神の使徒と希望のヒカリ 作者/乃亜 ◆uz.dYBj786

――――コツ、コツ、コツ・・・

赤い絨毯の上を誰かの足音が通る。

長い亜麻色の髪に黒紫の瞳。

黒いミニドレスに白いシャツ。

長い髪は揺ら揺らと揺れる。

やがて、大きな扉の前に出た。

――――コンコン。

ルイは軽くノックする。

「入りなさイv」

千年公の声が聞こえた。

―――ギィ・・・

―――運命の扉が今

――――拓かれた――――



+21夜+【そして愛する者に君は叫ぶ】




――――シュル、シュル・・・

茨が体に巻きつく。

まだ、ノアとエクソシストは戦っていた。

神田が六幻を構えると叫んだ。


「六幻!抜刀!災厄招来!界蟲一幻!」

界蟲がノアに向かっていく。

ルルアが赤い唇をゆっくりと動かし、言った。

「赤薔薇!薔薇ノ茨!」

ゆっくりと赤薔薇が自らの茨を針の様に尖らした。

―――シュッ

伏羲が茨を避け、右手を茨に当てた。

「闘士ノ拳発動!」

その瞬間、茨に真っ赤な火が燃えた。

赤薔薇は奇声を上げると萎んだ(シボンダ)。

「・・・・あら、酷い事する坊やねぇ・・v」

ルルアは薔薇を元に戻すと、黒薔薇を出した。

―――ゴォォォォ

薔薇の中心部が開き、その中へルルアがトッと入った。

「・・・千年公ね・・何かしら?何か用なのかしらねぇ・・・」

神田がキッとルルアを睨むと言った。


「・・・コナルを何処へやった・・」


その眼は憎しみに満ちていた。


「・・・・ソレは貴方達が探し出さなきゃ。」

ルルアはそう言い残すと、黒薔薇と共に消えていった。

残ったのはアリスのみ。

「えぇ~?ルルア帰るのぉ?

  
    じゃぁ、僕が片付けとくよぉ?」


――――シュッ

いきなりアリスがアレンの目の前に立った。

「!?」

アレンは銃をアリスの頭に向けた。



    ドドドドドドッ!!


鈍い銃の音が響いた。

「やったか!?」

伏羲がアレンを見た。


アレンの前には、煙が漂っていた。


「アレン!後ろだ!」

ソダードが叫んだ。

「・・・・ッ!」

バンッと、アレンが城の壁に叩きつけられた。

「・・・・!」

アレンの目の前には

見慣れた白髪

左目の呪い

団服

「コレは―・・・・・?」

「気付いたァ?」

アレンは目の前の自分が話し出した事に驚いた。

「君は―・・・」

「僕は―・・・」

アレンの目の前には、アレンが居た。

「僕はねぇ・・・」

壁に叩き付けたアレンの顔が変わる。

―――そう、顔の半面は

――――アリス―――

「僕の能力は何もかもを写し取り、自分の能力に出来るんだぁ・・・アクマと違って、とぉ―っても・・・ず―っと・・・」

そこまでアリスは言い終わると、左手を大きな爪に変化させた。

ソレは、アレンの左腕だった。

「・・・強いんだ♪」



       ―ドスッ―


「あああああああッ!!!」

アレンが叫んだ。

アレンの左腕を、アリスが貫いていた。

アレンの左腕の発動は解かれ、アレンは左腕から大量の血を出していた。

ズルリとアレンは力無く地面に倒れこんだ。

「あ―れぇ―・・・ん・・うぉ―か―・・ね。」

アリスはその名前を呟くと、伏羲を見た。

「・・・・てめぇ、アレンを・・」


アリスはニヤリと笑った。

ダッ!

いきなりアリスは宙に舞うと、そのまま消えてしまった。


       ―――ポツ ポツ―――

灰色の雨が降ってきた。

灰色の雨が皆を濡らす。


――ドンッ!

神田が自分の拳を濡れた地面に叩き付けた。


「あああああああぁぁぁぁ!!!」


神田は叫んだ。


ソレを黙って

皆は見ていた。

そして、叫ぶのです。

何度も、何度も

もう帰らぬ愛する者の名を―――