神の使徒と希望のヒカリ 作者/乃亜 ◆uz.dYBj786

第二章―プロローグ―



・・・・その悲劇が始まったのはある夜からだった。 ある一人の男性が 入浴場に忍び込む。 そして水に何かを入れた。 そして笑った。 「・・・・・ふふ・・・」



1夜【ある夜に】




今、神田はコナルの病室に居た。

コナルはベッドの上で温かいミルクを飲んでいる。

その顔は前とは違い、笑顔だ。


コクリ・・

最後の一口をコナルが飲み干した。


そして隣にあるテーブルにコップを置くと、神田の方を向いた。



「・・・ねぇ、神ちゃん。
私と神ちゃんが初めて会った時の事覚えてる?」


神田は溜息をつくと言った。

「・・・・ああ・・」

コナルはソレを聞くとクスリと笑った。

「よかった・・・・私、あの時も神ちゃんに酷い事しちゃったよね―・・・

『返せ―・・・』な―んて・・

戻る訳無いのにさ・・・」

コナルはそう言うと悲しげに笑った。

「あの時も・・酷い事しちゃったよね―・・」

言い聞かせる様にもう一度言った。

「・・・結局、私皆を傷つけてばっかだね―・・

酷いよね―・・

私―・・」


コナルの頬を涙が伝う。


「   ・・・・・ゴメン・・

ごめん・・・神ちゃん・・」


ひっくひっくとコナルが泣く。

神田はソレを見ると、コナルの頭を優しく撫でた。



「・・いいから・・」


コナルはまだ涙の溜まっている目を神田に向けた。

そしてにっこりと笑った―・・


「     ・・・アリガト・・

     神ちゃん―・・」


           *


―――コナルは久しぶりに風呂にやってきた。

大きな大浴場。

今は夜。

人気(ヒトケ)はない。

「ん・・?」

ガサリと音がした。

(誰か居たのかな・・?)

コナルはそう思いながら湯に浸かった。

「気持ち良い・・」


         *

―――朝。

外で雀が鳴いている。


「キャァァァァ――――ッ!!」


いきなりコナルの悲鳴が

朝の教団に響いた。


「!!」

神田はその声で覚めた――――