コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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マーメイドウィッチ
日時: 2016/06/21 11:41
名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)

世界が止まった。



手が震える。



数拍のちに気付く。









私は大切な人に裏切られたのだと。

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Re: マーメイドウィッチ ( No.275 )
日時: 2017/05/05 22:42
名前: いろはうた (ID: Sm0HUDdw)

今夜もカルトはベッドで寝ようとしなかった。

何度もベッドでしっかり休息をとるように勧めたのだが、

見張り役で座った姿勢のまま競ることに慣れているから、と断られ続けた。

浅い仮眠のみで、見張り役をやってくれているのだろう。

フレヤはベッドの中で寝返りを打った。

なんて律儀な一族だろう。

たった一度、一族の子供を救ったという恩とチノの知り合いという

わずかなつながりでも、律儀に恩を返そうとしている。

これでは理由もなく彼らのことをケダモノの蛮族と蔑み罵る

コペンハヴン国の民とアルハフ族、どちらが蛮族なのかわからない。


「さっさと寝れば」


フレヤがなかなか寝付かないことに対していらだったように

カルトがそっけなく言った。

フレヤは毛布の中で縮こまった。

ばれていたのか。


「何考えているのかはしらないけど、

 考えても別にものすごくいい方向に問題が解決はしないし」

「それでも、色々考えてしまうのよ」

「あんたって結構、面倒な性格してるよね」

「……」


それは、カルトに言われたくない。

そう反論したら、また辛口で返答が返ってくるのは

見えていたのでフレヤは黙っていた。


「明日、本当にアルハフ族を救い出しに王宮へ乗り込むのよね」

「なに?

 怖くなった?」

「そんなことはないわ。

 ただ……少し複雑なだけ」

「本当、あんたって面倒くさいね」

「……」


さすがにむかっときたので、ベッドから身を起こした。

カルトは壁に背を預けて座り込んだ。

申し訳程度の毛布しかその体を覆っていない。

危機が来ればいつでも跳ね起きることができるように

するためだと遅れて気づく。

その姿を見て、反論の言葉ものどもとで消えてしまった。


「どうすればいいのかわからないの……今回は、本当に。

 自分が何をしたいのかもわからなくなっている」


ぽつりとフレヤはもらした。

本心からの言葉だった。

カルトが横目でこちらを見たのが気配で分かった。


「別にあのクソむかつく皇子とか気にしなくていいと思うけど。

 どうせ義理でも感じてんだろ。

 別に何でもかんでもあいつの言うこと聞かなくていいじゃん」


言い当てられて、フレヤは言葉につまった。

心のどこかで、シウの言うことに従わなくては、と

考えていた自分がいたことにいやでも気づかされる。


「……やっぱりもう少しだけ考えをまとめさせて」

「好きにすれば」


カルトがため息を吐いた。

フレヤは頬をまくらにうずめるようにしてベッドに横たわった。

しかし、心はぴんと張り詰めている。

目がさえわたって今夜はなかなか寝られそうになかった。

Re: マーメイドウィッチ ( No.276 )
日時: 2017/05/06 20:46
名前: いろはうた (ID: Sm0HUDdw)

〜〜〜〜〜チノからのご挨拶〜〜〜〜〜〜〜






何やら、このまめっち、

執筆開始から一年を迎え、さらに参照も6000を突破したらしい。

信じがたいな。

これもひとえに、読んでくれている者たちのおかげだ。

アルハフ族、族長として礼を言う。

ありがとう。

……おれは口下手だから、こういう挨拶とかは向いていない。

カルトとかに任せたほうが、上手く進むと思うんだが……。




……なに?

おれのキャラが最初ブレブレだった??

そ、そんなことはない。

寡黙クール系イケメンとしての役割は

きちんと果たしたつもりだ。

……それだと、ただのイケメンで面白くない?

だからだ。

だからこの作者は、何とかただのイケメンから脱却を図ろうとして

何を血迷ったか、おれに二重人格の要素を組み込みやがった……!!

二重人格だぞ!?

しかも満月の夜だけ、野獣系イケメンになるとか

どんな厨二設定だ!?

いくらぶっ飛びファンタジー路線でも、

やっていいことと悪いことの判別もつかないのかこの作者は!?

くそっ。

狼の血が騒ぐ……。





……らしくないことを言ってしまった。

忘れてくれ。

これからも、この物語を読んでくれるとおれは嬉しい。

またおまえに、会いに来るから。

Re: マーメイドウィッチ ( No.277 )
日時: 2017/05/07 16:11
名前: 珠紀 (ID: ak9ikTR3)



こんにちは。
珠紀です。


参照6000突破おめでとうございます!!!!!
6000なんて珠紀にとっては果てしない数字で、やっぱりいろはうたさんは珠紀の憧れの人です。


チノ。。。
二重人格なんて、萌え要素、鼻血がでっぱなし。

二人の人格に愛されるなんてさらに最高かと。。ぐふ←

チノさん、また逢いに来てください。←←←←




_珠紀

Re: マーメイドウィッチ ( No.278 )
日時: 2017/05/08 13:22
名前: いろはうた (ID: Sm0HUDdw)

珠紀ちゃん!!


なんかもう、チノに向かって、トチ狂った要素ぶっこみまくって
収集つかなくなってきてる状態でございます……(涙)

いろはたが書くと、ものすごいことになるのに
乙女ゲームでは、こう、ひたすら萌え要素しかないので
シナリオ書いている方に尊敬の念しかないですよ……
いつもごちそうさまです……←


すこしずつ、この物語も佳境を迎えつつあるというか……
なんかこの言葉何回も言った気がするのは気のせいだとして……
フレヤさん、決心がつかなくて、あっちにフラフラこっちにフラフラー
って感じですが、そろそろ立ち上がります!!笑
温かく見守ってあげてください(^^)


コメントありがとう!!

Re: マーメイドウィッチ ( No.279 )
日時: 2017/05/08 22:52
名前: いろはうた (ID: Sm0HUDdw)

結局、答えは朝になっても出なかった。

ベッドの上で座り込む。

今日は何をすればいいのだろう。

その時、不意に、こんこんとドアをノックする音がした。

カルトが立ち上がろうとするフレヤを手で制し、

ゆっくりドアに近づく。

その右手は、腰にさしてある短刀にのばされている。


「我だ。

 さっさと開けろ」


ドアの向こうから、ふてぶてしい声が聞こえた。

フレヤは緊張を緩めたが、カルトの右手はいつでも

短剣を抜けるようにしてあるままだ。

カルトは素早く左手でドアを開けた。

そのとたん、人影が素早く飛び込んできて、

カルトにとびかかった。

響く鋭い金属音。

カルトが自らの短剣を抜き放ち、その人影の刃を受け止めたのだ。


「シウ様に、刃を向けるとか!!

 ありえない、殺す!!」


フレヤはあっと声を漏らした。

人影はつり目に茶髪の少女。

メノウの屋敷でシウの供の者としてその場にいた少女。


「リン、よい」

「シウ様!!

 ですが……!!」

「よいと言っている。

 下がれ」

「っ、はい……仰せのままに」


リンと呼ばれた少女は、しぶしぶ剣をおさめた。

しかし、この国では見たことのない形の剣だ。

たしか、東洋の国ジパングの出身のはず。

ジパング独自の剣に違いない。


「彼らが援軍……?」


フレヤの目は、シウの後ろに控えているものに向けられていた。

そこには、二人の青年が立っていた。

一人は藍色の髪色を持つ青年だった。

風変わりな白い衣を身に着けている。

その白さが神聖さを際立てていて、神官のような雰囲気を醸し出していた。

その瞳はフレヤやシウと同じ真紅に輝いている。

もう片方の青年は、シウと同じような民族衣装を身に着けていた。

こちらは、白ではなく薄い水色の衣を身に着けている。

しかし、純白の衣を着ている青年とは違い、

どっしりとした覇気を感じる。

おそらく武人なのだろう。

禁欲的なまでに、襟は首元まできっちりとしめられていた。

その瞳は、リンや満月の夜のチノと同じように金色だった。

人間とは大きく異なるその色に、彼らが異形の者なのだと

すぐに悟ることができた。

援軍なのだとしたらずいぶんと到着が早い。


「我の配下だ。

 白いのがジパングに住む鴉天狗の一族の末裔、ヤワラ。

 水色のが腐れ縁の龍族の長、ロンだ」

「おい、腐れ縁とはなんだ。

 てめぇの配下になったつもりはねえよ」


すぐさま反論したのはロンと紹介された青年だった。

金色の瞳を不機嫌そうに細めている。

その仕草がチノに似ていてどきりとした。


「シウ様。

 この娘が、シウ様のお探しになっていた娘なのですか……?」


一方のヤワラと呼ばれた青年は、不審そうにフレヤのほうを見ている。

じろじろと全身を無遠慮に眺めまわされ、フレヤは気まずい思いをしながら

こぶしを握り締めた。


「確かに、見目は我らと似通った部分がありますが、

 この者、南蛮人であるうえに、ただの小娘ではありませぬか」


あきらかに馬鹿にされている。

元王女であるフレヤは、差別など生まれてからされたことがほとんどない。

だから、明確な差別の意思を含む視線に

一瞬視線をそらしかけたが、きっと睨み返した。

ここは、折れてはいけない気がした。

数秒にらみ合った後、先に視線をそらしたのはヤワラだった。


「たしかに我らの中では最弱であろう。

 だが、人間どもを相手にしたとき、この娘の力は

 我らの中でも最も強い部類に値する」


言外に歌の力のことを言われているのだと悟る。

左様ですか、といったんヤワラは引き下がったが、

その視線にはまだありありと不信の色が残っていた。


「シウ様、このクソ生意気な男、何ですか。

 あたしが殺しちゃってもいいですか?」


まだ殺気を消さなかったのはリンだ。

その視線は、カルトに固定されている。

しかし、カルトはとっくの昔に、リンから興味を失って横を向いている。

それが、癇に障ったらしい。


「その男、我が国に勧誘している狼族の者だ。

 もうすぐ、我が国の民となるのだから殺すな」


シウが珍しくアルハフ族のことを犬だと言わなかった。

一応狼の血を引く一族だということは知っているらしい。

リンはものすごく悔しそうな表情をしながらも、

大人しく引き下がった。

驚いた。

三人ともなんだかんだ言いながらもシウに従っている。

見た感じだと、シウの軍の幹部を呼び寄せた、と言うところだろうか。


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