コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- マーメイドウィッチ
- 日時: 2016/06/21 11:41
- 名前: いろはうた (ID: FEOD1KUJ)
世界が止まった。
手が震える。
数拍のちに気付く。
私は大切な人に裏切られたのだと。
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- Re: マーメイドウィッチ ( No.39 )
- 日時: 2016/05/31 00:12
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi
皆さまこんばんはー!!
作者のいろはうたです!!
今まで読んでくださった皆様本当にありがとうござます!!
じつはいろはうた、参照が500いったらあげようと思っていた
フレヤちゃんのイラストをピクシブにあげてみました!!
気が早かったです……ハイ……
フレヤちゃんってこんな感じの子なんだ、っていうのが
伝わればうれしいです!!
上のURLからどうぞ!!
それでは、今後とも、
マーメイドウィッチ、よろしくお願いいたしますm(ーー)m
- Re: マーメイドウィッチ ( No.40 )
- 日時: 2016/06/01 22:06
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi
何故かはわからないが、不思議とチノの濡れたように光る唇だとか、
男らしいのどぼとけだとかそういうところに目が行ってしまう。
自分がたまらなくはしたない女になってしまったように思えて
フレヤは顔を赤くした。
違う。
これは、舞踏会の空気にあてられてしまっただけで
ただの気の迷いだ。
別に何もおかしくなどなっていない。
一際音楽が優雅に響き渡る。
ワルツが終わりに近づいているのだ。
チノがこちらを見ている。
不思議なほど深い緑の瞳はフレヤのことしか映していない。
なんだろうこの胸に生まれた気持ちは。
動機がやけに早い。
先ほど飲んだ飲み物はお酒だっただろうか。
「……ヤ」
音楽が響き渡っていて、チノの声がよく聞こえない。
顔をチノのほうに近づける。
ふわりと何かが香った。
チノの匂いだと気付いた瞬間、かっと顔が熱くなった。
「——————フレヤ」
こんなところで名前など呼ばれでもしたら、
平静さを保っていられなくなる。
言葉がでない。
初めて名前を呼ばれた。
ただそれだけのことなのに、どうしてこんなにも自分は混乱しているのだろう。
美しい余韻を残して音楽が消えた。
はっとフレヤは我に返った。
ふりほどくようにしてチノの手から自分の手を取り戻す。
思っていたよりもするりと手は抜けた。
何故かチノを直視することができない。
フレヤは、できるだけ急いでその場を後にした。
広間の中央では、
ステファンとヘレナが躍り終わってお辞儀をしているところだった。
それを視界の端に入れながらも、フレヤは早足で部屋の隅を横切っていく。
バルコニーへの窓が開いているのが見えた。
フレヤは何も考えず、肌寒い風の吹く、
バルコニーへと向かっていった。
- Re: マーメイドウィッチ ( No.41 )
- 日時: 2016/06/02 16:38
- 名前: 成宮 理斗 (ID: RU0wTL.b)
いろはうた様
ごきげんよう理斗るんです(笑)
あぁ、いつ見てもいろはうた様の小説は神ですね……!更新が早くてとっても嬉しいですっ!
いろはうた様の小説は、綺麗で切なくて、いつも引き込まれてしまいます。フレアちゃん可愛いです。
そして絵も凄く上手です!小説も絵も上手なんてあなたは神ですか、いや神ですね!
更新楽しみにしてるので頑張って下さいね!
- Re: マーメイドウィッチ ( No.42 )
- 日時: 2016/06/02 17:25
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi
しかし、バルコニーには先客がいた。
背格好から男性のようだ。
月を背にして立っているため、その姿はよく見えない。
長い黒髪のせいで一瞬女性かと思ったが、
体格やその背の高さから男性だとわかった。
ふと気づいた。
その男性が身に付けているのは、この国のタキシードなどのような服ではない。
異国の民族衣装だということに気付く。
ドレスのように裾が長く、袖も長い。
男性がこちらの気配に気づいてゆったりと振り返った。
フレヤは男性の目を見て息をのんだ。
「ほう、やっといらしたのか」
闇の中で真っ赤に光る目だった。
フレヤと同じ赤い目。
フレヤは混乱して、口を意味もなく開閉したが声は出なかった。
異民族の衣を着ているのに、フレヤたちの言語を滑らかに話している。
「お初にお目にかかる。
我は、ミン国の皇子、シウだ」
聞き覚えのある名前だ。
たしか、遠い遠い東の異国の地にある巨大な国の名前。
その皇子がはるばる西の国まで来たというのか。
何かひっかるが、フレヤはあくまで表情を崩さないようにした。
静かに顔に上がっていた熱が引いていく。
「私は、コペンハヴン国の第一王女、フレヤにございます」
形式的にドレスの裾をつまんで軽いおじぎをする。
顔を上げると、シウと名乗る男性は、こちらを見つめていた。
フレヤと全く同じ色の瞳。
まさか。
いやそんなはずは。
そんな気持ちが入り乱れ、何も言えなくなる。
「お察しのとおり」
まるでフレヤの心を読んだかのようにシウが言葉を発した。
身体が一瞬固まる。
「我は、貴女と同じ異形の血を宿すものだ」
- Re: マーメイドウィッチ ( No.43 )
- 日時: 2016/06/05 23:46
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
- 参照: http://pixiv.me/asaginoyumemishi
ああまさか。
心の中で懸念していたことが、実際に口に出されて確信する。
一目見た時からどこか目が離せないこの独特の魅力。
やはりそうなのだ。
「やはり……貴方も」
フレヤは少し顎をひくようにして、シウを見つめた。
真っ赤な瞳。
フレヤの紅い瞳は水の中で美しく輝くが、
彼の瞳は闇の中で妖しく輝いている。
ひどく美しくて見入ってしまう。
魔性、というものだろう。
「失礼ですが、貴方がどの一族の末裔かお聞きしても……?」
「人の生き血をすすって生きる闇の一族の血を引いている」
聞いたことがある。
闇の一族、ヴァンピールだったか。
闇に溶けるような気品のある姿も、夜に映えるその血のような赤い瞳も納得がいく。
遠い東の地にはまだその血を引くものがいたのかと少し驚きを覚える。
西には人魚と交わった一族は、フレヤたちしかいないので、
こうして異形の血を引くものと会うのは家族以外では初めてとなる。
不思議な心地でフレヤはシウを見つめた。
最初に抱いていた強い警戒心は徐々に薄れていく。
悪い人間ではないのかもしれない。
「妹の結婚式に遠き東の大国からいらしてくださって
光栄の極みでございます」
「いや、貴女の心の痛みに比べたら我の苦労など、とるに足らないものだ」
フレヤの顔が一瞬で凍った。
前言撤回だ。
この男、最悪だ。
フレヤの元婚約者と妹の結婚式であるとわかっていて
わざとこのような物言いをしているのだ。
薄れかけていた警戒心が一瞬で元に戻った。
一方のシウは愉快そうにフレヤを眺めている。
自分の言葉の一つ一つにフレヤが翻弄されているのを見るのが
とても楽しいようだ。
ふと気づいた。
シウほど遠国からきている客はいない。
なぜ彼は、遠い西の国までただの結婚式に参列しに来たのだろうか。
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