神の使徒と希望のヒカリ 作者/乃亜 ◆uz.dYBj786

――――そう

私が生まれたのは

戦いばかりの世界。

   そこで私と君は

         会った。



+29夜+【君と出会った日】




私が君と出会ったのは、3年前―――


「ゴホッ・・・!ゴホゴホ・・ッ!」

「お母さん・・・!大丈夫・・・?」

硬いベッドの上で、私の母は寝ていた。

私の母は体が弱く、いつ倒れるかも分からない状況だった。

私には兄が居た。

兄は兵として戦争へ出ていた。

今、私の住んでいる世界は戦争をしていた。

他の国と私の国が。

私と母は、その国に住んでいた。

「・・・・有難う・・・コナル・・」

お母さんは美しかった。

私の父さんは戦争で亡.くなった。

私は父さんを知らなかった。

母さんはそれから戦争の所為で体が弱くなった。

病気にもなった。

「お母さん・・」

今度は兄だ。

この世界はいつまで人の命を亡.くせば気が済むんだろうか。

私は外の爆音が止まない日を過ごした事が無かった。



―――――カタン


「ポスト―・・・」

・・兄はいつも手紙を送ってきていた。

母と私はそれをいつも悲しげに見ていた。

ビリッ・・・

手紙の封を切った。

中から淡い桃色の封筒を手に取る。



「―――――え?」



目の前の手紙が信じられなかった。

目の前の字は兄の字では無かった。


「・・・・お母さん・・」

ゆっくりとお母さんの真っ白な手に淡い桃色の紙を渡す。


兄が書いていない手紙には

兄がもう還らぬ人となってしまった事を告げていた。

お母さんはソレを見た。

見た瞬間、頬を濡らした。

涙で。

「・・・・・ッ!」


母は声も出さずに泣いた。

私も悲しかった。

でも私も泣いたら

お母さんはもっと悲しくなるだろう―・・・



          +


私は外へ出ていた。

敵は久しぶりに居なかった。


ゆっくりと街の中を回る。


――――ザッ

足元の砂が音を発てた。

「・・・私の足音じゃない・・」


もうすぐやって来る。

その足音が。

逃げ出そうとするけど

足が震える。


――――ザッ、ザッ・・・


    「もう

         ダメだ―――」



「・・・あ?」


誰かの声がした。

顔を上げると長い髪を一束にした少年が居た。

「貴方、敵?」

「・・・お前、誰だ?」

敵じゃない違和感がした。

「―・・私は、コナルクルハ・リバーベル。貴方は?敵?」


その少年は私の事をハッとした様に見ると、ゆっくりと話した。

「・・神田だ。敵じゃない。」


神田―・・ね。

「貴方、この街の者じゃないのね・・」


―――ピクリ

ガキィィィン・・!!

鈍い音が響いた。


私が手に持っていたのは綺麗なステッキ。

ステッキには弾丸がめり込んでいる。

目の前には一人の知らない男性が銃を持っていた。

「敵・・・?」

男性の目は虚ろだ。

―――ヤバい。

そして、神田と名乗った少年は刀を取り出した。

「六幻、抜刀!」

いきなり、六幻と呼ばれた刀が光りだす。


「災厄招来―・・・」

前より光を帯びた刀は神田が男性に向ける。


――――グル

グルグルグルグル・・・・

いきなり虚ろだっだ男性の目が回りだす。


バリッ―・・・

男性の皮が破れた。

中から現れたのは化物。

化物と言うより機械の様な化物。


「界蟲一幻!」

界蟲と呼ばれた物が化物に向かっていき、そして壊した。


「・・・凄い・・」

思わず声に出してしまった。


神田はコッチと向くと、目の前に立って言った。

「・・・お前は適合者だ。そのステッキのな。」


このステッキは

お父さんが唯一、良いと言ってくれた物だった。

お父さんのお気に入りだった。

そしてお母さんのお気に入りでもあった。

「お前には今さっき出たアクマと言う物を倒してもらう。

アクマとは、人の哀しみで作られる物だ。

それは破壊するしか手は無い物だ。

・・そして適合者と言うのは、神の結晶と呼ばれる物、イノセンスの適合者と言う物だ。」


――――よく分からなかった。


・・・私は逃げていた。

「あっ・・オイ!」

神田の声も聞こえたけど

今は″それどころじゃ無かった。〟



嫌な予感がした。

嫌な予感は―――


私の家からだった。