すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-
作者/ 夕詠 ◆NowzvQPzTI

【harmony.18*しんちょうさ!】
初めまして!
一般からの知名度が低いファゴットパートとJPOPの曲でしか需要のないエレクトリックベースを兼任しています。小鳥居渚です。
今はファゴットパートの練習中。
なんだけど、
「渚って髪綺麗だよね」
「そりゃどーも」
「渚ってまつ毛長いよね」
「そりゃどーも」
さっきからこの会話の繰り返し。
ちなみに私の顔を超至近距離で覗きこみながら質問を繰り返すのは、この小説きっての問題児、同じパートの川端下美咲。
美咲のせいでカキコのジャンルを移動せねばいけなくなるかも……という不安を知ってか知らずか、やはり性癖は変わらず、美咲は今日も変態です。
あ、美咲の性癖についてはharmony.5*百合色ファゴットからどうぞ!!
「ねぇ、渚」
「何だよ」
美咲の今日何度目か分からない“渚”に少しイラつきながらも返事を返す。
つーか、マジで近いんだけど、顔。
すると美咲はもっと顔を近づけて口を開く。
「抱きしめていい?」
「もう死ねよ、お前」
美咲からありえない言葉が出てきたので、速攻で打ちのめす。
どう考えても「いいよ」なんて言うわけねぇだろうが。
すると、美咲はへらっと笑って、
「だって渚ちっちゃいから可愛くって。抱きしめたくもなるよ」
「ち、ちっちゃくねぇよ、馬鹿!美咲がでかいんだって」
身長が小さいのは昔からのコンプレックスだ。
高校二年生になっても百五十三センチの私に比べ、美咲は百七十センチ弱。
ただでさえ人から言われるとムカつくのに、身長の高い美咲に言われるとさらにムカつく。
私は美咲を睨んだ。
「もうこれじゃ、練習にならないっつーの……私、楓くんのところ行くから」
そして私は座っていた椅子から立ち上がった。
すると、
「じゃあ私も」
と美咲も立ち上がった。
私は頭を抱えるのだった。

小説大会受賞作品
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