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マーメイドウィッチ
日時: 2016/06/21 11:41
名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)

世界が止まった。



手が震える。



数拍のちに気付く。









私は大切な人に裏切られたのだと。

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Re: マーメイドウィッチ ( No.164 )
日時: 2016/11/09 10:33
名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/

桜ちゃん!!


ついにチノさんの本性が笑
フレヤさん開いた口がふさがらない状態ですね笑
フレヤさんがチノさんをどういう風にうけとめるのかが
今後の展開に影響してきますね。
一人で二度おいしい二重人格。←

コメントありがとう!!

Re: マーメイドウィッチ ( No.165 )
日時: 2016/11/12 23:59
名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/

はっと空を見上げると、夜空にぽっかりと浮かんでいたはずの

満月は見当たらなかった。

遅れて月が分厚い雲に隠されたのだと気づく。

ふっとチノの気配が離れたのを感じて、

フレヤは視線をチノに戻した。

チノが一歩後退したのだ。

その瞳には、焦りとわずかな怯えが浮かんでいた。


「チノ」

「おれに近づくな」


すぐさま放たれた鋭い言葉にフレヤは一瞬足を止めた。

怯えの色がより一層強くなっていた。

手負いの獣のようなまなざしにフレヤの口から言葉が漏れた。


「あなたは、ひどく、美しいのね」


自分の口から漏れた言葉に自分で驚く。

だがそれは、まぎれもない自分の本音だった。

彼は、なにものにもとらわれない野生の獣のように美しいのだ。

チノは何を言われたのか理解できないようで、一瞬固まっていたが、

フレヤが一歩近づいてきたのを見て、はっとしたような表情になった。


「来るな」


何かをこらえるかのような表情だった。

いつものチノだった。

射貫くような金色の光はその瞳にはなかった。

本当に、満月の光を浴びると、野性的で獣の本能のようなものが

表面上に現れるのだろう。


「おれは、おまえをまた傷つけてしまうかもしれない」

「かまわないわ」


フレヤはまた一歩距離を詰めた。

チノは二歩後ずさった。


「この手でおまえを縊り殺してしまうかもしれない」

「チノはそんなことをしないわ」

「おまえになにがわかるというんだ……!!」


チノの押し殺された声と叫びが心を揺らした。

だが、フレヤはできるだけ冷静に見えるように

静かに言葉をつむいだ。


「なにも、わからない」


チノがぎりっと奥歯をかみしめる音が聞こえた。

ひるみそうになる心を抑えて、また一歩近づく。


「でも、あなたのことを知りたいと思っている。

 だから、教えてほしい」


チノの手に触れようと右手を伸ばしたら、振り払われた。

振り払ったチノが一番驚いたように目を見開いて、

そして目を細めて自分の手を見つめた。

振り払われたフレヤよりもチノのほうが傷ついているように見えた。

そのままチノは身をひるがえして、夜の闇の中に駆けていった。

止める間もない一瞬のことだった。

Re: マーメイドウィッチ ( No.166 )
日時: 2016/11/10 22:32
名前: 立山桜 (ID: ???)  

「チノは何を言わたのか」じゃなくて「言われたのか」じゃないかな?

Re: マーメイドウィッチ ( No.167 )
日時: 2016/11/12 23:46
名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/

さくらちゃん!!


ほ、本当だ!!
全然気づかなかった……

私はよく打ち間違いとかあるので
読者の皆様にはご迷惑をかけまくっています……
すみません……

教えてくれてありがとう!!

Re: マーメイドウィッチ ( No.168 )
日時: 2016/11/15 00:33
名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
参照: http://ncode.syosetu.com/n1515cf/

チノはその時からさらにフレヤの前に姿を現さなくなった。

フレヤは図書室の本をぱたりと閉じた。

恐ろしいほど静かだった。

あたりには人は誰もいない。

フレヤ自身、人にかしずかれるのが苦手で、

人払いをするのが常だ。

そんな中でも、唯一そばに置くことを許したのがチノだった。

最初は、チノを守るために置いていたが、

今は違うような気がする。

父から守るためにそばに置いた。

だが、その父は今臥せっていて、別にチノを手放してもいい。

それをしなかったのは、チノが帰りたいとは洩らさなかったのもある。

それ以上に、なにか自分自身の感情が影響している気がする。

それに気づきそうになるたびに、意図的に心にふたをする。

気づけば何か引き返せなくなってしまいそうだ。

無意識のうちに、いつでもそばにあった姿を探し求めてしまい

はっとして、瞳を伏せた。


「チノ……」


小さな声で呼んでみるも、返事はない。

返事はないし、気配も感じられない。


「フレヤ様!!」


静寂が突如破られた。

血相を変えた様子の、メイドのハンナが図書室に走りこんできた。

いつもはきっちり整えてあるひっつめ髪が乱れていた。

よほど急いできたのだろう。


「なに?

 なにかあったの?」


胸騒ぎがした。

冷たいものが背筋を駆け巡った。

席をたって、ハンナのほうに近づく。

彼女はおびえたような縋るような目でフレヤを見つめた。


「恐れながら申し上げます……!!

 フレヤ様、少し来ていただけますか?」


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