神の使徒と希望のヒカリ 作者/乃亜 ◆uz.dYBj786

――――――声ガ

聞コエナイ。

―――――何モ

見エナイ。

眼ノ前ニ在ルノハ

黒イ闇バカリ――――

嗚呼、君ハ

一体何処ヘ消エタノダロウ―――



+22夜+【ソシテ闇に堕チテ、堕チテ】




カタン―――――

ルイがゆっくりと駒を動かす。

ルイの目の前にはチェスの盤と千年公が居た。

その隣のソファーにはロ―ドがすわり、レロを持っている。

その横の椅子にはティキがすわり本を読んでいる。

今、千年公とルイはチェスをしているのだ。

「・・・・で、今度は何なの千年公ぉ~?」

ロードが持っていた飴を取り出し、ゆっくりと舐める。

ふわりと甘い苺の香りが香る。

「嗚呼、そうでしたネv」

千年公はゆっくりと黒い駒を動かした。

「実はですネv(ア、ソコデスカ。)コノ町の人間を全滅(フフンv)させてほしいンですヨv」

途中で千年公がチェスの遣り取りをしている。

「ふぅ~ん・・・・じゃ、行こう!ルイv」

ロードがいきなりレロを掴むと、飴を口に銜え、そしてルイの右腕を掴む。

「あ・・・・・勝負・・」

「いいじゃ―んvチェスなんてッvさ!行こう!」

そのまま扉を派手に開けると、二人は出て行った。

扉を開けた時に入った風が駒を一つ倒れさせた。

「・・・・ティキぽンv」

「・・・・何スか?」

「ルイが居なくなりましたネv」

「・・・・そうっスね・・」

「・・・・ティキぽん」

「・・・・はい。」

「お手合わせ願いまスv」

ティキは呆れた様に肩を竦めると(スクメルト)、溜息をついた。

「・・・・願い下げます―――」



         *


此処はある町の上空。

ロードはレロの上に座り飴をぺろぺろと舐めている。

ルイは右手に真っ黒でレースが付いた傘をさしている。

ロードはルイの方に向くとニコリと笑った。

「・・・・あの町を全部壊しちゃって?人間なんか一つも残さずにv」


――――ビクン

ルイの体が震えた。

ルイは手を上に翳した(カザシタ)。

「隕石弾(メテオショット)」

ルイがそう言うといきなり空中に隕石が現れた。

その隕石は町にどんどん当たっていく。

ルイはそのまま町に下りていく。

キャァァァ!!

逃げろ・・・

様々な人間の声が、火の中で飛び交う。

ルイは黙ってソレを見ている。


「・・・・起きてよ・・・ねぇ・・・」


一人の少女が誰かを揺さぶっている。


少女が揺さぶっているのは髪の長い女の子。


――――友達か・・・


ルイは感づくと、その少女の前に立った。

「・・・・誰?」


――――グチャリ


鈍い音だった。

もう少女は人間の姿をしていなかった。

血に塗れ(マミレ)、音をたてて崩れ落ちた。


――――ビクン

また体が震えた

「・・・あ・・・あ・・・」

ルイの口から呻き声が毀れた。

頭が痛い

苦しい

痛い

苦しい

哀しい

辛い

そんな感情が体を渦巻く。

――――トスッ


気付いたらもうルイはロードの腕の中に居た。

そのままルイの意識は途切れた。

「オヤスミ・・・・」

ロードの声を聞いて。