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- マーメイドウィッチ
- 日時: 2016/06/21 11:41
- 名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)
世界が止まった。
手が震える。
数拍のちに気付く。
私は大切な人に裏切られたのだと。
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- Re: マーメイドウィッチ ( No.24 )
- 日時: 2016/05/21 15:52
- 名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)
フレヤは男のわきをかいくぐって逃げようとしたが、髪の毛ごと思いっきり頭巾をつかまれて引き戻された。
ぶちぶちぶち、と髪の毛が何本も抜ける音がして、頭皮にちりちりとした痛みが走る。
「いっ……!」
痛みのあまり思わず足を止めると、乱暴に頭巾をはぎ取られ、
腕をねじりあげられた。
あまりの痛みに視界が涙でぼやける。
今まで、何度も盗賊などに襲われたりさらわれそうになったりしたが、
こんなに乱暴な扱いを受けたのは初めてだ。
視界の端に自分の青い髪が映ってはっとする。
これでは、王女だとばれてしまう。
案の定、男は目を丸くして、フレヤの髪を凝視していた。
続いてその顔いっぱいににやにやとした笑みを浮かべた。
「これは、驚いたなぁ。
なんで王女殿下様がこんなところにいらっしゃるんでぇ?」
フレヤは唇を噛みしめた。
頭が真っ白になってしまって何も考えられない。
どうしたらいいのかすらわからない。
次の瞬間、思いっきり顔を殴られた。
「っぐ、ぅ……!!」
「てめえら王族様のせいでおれらみたいな庶民は、ろくに飯も食えてねえんだよ!!」
乱暴に地面に投げ出され、フレヤはなすすべもなく地面に倒れた。
口の中いっぱいに血の味が広がる。
涙が止まらない。
痛い。
痛くてたまらない。
殴られたことよりも、向けられた憎悪が何よりも痛い。
こんなにもはっきりとした憎悪を向けられたのも生まれて初めてのことだった。
地面に投げ出されたフレヤの手を、別の男が近づいてきて踏みつけた。
「ひぅ……!!」
骨がきしむのがわかる。
でも、フレヤはやめてと言えなかった。
民を苦しめているのは自分たち王族の存在だというのはよくわかっていたつもりだった。
でも違った。
少しもわかっていなかった。
わかっていたつもりになっていただけだった。
男たちの目は淀んでいた。
貧しさがこんなにも人を違う生き物に変えてしまうなんて知らなかった。
フレヤの顔が土と涙にまみれたひどい顔をしているのを見て、
男はあざわらった。
それはもう楽しそうに、憎しみを込めて。
恐ろしい。
ここには助けてくれる人などいない。
おなかをしたたかに蹴られて、フレヤは体を丸めた。
反射的に吐きそうになって、すんでのところでおさえて、せきこんだ。
息ができない。
でも、これは罰なのだ。
心から民を理解しようとしなかった自分への罰なのだ。
フレヤはなかばあきらめかけて、瞳を伏せた。
次の瞬間、声も上げずにひげ面の男が吹っ飛んだ。
文字通り、本当に吹っ飛んだのだ。
相方の男も何が起こったのかわからずうろたえている間に、同じように吹っ飛ばされた。
「おまえは、馬鹿なのか」
氷のごとく冷たい声が上から降ってきて、フレヤは涙にまみれた顔で弱弱しく上を見上げた。
見慣れた褐色の肌を持つ異国人の男。
チノだ。
きてくれたのか。
チノは、フレヤの顔を見てはっきりと顔を強張らせた。
一瞬でチノの姿がその場から消え、吹っ飛んだ男とたちのもとに移動していた。
ドスッ
鈍い音がした。
チノが男たちを本気の蹴りをみぞおちに見舞っていた。
問答無用の一切手加減なしの蹴りを無言で続けるチノにあわてて声をかける。
「ち、の……!
や、めて……!」
喋ると切れた口の端がひどく傷んでフレヤは顔をゆがめた。
びくっとチノは動きを止めると、ぎこちない動きでこちらに近寄ってきた。
おそるおそるという感じでフレヤの切れた口の端に親指で触れようとしてくる。
鋭い痛みが走り、フレヤは呻いた。
すぐに指をひっこめると、チノは膝をついてフレヤを抱え上げようとした。
今度は腹部に鈍い痛みが走り、フレヤはまた呻いた。
「ごめ、なさ、おなか、けられ、て」
「……やっぱり殺す」
フレヤを降ろすと、すぐさま男たちのもとに行こうとするチノのマントの裾をあわててつかむ。
踏まれた手の甲が悲鳴を上げたが、そんなの気にしてはいられない。
「……今日は、帰り、ましょ、う……?」
チノはしばらく迷うようにその場に立ち尽くしていたが、
やがて静かにその場に膝をついた。
先ほどよりも、丁寧なしぐさで抱えあげられる。
「……あの家にいろといっただろう。
おれを追ったのか
なぜ、抵抗しなかった。
護身用のナイフくらいは持っているだろう」
「ごめ、なさ、い……」
ばさりと頭巾を頭にかけられる。
フレヤはきゅっと頭巾をかぶりなおした。
「チノが、しんぱい、だった。
馬鹿なのはわかっているの…
ごめん、なさい」
チノはフレヤの顔を一瞥した後、人目を避けるようにして歩きだした。
「……一人にして、すまなかった」
そのかすれた小さな声には、深い悔恨の色が滲んでいて、
フレヤは何も言えなくなってしまった。
- Re: マーメイドウィッチ ( No.25 )
- 日時: 2016/05/22 13:22
- 名前: ヒトミ (ID: 84hRb0Yz)
ヤバい、顔がにやける。(*‾∇‾*)
この小説、神小説だ!
私のとは断然、面白いです!
あっ、えっと、ヒトミです。あのタイトル名が気になって、きました。
お友達になってほしいな...なんて。
宜しくお願いします!
- Re: マーメイドウィッチ ( No.26 )
- 日時: 2016/05/23 08:22
- 名前: ほうじょうたくま ◆vXX0cdKx3A (ID: CmU3lREQ)
たいやきにはマヨとからしいれるよね??
でもぼくはね?
いちごジャムをかけて食べるんだよ?
おいしいからね?
いっかいやってみてね??
- Re: マーメイドウィッチ ( No.27 )
- 日時: 2016/05/23 19:45
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
ヒトミ様!!
はじめまして!!
来てくださって本当にありがとうございます!!
こちらこそお友達になってください……!!
久しぶりの新規のお客様なので感動です……
本当にありがとうございます!!
か、神だなんてとんでもない!!
むしろ紙です!!ぺーぱーです!!
つたないながらも、頑張って書いていきます!!
またよかったらいらっしゃってくださいねーー!(^^)
- Re: マーメイドウィッチ ( No.28 )
- 日時: 2016/05/24 15:53
- 名前: 成宮 理斗 (ID: RU0wTL.b)
いろはうた様
覚えておいででしょうか、以前いろはうた様の小説にコメントさせていただいた風花 彩花です。
今回の作品も素晴らしいですね……!
コメントをしようしようと思っていたのですが中々出来ずかなりじれったかったので、コメントできて嬉しいです。
フレアちゃん、いい子だなぁ。表情があまり変わらない子が笑ったりするのって凄いいいですよね!(え、私だけ?)
あの、突然なんですがお友達に……ってだめですよね、はい。
まあ、とにかく続き楽しみにしてます!
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