コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- マーメイドウィッチ
- 日時: 2016/06/21 11:41
- 名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)
世界が止まった。
手が震える。
数拍のちに気付く。
私は大切な人に裏切られたのだと。
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- Re: マーメイドウィッチ ( No.34 )
- 日時: 2016/05/26 16:36
- 名前: 成宮 理斗 (ID: RU0wTL.b)
いろはうた様
おっお友達になっていただける!?
本当ですか!?ゆっ、夢じゃないですよね!?
ものすごく嬉しい!です!
あの、あの、こっちはタメで話していただけるとものすごく嬉しいというか……いやっ、いろはうた様がいいのでしたら!
あっ、あと成宮ちゃんか理斗ちゃん、理斗るんって呼んでくれると嬉しいです……!わがままでごめんなさい。
じゃあ、更新頑張ってください!
- Re: マーメイドウィッチ ( No.35 )
- 日時: 2016/05/26 22:02
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
おおお!!
タメのお許しが出た!!
ということで、これからは、理斗ちゃんと呼ばせてもらうね!!
これから、物語は少しずつ、佳境に入っていきます。
登場人物も増える予定なのです!!
んーと、まぁ、一番近いもので言うと、
フレヤが妹さんの結婚式に行きますね。
まぁ、その時もゴタゴタして、
お城に帰ってからもゴタゴタします。
その時に……
いや、これ以上はネタバレになるので!!
よかったら、これからも読んでやってください(^^)
- Re: マーメイドウィッチ ( No.36 )
- 日時: 2016/05/27 22:48
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
ゴトゴトと馬車に揺られて田舎町の舗装の進んでいない道を行く。
ぼんやりと景色を眺めていると、
内陸に進むについて、少しずつ緑が豊かになり、
ぽつりぽつりと見える人々の姿に活気が増していくのがわかる。
フレヤたちの王国より、内陸にあるステファンの国は
津波による被害がなかったため、土砂災害程度で済んだ。
新王であるステファンによる復興への手腕は素晴らしいもので
瞬く間に、今まで以上に豊かな国になった。
それに比べると、どれだけ自分の国が遅れているのかがよくわかる。
「……民を」
同じ馬車に同乗しているチノが視線をこちらに向けた。
先ほど、人さらいに襲われそうになったことから、
特別に乳母と共に同乗を許されたのだ。
「……民を苦しませているのは、私という存在なのかしら」
答えはわかりきっているのに、明確な答えがほしかった。
こう言っている時点で、心が弱いということがよくわかる。
「何をおっしゃいますか!!
姫様が悪いことなどなにもございざせん!!」
乳母が慌ててそう言ったが、チノは何も言わない。
不思議な目の色でこちらを横眼で眺めている。
沈黙が何よりの答えだった。
ふと気になった。
チノは、自分のことをどう思っているのだろう、と。
人さらいに襲われた時、一瞬で屈強な男たちを吹っ飛ばすほどの
力を持つ男だ。
どうして父王にとらわれるようなことになったのか。
考えれば考えるほどチノへの質問が湧き出るように出てくる。
しかし、今は隣に乳母がいる。
聞くのは二人きりの時にしようと心に決めたとき、
ついに、ステファンの城が遠くに見え始めた。
- Re: マーメイドウィッチ ( No.37 )
- 日時: 2016/05/28 16:51
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
城に着くと、城の執事に迎え入れられた。
客間に通された後、すぐにフレヤ専用の個室に移された。
その手際はきびきびとしていて見ていて気持ちの良いものだった。
ステファンはきっと式の準備で忙しいのだろう。
一度も姿を現さなかった。
見苦しくも自然と視線がステファンを探してしまう。
あまりに自分があさましくて、思わず笑ってしまいそうになる。
チノは家臣用の別の部屋を用意されたようだ。
城に入ってからは、姿を見せていない。
ヘレナも先にこの城に到着しているはずなのに、姿を現さない。
彼女も準備に忙しいのか。
はたまた、姉には顔を見せずらいのか。
ずきりと昨日蹴られた脇腹が傷んだ。
昨日の出来事を思い出す。
あの痛みと恐怖を一生忘れてはならない、そう思った。
少しずつではあるが、民の怒りと不満が大きくなっているのを
フレヤもあの一件で分かった。
なんとかしなくてはならない、そう思った時、
心の中でもう一人の自分がささやいた。
それはただの自己防衛だと。
民に嫌われて悪意を向けられるのが怖いだけだと。
これは自分の甘えなのだろうか。
第一王女である自分はそう簡単に行動は起こせない。
女であるから、余計に政治には口を出すことが許されていない。
女である自分の身が疎ましかった。
男に生まれていたら、きっともっと民のために動くことができただろうに。
コンコン
控えめなノックの音が響いた。
もの思いから我に返った。
「入っていいわ」
静かに扉が開いて、見知らぬ侍女たちが入ってくる。
きっとこの城につとめる侍女たちだろう。
「お召替えの時間でございます」
「ええ。
ありがとう」
城から持ってきたのは、薄い紫を帯びた露出度の少ないドレスだ。
これなら傷も隠せるだろう。
ドレスを着せられ、髪を結いあげられ、化粧を施され、
少しずつきらびやかになっていく自分をぼんやりと見つめる中
結婚式に向かう時間がこくこくと近づいて来るのだった。
- Re: マーメイドウィッチ ( No.38 )
- 日時: 2016/05/30 12:21
- 名前: いろはうた (ID: dFWeZkVZ)
*リンゴーンと荘厳な鐘の音が響き渡る中、
うららかな午後の光に照らされながら、結婚式は執り行われた。
花嫁はまぶしいくらいに美しかった。
青みがかかった美しい金髪を花嫁のヴェールに包んで、
それはもう、息をのむほどに妹は美しかった。
そこに立っているのは本来自分だったはずなのに、
言葉を失ってしまうほどに彼女は美しかった。
その隣に立つステファンも、絵画のごとく美しく、
フレヤはひどく惨めな思いでその場に立ち続けなければならなかった。
なすすべもなく、神の前で永遠の愛を誓う二人を
見続けなければならなかった。
もはや、涙すら出なかった。
悲しむという感情を、どこかに落としてきてしまったに違いない。
壮大な結婚式が行われた後は、夜に舞踏会が行われる。
おそろしく重い体を引きずるようにして、
フレヤは舞踏会に出なければ、ならなかった。
無言で壁の花となっていると、気を利かせた優し気な青年達が
次々とダンスに誘ってくれたが、フレヤはそれをすべて丁重に断った。
踊るだなんてとてもじゃないがそんな気分になれない。
そうすると、ひそひそと貴婦人たちが話し出す。
おそらく自分のことを話しているのだろう、とフレヤは他人事のように思った。
もはや、すべてがどうでもよくなってきたとき、突然曲調が変わった。
優雅なワルツが流れ出す。
さっと人波がわきによって行ったかと思うと、
二人の人物が中央へと現れた。
ヘレナとステファンだ。
唇がわななき震えるのを止められない。
二人は優雅に一礼して、ゆったりと踊り始めた。
初めての舞踏会でステファンと踊ったことがいやでも思い出されて
フレヤは動けなくなる。
あの時、たしかに恋に落ちた。
どうしようもないほど彼は素敵だったのだ。
だというのに今はどうだろう。
彼は妹のものとなり、あの時と思い出は甘くて儚い幻へと変わってしまった。
二人が躍る。
優雅に回る。
誰よりも美しい、誰よりも魅力的な二人。
己が敗者なのだといやでも現実を突きつけられる。
ふらりと上半身が揺らいだとき、思いっきり右手首をつかまれ、
カーテンの裏に引きずり込まれた。
そこには黒衣のチノがいて思わず驚きの声をあげてしまいそうになる。
「チ……」
「見なくていい……!!」
激しい何かを秘めた声で囁かれる。
フレヤは戸惑いを隠せずにチノの緑の瞳を見つめ返した。
「お前はもう十分耐えただろう。
なぜ、いまだに耐え続けようとする」
カーテンの外では優雅なワルツと感嘆の声が絶えず聞こえてくる。
きっとため息が出るほど美しい二人のワルツが披露されているのだろう。
「離して、チノ。
私は姉として見届ける義務があるわ」
「おれはおまえの護衛を言いつかった身だ。
お前の身も心も、どちらもおれが守らねばならない」
言葉とは裏腹に、握る手は徐々に力が緩められる。
やがて、ぽつりと言葉が漏れた。
「おまえを、守らせてくれないか。
せめて、この一曲が終わる間まで」
かすれたささやきだった。
元の場所に戻らなけらばならない。
わかっている。
わかっているはずなのに、フレヤは戻れなくなった。
幸せな二人を見なくて済む甘い誘いに惹かれてしまった。
結局、フレヤはその場から一歩も動くことはできなくなってしまっていたのだった。
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