二次創作小説(紙ほか)

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【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡
日時: 2024/02/02 20:20
名前: むう (ID: F7nC67Td)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=18201

 
 
 ――これは俺達の、軌跡と奇跡の物語だ。

 ********

 どうも、むうです。
 鬼滅、花子くん、その他色んなものが好きです。

 六人の軌跡、通称『ろくきせ』にようこそ!
 隠語は「rkks」!よろしくお願いしますっ!

 このお話は【鬼滅の刃】全集中・会話文短編集の続編になります。
 前作は参照のURLから。
 この本編だけでも充分話は分かる(はずです)のでお楽しみくださいませ。

 新かまぼこ隊が旅をしながら成長する話。
 柱も登場しますので、是非楽しんで行ってください。
 第5章からは地縛少年花子くんとのコラボです♪

 [前編]【鬼滅】会話文短編集
 [公式スピンオフ]ろくきせ恋愛手帖
 
 
 
 〈キャラ紹介〉

 ・新かまぼこ隊>>136
 ・花子くんキャラ>>137 参照あり

 〈注意〉

 ●本編完結済み
 ●スマホだと読みにくいかも
 ●ネタバレ若干あり
 ●流血の表現あり
 ●オリキャラあり
 ●時々東方キャラ登場


 〈新たな設定{花子くんのみ}〉

 ●花子・つかさ めちゃ仲良し
 ●放送室メンバー→味方
 ●葵ちゃんや輝さんは外伝で登場!

 〈ルール〉

 ●つぶやきや拡散〇
 ●中傷行為や荒らし、作品に対してのネット上での暴言×
 ●キャラの貸し出し〇(その場合コメント)
 ●また、ネット上での自作発言×


 上を読んで、OKな方はゆっくりしていってね!


 
 ★Special thanks★

 応援コメントありがとうございます!

 蝶霞さん 優羽さん ベリーさん 蜂蜜林檎さん
 一緒に執筆した弟
 応援してくれた学校の先生、友達

 
 ★2021年冬⭐︎小説大会★
 「二次創作合同」金賞受賞作

 感謝 >>398
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー
 【目次一覧】


 まとめ読み>>01-


 読者様の好きな話まとめ(蜂蜜さんthank you!)>>367
 作者的に好きな話まとめ>>368-369
(4年ぶりに帰ってきた)作者的にツッコミたい話まとめ>>399

 
 ◆大生コソコソ噂話・執筆裏話

 第1回「むうの執筆あるあるまとめ」>>27
 第2回「春になってきましたね」>>31
 第3回「オリキャラ登場のお知らせ」>>36
 第4回「遅いけど自己紹介」>>49
 第5回「コラボ決定のお知らせ」>>56
 第6回「コロナ怖い」>>84
 第7回「閲覧数1000突破!!ゴフッ(吐)」>>92
 第8回「花子くんキャラ追加のお知らせ」>>101
 第9回「放送室メンバーと作者の楽しい会話」>>107
 第10回「閲覧数3000突破コメント」>>245
 第11回「外伝の秘話&あとがき&ルールのお知らせ」>>256
 第12回「むう流表現方法」>>337
 第13回「花子くんに勉強教えてもらった」>>339
第14回「帰還者ムーマス ~4年ぶりに帰ってきた~」>>399

◆むうと弟の楽しい会話

 第1回>>371
 第2回>>380
 第3回>>381


 ◆閲覧数突破記念

「閲覧数2000突破記念 鬼滅ラジオ」>>166>>169
「閲覧数3000突破記念 キメツ学園」>>246>>247>>248>>250
「閲覧数4000突破記念 オリキャラに20の質問」>>313>>319>>326


 □第1章 蝶屋敷での三週間
 
 第1話「おはよう」>>01-02
 第2話「機能回復訓練・前編」>>03>>04>>06
 第3話「機能回復訓練・後編」>>08>>10>>11>>12
 第4話「伊之助ハッピーバースデー」>>15-19
 第5話「お久しぶりです」>>20
 第6話「いざ、出発!」>>21

 幕間 >>22

 □第2章 六人の初任務  

 第7話「聞き込み調査」>>23-24
 第8話「鏡ノ森」>>25
 第9話「かまぼこ隊、出動!」>>26>>28
 第10話「意外な助っ人との反撃開始」>>30>>32
 第11話「本当なら」>>33

□第3章 柱9人の格闘

 第12話「列車の中」>>34-35
 第13話「九人揃えば何とやら」>>38
 第14話「鬼の猛攻」>>40-41
 第15話「少年は目を撒き、糸は広がる」>>42
 第16話「瞳の数字」>>43
 

 □第4章 柱合会議へようこそ

 第17話「再会とちょっとした喧騒」>>44>>47
 第18話「ご教示願う」>>50-51
 第19話「六新鬼月と陰陽師の噂」>>53
 第20話「集められた鬼たち」>>55


 □第5章 陰陽師を探せ!

 第21話「宵宮家探索」>>59>>64
 第22話「地縛少年花子くん」>>66-67
 第23話「最悪の出会い」>>68-69
 第24話「陰陽師・宵宮有為」>>72>>73>>75
 第25話「地獄の手合わせ」>>76>>78-80
 
 幕間 >>81
 

◆番外編

 第壱話「お願い叶えてください」>>82>>83>>85>>86
 第弐話「寧々の男性観察」>>87>>88>>90
 第参話「チョコレート」>>93>>94>>96>>99
 
□第6章 お膳立ては計画的に

 第26話「臨時柱合会議」>>103>>105
 第27話「それぞれの対策」>>111>>113>>115>>116
 第28話「それぞれの対策・後編」>>118-119
 第29話「六新鬼月と無惨」>>121
 第30話「決戦の火ぶたを切る」>>122


□第7章 最終決戦

 第31話「燐月・銘祈戦:前編」>>124>>125>>129>>132
 第32話「燐月・銘祈戦:後編」>>135>>139>>142
 第33話「こんな噂知ってますか?」>>143
 第34話「七不思議旋風」>>145-147
 第35話「お魚になります!」>>150>>153
 第36話「求手名:新羅戦:前編」>>156>>160>>165
 第37話「求手名:新羅戦:後編」>>173>>174>>176>>178
 第38話「大好き」>>180
 第39話「刻羽睦彦」>>184>>186>>187>>189>>192>>193
 第40話「胡桃沢仁乃」>>194>>195 >>197-199
 第41話「骸と、最後の鬼:前編」>>200 >>203-205 >>207
 第42話「骸と、最後の鬼:後編」>>211-212
 第43話「重なる想い」>>213-216 >>219>>220

 最終話「キセキ」>>221
 あとがき>>222



 ◆本編外伝


 外伝1話「inかもめ学園」>>228>>230>>231
 外伝2話「柱とのパジャマパーティー」>>237-239 >>242>>244
 外伝3話「柱とのパジャマパーティー2」>>251-253
 外伝4話「キミの反応見てみたい」>>240-241
 外伝5話「恋ゴコロ」>>254>>255 >>257-258 >>260


 ◆キャラクター設定集


 〇オリキャラ設定集>>223-226

 〇六新鬼月 設定集>>232-236



 ◆あとがきSP

 ○あらすじについて>>261

 ○振り返り編

 [第一章]>>262-265
 [第二〜三章]>>267-271
 [第四〜五章]>>272
 


 〇企画コーナー
 
 [キャラの名言を再翻訳してみる!]>>270
 [キャラに○○してみる]>>278-343
 [演技力むうむう面接☆]>>287-298
 [想像でキャラの中の人にインタビュー」>>335>>338
 

 ◆特別編


 ☆遊園地編☆

 第壱の怪「現代パロ☆遊園地での肝試し」>>299>>300
 第弐の怪「遊園地での肝試し2」>>303-316 >>317-318
 第参の怪「遊園地での肝試し3」>>321 >>323-342


 ☆お泊り会編☆

 第肆の怪「現代パロ☆ワクワクのお泊り会」>>347>>349>>350
 第五の怪「お泊り会2」>>351>>354
 第陸の怪「お泊り会3」>>359



 □ろくきせ最終章 I'm on your side. 


 第45話「スレ違い、それぞれの葛藤」>>361>>363
 第46話「企みと変貌」>>364>>370
 第47話「掴むべきもの」>>373>>374>>377
 第48話「軌跡と奇跡の輝石」>>379 >>382-386
 第49話「ごめんねは、また今度」>>387>>390
 第50話「サヨナラは言わない」>>393>>394>>395


 あとがき>>396


2020年3.10 執筆開始
2020年6.11 本編完結
2020年6.12 外伝執筆開始
2020年6.27 外伝完結
2020年7.07 キャラクター紹介を一部加筆
2020年8.02 最終章執筆開始
2020年8.20 最終章含め本編完結
  
 
 

 
 
 

Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.185 )
日時: 2020/05/26 15:09
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)


 ご無沙汰しています、夢兎です!
 小説を投稿したところ、「URL以外投稿できません」と表示され管理人連絡掲示板にお知らせした
 ところ修正してくださったようです。
 やっと書けるぞぉぉいえーーーーい。

第39話「刻羽睦彦」(2) ( No.186 )
日時: 2020/05/26 16:43
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)

 〈翌々日〉

 【朝食】


 料理は、俺と兄ちゃんが三食全て作っていた。
 ただ、手先の不器用さは五年前から変わっておらず。
 

 父・光「…………」
 睦彦「えーっと、その、早く、食べようぜ?」

 光彦「あのさぁ睦彦。一つだけ聞いてもよろしい?」
 睦彦「………どうぞ」
 光彦「お前が作ったっていう、この黄色いカスの塊は何だ」
 睦彦「………卵焼き、だけど」


 光彦「ぶはははははっ。お前また失敗したのか!w」
 父「睦彦、ふざけるな。どこをどう見ても卵焼きに見えんぞ」
 睦彦「失敗したって言っただろうが!! あと笑うな!」


 光彦「あはははっ、腹、腹が痛いww」
 睦彦「もう、俺ご飯食べるっ。頂きます!(パクパク)」
 父・光「頂きまーす」


 睦彦「(無言で食べ物を口に運んでいく)」
 光彦「悪かったってば。許してくれよ、な?」
 睦彦「………不器用なんだからしょうがないじゃんか…」



 ヒョイ ヒョイ ヒョイ ヒョイ


 睦彦「あーっ! 兄ちゃん、しれっと俺の皿にニンジン移してんじゃねえよ!」
 父「こらぁ光彦! 好き嫌いするな馬鹿者!」
 光彦「それを言うなら、睦彦だって俺の皿にキュウリ入れてんじゃん」
 父「お前ら、食べ物を粗末にするな!」


 睦彦「キュウリが俺を拒んでるんだ。俺は悪くないです」
 光彦「同じく。ニンジンの方が俺を嫌っているので、俺は潔白でーす」

 父「馬鹿なこと言うな————!!」



    ボカッ ボカスカッ


 ・・・・・・・・



 【朝食後】


 睦彦「何も殴らなくたっていいじゃんか…」
 光彦「頭にコブできた。痛い」


 父「あ、そうそう。睦彦、お前に渡したいものがあったんだ」
 睦彦「何?」


 急に思い出したように親父が呟き、奥のタンスの中から一着の巫女装束を取り出してきた。
 白い小袖。青緑色の袴、黒い足袋。
 どれもパリッと糊がきいてて、シワ一つない。


 睦彦「…これは?」
 父「お前の母親が、お前の為に作ったものだ。お前にやる」
 光彦「へー。母さん、そんなのつくってたんだ」

 父「だがな睦彦。お前が神社を継ぐ日まで、それは着させんぞ。いいな」
 睦彦「え、じゃ俺、一生これを着ることできないじゃん」
 父「なぜそう思う?」

 
 睦彦「だって、店を継ぐのは大体長男だろ。親父がもし死んでも、継ぐのは兄ちゃんだ」
 父「そうとも限らん。急に光彦が死んだら? 継ぐのはお前になるだろう」
 睦彦「…………」


 言いたいことは山ほどあった。
 何でそんなこと言うんだよ、とか。
 まだまだ先の話だ、とか。
 
 なのに、口は動かなくて、何も言えなかった。



 父「取りあえず、必要になるその時までは、それはお前が保管しとけ」
 光彦「良かったな睦彦。大切にしろよ」


 兄ちゃんと一緒にいられる日々は、あと数時間しかなかったのに。


 

 【夕方】


 〈寝室〉


 父「う……グー…フガー」
 睦彦「親父…寝言うるさいんだよバカ…」


 真夏なのもあり、父親のいびきがうるさかったのもあり、俺はその日なかなか寝付けなかった。
 仕方ないので布団を引っぺがして起き上がる。

 ふと、兄の姿がないことに気づいた。


 睦彦「兄ちゃん?」


 隣の布団は空っぽになっていた。
 慌てて家中を探してみたがどこにもおらず、庭にも兄の姿はない。


 睦彦「もしかして、神社の方か? (駆け出して)」


 神社の階段を息を切らしながら駆け上がり、周囲を見回した。
 暗闇がずっと奥まで続いている。


 睦彦「にいちゃーん!!」
 光彦「どうした。そんなに焦って」
 睦彦「兄ちゃん、どこ行ってたんだよ、心配したんだぞ」

 光彦「神社の見回りだよ。最近、クマが出るっていうから、木に鈴つけてきた」
 睦彦「明日にすればいいのに…」
 光彦「何か眼が冴えちゃってな。一緒に戻ろうか」



  その時。



 ??「グル……グルルルル」
 睦彦「何、今の…」
 光彦「しっ。動くな」



 ??「稀血……稀血の気配だ…食べたい…すぐに捕まえてやる…」
 睦彦「ヒッッ」
 光彦「静かにしていろっ」



   ガサッッ


 一瞬のことだった。
 すぐ横の茂みの中から、バケモノが出て来たのは。
 血走った目、額の上には角が生えていて、鋭利な爪が伸びている。
 

 鬼、だ。


 鬼「みーつけーたーぁぁぁ」
 睦彦「…………え」


 動けなかった。
 これほど体が逃げろと訴えかけているのに。
 足がこわばって、逃げ出すことが出来なかった。



    ドンッッ


 誰かに背中を押され、俺は前へつんのめった。
 


 光彦「逃げろ睦彦————! 父さんを守れ———!」
 睦彦「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」


 兄ちゃんの声に押されて、俺は走り出した。
 走って走って走って、走って走って走って走って。
 横腹が痛くてたまらなかった。泣き出したかった。息が切れて来た。


 後ろから誰かの悲鳴がする。鉄の匂い…血の匂いがする。
 何かがえぐるような音がする。何かが誰かをひっかいた音がする。音が響く。


 振り向きたかった。
 兄ちゃんは無事なのか、確かめたかった。

 でもあの時、俺の背中を押した時の兄ちゃんの真剣な目を思い出す。


 光彦『父さんを守れ!』
 睦彦「絶対に、生きてる! 生きてる! 大丈夫だ、絶対に…っ」



 走って走って。息が切れる。でもあと少し。
 家に辿り着く。もどかしさをこらえて玄関の扉を開ける。




 大切な人は、明日も明後日も生きている気がする。
 絶対だと約束された物ではないのに、どうしてか人は、そう思い込んでしまうんだ。




  ガラッッ

 睦彦「父ちゃん!!」



 返事はなかった。
 玄関に、親父が倒れていた。息をしていない。
 目の光が消え去っていた。




 睦彦「………!!」




 母さんが俺の為に作ったという巫女装束を抱えて、親父は死んでいた。
 

 
 

第39話「刻羽睦彦」(3) ( No.187 )
日時: 2020/05/26 16:44
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)


 睦彦「……これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ」


 夢じゃないことくらい、とっくに分かっていた。
 親父は死んだ。その事実がすぐそこにあった。
 でも、さっきまで一緒に寝室で寝ていた父がもう息をしていないという事から逃れたかった。



 父「…………」
 睦彦「………これは夢だ、これは夢だ、夢だ、夢だよな?」
 父「………」
 睦彦「夢なら、覚めろよ。なんだよ、覚めねえじゃんかバカヤロウ…っ」


 母さんが死んで、父さんもいなくなったら、俺どうすればいい?
 何で死んだ、誰にやられた、何で何で何で何で。
 何で大人は皆、俺を置いていくんだ。


 親戚はいない。全員死んだ。
 叔父も叔母も、俺が生まれる前に事故で亡くなった。
 身寄りはいない。男三人で今まで暮らしてきた。


 睦彦「責任とれよ、父ちゃん……っ」





    ガサッッ



 睦彦「ヒッッ」
 鬼「………まだ獲物がある…うまそうだ…」


 睦彦「…………く、来るな、俺を食べてもまずいだけだっ」
 鬼「食わねえと分からないだろ?」


 睦彦「父ちゃんを喰ったのはお前だな」
 鬼「そうだ…うまかった…お前は息子か? ならうまいはずだ」
 睦彦「うまくねえし、離れろよ。ひ、人の死体みて何とも思わねえのかよっ」

 鬼「思わないね。だって俺が殺したもん」
 睦彦「…………このっっ」
 鬼「いただきまーーーーーす」



 
 鬼の爪が、眼前にせまった。
 くるっ。






  「雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃!」



   ビシャッッ



 鬼「ギャァァァァァッ」
 睦彦「…………え?」



 気づけば、鬼の頸が斬られていた。
 振り向いて、俺は見た。
 刀を鞘にしまっている一人の男性を。

 あとから知ったことだが、彼の名前は沢井さんという。
 雷の呼吸の、鬼殺隊の隊士だ。




 沢井「大丈夫か」
 睦彦「え、えっと、はい。ありがとうございます」
 沢井「親を助けられなくてごめんな。もっと早く来ていれば」

 睦彦「………」





 俺は、親父が抱えている巫女装束を親父の手から抜き取った。
 父ちゃん、バカな息子でごめんな。
 掃除はサボるわ、口答えするわでどうしようもない息子だったけど。
 俺は父ちゃんが好きだった。


 ごめん。




 睦彦「………! 兄ちゃん!」
 沢井「どうした?」
 睦彦「兄が、俺をかばって…鬼の囮役になって、ぶ、無事か分かんなくて…っ」
 沢井「分かった、すぐに見つける」



 俺も沢井さんのあとを追って駆けだした。
 兄ちゃん、無事でいてくれ。
 俺を守ってくれてありがとう。俺は兄ちゃんが好きだ。

 どうか、無事でいて。
 これからは二人で過ごすことになるけど、きっとうまくやっていける。


 きっと。





 睦彦「……………え」




 兄ちゃんがいたと思われる場所。
 そこに兄ちゃんはいなかった。
 あったのは兄ちゃんが持っていた提灯と、彼の下駄。それだけだった。



 睦彦「さては、隠れてるな! 俺の方がカクレンボ上手いってことを忘れたんだな!」



 声が震えた。



 沢井「何をしている」
 睦彦「カクレンボです。兄ちゃん、きっと隠れてるんです。俺を脅かすのが楽しいんだ」
 沢井「お前の兄は死んだ」
 
 睦彦「死んでない。カクレンボ、ただのカクレンボだ」
 沢井「死んだ。助けられなかった」
 睦彦「はは、んな馬鹿な」


 

 …………今なんて言った。
 兄ちゃんが、死ぬわけないだろ。
 生まれてから今まで風邪もひいたことないって言ってたんだから。

 でも。落ちていた提灯。兄ちゃんの下駄。
 鬼は彼のことを、マレチと呼んだ。




 睦彦「……………助けられなかったのか?」
 沢井「……そうだ」
 睦彦「お前剣士だろ!?」
 沢井「………」


 睦彦「剣士なのに、助けられなくてごめんなさい!? もっと速く来ていれば?
    ふざけんなよ、剣士なら人を守るのが当たり前だろうが!!
    お前が早く来てれば父ちゃんも生きてた! 
    お前のせいだ!! アンタのせいで俺の家族は死んだんだ!
    この人殺しっ。人殺しっっ! ろくでなし!!」


 本当は、子供の俺にも分かっていた。

 いくら強い剣士でも、守れない命があるということを。
 命を守るために戦っても、守れるものには限界があるということを。
 大人でも、沢山失敗をするんだってことを。
 完璧な人間なんて、この世には一人もいないってことを。


 分かってた。
 親父と兄ちゃんが死んだのは、沢井さんのせいではないってこと。
 俺のせいでも、もちろんないってことを。
 悪いのは、鬼だってことを。


 でも、誰かのせいにしなきゃ、悲しみでおぼれそうだったから。




 睦彦「許さない! 絶対に許さない!!」
 



 沢井さんは、暴言を浴びせられても何も言い返したりはしてこなかった。
 ただ、「ごめんね」と一言、泣き笑いをしながら呟いた。





 ・・・・・・・・・




 沢井「落ち着いた?」
 睦彦「……悪口言ってすみませんでした。本当はあなたのせいじゃないってわかってたのに」
 沢井「いいんだ。別に気にしてない。君の年頃なら、ああなるのが普通だと思う」



 睦彦「あと、埋葬、手伝ってくれてありがとうございます」
 沢井「お礼なんていらないよ」


 沢井「ところで君、行く当てはあるのか?」
 睦彦「……ないです。親戚も叔父も死にました」
 沢井「そっか」




 そう呟いて、沢井さんは着物の懐から一枚の紙を取り出して、俺に渡した。
 それには、とある家の住所が記されてあった。



 沢井「もし君が俺と同じ道に行きたいなら、そこを訪ねてみるといい」
 睦彦「ありがとうございます」
 沢井「じゃ、そろそろ俺は行くよ。気をしっかり持てよ」




 沢井さんがウチを後にしてから、俺は初めて自分の意志で掃除をした。
 めんどくさいから掃除は嫌いだ。

 それでも、境内を時間をかけて掃除をした。
 兄ちゃんが言っていた。「いい意味で目立つのは悪い事じゃない」って。
 これも、その一歩だ。




 ・・・・・・・



 睦彦「よし、行くか」



 ふろしきを首にかけて、親父が俺の為に残してくれていた、お金の入った封筒を懐に入れて。
 母さんが作ってくれた袴を着て、神社を出発する。



 神社を継げなくてごめん。
 でも俺は、神主とは別の職業で頑張ってみる。


 睦彦「行ってきます!」



 回れ右をして、うちの神社の鳥居に向かって挨拶をする。
 この後に、二年間の修行が待ち構えていることを、この時の俺はまだ知らない。




 ネクスト→雷の呼吸の育手の家に着いた睦彦。
      次回もお楽しみに!
 
 



 

Re: 【鬼滅×花子くん】短編集続編 六人の軌跡 ( No.188 )
日時: 2020/05/26 18:46
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)

 【カップル誕生記念 鬼滅ラジオ】


 夏彦「あ、あ、マイクチェックマイクチェック」
 桜「準備OK。キューをお願い」
 つかさ「了解」



 ♪


 桜「皆さんいかがお過ごしでしょうか。ラジオパーソナリティの七峰桜です」
 夏彦「ナッツンこと日向夏彦でーす」
 つかさ「柚木司だよー!」


 桜「今回は炭治郎くんたちに代わって、放送室メンバーが司会進行を担当するわ」
 夏彦「なんで今回は俺たちなの?」
 つかさ「戦闘で忙しいんだって」



 桜「では。改めまして、七峰桜役の七峰桜です」
 夏彦「日向夏彦役の日向夏彦です☆」
 つかさ「俺はつかさ役のつかさー」


 桜「さてナッツン。今日は何の記念のラジオかしら」
 夏彦「カップル誕生記念です」
 桜「ということでゲストの登場です。どうぞ」



 睦彦「どうも。刻羽睦彦役の刻羽睦彦です」
 仁乃「胡桃沢仁乃役の胡桃沢仁乃です♪」


 桜「ゲストの二人が来てくれたわ。まず最初に、おめでとう」
 睦彦「……あ、どうも///」

 
 桜「ゆっくりしていってね」
 仁乃「ありがとうございますっ」


 つかさ「ねーねー。ゲッチューした?」
 睦・仁「はぁぁぁあ?」
 つかさ「ゲッチューした??」

 睦彦「してねえ!」
 つかさ「すればよかったのに」
 仁乃「え、私はもう充分だよ。キス何ていらな…」
 

 睦彦「おい何故そこで言葉を切る」
 夏彦「一瞬期待したでしょ」
 仁乃「なっ! してません! 爆黒炎投げつけますよっ」
 夏彦「降参、降参」


 桜「さて、仁乃睦に改めて色々と質問していきましょう。このコーナーです」
 夏彦「題して、カップルに質問してみまSHOW」

 睦彦「そのまんま…」
 つかさ「んじゃ、俺たちが質問考えるから答えてね」




  Q お互いの好きな所は?


 睦彦「……かわいいところ」
 つかさ「他にはー?」
 睦彦「誰にでも明るくて優しいところ」
 仁乃「(∀`*ゞ)エヘヘ」


 仁乃「むっくんのいいところは、素直なところ。あと不意打ちが苦手なところ」
 睦彦「…不意打ち苦手って長所じゃねえぞ」
 桜「睦彦くんの背中に虫が!」
 睦彦「…ギャぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(泣)」


 

 花子「割り込み参加————!」
 桜「いらっしゃい。待ってたわ」
 つかさ「あまねーーーー! (ギュ—ッ)」


 花子「あれ、あれれ? 刻羽と胡桃沢が付き合ってる?」
 夏彦「そうそう。おめでたいだろ」
 花子「何で俺に報告しなかったの? …………許さないよ」


 睦彦「お前に報告なんてするか。またからかうだろどうせ」
 花子「そーだよー♪」
 睦彦「ぬぁぁにが『そーだよー♪』だ!!」

 睦彦「一応お礼は言う」
 花子「一応?」
 睦彦「取りあえず礼は言う」
 花子「とりあえず?」



 睦彦「うっせえな! お礼は言う! ありがとな」
 花子「はーい合格」


 仁乃「あの、こっちからも質問していいですか?」
 夏彦「いいよー」
 仁乃「桜さんは、夏彦くんのことをどう思ってるんですか?」
 睦彦「確かに。いつも一緒にいて、仲良さそうだもんな」


 桜「ああ、夏彦はいわば空気みたいなものよ。いてもいなくても異常はないわ」
 睦彦「………空気」
 桜「ええ。空気」


 仁乃「じゃ、じゃあつかさくんは? 寧々ちゃんや光くんや花子くんは?」
 桜「あのつかさは猫みたいなものよ。距離が近い、子供っぽい、うるさい」
 つかさ「にゃんにゃん」

 桜「七番は特に何とも」
 花子「(グサッッ)」

 桜「八尋さんは立場が同じだから仲良くしたいわね。あの金髪の男の子はちょっと間抜け」
 花子「少年、言われてるよー」
 

 むう「私は?」
 桜「本編ではなくこのコーナーを続ける駄作者」
 むう「桜ちゃん私泣いてもいいですか…?」
 桜「好きにしなさい」


 桜「では今回はここまで。お相手は、七峰桜と」
 夏彦「日向夏彦と、」
 つかさ「つかさでしたー。ばいばーい」


  
 

 ♪



 善逸「睦彦許さねえぇぇぇ。俺もいつか禰豆子ちゃんとぉぉぉぉ」



 

第39話「刻羽睦彦」(4) ( No.189 )
日時: 2020/05/27 16:09
名前: 夢兎 (ID: 9Yth0wr6)



 【育手の家に到着した睦彦】


 睦彦「…でっっっか!」

 
 沢井さんから紹介してもらった雷の呼吸の育手の家は、山奥にあった。
 俺が住んでいた山より標高が高く、空気が薄い。
 山の中に立っているだけで呼吸が苦しくなる。


 最初に驚いたのは、その家の豪華さだ。
 木造の一軒家は、どっしりとした風格があって、支柱の一本一本が太くてりっぱ。
 おまけに庭は、畑が十反は耕せそうなほど広い。


 睦彦「…どんだけ金かかってんだ」


 お金持ちアレルギーが出て、生まれたての小鹿のように恐る恐る敷地に入る。
 玄関の引き戸に手をかけ、扉の隙間から顔を少しだけ出して中を覗き込んでみる。
 埃一つない廊下が、真っ直ぐに伸びている。


 人の気配はしなかった。
 念のため庭に回って、声をかけてみる。
 


 睦彦「ごめんください〜」



 隅から隅まで探したが、家の主人と思わしき人はいなかった。
 もしかして留守?
 せっかく来たのに…と肩をすくめたとき。



 ??「だれだてめー!」
 睦彦「!?(バッと振り向いて〉」
 ??「じいちゃんちに、なにしにきた!」


 後ろから突然声をかけて来たのは、一人のガキだった。
 5、6歳くらいの男の子で、ケラケラと笑っている。


 睦彦「なんだお前。ここの家に住んでるのか」
 ??「ちげーし。コーへ—のじいちゃんち」
 睦彦「コーへ—っていうのがお前の名前?」
 ??「そうだよ。室谷浩平(むろやこうへい)っていうの」


 睦彦「はぁ…。で、お前のじいちゃんはどこ?」
 浩平「まちにかいものにいくっていって、さっき出かけていった」
 睦彦「……間が悪いな」

 浩平「てめーの名前はなんだー? おしえろよー」
 睦彦「ガキに名乗る名前はない。お前は一人で遊んでろ」


 子供は嫌いだ。
 うるさいし、無駄に構ってくるし、すぐに泣くし。


 浩平「ええー。おしえろよぉ〜! ませてんじゃねーよ」
 睦彦「(イラッ)お前の方がませてんだろうが!」
 浩平「ませやがって、カッコつけやがって」
 睦彦「ハァ———?」



 睦彦「俺の名前は刻羽睦彦だ!! 刻羽神社の次男!!」
 浩平「むつひこ? へんななまえ」
 睦彦「………このガキッ」




 このままいくとケンカになにそうだったが、そうならないですんだのは有難かった。
 浩平のお爺ちゃん、つまり雷の呼吸の育手が買い物から帰ってきたからだ。



 先生「ただいま」
 浩平「じいちゃんー。ねえねえ、お客さんきたー」
 先生「お客?」



 室谷さん—いや先生は訝しげに俺を見て眉を寄せた。
 俺は、慌ててお辞儀をする。


 睦彦「こ、刻羽睦彦です。よろしくお願いしますっ」
 先生「ああ、君が沢井が言ってた子か。よく来た、上がっていきなさい」

 浩平「じいちゃん、こいつ怖い! 俺むつひこ嫌い!」
 睦彦「俺もお前のことが大っ嫌いだ!」
 先生「ふんふん。見たところ威勢はいいようじゃな」


 先生は浩平の手を引いて、俺を家の中に上がらせた。
 通された和室も、家の外見から想像できるように広かった。



 【和室】



 先生「さて、睦彦だったかな。鬼殺隊は、半端な覚悟ではなれんぞ」
 睦彦「はいっ」

 先生「わしのやり方は、基本『出来ることは自分でする』感じじゃ。
    よって、わしがお前に教えることは少ない。
    教えてことをどこまで極められるかは、お前の努力次第だぞ」


 睦彦「分かりました」
 先生「よし、まずお前にやってほしいことはな」
 睦彦「け、剣とか振ったりするの?」
 先生「いいや。一カ月間、裏の山をひたすら駆けまわることじゃ」



 駆け回る? 標高何千メートルの山を?
 一週間ではなく、一カ月? ずっと?



 
 睦彦「…………(オワッタ)……」




 ネクスト→修行開始☆ 
      次回もお楽しみに!





 【出張編:大正コソコソ噂話】
 今日の大正コソコソ噂話:睦彦には兄弟子や弟弟子はいた? 何年修行した?


 むう「睦彦の兄弟子はいません」
 睦彦「弟弟子は分からないな。最近全然連絡取ってないから」
 善逸「俺は兄弟子いたぞ。………アイツ絶対許さない!!」


 ※善逸については詳しくは漫画で見てね☆

 
 むう「修行は二年間修業しました」
 炭治郎「俺と同じだけど、睦彦くんは俺より早い段階で最終選別に行ったんだな」
 睦彦「そうだ! で、最終選別で胡桃沢と会った」

 仁乃「じゃあ、あとちょっとで私との出会いも書かれるね」
 むう「書きますよ!」
 善逸「楽しみー」


 禰豆子「ムームー(むうちゃん、睦彦くん頑張って)」
 睦彦「おう! 張り切っていくぜ」
 

 全員「今回はここまで。次回もこのコーナーをお楽しみに!」





 




 

 




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