神の使徒と希望のヒカリ 作者/乃亜 ◆uz.dYBj786

―――早く気付いて

僕は君といつも居たんだ

お願い・・

―――早く気付いて―――



+25夜+【意識】




『―――て・・・』

―――・・

『――いて・・』

―――誰?

『―付いて・・』

―――誰か私を呼んでる・・・?

『気付いて・・』


目の前に広がるのは

水色と白が混じった綺麗な景色

『・・・・気付いてくれたんだ。』

『誰?何処に居るの―・・?』

『何言ってるの・・?君はまだ思い出せないの―・・?僕はいつも君と共に戦ってきた―・・』

『共に―・・・?戦う―・・・?』

『・・・そうだよ。』

目の前にあるのは小さな光

ゆっくりと手を伸ばす

目の前の光を掴み取るために

『・・大丈夫、君はきっと愛する者と仲間のおかげで僕を思い出してくれる―・・・』

光を捕まえようとしても

光は私の手をすり抜ける___

『さぁ―・・・目を開いて―・・』

いきなり目の前に光が差し込む

何かに吸い込まれ感じがした。


『さぁ―・・・

     思い出して―・・

        僕はいつも君の傍にいたんだ―・・』






          *



「・・・・」

目の前には

いつもと変わらぬ部屋

いつもと変わらぬ自分が居た。

「思い―・・・出して―・・・」

その言葉を呟くと

唇がくすぐったい。

懐かしい物が込み上げて来る。


「ルぅ――いッv」


「ロー・・・ド。」

目の前には嬉しそうなロードの顔が在る。

目の前にはいつもと変わらぬ世界が在る。

目の前にはいつもと変わらぬ仲間が在る。


「どぉしたのぉ?元気ない?」

ロードが心配そうに顔を覗き込む。

「ん・・・大丈夫。ちょっと恐い夢を見ただけ。」


思い出す物なんて何も無い。

私に思い出す物なんか。



――――ドクン



「あッ・・・」


『    思い出して

       僕の事

       思い出して

      愛する者を    』



「ああああああああッ・・!!」

体が痛い

ロードが言った

「大丈夫・・・ルイ・・・」

言い聞かせる様に何度も言う。

そしてゆっくりと私を抱きしめた。

「大丈夫だよぉ・・」


安心、した。

「うん―・・・・」

大丈夫、だ。

きっと、多分。

「アリガト・・・・ロード。元気、出た。」


ロードは私の全て

いつも

優しくしてくれる。

この居場所は

私の全て

私は

思い出す物なんて何も無い______




        *

――同時刻、黒の教団――

「はァ?任務?」

神剣が言った。

「久しぶりですね。で、今回は?」

詠娑が聞いた。



コムイがにっこりと笑った。



「今はノアになってしまったエクソシストの剥奪―・・・と・・・ノアのところへの強行突破だ。」