コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- マーメイドウィッチ
- 日時: 2016/06/21 11:41
- 名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)
世界が止まった。
手が震える。
数拍のちに気付く。
私は大切な人に裏切られたのだと。
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- Re: マーメイドウィッチ ( No.174 )
- 日時: 2016/11/20 23:31
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/
桜ちゃん!!
陸上部に入っているんだ!?
運動部は忙しいから大変だよねぇ……
コメントありがとう!
ことり様!!
はい!!
存じ上げております!!
何度かお名前をお見かけしました!!
私の作品を読んでくださってありがとうございますm(ーー)m
やたらめったら長いので大変だったと思われます……
長旅ご苦労様です笑
コメントありがとうございます!!
- Re: マーメイドウィッチ ( No.175 )
- 日時: 2016/11/20 23:51
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/
「なにか変わったことでもあったか……?」
一瞬フレヤは動きを止めた。
ゆっくりとまばたきを繰り返す。
「いえ、なにも」
いつも通りの平坦な声を、父のひび割れた唇を見ながら言った。
もはや、いつも通りにふるまえているかもわからなかった。
必死に感情を表に出すまいと努力していて、ふと気が付いた。
いつからこんな風に感情を我慢するようになったのだろう。
今までは、感情が欠落しているような、
空虚さが自分にはあったのに、それが今はひどく薄らいでいる。
フレヤは内心動揺した。
こんな自分は知らない。
「……私は……もう長くないな」
ぽつりと漏らされたつぶやきに目を見開いた。
たしかに、フレヤの歌は、
父の体をもはやどうしようもならないところまでおいつめていた。
ただ、それを改めて本人から言われると
頭を殴られたような衝撃が走っていた。
父は死んでしまうのだ。
もう、あえなくなってしまう。
こんな風に話を交わすことも
あたたかな手を握ることも
なにも、なにもできなくなってしまう。
その現実をまざまざと突き付けられたような気がした。
「その前に……おまえの新しい婚約者を決めてやらないとな……」
父の声には、狩猟に明け暮れていた頃の荒々しさはなかった。
この数十日で、一回りも二回りも父が年を取ってしまったように見えた。
「私のことはいいのです」
「いいや、よくはない。
おまえは女だ。
女のお前には、何よりも大切なことだ」
力ない声だったが妙に気迫がこもっていた。
それに気おされて、一瞬口をつぐむ。
「私は、お前に愛を知ってほしい」
予想外の言葉に、フレヤは、はっと父を見た。
父は弱弱しいまなざしで、こちらを見ていた。
落ちくぼんだ目にはかすかだが、まだ光があった。
「それが、父としてお前にできる最後のことだろうからな」
- Re: マーメイドウィッチ ( No.176 )
- 日時: 2016/11/21 16:33
- 名前: 立山桜 (ID: ???)
そうなの!たいへんなの!<おい←>もしかしてフレヤのお父さんはフレヤが自分の身体を弱くしていってること知ってたのかな?
- Re: マーメイドウィッチ ( No.177 )
- 日時: 2016/11/21 20:00
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/
桜ちゃん!!
無理をして体壊してしまわないでね……
おお!!
鋭い!!
いいところに気付きましたね!!
そこらへん、上手くぼかしながらも伝えられてたか
ちょっと心配だったんだ笑
コメントありがとう!!
- Re: マーメイドウィッチ ( No.178 )
- 日時: 2016/11/22 20:18
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/
しんと、沈黙が部屋を満たした。
ここで、そんなことを言わないで、とでもいえば
父親思いの娘を演じられるのだろうが
あいにくそこまで心に余裕はなかった。
しばらく、黙ったまま天井を見つめていた父は、ふと尋ねた。
「今日は歌わないのか?」
今度こそフレヤはびくりと体を震わせた。
冷たいものが体中を駆け巡る。
フレヤは乾くほど目を見開いたまま微動だにできなかった。
「……ああ、おまえは自分の歌が嫌いだったな」
ささやくような声に、父を殺すために歌い続けていたことが
ばれたわけではないと悟る。
じわりとてのひらが嫌な汗をにじませた。
いっそのことばれてしまったら、楽になれるのに。
そうすればここから逃げ出せて、責任も義務も、なにもかもを
かなぐり捨ててしまえるのに。
わずかに唇をかみしめる。
「ソフィナが、ずっと隣で歌ってくれている夢を見た。
お前の声はソフィナと似ているから、
お前がずっと歌ってくれていたのだと思っていた」
久しく聞いていなかった亡き母の名前を出されて、フレヤは驚いた。
母が亡くなって誰よりも悲しんだのは父だ。
悲しみを忘れるために賢王は、
娯楽にふけって無理やり悲しみを忘れようとしたのだ。
父が意図的に母の名前を出さないのは、城の誰もが知っていることだったから
誰も母の名を口にしてこなかったし、ましてや再婚ですら誰も勧めなかったのだ。
ちらりと父の枕もとの棚にある、金色の貝殻を模したネックレスを見やる。
そして、再び父の顔に視線を戻した。
「お父様。
私は、愛を知らないのでしょうか」
「ああ、お前はまだ知らない」
静かに返された言葉に、フレヤは反論しなかった。
確かにあの日気づいてしまったのだ。
自分はステファンを愛しているわけではないのだと。
おそらく、あの気持ちは、未成熟な幼い恋だったのだろう。
「お父様……愛とは、何なのでしょうか」
父はすぐには答えなかった。
美しい青い瞳。
ヘレナと同じ瞳。
そういえば、母はどんな色の瞳だっただろうか?
思い出はもやがかかっていてすぐには思い出せない。
「おまえは、成長すればするほど、ソフィナそっくりになっていくな。
その紅の瞳など、そっくりだ」
唐突な言葉にフレヤはどきりとした。
まるで心の中を読まれているようだ。
父はまっすぐにこちらを見つめていた。
「愛は……私にとっては、ただの狂気のようなものだ」
フレヤは、何も返答できなかった。
ここにたしかに、強すぎる想いに、その身と心をとらわれている人がいたからだ。
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