すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-
作者/ 夕詠 ◆NowzvQPzTI

【harmony.48*Only your and my secret-私と貴方だけの秘密-】
部活終了後。
コンクールを明日に控え、帰路に着く前に私―――功刀つばさは生物準備室に向かっていた。
萱沼先生に、この間提出し損ねた生物のノートを出しにいかなければならないからだ。
他の先生だったら正直面倒だが、萱沼先生となれば足取りも軽い。
自然と早足になり、あっという間に生物準備室の前に。
「失礼しまーす……」
私は熱いからかすでに開いているドアから中に入った。
するとパソコンで何やら作業中の先生の姿が。
数秒後、先生は私に気づいた。
「功刀さん、どうかしました?」
パソコンのディスプレイから私へと移る視線。
私は視線を逸らす。
「あ、あの……この間出せなかったので、コレ」
俯きながら私はノートを机に置いた。
先生は真面目だね、と笑った。
「では、私はこれで……」
私も出口まで行って立ち止まり、
「失礼しました」
と準備室を出た。
すると、
「功刀さん!」
私の名前を呼ぶ声。
振り返ると先生の姿が。
「明日、大会だそうですね」
あ、知ってたんだ、と心の中で驚きながら私は頷いた。
すると先生は今日一番の笑顔を見せて、
「応援してるよ、頑張って!」
それは私の乙女フィルター的なものがかかっているからなのか、とてもキラキラして見えて。
「はい!」
なんだか絶対勝てるような、そんな気がするの。

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