二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡
- 日時: 2024/02/02 20:20
- 名前: むう (ID: F7nC67Td)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=18201
――これは俺達の、軌跡と奇跡の物語だ。
********
どうも、むうです。
鬼滅、花子くん、その他色んなものが好きです。
六人の軌跡、通称『ろくきせ』にようこそ!
隠語は「rkks」!よろしくお願いしますっ!
このお話は【鬼滅の刃】全集中・会話文短編集の続編になります。
前作は参照のURLから。
この本編だけでも充分話は分かる(はずです)のでお楽しみくださいませ。
新かまぼこ隊が旅をしながら成長する話。
柱も登場しますので、是非楽しんで行ってください。
第5章からは地縛少年花子くんとのコラボです♪
[前編]【鬼滅】会話文短編集
[公式スピンオフ]ろくきせ恋愛手帖
〈キャラ紹介〉
・新かまぼこ隊>>136
・花子くんキャラ>>137 参照あり
〈注意〉
●本編完結済み
●スマホだと読みにくいかも
●ネタバレ若干あり
●流血の表現あり
●オリキャラあり
●時々東方キャラ登場
〈新たな設定{花子くんのみ}〉
●花子・つかさ めちゃ仲良し
●放送室メンバー→味方
●葵ちゃんや輝さんは外伝で登場!
〈ルール〉
●つぶやきや拡散〇
●中傷行為や荒らし、作品に対してのネット上での暴言×
●キャラの貸し出し〇(その場合コメント)
●また、ネット上での自作発言×
上を読んで、OKな方はゆっくりしていってね!
★Special thanks★
応援コメントありがとうございます!
蝶霞さん 優羽さん ベリーさん 蜂蜜林檎さん
一緒に執筆した弟
応援してくれた学校の先生、友達
★2021年冬⭐︎小説大会★
「二次創作合同」金賞受賞作
感謝 >>398
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【目次一覧】
まとめ読み>>01-
読者様の好きな話まとめ(蜂蜜さんthank you!)>>367
作者的に好きな話まとめ>>368-369
(4年ぶりに帰ってきた)作者的にツッコミたい話まとめ>>399—
◆大生コソコソ噂話・執筆裏話
第1回「むうの執筆あるあるまとめ」>>27
第2回「春になってきましたね」>>31
第3回「オリキャラ登場のお知らせ」>>36
第4回「遅いけど自己紹介」>>49
第5回「コラボ決定のお知らせ」>>56
第6回「コロナ怖い」>>84
第7回「閲覧数1000突破!!ゴフッ(吐)」>>92
第8回「花子くんキャラ追加のお知らせ」>>101
第9回「放送室メンバーと作者の楽しい会話」>>107
第10回「閲覧数3000突破コメント」>>245
第11回「外伝の秘話&あとがき&ルールのお知らせ」>>256
第12回「むう流表現方法」>>337
第13回「花子くんに勉強教えてもらった」>>339
第14回「帰還者ムーマス ~4年ぶりに帰ってきた~」>>399
◆むうと弟の楽しい会話
第1回>>371
第2回>>380
第3回>>381
◆閲覧数突破記念
「閲覧数2000突破記念 鬼滅ラジオ」>>166>>169
「閲覧数3000突破記念 キメツ学園」>>246>>247>>248>>250
「閲覧数4000突破記念 オリキャラに20の質問」>>313>>319>>326
□第1章 蝶屋敷での三週間
第1話「おはよう」>>01-02
第2話「機能回復訓練・前編」>>03>>04>>06
第3話「機能回復訓練・後編」>>08>>10>>11>>12
第4話「伊之助ハッピーバースデー」>>15-19
第5話「お久しぶりです」>>20
第6話「いざ、出発!」>>21
幕間 >>22
□第2章 六人の初任務
第7話「聞き込み調査」>>23-24
第8話「鏡ノ森」>>25
第9話「かまぼこ隊、出動!」>>26>>28
第10話「意外な助っ人との反撃開始」>>30>>32
第11話「本当なら」>>33
□第3章 柱9人の格闘
第12話「列車の中」>>34-35
第13話「九人揃えば何とやら」>>38
第14話「鬼の猛攻」>>40-41
第15話「少年は目を撒き、糸は広がる」>>42
第16話「瞳の数字」>>43
□第4章 柱合会議へようこそ
第17話「再会とちょっとした喧騒」>>44>>47
第18話「ご教示願う」>>50-51
第19話「六新鬼月と陰陽師の噂」>>53
第20話「集められた鬼たち」>>55
□第5章 陰陽師を探せ!
第21話「宵宮家探索」>>59>>64
第22話「地縛少年花子くん」>>66-67
第23話「最悪の出会い」>>68-69
第24話「陰陽師・宵宮有為」>>72>>73>>75
第25話「地獄の手合わせ」>>76>>78-80
幕間 >>81
◆番外編
第壱話「お願い叶えてください」>>82>>83>>85>>86
第弐話「寧々の男性観察」>>87>>88>>90
第参話「チョコレート」>>93>>94>>96>>99
□第6章 お膳立ては計画的に
第26話「臨時柱合会議」>>103>>105
第27話「それぞれの対策」>>111>>113>>115>>116
第28話「それぞれの対策・後編」>>118-119
第29話「六新鬼月と無惨」>>121
第30話「決戦の火ぶたを切る」>>122
□第7章 最終決戦
第31話「燐月・銘祈戦:前編」>>124>>125>>129>>132
第32話「燐月・銘祈戦:後編」>>135>>139>>142
第33話「こんな噂知ってますか?」>>143
第34話「七不思議旋風」>>145-147
第35話「お魚になります!」>>150>>153
第36話「求手名:新羅戦:前編」>>156>>160>>165
第37話「求手名:新羅戦:後編」>>173>>174>>176>>178
第38話「大好き」>>180
第39話「刻羽睦彦」>>184>>186>>187>>189>>192>>193
第40話「胡桃沢仁乃」>>194>>195 >>197-199
第41話「骸と、最後の鬼:前編」>>200 >>203-205 >>207
第42話「骸と、最後の鬼:後編」>>211-212
第43話「重なる想い」>>213-216 >>219>>220
最終話「キセキ」>>221
あとがき>>222
◆本編外伝
外伝1話「inかもめ学園」>>228>>230>>231
外伝2話「柱とのパジャマパーティー」>>237-239 >>242>>244
外伝3話「柱とのパジャマパーティー2」>>251-253
外伝4話「キミの反応見てみたい」>>240-241
外伝5話「恋ゴコロ」>>254>>255 >>257-258 >>260
◆キャラクター設定集
〇オリキャラ設定集>>223-226
〇六新鬼月 設定集>>232-236
◆あとがきSP
○あらすじについて>>261
○振り返り編
[第一章]>>262-265
[第二〜三章]>>267-271
[第四〜五章]>>272
〇企画コーナー
[キャラの名言を再翻訳してみる!]>>270
[キャラに○○してみる]>>278-343
[演技力むうむう面接☆]>>287-298
[想像でキャラの中の人にインタビュー」>>335>>338
◆特別編
☆遊園地編☆
第壱の怪「現代パロ☆遊園地での肝試し」>>299>>300
第弐の怪「遊園地での肝試し2」>>303-316 >>317-318
第参の怪「遊園地での肝試し3」>>321 >>323-342
☆お泊り会編☆
第肆の怪「現代パロ☆ワクワクのお泊り会」>>347>>349>>350
第五の怪「お泊り会2」>>351>>354
第陸の怪「お泊り会3」>>359
□ろくきせ最終章 I'm on your side.
第45話「スレ違い、それぞれの葛藤」>>361>>363
第46話「企みと変貌」>>364>>370
第47話「掴むべきもの」>>373>>374>>377
第48話「軌跡と奇跡の輝石」>>379 >>382-386
第49話「ごめんねは、また今度」>>387>>390
第50話「サヨナラは言わない」>>393>>394>>395
あとがき>>396
2020年3.10 執筆開始
2020年6.11 本編完結
2020年6.12 外伝執筆開始
2020年6.27 外伝完結
2020年7.07 キャラクター紹介を一部加筆
2020年8.02 最終章執筆開始
2020年8.20 最終章含め本編完結
- Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.190 )
- 日時: 2020/05/28 07:20
- 名前: 蝶霞 ◆6.kXnLCqok (ID: SK5u95ln)
夢兎ちゃんー!私カキコ辞めます!でもこの小説はチョクチョク見にくる!
- Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.191 )
- 日時: 2020/05/28 15:49
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
了解しました!
- 第39話「刻羽睦彦」(5) ( No.192 )
- 日時: 2020/05/28 18:24
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
二年間の修行は、想像した以上につらかった。
まず最初にやったのは、山の中での走り込み(一カ月間)。
炭治郎もそうだったらしいが、山には沢山の罠が仕掛けられている。
なんでも、知り合いの猟師さんに罠を仕掛けてもらっているとか。
その数、100。
例えばどこからか弓矢が飛んできたり。
睦彦「(タッタっタッタ)よし、良いペースでいけて…」
ビュンビュンビュン
睦彦「うおわっ(慌てて身を引く)」
例えば落とし穴があったり。
睦彦「は、危なかったっって、え、え、う、どわぁぁぁ(穴にすっぽりハマる)」
他にも丸太がブラブラ揺れるような罠とか、糸に足が引っ掛かると斧が飛んできたりとか。
……地獄の山登りだった。
それもそうだ。
俺は炭治郎のように鼻が良かったり、善逸のように耳が良かったり、
胡桃沢のように目が良かったりとかそんなことはない。
強いていうなら、バランス神経がちょっといいだけだ。
最初は地獄だ、このまま死んだ方がましだと思っていたが、一カ月もすると慣れてきて、
ビュンビュンビュン(弓矢)
睦彦「おっと(体をひねって避ける)。(タッタっタッタ)」
ドスッッ(丸太)
睦彦「よいっしょ(丸太の上に乗っかって)。えいっ」
ぴょんっ
スタッ
睦彦「(木に着地)よし、さっさと終わらそ」
山登りが終わったら、やっと呼吸の練習に入る。
俺の育手は雷の呼吸だった。光の呼吸はそれのアレンジだ。
ある日は全集中の呼吸の練習。
睦彦「(スゥゥゥー)こうですか!」
先生「違う! もっと肺に空気をため込め!」
睦彦「(スゥゥゥゥー)こうですか!」
先生「違う!!」
ある日は受け身の練習。
先生「壱ノ型 霹靂一閃!」
睦彦「うお、ちょ、ヤバ、ギャアっ(尻餅をついて)」
先生「受け身は全ての基本! やれるようになるまで今日は終わらせんぞ」
睦彦「も、もう一回お願いします」
ある日は型と剣の振り方を教わった。
睦彦「(ヒュゥゥゥー)雷の呼吸……壱ノ型…」
先生「もっと足に空気をため込め!」
睦彦「(ヒュゥゥゥうー)雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃!(ブンッッ)」
〜台の上に置いた薪が割れ〜
先生「十本中五本か。もっと剣の軌道を考えて振れ。もう一回!」
睦彦「はい!」
基本をすべて教わったら、あとはひたすら自己鍛錬。
朝早く起きて山で走り込みをし、呼吸の練習をし、太刀筋矯正の練習をし。
ひたすら練習した。
睦彦「うーん。雷の呼吸って強力だけど俺ならまずこうして…」
その過程で光の呼吸へとアレンジもして。
俺の最終選別行きが決定したとき、先生の家へ来て二年がたっていた。
【居間】
先生「睦彦。お前いくつになった?」
睦彦「13です」
先生「ほう。……お前を、最終選別へ行かせようと思う」
睦彦「やったぁ!」
先生「生きるも死ぬも選別で決まる。気をしっかり持て!」
睦彦「はい!」
先生「よし睦彦。選別行き祝いとして、町で好きなものでも買って来い」
睦彦「え、いいんですか?」
先生「特別だ」
【町】
睦彦「……何買おう…」
わらび餅に、ハッカ飴に、まんじゅうに、色んなものが売っている。
金平糖でも買っていくか。
睦彦「金足りるかな…」
菓子屋のノレンから店の中に入ろうとしたときだった。
店の中から一人の女の子が風を切るように外へ飛び出していった。
紫色の羽織を着た女の子の手には、わらび餅の箱があった。
睦彦「うわ、あぶねえな」
店員「コラァ! 金払えそこのガキ!!」
そうやらその女の子は万引きをしたようだった。
店員は女の子のすぐそばまで駆け寄って、仁王立ちをして右手を突き出した。
店員「ほら、金!」
女の子「死ね!!!」
女の子は凄い捨て台詞を吐いて、そのまま逃げて行った。
足が速かった。
店員さんが走っても走っても、彼女には追い付かなかった。
睦彦「あ、アイツ…! 刀持ってる…」
一瞬だが、女の子の腰には二本の短刀が刺してあったのを見た。
彼女も、もしかすると。
店員「クッソォ! 逃げられたっ」
睦彦「おじさん、俺が払うよ。いくら?」
店員「え?」
睦彦「あ、六銭、了解。はいこれ」
店員「何で君が」
睦彦「金払えない事情があるのかもしれないし、俺金あるから大丈夫」
そう言って店を離れ、俺は周囲を見渡した。
そして、意外にもそいつは店の裏にいたのだ。
睦彦「こら。こらお前。俺の財産払わせる気か」
女の子「………なんでアンタがそんなことするの。関係ないじゃん」
睦彦「そんなこと言うなら払わないほうが良かったか」
女の子「………」
睦彦「ホラ!(札束を渡して)もってけ。金ないんだろ」
女の子「あったけど盗まれた。『バケモノは金なんか使えない』って」
睦彦「……ひでぇことしやがる」
女の子「別に気にしてないし、仁乃がバケモノなのも本当だし」
睦彦「そんなことない!」
女の子「え?」
睦彦「お前、そんなに自己肯定低かったら生きていけないぞ! た、例えば、」
女の子「何さ」
睦彦「自分は強いって言え! 鬼殺隊に入るならそれくらいやれ」
女の子「何で、知って…」
睦彦「じゃあな! 最終選別で会おうぜ」
これでいいんだろ兄ちゃん。いい意味で目立つことは悪くない、だったっけ。
ちゃんと覚えてるよ。
女の子「まって!」
睦彦「なんだ、まだ何か?(振り返って)」
女の子「わ、私、胡桃沢仁乃! また、いつか会おう!」
睦彦「おう。約束だ(ニコッ)」
その女の子の名前を、俺はすぐに忘れてしまった。
けれど、俺はその子と偶然出会うことになる。
最終選別で。
先生「それで、好きなものは買えたのか?」
睦彦「あ、何も買えてないっ」
ネクスト→最終選別開始☆ 仁乃、登場!
次回もお楽しみに!
- 第39話「刻羽睦彦」(6) ( No.193 )
- 日時: 2020/05/29 17:46
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
睦彦過去編も今回で最後になりそうです。
長かったな…でも次の仁乃編も長いので、時間があるときにゆっくり見て下さいね。
-----------
【最終選別】
〈藤襲山〉
睦彦「うわ、こんなに藤の花が…。時期じゃないのに」
山の上にある鳥居まで、数百段ある階段を上った。
これくらい、元々実家が神社だったのでほぼ余裕である。
鳥居の前まで歩いて行くと、おかっぱ髪の着物の子供が提灯を手に立っていた。
黒髪「ようこそお越しくださいました」
白髪「時間にはまだ早いので、ゆっくりなさってくださいませ」
二人「それでは失礼いたします」
睦彦「え、あの、人は?」
白髪「先ほど一人入山なさいました」
黒髪「探してみるのもよろしいかと思われます」
俺が二人に近づく度、二人は少しずつ離れていく。
………地味に傷つくので、それ以上質問はしなかった。
二人は俺に軽く会釈をし、準備の為に階段を下りて行った。
睦彦「まだ来たの一人だけ? 早く来すぎた〜」
??「あはははっ」
睦彦「誰だ?」
??「やだなー。前会ったのに忘れちゃった?」
そう言って現れたのは、小さな女の子だった。
年のころは十歳前後。身長は平均よりもずっと低く、俺とニ十センチは違う。
紫色の羽織を着ており、茶色の髪はツインテール。
睦彦「……どこかであったか?」
??「お金、くれたのは君だよ?」
睦彦「……金? 俺が赤の他人のお前に?」
??「本当に覚えてないんだ」
仁乃「くるみざわ、にの。私の名前も忘れちゃったのかな」
睦彦「……あ、ああー!」
仁乃「お、思い出した?」
睦彦「あの時の万引きのガキ!」
仁乃「まぁ大体正解。約束通り、最終選別で会えたねっ」
睦彦「雰囲気全然違うから誰かと思ったぜ」
仁乃「あ、あれね。悪口ばっか言われてたからグレてやったの。今は大丈夫だよ」
睦彦「そうか」
仁乃「はい、これ(お金を差し出して)。返すよ」
睦彦「……はぁ? お前にあげた金だぞ」
仁乃「うん、大丈夫。実際には、まだお金あるんだ。盗まれなかった分ね。ちょっとだけど」
睦彦「なら尚更だ。持ってけよ」
仁乃「もらうのはいいの。返せる自信がないから、いらないの」
睦彦「じゃ、返すのは選別受かってから返せ。自分のお金でちゃんと」
仁乃「君はお人好しだね」
睦彦「悪いか。嫌だったらその金は俺が貰ってやる」
仁乃「ありがとう。えー—ッと」
睦彦「睦彦だ。刻羽睦彦」
仁乃「むつひこ…。むっくんか!」
睦彦「勝手に変なあだ名つけるなよ」
仁乃「変じゃないよ。むっくんって呼びたいの」
睦彦「やめろ。お前、図々しいったらないぞ」
仁乃「じゃあ、選別後にお互い生きてたら、呼んでいい?」
そんなの、お互い生きたいから頑張るしかないだろ。
睦彦「……ずるいぞお前!!」
仁乃「あはははっ」
??「うわ、もう人いるのか。俺すぐに死にそう」
??「こんなのカンタンだ。すぐに終わらせてやるぜ」
睦彦「人、来たみたいだな」
仁乃「そうだね」
黒髪「今宵はお集まりいただきありがとうございます」
白髪「鬼殺隊・最終選別にご参加頂き、感謝申し上げます」
黒髪「この山には、鬼が苦手な藤の花が多数生えております」
白髪「ですがこの先、藤の花はありませんので鬼が出ることになります」
黒髪「皆様には鬼を狩っていただき、七日生き延びてくださることが条件になります」
白髪「条件を満たした者は、鬼殺隊として採用されることになります」
二人「それでは、行ってらっしゃいませ」
俺はこの日胡桃沢仁乃に会った。
彼女は笑った。
俺を『むっくん』などと呼んだ。
彼女の笑顔はあったかかった。
彼女の声は陽だまりの色をしていた。
親も兄弟も失った自分にとって、唯一の心の支えだった。
その笑顔をもう一度見たかったから。
もう一度、「むっくん」と呼んで欲しかったから。
俺はためらわずに、彼女を守った。
右足がズンと重くなって、激痛が走った。
みんなが唖然として俺を見ていた。
俺は出来るだけ笑って皆を見た。
例え右足がなくなろうが、俺はずっと俺だ。
刻羽神社の次男に生まれ、三歳上の兄と父親を亡くしたただの人間だ。
俺は強いって虚勢張って、
カッコつけたがったのだって全部、自分の弱い心を守るためだった。
でもずっと前に胡桃沢が言った。
「むっくんは、ありのままのむっくんでいてね」
俺はこれからも、刻羽睦彦を演じ続けていく。
【出張編:大正コソコソ噂話】
今日の大正コソコソ噂話:次回予告
むう「私、気づいちゃったのです」
無一郎「今度は何に気づいたの?」
むう「このコーナーで次回予告すればいいじゃないか」
蜜璃「パンがないなら何たらかんたらってやつね」
伊黒「マリーアントワネットだな」
むう「というわけで次回予告だっ」
しのぶ「次は仁乃さんの過去のお話らしいですよ」
義勇「睦彦から語られなかった、最終選別後のお話だそうだ」
実弥「ちょっと待った。俺が胡桃沢を刺したシーンはカットしろォ!」
宇髄「派手に反対する! そこはカットしちゃだめだろ」
煉獄「そうだな! というわけで作者、よろしく頼む!」
むう「了解!」
悲鳴嶼「何と哀れな子供だ…南無阿弥陀仏」
全員「次回・『胡桃沢仁乃』お楽しみに!」
むう「次回も執筆がんばります♪」
- 第40話「胡桃沢仁乃」 ( No.194 )
- 日時: 2020/05/31 10:06
- 名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)
私の名前は胡桃沢仁乃。
11歳で鬼殺隊に入隊し、現在上から三番目の位〈乙〉の称号を得ている。
ただ一つ、皆と違うのは、
鬼の血が入っても鬼化しない特殊体質、ということ。
あれは今から四年前、まだ私が9つのとき。
もう少しで10歳の誕生日という、寒い冬の日のことだった。
—四年前 仁乃9歳—
うちの家は布屋を営んでいた。
布を染めたり織ったりしたものを町に売りに行く。そういう仕事をしていた。
私は五人姉妹の二番目に生まれた。
麗乃(長女)「仁乃ー。買い出しに行くわよー」
奈乃(三女)「お姉ちゃんいこー」
仁乃「待って。今桜子と美子の着付けしてるから」
美子(末っ子)「お姉ちゃん、ちょっとこの帯きつい」
仁乃「緩いとほどけちゃうよ。これくらい我慢して」
美子「えぇー」
桜子(四女)「コラ! わがまま言わないの!」
仁乃「よし、終わった。おまたせー」
母「ごめん、ついでに町で醤油買ってきて」
麗乃「了解ー」
そう、あの日はお姉ちゃんと奈乃と三人で買い物に行って。
いつもより沢山布が売れたので、金平糖を買って帰ったっけ。
奈乃「(飴を食べながら)これおいしっ」
仁乃「あんまり食べちゃダメだよ、みんなの分もあるんだからね」
奈乃「はーい」
三人「ただいまぁ」
仁乃「今日はたくさん売れたよ。特に私が染めた布が評判良くて」
母「さすが仁乃ね。あなた器用だもの」
仁乃「えへへ」
奈乃「奈乃のも売れたの! ねえねえ凄い?」
母「凄いわね。夜ごはん豪華にしちゃおうか」
三人「やったぁ!」
父「お帰り。寒いから先に風呂入っておいで」
奈乃「仁乃お姉ちゃん、いっしょに入ろ」
仁乃「分かった。ごめんお姉ちゃん、まだ染めてない布の処理お願いっ」
麗乃「はいはい。やっとくから入ってきなさい」
【お風呂】
奈乃「お姉ちゃん、今日ごきげんだね」
仁乃「そうかなー。なんか今日は調子よくてさー」
奈乃「わたしも嬉しいな」
思えば、特別楽しかったことがあった次の日は、何か良くないことが起こった気がする。
【夜】
それは夕ご飯の時間に起こった。
まさに丁度、いただきますの合唱をしようと手を合わせた時、不意に窓が揺れたのだ。
ミシッ ガタガタガタガタッ
桜子「風強いのかな。鍵、ちゃんとしまってるかな」
仁乃「待って桜子、窓の側に行っちゃダメ!」
ガラッッ
桜子「あれ、風ふいてないみたー」
鬼「………自分から姿を現すとは愚かなり」
……鬼が居た。
鬼は、他にも獲物がいっぱいいるのに、よりによって一番近くにいた桜子に向かって。
爪を振りかざした。
グチャッッ グチャグチャッッ
最愛の妹の体が、不意に軽くなって床にドサッと倒れた。
目の前が真っ黒になって、私は一歩も動けなかった。
その間に、父親と母親が倒れた。
美子も気づけば、氷のように冷たくなっていた。
麗乃「なにしてるの仁乃! 奈乃を連れて逃げなさい!」
仁乃「………うんっ」
我に返って、同じようにずっと立ち尽くしていた奈乃の腕を捕まえて家を出た。
絶対に手を離さないでと何度も念を押して。
仁乃「ハァ…ハァ…。大丈夫? 休憩、しようか」
家の前の道の中腹まで逃げて、私は振り返った。
後ろに、妹の姿はなかった。
ただ赤い、真っ赤な血が、奥までずっと続いていた。
仁乃「…………え」
泣く暇もなかった。絶望する暇もなかった。
この後に、もっと大きい悲しみが待っていた。
鬼「ウがぁぁぁぁぁ」
仁乃「………!」
鬼が追ってくる。回れ右をして必死で逃げた。
家にはまだ鬼が居るのに、その時は感情でしか動けなくてひたすら逃げ続けた。
ガラッ
仁乃「………お姉ちゃんっ」
家の扉を乱暴に開け、中にいるであろう姉に向かって助けを求めた。
……家の中にお姉ちゃんはいなかった。
鬼「往生しろおお!」
仁乃「………いやぁぁぁぁっ」
グシャッッ
………体が熱い。
これは自分の血だろうか。腕から血がどんどん溢れ出して止まらない。
羽織を脱いで、それで腕を縛った。
痛い。痛い痛い痛い痛い。
めまいがする。こらえがたい嫌悪感が背中を伝って…
頭が割れそうなほど強烈な頭痛が襲ってきて。
あ、これから死ぬのか。という諦めが脳裏を支配して。
そして。
ボウッッ
何かが燃える音がした。
これは炎の匂いだろうか。すぐ近くで何かが燃えている。
なんだか、凄く呼吸が楽だ。
このまま起き上がれそう。
仁乃「………血鬼術……爆黒炎」
鬼「ギャァァァァァッッ」
鬼の悲鳴を聞いた。心底どうでもよかった。
姉を探そうと家の外に出た。
でも、どこを探しても見つからなかった。
そのうち疲れて、家に戻った後、家族の亡骸と一緒に私は、
仁乃「………つか、れた……」
そう言って、寝てしまった。
自分がどうなったかとか、家族が死んでしまったとか、そういう感情はなく。
いや、あったけれどその時は疲れすぎていて、何も考えられなくて。
泥のように私は眠りに落ちた。
ネクスト→そのあと仁乃はどうなったのか。
次回もお楽しみに。
【出張編:大正コソコソ噂話】
今日の大正コソコソ噂話:夢の話
むう「凄い夢を見たの!」
伊之助「そうか」
善逸「そうなんだ」
有為「へー」
むう「もうちょっと興味もとう?」
睦彦「それで、どんなんだった」
むう「この六人の軌跡のメンバーでショッピングに行く夢」
禰豆子「ムームー」
むう「睦彦は仁乃と回るっていって、善逸は禰豆子と一緒にどっか行った」
炭治郎「めちゃくちゃリアルな夢ですね」
むう「花子くんは寧々ちゃんと回るし、桜ちゃんは夏彦連れてどっか行くし」
むう「私は結局一人にされてしまったのだ、(T_T)」
有為「……へえ」
むう「有為ちゃんは冷たいし…」
有為「心はあったかいので(しれっ)」
全員「今回はここまで。次回もこのコーナーをお楽しみに!」
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シリアスな展開が続きますが、大正コソコソ噂話は楽しくやろうと思っています。
次回は、コンビしてくれた花子くんキャラから一人ずつゲストに呼んでじっくり話してこうと思い
ます!
次回のゲストは【花子くん】です。お楽しみに!
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