コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
- 日時: 2015/01/24 21:51
- 名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)
拝啓、天国のお父さんとお母さん。
ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
今日も私の前を、
パンツが飛んでー。
男の怒声が飛び交ってー。
何だか炎まで飛んできてー。
挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
……私、人生間違えましたでしょうか?
***** ***** *****
初めまして、というのもなんですが。一応。
桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
私が誰だか当てられるでしょうk((殴
大変失礼しました。
ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。
☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→
読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
それでは。
お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』
現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
→>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272
『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296
目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575
エピローグ
>>576
あとがき
>>577
お知らせ☆
現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263
期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387
童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412
黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400
企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中
・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516
番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
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- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.132 )
- 日時: 2012/01/09 16:15
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
番外編 俺とあいつが出会った日
〜翔視点〜
その日の出来事だ。姉貴が嬉々として小学校について語っていた。どうやらかなり楽しかったらしい。
姉貴は一応日本語を喋れる。だから苦労はしなかったんだろう。
俺は幼稚園とやらで問題を起こしたからな。
「なぁ、兄貴」
「どうしたー?」
用意してもらった机に向かってる兄貴に、俺は問いかけた。
「兄貴は日本語を覚えたのか?」
「少しはな。会話に困らない程度に美羽姉に教えてもらったよ」
そう言って机に向かう。机上を見てみれば、そこにあったのはノートだ。びっしりと日本語の単語が書かれている。
「兄貴。俺にも日本語を教えてくれ」
「ん? おう、いいぞ。一緒に学ぼうなー」
「まずこれはどういう意味だ。おはよう?」
「それは朝に言う挨拶だな」
※この2人は中国語で会話をしています。
12月7日。
まぁ色々とあったが、日本語は大体覚えてきた。
中国語の他にも英語やフランス語、ドイツ語や韓国語とかありとあらゆる言語は喋れるんだが、日本語だけが難しい。言っている意味がよく分からない。
「しょーう」
「……」
うぜぇのが来た。
初日であんな暴言を吐いたというのにもかかわらず、椎名昴は何かと俺に突っかかってくる。
今覚えてる日本語の中では「来るな」という意味はない。仕方ない。無視するか。
「無視するなよー」
「うぜぇ(←中国語」
椎名昴の腕を振り払い、睨みつける。
さすがにビビったのか、怯えたような表情を浮かべる椎名昴。所詮人間は怖がるだろうな。
だが、こいつは予想外の事をしてきた。
「一緒に遊ぼう(←中国語」
「?!」
え、今こいつ。中国語を喋った?
「お前のとーちゃんに教えてもらったんだ! 一緒に遊んだりしたいから、その、それしか喋れないけど……」
恥ずかしそうに顔を赤らめる椎名昴。
なるほど。こいつも頑張ったんだな。
俺は椎名昴に手を差し伸べた。日本語を喋れない分、体で表現してやる。
椎名昴は顔を明るくし、笑顔を浮かべた。そんなに嬉しいのか。
その時だ。
「変人!」
突如、水をかけられた。
うわ、服がぬれた。これ、乾くか?
「よっちゃん! 何するんだよ!」
「こんな変人と一緒にいたくねぇよ。最初の日に逃げたじゃねぇか」
「逃げたんじゃないよ! 少しシャイなだけだよ!」
意味が分からねぇ単語ばかりが飛び交う。どうやら俺を馬鹿にしているらしい。
目を使って、俺に水をかけてきた野郎の名前を見る。
こいつがよっちゃんか。なるほどな。
「そんな変人とつるむお前も一緒にいたくねー!」
「痛!」
あろうことか、そのガキは石を投げてきやがった。それが椎名昴の額に当たり、血を流す。
俺の体の中に、何かが流れた。
熱い何か。死神にはない——人間で言う、怒りという心が。
「翔?」
炎神を顕現させ、俺はガキに向かって叫ぶ。当然、元の姿で。
「こやつと同じ傷を負わせてやろうか、幼き者よ。その身を焦がしたいのならば、ワシが自ら焼いてやろうぞ!」
分かりやすいように日本語とやらで喋ってやった。昔の口調だけどな。
恐れをなしたのか、ガキは逃げ出す。無様だ。
1つ気づいた。椎名昴の事だ。
「……翔。お前——」
「黙れ」
椎名昴を手元に引き寄せ、傷に手をかざす。
炎熱の効果で傷を治す力だ。一応、死神にもこういう能力は備わっている。
「彼の者の傷を癒せ」
柔らかな炎が傷をいやす。しばらくすると、傷は完全に治癒された。ここにはもういれない。
もう姿は現せられない。
「さらばだ、椎名昴」
「しょ——おま、俺の名前——!」
フェンスを越え、俺は消える。
やっぱり俺は普通の人間になる事は不可能。死神として、元の姿でいる方がいい。
〜昴視点〜
翔が大人の姿のままどこかに行っちゃった。
翔は俺を助けてくれたのに。
平然としているとーちゃんに、俺は訊いた。
「翔は俺を助けてくれたんだ。よっちゃんが石を投げてきて、それが俺に当たって、でも傷をちゃんと治してくれたんだ」
「そうか。翔君は偉い子だなぁ」
とーちゃんは何事もなかったように、俺の頭をなでる。こっちは真剣なのに!
すると、翔のとーちゃんが教えてくれた。
「翔は日本語を喋れるんだよ。だけど、かなり昔の口調なんだけどね」
「え?」
「中国語は現代語でぺらぺらなくせして、日本語は昔口調。もうおかしいよね?」
翔のとーちゃんはどこか遠くを見つめた。視線の先にあったのはカレンダーだ。
12月7日。何かあるのか?
「今日は翔の誕生日でね? 僕達は長い間を生きているから様々な人を見た事がある。死神にももちろん誕生日と言うのもある。だけどそれは100年に1度だけなんだ」
100年に1度。長いなぁ。俺だったら死んじゃうよ。
「実年齢で翔は17回目の誕生日なんだよ。でも、君が成長して大人なっても翔は17歳のまま。君が死ぬ時も、ね?」
「死ぬ時も、翔は17歳のままなの?」
「そう」
それは悲しいな。出来れば毎年祝ってあげたい。
100年に1度の誕生日なのに、翔はいない。もう辺りは暗い。
「探してくる!」
「ちょ、昴! 窓から出るなと言って——!」
〜翔視点〜
どこだ、ここ。まぁいいか。
どこかのビルの屋上に、俺は1人で立っていた。もちろん、元の姿で。
「そう言えば、今日は誕生日だっけ」
100年に1度の誕生日。確か今日は17歳の誕生日だ。
……面倒だ。このまま中国に帰るか。
空間移動術を発動するべく、俺は炎神をゆらりと持ち上げた。
「しょーちゃぁぁぁあん!」
「ぐぶ?!」
誰かに体当たりされた。誰だ、体当たりしやがったの?!
「翔ちゃん」
張り付いていたのは椎名昴だ。恨みでもあるのか。
「100年に1度の誕生日なんだろ。帰ろうよ」
「知っておるのか。貴様」
「本当だ。昔口調」
こいつ、馬鹿にしてるのか?
「翔ちゃん。翔ちゃんの昔を色々教えてよ」
「中国語も喋れない癖に?」
つか放せ。
「じゃ、俺が現代語を教えてあげる! 代わりに、翔ちゃんが中国語を教えてよ!」
「何を言って——」
「決まりー!」
にへら、と笑う椎名昴。
まったく。このガキには当分付き合わなければいけないのか。だが、それも悪くはないだろう。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.133 )
- 日時: 2012/01/09 16:22
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
北大路様>>
お久しぶりですね(←中国語
昴はいい奴にしているつもりですwwただし馬鹿ですけど?
能力を除けば普通のさっぱりしたキャラでもいいかー、みたいな感じでww
ちなみに、翔を「ちゃん」づけで呼ぶのは彼だけです。
更新ペースは、もう学校が始まってしまうので今のうちに!! と言う訳でしてww
かなり早く行きますよww
それでは! 更新頑張ってきます!
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.134 )
- 日時: 2012/01/09 21:58
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第8章 神威銀の誘惑
「隣町のプールですか?」
7月です、7月! リアルでは1月ですけど、世界観は7月の真夏です。
私は昴さんに言われた単語を復唱しました。
隣町——ここは白雪町と言うのですが、隣町『神宮寺町』はビルがたくさんある人の多い場所です。リアルで例えるなら池袋です。
「うん。文化祭の賞品がその招待券だったんだ。銀ちゃんの分もあるよ。よかったら行かないかい?」
「ハイ。行きたいです! あ、でも、水着が必要ですよね……。私、可愛いの持ってないです……」
ちょっと残念です。私、スクール水着しか持っていませんので。
その時です。
どこから出てきたのか、羅さんが出てきました。
「銀ちゃぁぁぁぁあん! 会いに来たよ、あたしを癒してぇぇぇえ!」
「え、えぇ?! 羅さん?! どうして、きゃーっ!」
いきなり抱きつかれて身動きが出来ません。苦しいです羅さん。
昴さんはため息をついて、反閇技を羅さんに叩きこみました。
羅さんは技を分子レベルに分解して、事なきを得ました。よかったです。
「ちょうどいいや。羅ちゃんも行かない?」
「行かない」
「あそ。じゃあ銀ちゃん、白亜ちゃんも誘ったら? ほら、あとひかげちゃんだっけ? 誘ったらどうなの?」
「ハイ。誘ってみますね」
2人だけで話しているのにムカついたのか、羅さんが昴さんに噛みつくように怒鳴ります。
「何だよ! あたしを差し置いて何を話してるんだよ!」
「プールの話。隣町のプールの招待券が手に入ったから、行かないかって。さっき訊いたじゃん」
「主語が抜けてるから分からなかった。銀ちゃんが行くなら行く!」
「でもお金は自分で出してね?」
「りょーかい」
羅さんも交えて、楽しいプールです!
っと。その前にやる事がありますね。
そうですそうです。水着を買いに行かなくては! スクール水着しか本当に持ってないんで。
「羅さん、少し付き合ってもらえませんか?」
「え? 銀ちゃんと結婚を前提に?」
「違います! 違いますから!!」
何を言ってるんですか、この人?!
私は携帯を掴み、白亜さんに電話をかけました。
***** ***** *****
「へぇ。神威さん、スクール水着しか持ってないッスか」
「う……。そうなんです」
白亜さんに核を突かれて黙り込んでしまいます。
あのあと、2人を誘ってみた結果、見事にOKをもらいました。2人とも行く気のようです。
「まぁいいスけど。ひかげさんは持ってるんスか、水着」
「持ってないぜ☆」
「綺麗な笑顔で言わないでくださいよ?!」
そういう場合じゃない人がいましたね。
白亜さんはふーん、と唸ると、今度は羅さんに目を向けます。
「羅っちは?」
「持ってるよ、一応。今年、銀ちゃんを無理矢理引きずりだそうと思ってね」
「何をしてくれようとしちゃってるんですか?!」
私、危なかったです。
「じゃあ、とりあえず神威さんとひかげさんッスね。神宮寺町に大きなショッピングモールがあったはずッス。そこに行きましょ」
「ハイ」
「……神威さんって、案外ナイスバディッスよね」
え?
白亜さんが私の胸を見てきました。何かあるのでしょうか。
皆さん、私の体を見てきますけど。一体何か? 特に胸と腰の辺り。
「……だから黒影寮は惚れたのか」
「待ってください?! 何か勘違いされてません?!」
「銀ちゃん、君の貞操はあたしが守るよ」
「ちょっと羅さん?!」
「うーん。小学生並みの体系の私が銀ちゃんに敵うはずないぜ!」
「何を言ってるんですか、ひかげ先輩?!」
「先輩言うな、呼び捨てでいい! ダメならさんづけ!」
こんなメンツで大丈夫なんでしょうか。
すると、私の携帯電話が鳴りました。黒影寮の方でしょうか?
ディスプレイには知らない電話番号が映っていました。空華さんが新しい携帯を買ったんでしょうか?
「もしもし?」
『あ、銀?』
知らない男の声が聞こえました。
誰でしょうか。
『気をつけな。プールに行く時は携帯を必ず持って行って。黒影寮の奴らと離れないで。忠告はそれだけ』
一方的に喋り、電話は切れました。
何でしょう。ていうか誰ですか?
まぁ、気にしないようにしましょう。
「まったく、銀ったら」
俺は鏡の中を覗きながらつぶやいた。
まったく、銀は無防備すぎるだろ。本当に。
「まぁ、いいか。いざとなったらまた電話すればいーし」
「おーい。何してるんだよ、鈴」
「何でもないよ。みんな」
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.135 )
- 日時: 2012/01/11 21:57
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第8章 神威銀の誘惑
バスで1時間の距離に、神宮寺町のプールがありました。
たくさんの人であふれているのにもかかわらず、私達はあまり並ばずに入れました。さすが招待券です。
ひかげ先輩もわくわくした目つきでプールを見ていました。
「遊ぶぜ!!」
「服のまま飛びこもうとしないでくださいよ?!」
常識、というものはあるのでしょうか。はたして、この人達には。
***** ***** *****
〜空華視点〜
「ハァ、やっぱりプールはいいねぇ」
行き交う人々を眺めながら、俺様はため息と共に吐きだした。背中は更衣室の壁に預けている。
きらきらと輝く青い空。
その下に広がる色とりどりのプール。ついでに水着の女性達!!
まさに最高の楽園だね、ここは!!
「おいおい、顔がゆるんでるぞ。変態忍者」
「変態じゃないよ。男なら当然じゃないか」
この少女容姿死神め。水着の女の子を見て興奮はしないのだろうか。
ちなみに、黒影寮の全員は着替え終わった。つかさは元々女なので銀ちゃんに引き連れられて女子更衣室に行っちゃったし。
女子って言うのは着替えが遅いねぇ。
「男子って楽でいいわ」
「いきなり何を言ってるんや、こいつ」
睦月が怪しそうな目で見てきた。
何だよ。怪しそうな目で見るな、馬鹿。
すると、俺らに声がかけられた。知っている口調だった。
「やぁ、黒影寮の諸君?」
「あ。白刃さん」
蒼空が声の主の名を口にする。
銀色の髪に紺色の瞳。キャップをかぶっていて、パーカーを羽織っている。腕には『監視員』の腕章。
銀ちゃんの兄、神威白刃さんだ。やっぱり鏡を携帯している。
「遊びに来たの?」
「文化祭の賞品がここのチケットだっただけだ」
翔が機嫌悪そうに答えた。どうもこの人は苦手らしい。
白刃さんは至って普通の返事をする。
「ま、ここのプールは楽しいらしいし? 楽しんだら?」
「白刃さんはここで働いてるんですか?」
「バイトでね。僕は一応、大学生だし。母さんが仕送りをくれるけど、やっぱり自分の分は自分で何とかしないと。銀は特待生で学校通ってるし」
え、意外なんだけど。
「銀は結構頭いいよ? 運動も球技は苦手だけど、足は速いし。あ、コラ!! プールには飛び込むな、そこのガキ!!」
ピィィィィイイッと笛を吹き、白刃さんはプールに飛び込んだ子供を注意しに行く。その際、こちらを向いて、一言告げる。
「銀の事、よろしくね。僕もなるべく監視員の仕事をしながら見るけど」
「どうしてですか?」
昴が首を傾げる。
白刃さんは苦笑いを浮かべると、
「銀の鈴が覚醒し始めてる。このまま行くと——奴らに襲われる」
「奴ら?」
「ま、そのうち分かるさ。奴らには——ってコラァァァ!! だから飛び込むなって言ってんだろクソガキ!!」
白刃さんは今度こそ子供のもとに走って行った。
銀の鈴が目覚め始めてる? 一体どういう——。
「おい、イケメン。そこら辺の女を見てるんじゃねぇぞ」
ゲシッと誰かに背中を蹴られた。この口調からすると、羅ちゃんだ。
「痛いな! 何する——」
「ご、ごめんなさい! 着替えるのに遅れました!!」
水着姿の銀ちゃんが、いた。
肌は白いし腕は細いし足もすらりとして長いなー、とか思っていたけど、水着だとかなり分かる。
雪のような白い肌は、青いビキニタイプの水着と絶妙に合っている。腰には長いパレオをまいていて、スリットからはすらりと足が伸びている。セミロングの銀髪は、ポニーテールにまとめられていた。
銀ちゃんは少しだけ顔を赤らめている。超可愛い。
「あの——変、ですか?」
上目遣いで銀ちゃんは問いかける。
俺様達は急いで銀ちゃんから視線を外す。これ以上見てると鼻血が出る。
「え、変なんですか?!」
「変じゃn「変じゃねぇぞ、このクソビッチ。似合いすぎて逆に困る」え、翔?!」
銀ちゃんの事をビッチって呼んでいるのに、「似合ってますよ」みたいな台詞を言ってるの?
翔にそう言われた銀ちゃんは嬉しそうにはにかむ。
……やっぱり。銀ちゃんは翔が好きなんだ。
「おうおう。空華、浮かない顔をしてるぞ」
蒼空が脇腹を肘でぐりぐりと押してくる。
俺様は蒼空の腕を振り払うと、あくまで平静を装う。忍びなんだから、ポーカーフェイスは当たり前だ。
「どこがだよ! さ、女子のメンツもそろったみたいだし? 遊ぼうじゃねぇか!!」
どうか気づかないで。
無理して笑っている事には、どうか。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.136 )
- 日時: 2012/01/13 22:44
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第8章 神威銀の誘惑
挑戦その1。何もなしでやってみる。
「がぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼおぼ」
その2。浮輪を使う。
「あ、浮きました——がぼぼぼぼぼっぼおぼおっぼおぼっぼぼおぼぼ」
何ででしょう。
球技は苦手ですが、足は速い方なんです。陸上競技は案外得意なんです。ハードルだって高跳びだって幅跳びだって出来ます。
読者の皆さま、お気づきですか。
そうです。私・神威銀は泳げません。浮輪を使ってもこのざまです。
「——銀、平気か?」
「うぇ……。れ、怜悟さん。助けてください泳げないんです私ーっ!!」
心配そうな表情をして近づいてくれた怜悟さんに助けを求めてみます。おぉ、案外細マッチョです。
怜悟さんは首を傾げると、浮輪を私にかぶせました。
「これで大丈夫」
「さっきの姿見てました?! 浮輪で泳いでいたらひっくり返りましたよ?!」
なんていう仕打ちですか、神様。あなたを怨みますよ?
すると、それを見ていた悠紀さんが笑いながらやってきました。
「アハハハ。何してるの、銀。面白いぐらいに泳げてないんだけど?」
「う、う〜〜〜!! じゃあ、悠紀さんは泳げるんですよね? 私に泳ぎを教えてください!」
「泳げるよ。当たり前じゃないか」
見てな、と悠紀さんはプールの壁を蹴り、浮かび上がりました。
沈みました。
「ごおぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」
「悠紀」
怜悟さんは悠紀さんを助け起こします。プールサイドに悠紀さんを寝かせてあげました。
助けられた悠紀さんは、青い空を眺めてつぶやきます。
「……おはなばたけ」
「戻ってきてください悠紀さん!! その橋を渡ってはいけませんよーっ?!」
私より酷い状況になってませんか?
「銀ちゃぁぁぁん!! ねぇねぇ。スライダー、一緒に乗らない?」
「ら、羅さん?! 抱きつかないでください暑いですそして手が胸に当たってますー?!」
いきなり羅さんに抱きつかれて、私は驚きました。
スライダーには行きたいのですが、正直泳ぐのを練習したいですし……。でもどうしましょう?
返答に迷っていると、凛とした声が聞こえてきました。
「放してやれ」
翔さんは呆れたような表情で羅さんに言います。
ですが、羅さんは駄々をこねます。ギューッと私を抱く腕に力が入ります。
「何だよ、イケメン。あたしは銀ちゃんとスライダーに乗りたいんだーっ!!」
「それならつかさと行ってろ。つかさと蒼空はもう3周目に突入してる」
「何ぃ?! こうしちゃいられない、あたしも参戦してくる!! 銀ちゃん、あたしの勇姿を見ててね!!」
「スライダー如きで死ぬ気ですか?!」
どこの戦場ですか。
ともかく、翔さんには助かりました。これで泳ぎの練習が出来ます。
水に浮いてみようと決意した、その時です。
「泳げないなら無理するんじゃねぇよ」
「ひゃ?!」
パシャン、と水を叩く音がして、プールの水が私の背中にかかりました。
髪を高く結った翔さんが、楽しそうに笑っていました。
「な、何をするんですか!!」
「まず基本的な行動は水に浮く事だ。力を入れ過ぎなんだよ」
翔さんは私の肩を掴み、自分の体に寄せました。温かい体温が、肌を伝ってきます。
ドキドキ。ドキドキ。私の心臓が苦しい程鳴ります。
「ほら。足を蹴ってみろ。浮け」
「命令ですか?! ちょ、手を離さないでください怖いです怖いですってきゃぁ?!」
翔さんの手が、私の腰を持ちました。下から支えるようにして、まるでお姫様だっこをするように私を持ち上げます。
このままだ水に沈む——?!
かと、思いましたが沈みませんでした。私の体は水に浮いています。
「浮けるだろ」
「は、ハイ。……がぼっぼおおぼぼ」
「おい?!」
水に沈みかけた私を、翔さんがお姫様だっこで助けてくれました。
……嘘ですよねー?!
「え、あの、翔さん?!///」
「テメェは何で水にも浮けねぇんだよ……」
翔さんはため息をつきます。そして私を立たせてくれました。
「あ、ありがとうございます」
「どうって事ねぇよ。死なれたら困る」
そう言うと、翔さんはフイとそっぽを向きました。
顔、赤くなってないですかね。ものすごい心臓の音がうるさいんですけど。
「あの……翔さん」
「何だ」
「私の事、どう思いますか?」
思わず訊いてしまいました。
翔さんはこちらを向いてくれません。ただ、いつもの凛とした声で答えます。
「ただの人。黒影寮の管理人代理。お人好し。世話好き。銀の鈴」
恋愛対象には入ってないようです。ズキリ、と胸が痛みました。
だが、と翔さんは言葉を続けます。
「放っておけない存在。いつも目で追っちまっている」
「え、」
「まだ分からねぇのかよ。馬鹿だな、理解力が足りねぇんじゃねぇの?」
皮肉を込めて、翔さんは言います。だけど、微妙にその顔が赤いです。
「好きだぜ。テメェが」
「あ、の」
「死神が人に恋心を抱くのは初めてだがな。誇りに思えよ——銀」
ビッチではなく、私の名前を口にします。
ドキリ。また心臓が跳ねました。
その時です。
「見つけたー」
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