズイッと空華さんに近寄ります。
 空華さんはキセルを口から離し、フゥと煙を吐き出した。白煙が空へ昇って行きます。

「……好きな子の隣に座って、緊張しないとでも思ってる訳? 俺様、そこまで神経図太くないよ」

「え……。そんな、嘘ですよ」

「嘘じゃないよ」

 カンッと綺セルの中身からハッカを落とした空華さん。エメラルドグリーンの瞳は、真剣な色をしていました。

「俺様は、いつでも本気。銀ちゃんが好きなんだ」

「……ッ」

 バッと顔をそらしました。
 女の子大好きな空華さんが……私を……本気で? 冗談のようにしか聞こえないのに、どうして顔が熱いんですかーっ!
 すると、私と空華さんの間に翔さんがどっかりと足を乗っけました。

「む、何をするんだよ。いいムードだったのに!」

「俺がここを通りたいんだよ。どけ眼帯馬鹿、ビッチ」

 無理やり私と空華さんの間を割って、ズカズカと部屋の中に入って行きました。
 ……機嫌が悪いですね。

「何だよ、あの少女容姿死神が」

「……翔さん」

***** ***** *****〜翔視点〜

 どうしてだか、空華と銀が仲睦まじく話しているのが気に食わなかった。
 あぁ、そうさ。着に食わない。銀が他の連中と話しているのも気に食わないし全部全部気に食わない! つーか、めっちゃくちゃイライラする!
 いやいや。待て待て、落ち着け俺。
 俺は炎の死神だぞ。死神だぞ死神。死神は感情を持っていちゃいけないんだ。——いや、確かに銀は好きだけども。あの、おう。
 こんな嫉妬を抱いてどうする俺ェェェェェェエ!

「ハァ、冷静になれよ。馬鹿」

 壁にゴッと頭をぶつけ、冷静さを取り戻す。
 ……でも、何だかもやもやした気持ちは晴れない。何故だか晴れない。霧のようにもやもや、もやもやと。

「よし。大丈夫だ、何が嫉妬だ。相手は人間、俺は死神。問題です、長く生きられるのはどっちでしょう。答えはそう、俺だ!」

「そうだね。君は死神だもん……僕らとは違って、永遠に生き続けられる神様なんだ」

「そうだそうだ。テメェいい事言うじゃねぇか。ほめてやろう」

「うわー、ほめてくれるの? ありがとう。元気が出たよ」

「ほめたぐらいで大げさな……って誰だテメェ?!」

 炎神を顕現させ、俺は振り返る。
 廊下に立っていたのは、見知らぬ男だった。青い髪に瞳。黒い箱みたいなのを抱えている。プールで見た夢折梨央と同じような感じだ。

「……テメェは、一体」

「君が必要なんだ……。お願い、一緒に来て」

 そう言うと、その男は黒い箱を開けた。
 とたんに、俺は意識を手放した。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.289 )
日時: 2012/03/24 21:43
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 山下愁はある意味で変態です。馬鹿です。そして変態です。

第11章 王良家こんぷれっくす!


「よし、花火はやり終わったか? っていうか、翔が帰ってこないんだけど。寝たかな」

 空華さんは部屋の中を覗き込みつつ、首を傾げます。
 機嫌が悪そうだったので、先に寝てしまったのでしょうか。明日はお菓子でも作った方がよさそうですね。
 その時、

「……あの。夜分遅くに失礼します」

 闇の中からいきなり人が現れました。
 青い髪に瞳。プールで見た夢折梨央さんと同じような人ですが、まさか梨央さんですか?!

「誰だお前」

 昴さんが青い人に向かって問いかけました。

「僕は、ノア・ウミザキ……。あ、本名はウミザキノアですが……作者の都合上、面倒くさいので英名でと」

 作者さん、せめて人の名前ぐらいは……きちんと変換しましょうよ。
 ノアさんと名乗った人は、ぺこりと頭を下げます。

「神威銀さん……僕と一緒に来てくれませんか?」

「断ります」

「……ニッコリ笑顔で言われると、すごい傷つくのですが」

 ついて行きたくありません。リヴァイアサンの人達ですね。
 その台詞を聞いた黒影寮と王良家の皆さんは、一瞬で私の周りを取り囲みます。

「兄さん、あの人は誰ですか?」

「秘密結社『リヴァイアサン』っていう奴の一員だな。銀ちゃんを狙ってる!」

「じゃあ、さっさと倒した方がよさそうね!」

 綺華さんが浴衣だというのに、高々と飛翔しました。煌々と輝く金髪を月夜へさらし、ノアさんへと襲いかかります。
 ズドン、という重たい音が庭に響き渡りました。

「……いきなり襲いかかるなんて、怖いですね……」

「銀さんを狙うなら死になさい!」

「そうですね、僕は死んだ方がいいかもしれません。弱いですし」

 あれ? 肯定しましたよ?
 ノアさんはいじいじと庭に「の」の字を書きまくります。一体何が……。

「僕は早く死んだ方がいいです。そうですよね、ぐすぐす」

「あの、おい綺華! へこませてどうするへこませて!!」

「え、えぇ?」

 綺華さんは空華さんの台詞に困惑します。
 ノアさんはバコンと何かを開けました。背負っていた黒い箱ですね。中から取り出したのは、銀色に輝くフルートでした。

「僕は、フルート奏者なのです……。どうぞ、魅惑の音色をご堪能あれ」

 ノアさんはそう言いますと、フルートを奏で始めました。
 綺麗な音です。ですが——少し眠くなり……

「銀、寝るな!」

 不意に鈴の声が聞こえたかと思いますと、意識がそこで途切れました。
 あぁ、鈴が入れ替わったのですね。では任せましたよ、鈴。

***** ***** *****〜鈴視点〜

 と言う訳で神威鈴の登場だぜ。浴衣は動きにくいだろうけど、頑張るよ俺。
 緋扇を取り出して、神様達を召喚する。

「『拒絶の堕天使よ、雲を操る鬼よ、幻影を操る鬼よ、傷を操る鬼よ、降臨せよ!』」

 日暮・陽花・隠花・現を召喚する。これだけじゃ——不安か?

「うん、やっぱりディレッサも召喚しようかな」

「何だよ! 何で俺を召喚しておいて他の奴も召喚しようとするんだよ!!」

 現が俺に噛みついてきた。いや、うるさい。
 まぁこれでも大丈夫か。隠花・陽花いるし。日暮はいるし。

「現は心配だけど」

「心配言うな!!」

 さっさと戦えって。
 召喚した鬼と悪魔を見たノアは、顔をしかめた。

「……鬼と悪魔を召喚するなんて。君は、鈴の方?」

「当たり。でも賞品は出ないから。行け、4人!」

「「「「らじゃー!!」」」」

 4人は敬礼すると、ノアへ飛びかかって行った。

「あはははは! リヴァイアサンだからぼこぼこにしてもいいんだよねいいんだよねぇ!」

 げらげら笑いながら雲を呼び出す隠花。何か怖い。その隣では陽花が頭を抱えていた。
 だが次の瞬間、予想していなかった事が起きる。
 ノアの周りを人間どもが囲み始めたのだ。
 もちろん、幽霊じゃない。ましてノアは、人を創造する創造主じゃないはずだ。フルートで世界を作れない。

「……お前、演奏者?!」

「当たりです。賞品は出ませんよ?」

 さっきと同じ台詞を返したノアは、周りの人間達に命令を出して俺らを襲わせた。
 俺は日暮達をいったん退却させ、ヴァルティアを召喚する。

「短時間でいい、俺らを守れ」

「了解した」

 ヴァルティアは快諾すると、薄くバリヤーを張る。さすが守りの神様!
 くそ、演奏者は面倒だ。人を催眠させるし、何よりその催眠術は強力だ。攻撃しない限りは解けないだろう。
 だが、問題なのはここからだ。
 相手が能力者ならばまだ攻撃しようもあったが、今回は人間である。攻撃したら死んでしまう。

「天華——だっけ。お前でも無理?」

「残念ながら、演奏者の催眠を解くのは簡単ではありません。日華はどうですか?」

「錬金術で催眠を解くものなんてないですよ。月華もダメですよね。攻撃専門ですから」「うん。炎は?」

「殺してもいいなら」

「ダメダメ」

 どうすればいいんだぁぁぁあ!
 すると、空華が立ち上がった。何をする気だ?

「演奏者の催眠術に、演奏者の催眠を重ねれば何とかなるんじゃないか?」

「ハァ? お前何を考えてやがる。演奏者って言うのはめったにいないんだぞ。それこそ天性の才能じゃないと。演奏者はまず楽器を操れないといけないし」

「操れる」

 空華はいつの間にかヴァイオリンを持っていた。まさか、あれで……?
 ヴァルティアに言ってバリヤーを解除させる。

「……君は」

 ノアは空華に向けて言葉を放った。
 空華は不敵にほほ笑むと、ヴァイオリンの弓を構える。

「王良空華。王良家当主の演奏——ご堪能あれ」

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.290 )
日時: 2012/03/24 22:37
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=12435

こちらは現在、複雑ファジーにて展開中の劇場版です。

本編とは同時進行にやるので、どうぞこちらもご覧になってください!


キャストとして協力してくれた、
マリ様
夕遊様
梨花様
茜崎あんず様
北大路様
メデューサ様

ありがとうございます!!

ちなみに複雑ファジーなので、絶賛すごい話になる予定です。
笑いあり、涙あり、熱いバトルありの!! ファンタジー恋愛劇場版になる予定です!

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.291 )
日時: 2012/03/25 21:49
名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
参照: http://yaplog.jp/8710kuma/

うはぁ?!
貴方様でしたか…小説、少し拝見させてもらいました^^
童話パろだけ見たのですが…面白かったです!
何故そんな神文が描けるのかが不思議ですなぁ(´・ω・`)

陰で応援していますね…頑張ってください^^


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