コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
日時: 2015/01/24 21:51
名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)

 拝啓、天国のお父さんとお母さん。
 ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
 私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
 今日も私の前を、

 パンツが飛んでー。

 男の怒声が飛び交ってー。

 何だか炎まで飛んできてー。

 挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
 ……私、人生間違えましたでしょうか?

***** ***** *****

 初めまして、というのもなんですが。一応。
 桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
 私が誰だか当てられるでしょうk((殴
 大変失礼しました。

 ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
 私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
 では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。

☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→

 読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
 それでは。


お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』

現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272

『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296


目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575

エピローグ
>>576

あとがき
>>577

お知らせ☆

現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263

期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387

童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412

黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400

企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中

・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516

番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
>>485 >>486 >>487 >>488 >>489

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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.342 )
日時: 2012/04/27 15:26
名前: 暁月 (ID: SvZZ75HI)

こんにちわー

蒼空くんの名前って何て読むですか?単細胞なもんで・・・今更ですし

このごろ恋愛系が出てないですね
どっちにしろ面白いですけどwww

複雑・ファジーでも書いてましたよね・・・?

かけもち大変そうwがんばってください〜

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.343 )
日時: 2012/04/27 19:54
名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: yU8XJsFi)

もし優しくされたら・・・

鈴 「いつも頑張ってるディレッサに、ご褒美をやろう。
   ・・・和食フルコースだ!」←100%の善意
及川「・・・(毒でも盛ってるんじゃねーのか?)」
鈴 「どーした?」
及川「いえ、俺なんか褒美を頂くに値しないと思って・・・」←疑いまくりw


珊瑚さんを登場させる時点で、
相当・・・鈴が怖いんですね、ええ。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.344 )
日時: 2012/04/27 21:47
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

暁月様>>


蒼空「俺の名前は二条蒼空『にじょう/そうくう』って言うんだぜ! この際だから覚えておけよ!」

と言う訳で、二条蒼空君でした。
この頃恋愛系が出てませんね。作者の技量不足です——それじゃ理由になりませんね♪
やりたい事がありすぎて、こんな感じになってしまった次第です。盛り込み過ぎてw

あ、次回予告しておきますか?
次回は恋愛要素が少しだけ盛り込まれた『黒影寮VSリヴァイアサンの球技大会〜真夏にきらめけ☆この白球〜』をやる予定ですw
サブタイトルがすげぇ。でもこれはコンセプトですので。


北大路様>>

え、えーと……鈴が優しくなったらディレッサさんが疑うってねぇ……w
相当怖いと見た。鈴が優しくなったら——ってのをやってみるのもおもしろそうですねww

少しディレッサが殴った時点で性格が逆転したりとか。
で、ディレッサをだます為にそれは鈴の演技だったりとか。
で、銀も鈴みたいな性格になっちゃうとか(鈴に乗っかって)

ちょっと番外編みたいなのでやってみますかー!

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.345 )
日時: 2012/04/27 22:06
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


 蒼空さんが出て行ってしまいました。かなり怒っていたようですけど。
 さすがに翔さんも「言い過ぎたか……」なんてつぶやいていました。翔さんなりに反省しているようです。
 それにしても、蒼空さんが怒るなんて珍しい事ですね。

「なぁ、何であいつってあんなに怒っていたんや?」

 睦月さんがキョトンとした様子で全員に問いかけました。
 理由が分かりません。蒼空さんって「にゃんだとー?!」とか「何おう?!」とか言ってポカポカ叩いたりしますが、結局は怒らない人ですから。でも、あんなに怒鳴っていたのは始めて見ました。
 すると、悠紀さんが大変言いにくそうに、

「……僕かも」

「え? 悠紀さんが?」

「ほら、蒼空って2年生の時に転校してきたじゃん。僕らと違ってさ」

 蒼空さんは高校1年生の時に黒影寮へやって来たと聞いています。
 悠紀さんは苦い顔を浮かべました。

「集中力が切れただの何だの言うから、ついむかついちゃって。『元の学校でつるんでいた奴が馬鹿だったとか?』って言った」

 なんて酷い事を!
 ですが、悠紀さんもしょんぼりとした顔をしました。

「僕が、やっぱりいけないよね……」

「悠紀さん……反省しているなら、蒼空さんを迎えに行きましょうよ」

「そうだね。蒼空も一応は黒影寮の住人で、銀ちゃんを守って来た訳だし!」

 空華さんが携帯を取り出して、蒼空さんに電話をかけました。


 一方の蒼空。

「げ。空華から電話がかかってきた」

 携帯のディスプレイを見て、蒼空は顔をしかめた。
 相手は王良空華。自分が出てきてしまった黒影寮の住人である。

「よし、切るか」

 迷わず電源ボタンを押して切った。そして携帯電話の電源を落とした。

「そーくー。だれー?」

「内緒。さて、田舎に行くには何時の電車があるかなーっと」


 空華さんは携帯を片手に顔をしかめました。

「電話がつながらない。あいつ、電源を切りやがった」

「ハァ? それぐらいにむかついたって訳かよ。悠紀、面倒な事を起こしてくれやがって」

 翔さんは恨めしそうに悠紀さんを睨みつけました。
 悠紀さんは反論もせず、ただ閉じられたノートパソコンに向かっていました。

「でも、蒼空君はどこに行ったんでしょうね?」

 つかささんが首を傾げます。
 蒼空さんが行く場所なんて見当たりませんけど……。まだ町内にいますでしょうか?

「探しに行きましょう! まだいるかもしれません!」

「翔ちゃん、死神の目を使って蒼空を探して!」

「仕方ねぇな」

 その時です。
 黒影寮のインターフォンが鳴りました。まさか、帰って来たのでしょうか?

「やっほー!! 銀ちゃん銀ちゃん会いたかったよー! あたし、田舎に無理矢理帰省させられててさぁ。なかなか会えなかったんだよねー!」

「きゃぁ?! ら、羅さん?! いきなり抱きつかないでくださいーっ!」

 蒼空さんではなく羅さんでした。
 羅さんは出合い頭に私をハグします。

「久々の銀ちゃんだよ……あぁよかった」

「おい、羅。今から蒼空探しをするからテメェも手伝え」

 翔さんが命令口調で羅さんに言いました。
 羅さんはもちろん嫌そうな顔をしましたが、「蒼空」と聞いて声をもらしました。一体何があったのでしょうか?

「蒼空って、あの結構可愛い顔をしたイケメンだよな。目が青い——まるで空みたいな奴」

「そうそうそいつ。え、見たの?」

「何か小人みたいなのを連れて電車に乗り込んでた。茨木辺りに行く電車の」

「「「「「茨木ぃ?!!」」」」」

 それを聞いて、全員で目を丸くしました。
 な、何の為に茨木に?!

「そ、蒼空の田舎ってどこだっけ?」

「さぁ? でも、前に言ってたよな。結構田舎の方からやって来たーって」

「おい、蒼空の実家の居場所なら分かるぞ」

 翔さんが死神の目で情報を集めてくれました。

「蒼空の実家、茨木の錦海町ってところだ」

 と言う訳で、蒼空さんを迎えに行く為に実家である茨城県へ行く事になりました。

***** ***** *****

 茨城県・錦海町(キンカイチョウ)。
 ここは、俺が育った町である。海が近くて本当に懐かしい。
 あらかじめ電話で呼び出しておいた昔の仲間達が、駅を出た瞬間に手を振って来た。

「久しぶりだな、お前ら!」

 あぁ、帰ってきてよかった。
 こいつらとなら、黒影寮でできないような事も一緒にやれる。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.346 )
日時: 2012/04/29 21:46
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


 ガタンゴトン。
 私達は電車に揺られて茨城県の錦海町まで来ました。錦海町は海に面しているらしく、車窓から海が見えました。
 そう言えば、この夏は海には1度も行っていませんね。

「うほーっ! 海じゃん海じゃん!」

 昴さんが子供のような声を上げます。その隣で翔さんが小さなため息をついていました。
 ここで蒼空さんが育ったのですね。
 電車のアナウンスが響き、私達は下車します。

「錦海町……まぁ、田舎なのかな?」

 つかささんは辺りを見回してつぶやきます。
 何せ、周りは山で囲まれています。すごいところですねー、本当に。
 その時です。私の隣を誰かが走り去りました。

「お姉さんのパンツもーらい!」

「きゃぁ?!」

 スカートがめくれました。走って行ったのは金に近い茶色の髪をした人です。だ、誰ですか!
 すると、黒影寮一同さんはぎろりとその相手を睨みつけました。嫌な予感です。

「「「「「テメェ待てやコラ」」」」」

 その人に攻撃を仕掛けようとしました。羅さんもです。
 危ないですので、私は慌てて止めました。

「何をしているのですか! 相手は普通の人ですよ?!」

「普通? 銀ちゃんのスカートをめくる馬鹿野郎は1人残らず——」

 そこで声が途切れました。
 今までしゃべっていた空華さんは首を傾げます。そして喉の辺りを押さえて、再度首を傾げました。
 声が出ないのです。

「わはははは。出ないでしょ、しゃべっているけどその空間だけ音を消しているんだー。って、俺の声も聞こえていないよね」

 その茶色の髪をした人は、小さなため息をついて持っていたスケッチブックにしゃべった事を書きました。
 音を消している? 確かに何も聞こえませんけど。

「…………何をしているのじゃ」

「お、紫音! お前もどうだ? こいつら面白いぞ」

 あとから銀髪の人が空から降ってきました。どこか冷たい印象を持つ人です。
 銀髪の人はため息をつきますと、茶色の髪をした人を殴りました。

「怒られる」

「あ、そうだな。いけねーいけねー。迷惑をかけないが俺らのルールだよな」

 パチンと指をはじく音が聞こえたと思ったら、雑踏が聞こえてきました。音が聞こえます。
 わははははと笑いながら、その茶色の髪をした人は銀髪の人と一緒に町へ消えました。

「どこへ行く!!」

 黒影寮の人達は、その2人を追いかけます。が、ここで思わぬアクシデントが起きました。あ、私達じゃないです。あの2人です。
 何か黒いものが降ってきたと思ったら、その人が2人に怒鳴りました。

「人に迷惑をかけちゃダメっていうルールを知っているのかなー?! 博先輩!」

「やー、悪い悪い。あまりにも可愛い子だったからさー」

 えへへ、と博先輩と怒鳴られた人は笑いました。
 その黒い人、見覚えがあります。空のように青い瞳をしていて、肩には小人が乗っています。友達でしょうか?

「「「「「そ、蒼空!!」」」」」

 その黒い人——蒼空さんはこちらを見て顔をしかめました。

「げ。お前ら……」

「何をしているんだ、蒼空。早く帰るぞ」

 翔さんが前へ進み出て、蒼空さんの腕を掴みました。
 しかし、蒼空さんは翔さんの腕を振り払います。

「絶対に嫌だ」

「怒った事は謝るから。それに、悠紀だって反省しているんだぞ」

 翔さんが言いますが、蒼空さんは「帰らない」の一点張りです。

「能力をコントロールできずに暴走させちゃった事は俺も謝らなきゃいけない。翔が謝る事じゃない。あれでいい。悠紀も反省しているなら別に構わないし……。でも、絶対に帰らないから」

 蒼空さんは翔さんをドンと押しのけて、そして踵を返しました。ど、どこへ行くのでしょうか?!
 なんと、蒼空さんは近くの店の屋根をジャンプ1つで飛び乗り、空へ飛んで行きました。

「そーくー、たかーい!」

 子供のような声が聞こえてきました。

「くそ、昴。あいつらをとらえろ!」

「う、ん?」

 昴さんが飛び立とうとした時、銀髪の人に腕を掴まれました。

「……誰だよ」

「氷室紫音」

 低い昴さんの問いかけに、さらりと言う銀髪の人——紫音さん。その隣に博さんが並びます。

「そーか、お前らが噂の黒影寮ね。話は聞いているよ、蒼空が行った場所でしょ? 蒼空、お前らの事は嫌いじゃないけどね」

「だったら何で、帰るのを嫌がる必要がある?」

 翔さんは博さんを睨みつけました。
 そんな睨みにも負けず、博さんは笑いながら言います。

「蒼空に、今は帰ってほしくないんだよ。何せ、『俺ら戦争』だからな」

「お、俺、ら戦争?」

「坊ちゃんタイプのお前らには分からないような事だよ。お前らには絶対真似できないような事を、俺らはやってるって訳。そろそろ蒼空も逃げたか。行くぞ、紫音」

「承知した」

 紫音さんはパッと腕を離しますと、博さんと一緒に町へ消えました。
 一体何だったのでしょう?

「俺ら、戦争……。一体何だ?」

 同じような疑問が、黒影寮に生まれました。


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