コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
日時: 2015/01/24 21:51
名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)

 拝啓、天国のお父さんとお母さん。
 ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
 私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
 今日も私の前を、

 パンツが飛んでー。

 男の怒声が飛び交ってー。

 何だか炎まで飛んできてー。

 挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
 ……私、人生間違えましたでしょうか?

***** ***** *****

 初めまして、というのもなんですが。一応。
 桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
 私が誰だか当てられるでしょうk((殴
 大変失礼しました。

 ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
 私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
 では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。

☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→

 読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
 それでは。


お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』

現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272

『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296


目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575

エピローグ
>>576

あとがき
>>577

お知らせ☆

現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263

期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387

童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412

黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400

企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中

・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516

番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
>>485 >>486 >>487 >>488 >>489

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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.442 )
日時: 2012/11/04 19:05
名前: 夕遊 ◆SgLh/8wWnQ (ID: d0BfeBGF)
参照: http://muirotarom.tuna.be/18402382.html


イラスト描いたんで、貼ってまする。
タイトル書いちゃってるんですが駄目だったら申してください。
即刻消して再うpします。
ペンタブは修行中でして銀ちゃんの美貌を描くにはペンタブではいけない...!!と言う事でアナログです。
一周年おめでとうございました!!

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.443 )
日時: 2012/11/04 22:13
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

羅ちゃんおよび夕遊様>>


ごめんね羅ちゃん。このお話は空華ルートに直行中だから←
トラックに轢かれたけどタイトル通り『カゲロウタイムスリップ』なので、意識は江戸時代へ旅行しています。羅ちゃん、君は銀ちゃんのようにマジで死んじゃうからね? イケメン——というか翔君に送られますよ天国へ。

翔君フラグをそう簡単に折れるとでもお思いか((殴ッ!
ごめんなさい調子に乗りましたねwwいえでもこのお話に至っては空華ルートだからなぁ……。
第15章が気に入ってもらえたようで嬉しいです。プロポーズの件については————あー、鈴様とご検討ください。銀ちゃんの幸せが鈴の幸せです((殴ッ!!

素敵な絵をありがとうございます! 「うわぁぁぁ! すごい銀ちゃんだうわぁぁぁ!」という興奮状態でした。
タイトルが入っていても全然構いませんよ! それだけで嬉しいです!
更新頑張らせてもらいますね。これで頑張れそうだ!!


北大路様>>

歴史より地理の方が苦手ですね……緯度経度何それ美味しいの状態でした。あと気候とか嫌です。
あー、江戸時代は特に将軍はやってないですね。1代目の家康と3代目の家光と5代目の綱吉と15代目の慶喜すら覚えておけばいいと感じていました。
江戸時代に至ってはほぼ銀魂で興味を持ちました。でもあれ、エイリアンなんて出てきませんよねw

江戸時代より戦国時代の方が好きです、個人的に。特に伊達政宗が。存在した人の中では伊達政宗が。
影響はもちろん戦国BASARAです。
銀ちゃんが帰ってくるにはもう少しかかります☆
もうしばらくお待ちください←

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.444 )
日時: 2012/11/05 22:54
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第16章 カゲロウタイムスリップ


 初代王良家当主の空華さんに連れられて、私は長い石段を上っていました。
 江戸時代と言っても、空華さんの本拠地は京都にあるらしいです。ここは支社とか何とか……。なるほどとは頷けません。
 それにしても、この石段はとてつもなく長いです。終わりが見えません。体がだんだんと重くなってきました。

「大丈夫? 息が荒いけど……女の子だから階段は辛いよね?」

「いえ、平気です……少し、頭の中の状況が追いつかないと言いますか」

 そうですそうです。私は江戸時代に来ているんですよ? ここからどうやって帰れって言うんですか?
 確か時を操る悪魔のキャスさんが板と思うんですけど、鏡があるのに呼び出せません。鈴すらも呼びだせない状況です。となると、私が今銀の鈴として機能できる技は『回復』ぐらいでしょう。
 ——ハイ? あぁ、能力を上げる技ですか。確かにそれもできますが、初代の空華さんには必要ない事だと思いますけど。それにあれは少しの時間だけです。継続させるにはき、キスをしなくてはいけないんですけど……。
 大丈夫です。この人はそんな人じゃないと信じています。

「うーん。今の拠点にはくのいちは——どこまでなら許せる?」

「え? どこまでって何ですか?」

「完璧に女の人か、心は女だと言い張る野郎か」

 つまり、それって——オネエですか?
 オネエだと面白い人が多いですけど、私、襲われたりしませんよね? 大丈夫でしょうね?
 初代空華さんはケタケタと笑いながら「きちんとくのいちもいるから安心していいよ」などと言いました。それはそれで安心できますが……。

「それじゃ、さっさと上っちゃおうか?」

「へ? ——きゃぁ?!」

 いきなり私は空華さんに抱きかかえられてしまいました。着流しの上からでも分かるがっしりとした体格。あちらの空華さんもこのような感じなのでしょうか。線は細いのに、筋肉はしっかりとついています。
 その時、空華さんは階段を蹴り上げました。
 ほぼ地面ギリギリを飛行していると言っても過言ではありません。1段抜かしどころではなく10段抜かしをしているかのようでした。あっという間に私を抱えた空華さんは、石段を上り切ってしまいます。

「あの、すみません。……重かったですよね……」

「それよか君を抱えた事に『ハレンチ!』とか言って殴られるかとひやひやしていたんだけどね、俺様は」

 苦笑をしてから空華さんは「大丈夫。これでも結構鍛えている方だから」と言って、私を下ろしてくれました。
 石段を越えた先は、神社のような場所でした。
 赤い鳥居を構え、その奥に社が建っています。ここを拠点としているのでしょうか?

「社には術を仕掛けてね。住まいになるようにしているのさ。なんて言うの? 隠蔽?」

「なるほど。敵から身を隠す為のカムフラージュをしている訳ですね!」

 なるほど、と私が手を叩くと、空華さんは首を傾げてきました。
 そうですよね! カムフラージュなんていう外国の言葉は知らないですよね!

「何それ? 鴨のから揚げ?」

「い、いえ……何と言えばいいんでしょう。外国語? 南蛮語?」

「フーン。ま、いいや。とにかく入って。人数的には10人ぐらいいるから」

 これでも結構少ないけどね、とつぶやきながら、空華さんは鳥居を通り抜け、社のドアを押しあけました。
 その先に広がっていたのは、土間です。江戸時代の玄関です。なんと、社の向こうには家がありました!
 私はおずおずと「おじゃまします」と言ってから、社のドアをくぐりました。空華さんの術の精度は本当にすごいですね。こんな事を現代の空華さんはできるのでしょうか?

「お帰り頭! ——誰、その子」

 そこへ土間へ現れたのは、白い着流しを着た女性です。濡れ羽色の腰まで届く髪を最後で緩く結い、肩に垂らしています。顔つきは——なんと、綺華ちゃんです。
 空華さんはへらりと笑い、私の肩を叩きました。

「命令な。こいつを今日から王良家で匿う事にした。優しくしてやれよ?」

「そうですか。頭が危ない人間を連れてくる事もないですし……まぁいいでしょう。私は日野宮(ヒノミヤ)と言います。よろしくお願いします」

 ぺこりと日野宮さんが頭を下げました。髪の毛が前に垂れます。

「俺様から全員に説明しておくからさ。えーと……日野宮。この子に着物を見立ててやって。何かおかしな格好をしているし」

「分かりました」

 こちらへ、と言った日野宮さんに、私はついて行く事にしました。
 土間から上がって廊下を歩いていくと、光が差し込んできました。庭です。社の中に庭があるのです。青い空がきちんと見えます。あれ? ここ社の中ですよね?

「頭の術には敵いません。これは空間を歪曲させ、別次元に世界を作り出しているのです。『創意世界の術』と頭は呼んでいます」

 私の心の声でも聞こえていたのでしょうか、日野宮さんが答えてくれました。優しい方です。
 そして日野宮さんについて行く事30秒。1つの襖の前で止まった日野宮さんが、その襖を開きます。音もなく開かれた襖の先には、がらんとした空間が広がっていました。
 電気はこの時代にはありません。当然です。ですから、部屋はとても薄暗かったのです。

「この部屋をお使いください。着物は今持ってきます。他に必要なものはありますか?」

「あ、いえ。お気遣いなく。居候させてもらう身なので贅沢は言いません……」

「頭の命令なので、私はそれに忠実に従うだけです。そうですね……女人なので三面鏡など持ってきましょう。あとは布団と燭台を……それに着物をいくつか見つくろってきますので。私ので構いませんね?」

「あ、すみません」

 反射的にぺこりと頭を下げると、日野宮さんはスタスタとどこかへ行ってしまいました。優しい人、ですね。
 私は何もない畳の部屋で、ただ正座して待っていました。相手も女性なので、家具の事も考えてくれました。ありがたいです。

「持ってきました」

「早ッ?!」

 思わず言ってしまいました。何せ、行って1分も経ってないんですよ?
 きょとんとして首を傾げられました。何故です。忍びってそんなに皆さん早いんですか?
 日野宮さんの手には何着かの着物と帯がありました。どれも可愛らしい色と柄をしています。

「好きな色とかありますか?」

「いえ、特には……あ、」

 日野宮さんが広げた中で、私はある着物に目をつけました。
 淡い桃色の生地に、桜の模様をあしらったきれいな着物です。

「これ可愛いです」

「ではそれにしましょう。——帯はこちらの赤を使いましょうか。ではそのお召し物を脱いでください」

「え、」

 これ脱ぐんですか? 洋服を?
 日野宮さんはにっこりとした笑みを浮かべて、

「大丈夫です。着つけは私がやります」

 それから怒涛のお着替えタイムです。ひぇぇぇえ。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.445 )
日時: 2012/11/12 23:32
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第16章 カゲロウタイムスリップ


 それから1日が経過しました。フッと私は目を覚まします。
 私はこれでも黒影寮の管理人代理を務めていますから、皆さんの栄養管理はきちんとしているのですよ。なので朝ごはんも栄養バランスを考えて作っている為、自然と5時起きになってしまうのです。
 もう外が明るい——早くご飯の支度をって、

「ここは、江戸時代でしたね……」

 そうです。この時代に黒影寮はないのです。
 私はかけていた布団をはぎ、とりあえず伸びをしました。ひんやりした空気が気持ちいいです。
 え、服装ですか? 着流しを1枚ほど着ています。これに昨日着せてもらった桃色の着物を着て赤い帯を締める予定です。
 とりあえず着つけは1人でできるので、私は着物に着替える事にしました。


「——ハッ! ヤァッ!!」「その調子だ、日野宮! 頑張れ!」「今日こそ頭を倒せぇぇ!!」


 何だか野太い声が庭の方から聞こえてきますけど。
 そっと閉じられた襖を開くと、日野宮さんと空華さんが組み手をしていました。日野宮さんが一生懸命攻めていますが、空華さんは全ての攻撃をまるで最初から見えているかのような余裕のあるよけ方をしています。はっきり言いますと、優勢なのは空華さんです。
 なるほど。修練を怠らないのですね、現実の空華さんに見習ってほしいところです。

「……これは、」

 私だけ、客人扱いされているではありませんか。
 昨日だって美味しいご飯をご馳走になった訳ですし。皆さんはこうして修練に忙しいのです。そうですよ!
 ここは、私が——黒影寮管理人代理の神威銀が、サポートをしなくては!

「こうしてはいられません! 皆さんに栄養価のあるバランスの取れた食事を提供しなくては!」

 そうです。私は家事をやってナンボの女です。客人扱いされてたまるかってんです!!

***** ***** *****〜空華(初代)視点〜

「そう言えば頭。昨日、異国風の女を連れてきましたよね? 大丈夫ですか、あの娘」

 と、俺様に質問をしてきたのは呪術が得意な宮地(ミヤジ)だ。
 それって神威銀ちゃんの事だよね。確かに銀色の髪なんてこの辺では見かけない——というかこの日本でも見かけないんじゃないかな?
 大体、現在では鎖国だ何だ騒がれているから世間様も外国人には結構厳しいからね。出島の方に追いやられたらたまったもんじゃないよ。

「せやけど、あのトーサンかいらしかったなぁ。お近づきになりたいわー」

「田村麻呂(タムラマロ)はそこに正座しよーなー。呪い殺す」

 宮地が印を結び始めたから、俺様は慌てて奴を止めた。こいつの呪いは半端ないからな。
 田村麻呂と宮地は同郷の忍びだ。仲がいいからこうして喧嘩したりするんだけど、まぁ羨ましいっちゃ羨ましいんだけど。
 俺様はどっちかって言うと、昔の記憶はない。というかそんなもの捨てた。あっても仕方ないし。
 忍びは道具だ。戦に使われる道具。そう、こいつらと集まってはいるけど、所詮はただの道具だ。使えなくなればポイ。

「ま、日野宮は強くなったなぁ」

「からかわないでください」

 日野宮の頭を軽くなでてやると、顔を真っ赤にして手を振り払った。こいつも女なんだよな、一応。

「さて、ここで修業は終わりにする。朝餉の時間だ——」

「お、お頭大変でさ!」

 そこへ、1番下っ端の佐助(サスケ)が飛び込んできた。何だか息を切らせているようだが。
 どうした、と訊くと、奴はとんでもない事を言ってきた。

「か、神威銀が見当たりません! 部屋にいないんです!」

 んなっ?!!
 おいおい、あいつここら辺の事を知らない女子だろ? そんな子がどこかに行ったって言うのか?
 ここは社に作った空間だから、玄関から出れば普通に神社のはず——まだそんなに遠くへ行ってないはずだ!

「すぐに探知の術を組みあげろ、あの娘の居場所を特定しろ! もし捕まっていたりしたらやばいぞ!」

「誰が捕まったんですか? どこかへお出かけするなら、その汗を流してからの方がいいと思いますけど」

「そんなのはどうだっていいんだよ! まずは探さないと——って、俺様は今誰に話しかけた?」

 いや、何か聞き覚えのある声がしたんだけど。
 俺様はゆっくりと振り向いた。
 そこには、まさしく探そうとしていた娘が立っていた。お玉を持って。
 娘——神威銀はきょとんとしたような表情を浮かべて、首を傾げた。

「どうしましたか?」

 一気に脱力。何をしているんだ、この子は。

「あの、朝ごはんができたんですけど……材料が足りなくて、あまりいいものが作れなかったんですが、ごめんなさい」

「ハ? あさごはん——まさか、お前朝餉を作ってたの?」

「窯でご飯を炊くのは初めてですけど、お粥程度ならできましたので! 楽しいですね!!」

 にっこりと笑顔を浮かべた彼女の額には、大粒の汗が浮かんでいた。
 まさか、な。客人として迎え入れたはずなんだけど、まさかねぇ……。

「それはそうと! まずは顔を洗って来てください、それから朝ごはんです! 少しの休憩を挟んでから、修業はしてください! 体に悪いです!」

「悪いも何も、それでは強くなりません。それに、私達は忍びです。道具風情に、そんな事をされても」

「シャラップです、黙りなさいです!!」

 キーッ! と銀ちゃんが怒鳴った。うわぉ。

「いいですか! 生きていればみな人間です! 道具とかそんな悲しい事を言わないでください。強くなりたいのなら規則正しくやり過ぎない事です! 練習は私が見ます! 体調管理も修行のうちですからね!!」

「あ、あのー、銀ちゃん? ちょろっといいかね?」

「何ですか!」

 ぷりぷりと怒っている様子の銀ちゃんに問いかける。

「えーとね、お前は休んでいていいんだよ? お客様なんだから」

「いいえ。居候させてもらう身ですので、そんなお気遣いは結構です」

 そして再びにっこりとした笑みを浮かべると、こう言った。

「さぁ、まずは朝ごはんですよ!」

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.446 )
日時: 2012/11/14 01:02
名前: 粉雪百合 (ID: gJM7cnIU)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=30753

どうもー、こんにちわ(?)
『お前なんか大嫌い!!−(略)−』より馳せ参じました←
わぁ、翔と昴の仲がいいー



一気読みさせて頂きました。5時間ほどで。
すごいですねー憧れますねー
銀ちゃんになって黒影寮行ってみたいですねー
・・・嘘です。そんなハードな高校生活送りたくないです。


惚れ惚れするような文才ですね。
秒速でファンになったので頻繁に見に来ると思います。←え
うっとおしいですね。嫌ですか?
だが断r((








深夜テンションにて失礼します。


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