コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
日時: 2015/01/24 21:51
名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)

 拝啓、天国のお父さんとお母さん。
 ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
 私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
 今日も私の前を、

 パンツが飛んでー。

 男の怒声が飛び交ってー。

 何だか炎まで飛んできてー。

 挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
 ……私、人生間違えましたでしょうか?

***** ***** *****

 初めまして、というのもなんですが。一応。
 桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
 私が誰だか当てられるでしょうk((殴
 大変失礼しました。

 ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
 私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
 では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。

☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→

 読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
 それでは。


お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』

現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272

『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296


目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575

エピローグ
>>576

あとがき
>>577

お知らせ☆

現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263

期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387

童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412

黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400

企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中

・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516

番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
>>485 >>486 >>487 >>488 >>489

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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.537 )
日時: 2013/12/30 23:01
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

第19章 進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜


 〜基本視点なし〜


 死神・翔とヒーロー・昴の喧嘩を黒影寮の力を総動員させて何とか止めさせる事に成功した。
 死神の真実を同業者から聞いて、寮長・翔は何かちょっと許してもらったような気がしたようなしないような。でも、睨まれるのは仕方がない。
 しかし、銀は吹っ切れたのか、ちょっと清々しい笑顔を浮かべていた。
 ヒーロー・昴はあらかじめ聞いていた悠太の連絡先へ電話してくると言って、食堂をあとにした。一方の死神・翔はと言うと、寮長・翔を連れ出していた。

「……まさか、同業者だとは思わなかった」

 少し俯き加減に、寮長・翔は口を開く。その声は、少し緊張感が帯びていた。
 フン、と死神・翔は鼻を鳴らす。

「貴様がこんな理由を知らないのは、大方予想がつく。——時代に乗ってきたか」

「……あぁ」

「この平成の時代に詳しくなったのは、副寮長の椎名昴の影響か。なるほど、こちらの椎名昴はいい奴だな。ポンコツとは大違いだ」

 ちらりと死神・翔が寮長・翔へと目をやれば、彼はしょんぼりしているようだった。
 ハァ、と思わずため息をついてしまう。そんな意気消沈していて、何が死神か。
 死神・翔にとって、死神は生死を司る重要な役割を担った神様であり——誇りを持つべきだと思っている。

「俺様は煉獄に幽閉されてきたからな」

「!!」

 弾かれたように顔を上げた寮長・翔と死神・翔の瞳が交錯する。かすかだが、唇が震えている。「ありえない」とでも思っているのだろうか。

「悪いが、貴様よりも死神に関しては知っているつもりだ」

「煉獄って……それじゃあ、人間界の常識なんて」

「あぁ、皆無だ。自動販売機の使い方など、未だに間違える。おかげでポンコツによく怒られる。だが」

 ニッと不敵に、死神・翔は笑って見せた。
 煉獄に幽閉されれば、人間界の常識なんて知らなくて当たり前である。ちなみに、そうすると人間性までも失われる可能性がある。
 何が言いたいか?
 寮長・翔は人間の事を考えて、空気を読んだり読まなかったりする。死んだけれど「会いたい人がいる!!」と叫べば会わせてもらえる可能性が高い。つまりは心優しいのだ。
 対して、死神・翔は人間の事を考えない。死んだら死んだ、会いたい? 会える訳がないだろうさっさと死ねというような、全然心優しくない言葉を浴びせる事になる。

「ほしいと思ったものはほしくなる。——悪いが、俺様も人間に恋をした。そいつをどうにかして嫁にする。つまりは死神にする」

「な、それは……」

「あぁ。相手は死にたいなどとほざくだろうが——誰が死なせるものか」

 死神・翔は優しくない。そして自分勝手である。

「貴様もいざとなったらほしがればいい。しかし、人間性を考える貴様はおそらく死神としての運命を捨てた方がいいと思うがな」

 寮長・翔にそっと近づいた死神・翔は鼻先にデコピンを叩き込んだ。
 鼻先を押さえて死神・翔を睨みつける寮長・翔。
 死神・翔は楽しげに笑うと、「じゃあ食堂戻る」と言って手をひらりと振った。

「……死神の運命を、捨てる……」

 その場に1人になった寮長・翔はそっと死神・翔の言葉を反芻してみた。

***** ***** *****

「——あ、の。翔さん」

 寮長・翔は誰かに呼ばれた気がして、振り返る。
 その先に立っていたのは、暗い表情を浮かべた銀だった。その手には洗濯物の籠がある。おそらくは、中庭に洗濯物でも干してきたのだろう。
 己が死神だから、振られてしまった可哀想な少女。望むなら、自分が幸せにしてやりたかった。

「……私、翔さんに振られてよかったのかなって思ってます」

「何故?」

「だって、翔さんはもしかしたら——今まで自分が好きになった人にも、同じような事を言って振ったのでしょう? 翔さんは優しいから、特定の人間なんて作らないし」

「…………」

「だから! 翔さんには、私たちを見守っていてほしいと思っています! 今も、昔も、これからも!! お願いできますか?」

 漆黒の瞳が、寮長・翔を見上げる。銀色の髪が、さらりと揺れた。
 なるほど、彼女はそう答えを出したか。
 ならば、寮長・翔も迷っている訳にはいかない。彼女は吹っ切れたのだ。ハァ、と息をついてから、銀の額にデコピンを叩き込んだ。
 死神・翔はほしがれと言っていたが、悪いが大切な仲間と彼女の最期を看取るのは自分でありたい。死神の運命を捨てるのは、今後もできそうにない。

「最高の最期を飾れ。出なければ、立ち会ってやらんぞ」

「あはは。胸張って幸せですって言ってやりますから期待していてくださいね?」

 銀は楽しそうに笑った。
 寮長・翔もつられて笑った。








 物陰に2つの影。
 1つは黒いロングコートに身を包み、赤い鎌を携えた死神。——東翔。
 もう1つは頭にヘッドフォンをつけた、茶色の髪のヒーロー。——椎名昴。

「……彼奴は死神である事を選び、大切な者の最期を看取る事を選んだか」

 死神・翔はため息と共に言葉を紡いだ。
 ヒーロー・昴は死神・翔を小突く。

「お前が彼女にあの答えを出すように促したんじゃねえの?」

「まさか。あの女がその答えを出したのだ。俺様は何もしていない」

「じゃあ帰ろうぜ。黒影寮の皆さんにお世話になる訳にはいかないし」

「そうだな。仕事をしてから帰らねば——」

 いけない、という死神・翔の言葉は悲鳴によってかき消された。
 銀のものではない。黒影寮の外だ。
 2人して外に飛び出すと、何故か——


「あぁぁぁぁぁぁあああ」


 巨人がいた。


「「何でだぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.538 )
日時: 2014/01/06 22:03
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

第19章 進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜


 〜基本視点なし〜


 巨人だ。巨人である。
 あの某進撃してくる巨人に出てくる巨人じゃ目じゃないぐらいに巨大な人である。全裸じゃない、黒焦げである。
 ていうかタイトルがもう2次元臭するんだけどね!! 気にしないでね!! 別に関係ないから!!

「……なあ、死神。俺は夢を見ているのだろうか」

 巨人を見上げて目をこする茶髪のポンコツヒーロー・昴。
 それを聞いた死神・翔は昴の脳天に死神の鎌をブッ刺した。(よい子は真似しないでね☆)
 ヒーロー・昴は激痛で床を転げまわった。

「テメェェェェェ!! 何しやがる、何しやがる!」

「なるほど、これが『大事な事なので2回言いました』か。やるな、ポンコツ」

「誰がポンコツだよ! 死神がどうのとかご高説垂れている暇があるなら、日ごろの自分の行いを見直してみろ! 何の害もない人間をこうしてぶっ殺そうとしているんですけど!?」

「貴様は死んでも問題はない。大丈夫だ」

「異議あり!!」

 今ここで裁判を開けば勝てるかもしれない、と確信するヒーロー・昴。こいつは本当にぶっ殺さなければいけない奴だ。
 だがしかし、相手は人の生死を司る神様である。そんな奴に裁判官が勝てるとか思えない。というか、もうヒーロー・昴の脳内裁判では彼は有罪(ギルティ)なのだがもうどうでもいい。
 さて、問題なのは白雪町を襲いかかったあの黒焦げの巨人である。早くあの巨人をどうにかしないと、人々に害をなしてしまうではないか。

「人類を統一したいのに、その前に人類が全滅してしまったらどうしようもない」

「ついでにお前も死んでくれねーかな」

「何だと。貴様、副寮長の椎名昴を見習え。あいつは寮長の東翔に人間界の常識を叩き込んだようだぞ」

「叩き込んでやろうか物理的に」

 巨人をブッ飛ばす以前に、黒影寮がブッ飛ばされそうである。誰かこいつら止めろ。
 その時である。
 黒焦げの巨人に、誰かが飛んでいったではないか。

「な、」

「おい……あれは!」

 茶色の髪をなびかせて、蒼穹へと弾丸の如く飛んでいく少年——副寮長の椎名昴だ。何で空を飛べるのだあいつ。
 唖然とした様子で彼を見上げている2人の視界に、さらに人が増えていく。
 炎の灯った赤い鎌を携えて飛び上がった、漆黒のコートの少年——寮長の東翔。さらに彼を追いかけるようにして、眼帯をつけた苦無を構えた少年——王良空華が飛んでいく。何故ナチュラルに飛んでいけるのか。
 ぽかんとするしかないヒーローと死神。

「えっと……ヒーローの椎名昴さんと死神の東翔さん!!」

「あ、神威——えっと銀ちゃんだっけ? どうしたの? てかあれって黒影寮の連中だよねどうして飛んで行ったの?」

 ナチュラルに飛べるってすごいね! とヒーロー・昴は素直な感想を述べた。
 駆け寄ってきた銀は、少し慌てた様子で「た、大変なんです……!」と言った。いや、うん大変なのはもう分かってる。

「巨人さんが出た瞬間、危ないからって黒影寮にいてって……! わ、私どうしたら!」

「うん、落ち着こうか。——おい死神」

「何だヒーロー」

 パンッ! とヒーロー・昴は手のひらに拳を叩きつけた。死神・翔も赤い鎌を肩に担ぐ。
 考えている事は、2人とも同じだったようだ。

「「あとは任せろ」」

***** ***** *****

 巨人には見事に歯が立たない。そもそも、寮長・翔の地獄業火が効かないところから見て、もう無理だと判断するべきだったのだ。
 黒焦げの巨人から少し離れたビルの屋上に身をひそめる黒影寮の全員。
 彼らは不思議な力を表だって使えない。銀もばらしてはいけないという制約がつけられているのだ。もしばれてしまえば、研究施設に送り込まれる事だろう。

「……どうするんだよ、あいつ」

 蒼空は巨人を睨みつけたまま、ポツリとつぶやいた。かすかに小さな石が浮いているように見える。重力操作を無視した結果だ。
 睦月は「どないするって……」ともはや半分諦めモード突入している。

「ちょっと時間稼げない? あいつを確実に仕留める術を作る」

 空華はそっと眼帯に触れて、その場で印を結んだ。その頭を寮長・翔が引っ叩く。

「イタ!? 何で叩くの!?」

「自分の命を削る気か。銀が悲しむぞ」

「……じゃあどうしろって……!」

「翔ちゃんが本気を出したら町どころか地球が危ないもんねー。俺が飛んで行こうか」

 昴がヘラリと笑んで、クイと巨人を指で示す。彼の脚力を以てすれば、おそらくはブッ飛ばせる事だろう。
 巨人相手に黒影寮の力通じないなんて——詰んだ。誰もがそう思った、その瞬間。

「このクソ死神ィィィィィイイイイイイ!!! あいつに炎が効かねえじゃねえか使えねえ!!」

「何だとポンコツがぁぁぁぁぁぁぁ!! だったらあいつに拳の1つでも叩き込めばいいだろうが死ね!」

「だが断る!」

「ムカつく!」

 黒影寮が休んでいるビルにスターンッ! と着地してきた2つの人影。
 茶色の髪をなびかせて、頭につけたはずのヘッドフォンは首に下げられている。巨人を睨みつける瞳は、黒曜石の如くきらめいている。——ヒーローの椎名昴だ。
 長い黒髪をなびかせて、漆黒のコートをはためかせている少年。同じく巨人を睨みつける双眸は、茶色がかった赤い色をしている。——死神の東翔だ。
 だがしかし、巨人を睨みつけていたのはいいが、すぐに互いへと視線を戻して口喧嘩を再開する。

「お前の炎は何の為に存在するんだ? ろうそくに火でもつける為にあるしょぼい炎な訳? 何が地球を一瞬で焦土に変えるだ? やってみろよ、それならあのすでに焦げてる巨人を燃やせよ!」

「それならば貴様の怪力は何の為に存在している。拳1つでビルを吹っ飛ばすなら、あの巨人も楽々吹っ飛ばせるだろう。俺様が手を貸すまでもないな、頑張れ」

「俺に丸投げすんなや、投げるぞコラ。この少女容姿。どこぞのリーマンでも引っかけて野垂れ死ねこのビッチ」

「黙れポンコツめ。貴様こそ燃やしてやるぞ、童顔。どこぞのショタコンにでも色仕掛けを使って死ね尻軽が」

「「やんのかゴルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンン!???!!!!!」」

 ヒーロー・昴と死神・翔の怒号に合わせて、巨人も雄叫びを上げた。
 ぽかんとした表情で2人を見つける黒影寮に気づいていないのか、わざと気づかないふりをしているのか。弾かれたように巨人の方へ目を向けた2人。
 天空高く中指を突き立てて、フ○ッ○ンをした2人は——お馴染みの台詞を巨人へと叩きつけた。

「「お前なんか——大嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」」

 その声は、白鷺市にも届いたようである。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.539 )
日時: 2014/01/08 00:14
名前: kyon (ID: 84ALaHox)

もう、8日ですが…
あけましておめでとうございます!
今年も読ませていただきます<(^^)>


なんか、切ない展開ですね…銀ちゃん(泣)
でも、ヒーローと死神が出てきたところは笑いながら読んでましたw

次の話も楽しみにしています!

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.540 )
日時: 2014/01/13 21:51
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

kyon様>>


遅くなりました、明けましておめでとうございます!
今年もどうか黒影寮をよろしくお願いしますね!

銀ちゃんは失恋からいとも簡単に立ち直ったようです。さぁ、ここから誰の無双になるでしょうか!!
うん、もうこれハーレムじゃないです。作品の根底を見失っていますごめんなさい。
それでも見捨てないであげてください、この銀ちゃんの恋の行方を……!

ちなみにヒーローと死神は立ち直らせるには十分のギャグキャラかと思って出演させました。
……ギャグにはもってこいですよねー、この2人。仲、よくないんだぜ……(遠い目

次の話のネタが出来上がっていませんが……頑張りたいと思います!

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.541 )
日時: 2014/01/13 22:29
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

 東翔と椎名昴という2人の少年がいる。
 この2人はとても仲がよく、よく一緒にいる光景を黒影寮でも見ている。常に一緒にいる事が多い。
 喧嘩をする事などめったになく、したとしても、互いに謝って解決する。それほどに仲がいい。
 東翔は死神であり、いくつもの時代を超えてきた。昴に出会った時は江戸時代並みの常識しか分からなかったようだ。現世の日本の状況を教えたのは、もちろん幼い頃から寄り添っている椎名昴である。
 しかし、あの2人は違った。

 出会い頭に言い合い、罵りあい、互いを「ポンコツ」「女顔」と呼ぶのは当たり前。
 顔を突き合わせれば睨みあいから始まり、ついには殴りあいに発展する。それほどに仲が悪い。
 いや、喧嘩するほど仲がいいとはよく言うが、あの2人は互いの事を嫌悪していて、お世辞にもいいとは言えない。本気で悪いのだ。

 拳1つでビルを吹っ飛ばし、河原も吹っ飛ばし、石を投げれば第3宇宙速度を叩きだすほどの怪力を持つヒーロー——椎名昴。
 世界を一瞬で焦土を化す事ができ、しかも人に情などわかない死神らしい死神——東翔。
 黒影寮の東翔と椎名昴とは大違いのこの2人は現在。

「テンメェェェェェェェェ!! こっちに火の粉を飛ばしてくるなとあれほど……熱ゥ!? 熱い!? ちょ、熱いって言ってんだろ止めろボケ!!」

「そーれ死ね死ねェェェェェェ!!」

 ————互いに命を削りあいながら、黒焦げの巨人を放置して戦っていた。


第19章 進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜


 〜基本視点なし〜


「翔ちゃん、俺の見間違いかな。ヒーローさんと死神さんが互いを罵り合いながら巨人を放置して喧嘩しているんだけど」

 副寮長・昴が、己の黒曜石の如くつぶらな瞳をごしごしとこする。どんなにこすったところで、見えるのは2人が喧嘩している場面。
 黒焦げの巨人は放置されすぎていて、大きな欠伸をしていた。もう暇そうである。可哀想。
 彼の言葉に応じた寮長・翔は「現実を見ろ、昴」と窘めた。

「……俺様さ、翔と昴が喧嘩した場面は何度も見た事あるよ。昴が翔のプリンを食べちゃった、とか。翔が昴の好きなエビフライをかっさらった、とか。そんな些細な喧嘩。でも、あれはないわ」

 空華は苦笑いを浮かべながら、2人の乱闘を観戦していた。観戦しているしかなかった。
 何故なら、ヒーロー・昴の方は何とかなると思うが、死神・翔の方は何ともならない。地獄業火で焼かれれば、さすがの空華でも1発KOだ。
 だったら死神を操る術——死神操術を使えばいいじゃない、と思ったそこのアナタ。残念、あの術は空華の寿命を大きく削るのだ。だからもしここで使っても、長く使わなきゃならない事は目に見えているので、おそらくこの小説が終わるころには空華は死んでいるでしょう。
 いくらなんでもそれは避けたい空華だった。

「だよねぇ……。だって明らかに能力全開で戦ってるもん。死神さんの方なんか見てよ、普通にヒーローの昴を焼き殺そうとしてるよあれ」

「普通死神は死期が近くない人間を殺しちゃダメなんじゃないの? 翔ちゃん、どうなの」

「……死神の常識的に考えて、殺してはダメだ。あいつ、何を考えている?」

 煉獄に1600年もの間、閉じ込められていたから頭が狂ったか。なんて寮長・翔は考えていた。考えるのも当たり前である。
 その時だ。
 ぽかんとした様子で大乱闘スマッシュコンビを眺めていた黒影寮の前に、銀髪の少女が現れた。その手には、見慣れた緋扇が存在する。

「銀ちゃん……! 何してんの、さっさと黒影寮に戻って!」

 突如として現れた銀へ、空華が戻るように促した。
 しかし、つぶらな黒い瞳を空華へと向けた銀は、ぴしゃりと言い放つ。

「何で帰らなきゃいけねえんだ。仮にも銀の鈴だぞ」

「——鈴の方か」

 口調で察した。声は女の子らしい銀のものだが、口調が大変男らしい。これは鈴だ。
 緋色の扇子を広げた鈴は、鏡の中から神様を呼び出す。

「とりあえず、あの2人の喧嘩を止めないとダメだな。ディレッサ! あいつらの能力を食らって無力化しろ!」

「よしきた」

 眠そうな感じを醸した30代男性——ディレッサが鏡の中から現れた。
 ふぁぁぁ、と欠伸をしたディレッサは「さぁ食べよう」と軽い調子で2人へと向かっていき——


「「あ? ぶっ殺すぞ(←ドスボイス」」


「——少年らしくないドスボイスで脅されました。食えない、怖い」

 gkbrしながら戻ってきた。
 いや、聞こえていたけれど、さすがにあれは怖いと思う。黒影寮の全員も少しだけビクッとなった。怖かった。
 すると、ズドォン!! という轟音が空を揺るがした。
 ついに決着がついたかと思ったが、違う。巨人が埋まっていた。……埋まって、いた?
 黒影寮どころか、喧嘩をしていたヒーローと死神もぽかんとしていた。2人が着地したというかドロップキックをかましたところが、まさに巨人の頭頂部だった訳だが。

「……ポンコツ」

「何だクソ死神」

 ビルの屋上に戻ってきたヒーローと死神は、地面に埋まった黒焦げの巨人を見てぽつりと言葉を落とす。

「喧嘩していただけなのに、巨人が埋まったぞ。何事だ?」

「埋まりたかったお年頃なんだよ」

「そういうものか」

「人間だって埋まりたいお年頃ってあるんだぜ。知ってるか?」

「埋めてやろうか?」

「お前をな」

「「「「「喧嘩はすんなよ!?」」」」」

 鈴の中である意味最強を誇るディレッサを一言でgkbrさせたのだから、この2人は末恐ろしい。


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