すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-
作者/ 夕詠 ◆NowzvQPzTI

【harmony.61*お久しぶりでーす!】
控室に入ると、いつもの吹部の部員たち、まとめて置かれた楽器ケース、そして見慣れない学ランを着た男子たちがいた。
え、誰?
「あ、凜ちゃん!」
そんな疑問を抱いていると、絢音先輩が駆け寄ってきた。
「あ、あの先輩。あの学ランの人たちは一体……」
私は聞いてみた。
すると絢音先輩は学ランご一行を見て、
「あれは甲山府高校だよー!コンクールの控室は他の学校と合同だから」
「そうなんですか」
それで甲山府と南梨が同じ部屋になったってわけか。
まぁ、別にどうでもいいか。
もう部屋から出ていくみたいだし。
「皆、揃ってるー?」
甲山府と入れ違いになるように、控室のドアを開け、中に入ってきたのは米長先輩。……あ、加賀美先輩もいた。
米長先輩は全員居るのを確認して加賀美先輩に報告する。
すると加賀美先輩は咳払いを一つして、
「では、出演時間までまだ時間があるので他校の演奏を聴きに行きます。それに伴って、現在時刻十時からリハーサル開始の十四時半までは自由時間とします。各々、有意義な時間を過ごしてください」
「はい!」
本番当日だからなのか、緊張なのかはわからないが、いつもより気合の入った部員たちの返事。
あと、加賀美先輩も部長らしい感じがする。
何か、カッコいい……。
「凜ちゃん、一緒に行かない?」
後ろから声を掛けられ振り向く。
するとそこには約十話ぶりの登場の樹里音と功刀さんが。
お久しぶりでーす。
「うん、いいよー」
私は心の声をそっと胸の奥にしまいつつ、笑顔で返事。
そして私たち三人は控室を出た。

PR
小説大会受賞作品
スポンサード リンク