コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
- 日時: 2015/01/24 21:51
- 名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)
拝啓、天国のお父さんとお母さん。
ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
今日も私の前を、
パンツが飛んでー。
男の怒声が飛び交ってー。
何だか炎まで飛んできてー。
挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
……私、人生間違えましたでしょうか?
***** ***** *****
初めまして、というのもなんですが。一応。
桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
私が誰だか当てられるでしょうk((殴
大変失礼しました。
ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。
☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→
読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
それでは。
お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』
現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
→>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272
『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296
目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575
エピローグ
>>576
あとがき
>>577
お知らせ☆
現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263
期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387
童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412
黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400
企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中
・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516
番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
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- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.417 )
- 日時: 2012/09/03 22:29
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第15章 皇高校ホスト部!!
〜空華視点〜
シエル——何だか不思議な印象を持つ奴だった。どこか知っているようで、知らないような感じの奴。
そんなシエルは、こちらの視線なんか気にせずにカラオケのマイクを手にして歌い始める。
滑らかな低音ボイスが教室内に響き渡った。これは、確か『雪のツバサ』だったかな? アニメのエンディング。炎華が好んで見ていたんだけど。
上手いな……男の俺様でも上手いと感じる。プロだったりするのか?
「貴方の望む俺になりましょうと言っていたけどさ、あれってどういう意味?」
きょとんと首を傾げて、蒼空は羅ちゃんに訊いた。
羅ちゃんは心底面倒くさそうな顔をして、そっぽを向く。あー、さすがイケメン嫌い。
よし、じゃあこうしようか。つかさを使う事にする。
「ねぇ、羅ちゃん——どうしてか教えてくれない?」
つかさはもともと女の子。普段は髪の毛が短いけど、ちょっとしゃべり口調と声を変えれば女の子に戻れる。
仕方ない、とでも言うかのように羅ちゃんは説明してくれた。
「どういうしゃべり口調の奴になってほしいか、とかだよ。性格とか? 外見は無理だとしても、しゃべり口調なら結構似てるよ。さっきの冒頭のしゃべりだって、そこの少女容姿死神に似てただろ」
コーヒーを飲んでいた翔は、紙コップを握りつぶしそうになるが、必死に昴がなだめていた。
なるほど。確かにあの時、『テメェら、盛り上がってるか!』なんて言っていたような気がする。口調は翔に似ているな。翔が言えばだけど。
と、ここでシエルが歌い終わったらしい。ひょこひょこと客席を歩いて、お客さん1人1人に笑顔で挨拶をしている。できた店員だ。
「いらっしゃいませ。ようこそ、喫茶びーすとへ」
胸に手を当てて、シエルは俺様達に向かってお辞儀をした。そして流れるような動作で、近くにいた俺様の手を取ってキスを落とす。
もういいや。気にしない、俺様。無心になれ、無心に。無心だけが救ってくれる。
「今日はどちからからおいでになられましたか?」
「あ、黒影寮からです」
律儀に昴が答えた。そのあとに蒼空が「そうだぜ☆」というキラキラしたオーラ全開で言う。
シエルはにっこりとした笑みを浮かべて、
「それはわざわざ。ありがとうございます」
そしてシエルは他のお客さんに挨拶をしにその場を去った。
さて、もう行くか。銀ちゃんを探してみないと。
「羅ちゃん、お勘定」
「1700万円」
「高ぇッ!!」
ここはぼったくり喫茶か! 利益取り過ぎだろ!
白亜ちゃんに確認したところ、どうやら470円だった。何の恨みがあって『1700万円』なんて答えるんだろうね……怖いね。
***** ***** *****
銀ちゃんを探しつつ、色々なところを回ってみた。
お化け屋敷はさすがに怜悟とかいるから別に怖くはなかったな。オカマ喫茶なんていうふざけたものまであったからちょっと興味本位で入ったらすごく怖かった。あれは記憶に残したくないと言うので、記憶の仕事人を発動させて忘れさせた。
軽音部のライブとか、吹奏楽部の発表、茶道部なんかは翔が乱入して代わりにお茶を立ててたし、昴はダンス部に参加して一緒になって踊っていた。睦月は手品同好会に誘われてマジックの実験台になっていたけど超能力でどうにかしたし。怜悟は剣道部に勝負を吹っかけていた。悠紀は文芸部に言って冊子をもらってきたし。
結構色々と楽しんでいる様子だった。
「……あの、すみません」
と、そこで不意に声をかけられた。
振り返ると、そこにいたのは黒髪に青と黒のオッドアイ、そして学ランにヘッドフォンという格好をした男——シエルだった。
何故か息を切らせて、こちらに走り寄ってくる。
「あー、よかったです。見つかりました」
「一体どうしたの?」
シエルは黒い何かを差し出してくる。まぎれもなく、これは俺様の財布だった。
わざわざ届けに来てくれたって言うのか?
「財布を落としちゃったら、さすがに困りますから。よかったです」
にっこりとした笑みを浮かべるシエル。できた子だ。
「あれ? 今営業中じゃないの? 休憩?」
「あ、ハイ。働き過ぎだと言われてしまったので、しばらく休憩です。1時間ぐらい、でしょうか」
腕時計を見やり、シエルはつぶやく。
じゃあ——
「よかったら俺様達と回らない?」
「え?」
シエルはきょとんとした様子で首を傾げた。
だって、そうじゃないか。シエルだってこの学校の生徒だし。構内の設備には人1倍詳しい——少なくとも俺様達に比べたら。
「え、でも、お邪魔じゃ——」
「構わない。こちらも敷地内を知っている奴が1人でもいてくれるだけで助かる」
黒影寮代表の翔も、そう言ってくれた。ほーら安心。
シエルは「うーん」と唸ってから、ゆっくりと頷いた。
「俺でよければ、皇高校の中を案内しますよ」
と言う訳になったので、最初はどこに行こうかという話しあいになる。
シエルのお勧めの場所がある、という事なので俺様達はそこへ足を運ぶ事にした。
そこは体育館——軽音部の奴らがライブをやっていたような気がするけど、どうして再びここに来たんだろう?
「俺は演劇部だった事があるんです。中学3年間は演劇部のホープと呼ばれていましたよ。それで今回、急きょ出演依頼が出ちゃって……コメディものなのでよかったら見てください」
へらりと笑うシエルは、俺様達から離れて舞台の方へと行ってしまった。
パンフレットに書かれた演劇部のタイトルを見てみる。そこにはこう書いてあった。
『水無月寮の愉快な仲間達』
何だか、なぁ……。何でだろ。黒影寮っぽい匂いがするのは何でだろ。
そこでブザーが鳴り、幕が上がる。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.418 )
- 日時: 2012/09/10 22:35
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第15章 皇高校ホスト部!!
〜空華視点〜
舞台の上にあるのはテーブルと、それに椅子が数個。それに座っているのは——え、銀ちゃん?
と、思ったら若干髪が短い。銀ちゃんは銀色のセミロングだし、それに目がオッドアイのままだ。あれはシエルだな。それにしても銀ちゃんと似ている。まさか従兄弟とか?
シエルはテーブルに頬杖をついたまま、舞台の袖に向かって声をかけた。
『おーい、椎葉(シイバ)。暇だ。遊べ』
『いや、遊べってねぇ。今この状況を見て分からない訳? 俺は勉強中、study中なのですよ! 見て分からんかね!』
『分からない』
にやりと、シエルは不敵にほほ笑んだ。
対して舞台袖から出てきたのは、黒髪が美しい女の子だった。——どこか容姿は翔に似ているような気がするけど、気のせいかな?
『大体ね、東谷(アズマヤ)がいけねぇんだよ? 人に宿題を押しつけるなんて——』
『頭が高いわ!』
シエルはそんなきれいな女の子に向かって、飛び回し蹴りを容赦なく放った。女の子は袖に吹っ飛んで行く。
うわぉ。どうしたらいいんでしょう、何しちゃってんの?
『フン。俺の宿題をやらせてもらっているだけ感謝しやがれ!』
『さすがにそれは頭が高々いと思うのは俺様だけでしょうかね……東谷さん』
反対側の袖から現れたのは、今度は茶髪の男子——昴に似ているような奴である。ていうか口調そのものは俺様のなんだけど!
シエルはその男子生徒を一瞥し、ため息をついた。
『テメェには関係ねぇだろ』
『関係あるよ。君の宿題をやっているのは何処の誰だと思っているのかな? 俺様と椎葉と——あとはむっ君だよね?』
『そうだぞ』
ひょっこりと後から出てきたのは、うわぉ。眼帯をつけた男子生徒だった。むっ君ってww
シエルは盛大に顔をひそめて、ため息をついた。どうしてやらなければならないんだ、と言うような。
『分かったよ。じゃあせめて1つぐらいはやってやる』
『宿題は、誰でもやるもの』
眼帯の男子生徒——先ほどむっ君と呼ばれていた奴だ——が、シエルの頭をわしゃわしゃとなで回した。
シエルはバタバタと暴れながら、「止めろこの針野郎!」と叫ぶ。
うん、何だか翔と怜悟が喧嘩をしているみたいだよ?
「……おい、まるで黒影寮じゃねぇか。台本担当は誰だ?」
椅子に腰かけ腕を組み、翔は怪訝そうな顔つきで壇上を眺めていた。
確かに、これは黒影寮の奴らをモチーフにしているね。シエルが演じる『東谷』って奴は翔。翔のような容姿をしていた女の子は『椎葉』って名前で昴。昴のような容姿をしている奴が俺様、名前は分からないけど。俺様のような姿をして『むっ君』と呼ばれていたのは怜悟だ。
白亜ちゃんとか——あとは怪しいのは白刃さんだよね。白刃さんがこれを提供したのかな?
「でも、これって面白いよね。俺らはほら、普通の人間じゃないからすぐ能力を使って喧嘩して、銀ちゃんに叱られるけどさ、この演劇はまるで普通の人だった時の俺らがやりそうな奴だよ」
昴がけらけらと笑いながら、演劇を見ていた。
舞台上のシエルは輝いている。まぁ、舞台上は暑いだろうから汗もかいてるし輝いているだろうけど、何より表情が生き生きとしている。さすが演劇部のホープという奴だ。
やがて物語は佳境へ入り、途中で登場した睦月みたいな容姿をした悠紀の性格の『咲月』というのが出てきた。そいつのパンツが盗まれただとか何だとか言って、全員で犯人を締め上げる事に。
『ゆ、許せん! 男の下着を取ると言う卑劣な行為は許せん!!』
『珍しく怒りに燃えているところ悪いんだが、君のパンツも盗まれてない?』
この水無月寮はどうやら洗濯の分担が決まっているらしい。この日はむっ君が洗濯をしていた。
洗濯ものを取り込もうとしたら、パンツが1枚足りない。咲月のパンツは昨日盗まれた。全員分の奴を確かめてみると——東谷のだけが見当たらなかったらしい。
壇上のシエルは顔面を蒼白させると、水無月寮の全員に向かって命令する。
『血祭りじゃ————! 犯人を半殺しにしたうえで逆さハリツケにしてしまえぇぇぇ————!!』
『サーッ! イエッサーッ!!』
住人達は全員して敬礼で返すと、どたばたとした様子で舞台袖へ引っ込んでしまった。
パッと辺りが暗くなり、スポットライトにシエルが照らされる。
『この……何で俺のパンツを盗む輩がいるんだよ……変態か』
そこへ、椎葉が駆け込んできた。1人の男を連れて。
うーん、こいつは黒影寮でも見た事ないかな。新キャラかな?
『こいつが東谷さんのパンツを盗んだ本人です!』
脳天が禿げたその男の人が?!
『出かした! よし、この男をさっそく血祭りに上げようか——うへへへへぇへへへへ』
シエル、シエル。その笑顔ばかりは怖いよ。
そして物語は終わりを告げる————。
『東谷役のシエルでした』
銀髪を揺らしつつ、シエルがお辞儀をする。
そして次々にキャストがお辞儀をして行って、最後に全員で手をつないで1礼。幕がだんだんと閉まって行く。
ちらほらと客が体育館から出て行く中で、シエルが俺様達の元へ戻ってきた。
「どうだった?」
にっこりと、少し疲れた様子だけど笑って見せるシエル。疲れが見えるけど、やりきった感がある。
俺様もそれに答えるように、笑った。
「最高だったよ」
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.419 )
- 日時: 2012/09/17 00:00
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第15章 皇高校ホスト部!!
〜空華視点〜
「それでは俺は店のシフトがあるのでこれで。……文化祭、一緒に回れて楽しかったです」
別れ際に、シエルはにっこりと笑って、人ごみの中に消えた。最後まで銀色の頭がひょこひょこと見え隠れして、廊下の角を曲がる。
まぁ、しばらく回ったし、帰ろうかな。
「この後本屋寄ろう……予約していた洋書の新刊が発売する」
「あ、付き合うよ。俺も漫画が発売するんだよね」
「帰って寝よ……」
見ての通り、黒影寮もこんな感じにグダグダ感満載の雰囲気です。もう帰るモード満載。
その時、
「あーぁ、何でこうやって人ごみが多いかね。面倒くさいわー」
「梨央、きちんと仕事をしてください。帰れなくなっても知りませんよ? 私は別に構いませんが、貴方は未来からやってきたエージェントでしょう?」
「うるっさいな。お堅い戦闘馬鹿は黙って神威銀を探しなよ。それにしても見当たらないな……」
人ごみの向こうから、誰かがやってきた。
透き通るような水色の髪に水色の瞳、口の端で揺らしているのはトマトジュースのブリックパック。背負った棒状のものは、おそらくライフルだ。
そして一方、金色の髪の毛にロリ体系の女の子。顔をしかめて隣の男を見上げながら、辺りをきょろきょろと見回している。なんというか、傍から見れば挙動不審な外人。
夢折梨央とリネ・クラサ・アイリス。
「『リヴァイアサン』!!」
「うわ、何だ……。お前らか」
フゥ、とため息をつく梨央。何でそこでため息をつく。
いや、待てよ。ここで戦ったらどうする? 全員に俺様達の力がばれるに決まっているだろ!
それはまずい。銀ちゃんにただでさえ『ここの奴らの能力をばらさないようにする』っていう誓約をつけているって言うのに、俺様達がばらしてどうするんだよ!
「んー? どうしたの。襲ってこないんだ?」
「……くっ……」
歯噛みした。
ここで力を出して、こいつらを追い出す事は一向に構わない。だが、それは周りに人がいなければの話だ。
俺様達の力がばれる上に、周りに被害が及ぶ。銀ちゃんだってそれは望んでいない。
そんな気持ちを無視して、夢折梨央はにやりと笑った。
「攻撃できないんだ? 珍しい事もあるもんだねぇ。そこの俺様少女容姿死神君も、妙に大人しいじゃない? 世界を崩壊させる力、今ここで出しちゃいなよ」
ちらりと翔を見やると、苦い表情を浮かべていた。
周りの客が、「え? 何、戦い?」「世界を崩壊させる力ってww」とか言っている。が、確実に興味を持ち始めているのも事実。
……どうすれば、いいんだよ?
「あー、面倒くさ」
ズン、と重くなっていた中に響いた空気のように軽い声。面倒くさいと聞こえたあとに続く、カタカタと言う何かを叩く音。
悠紀は前髪で隠れた片目で、2人を睨みつける。
「……ねぇ空華。俺の声を大きくする事はできる?」
「へ? 声量を増幅させるって事か? まぁ、作れる事は作れるが……。一体何を?」
声量を操る術なんて聞いた事ないし……術じゃなくて魔法陣の方がいいかな。体の1部を特化させるっていう魔法陣があったはずだけど。
悠紀はノートパソコンを閉じて、にやりと笑った。
「——僕を誰だと思っているの? この場に置いて、僕の能力より優れているものはないと思うけど」
何か考えがある事か?
まぁいい、信じるしかない。
俺様は睦月と怜悟の影に隠れて、小さく魔法陣を描く。思い返して慎重に。日華や月華のように記憶力はよくないから、すぐには描けないけど確実にこなしていく。
魔法陣を描き、悠紀の喉元へと送った。ポウ、と光が輝く。
「……太陽——6の護符」
体の1部——悠紀の喉を特化させる。これで声量はかなり上昇したはずだけど。
悠紀は「あー」とか「うー」とか声を確かめる。そして何かを決めたようにコクリと頷くと、窓を開けて全校生徒・全客に聞こえるように声を張り上げた。
「【これより行う事は全て夢だと定義づける! 全て夢、まやかし、気のせいであり、決して現実で起こる事はない!】」
その声を聞いて、生徒・客の目線は全て悠紀へと注がれた。
窓から入ってきた生ぬるい風が、俺様達の頬をなでる。じわりと汗が浮かんだ。
「【だから貴様ら全員、今ここで眠りやがれ!!!!】」
バチンッ!! という音がして、スイッチが切れたように皇高校が静かになる。何の音も聞こえない。人であふれかえっていた廊下は、人で埋め尽くされていた。しかも全員寝ている。
そうだ。悠紀は言葉使い——人を言葉で操る事ができる!
「本気になれば何でも出せるし誰でも操れるしできない事はない。だけど僕の会話に文章として混ざっていないと発動されない。面倒な能力だよね」
いつの間にか悠紀の声量は戻っていた。やっぱり魔法陣は結構つらかったな。俺様もあやふやだったし。
だけど、ここで戦える舞台は整った。
俺様は遠慮なく、苦無を構える。
「小童どもが……頭が高々いわ!!」
昔の口調で、俺様は吠えた。
***** ***** *****〜銀視点〜
一体どうなっているのでしょう?
全員が眠ってしまいました。羅さんも、白亜さんも、クラスのみんなも、お客さんも全員寝てしまっています。
そう言えば、先ほど遠くから悠紀さんの声が聞こえてきましたね。言葉使いで何かをしたのでしょうか?
え?! こんな人がたくさんいる地元で?! 黒影寮の皆さんはただでさえ有名人なのに!!
「銀! 全員寝ちゃったけど、一体——!」
「鈴、助けてくださいぃ! 黒影寮の皆さんの力がばれてしまいそうで怖いですぅ!」
「ちょ、いったん落ちつけ! 怖い怖い! お前に泣かれると慰め方が分からないから怖い!」
でも、涙が止まりません。ばれてしまったら、私はあの人達と一緒にいられません……。
鈴は鏡の向こうで心配そうな表情を浮かべていました。
「……銀。大丈夫だって。俺がついてる。俺が何とかするから」
「……鈴」
「だから、安心してこっちにおいで」
その声を聞いて、私は安心しました。
もう、全部鈴に任せましょう。
——お休み、と鈴が耳元で言ってくれたような気がしました。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.420 )
- 日時: 2012/09/17 00:31
- 名前: 美桜 (ID: Pc.bKmsa)
初めまして美桜です。
このお話とても面白かったので勝手ながらお気に入り登録させていただきました。
勝手にすまみません。
これからも応援させていただきますね。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.421 )
- 日時: 2012/09/17 15:40
- 名前: 暁月 (ID: 2tdB3h30)
あぁ……確かに翔は女装してましたねw 絵描いてほしかったな……
次は昴とか空華の番ですか。あれ、もうしてましたっけ?
なんか久々に悠紀と空華がかっこよかったような気がwww
鈴は可愛かったです←
そして銀ちゃんが泣くのは嫌だ。・゜・(ノД`)・゜・。
恋愛系、もしくは翔がカッコイイやつ希望でs((蹴
いえ……なんでも
毎回面白いです。更新頑張ってください!
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