すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-

作者/ 夕詠 ◆NowzvQPzTI



【harmony.44*素直すぎるのも!】



どうも、岡田です!
ついに、合コン当日!
相手はもちろん、どこぞの小学校や幼稚園ではなく、近所の女子高の五人。
ちなみに今日、俺はサポート役に徹するつもりだ。
さすがに毎度毎度パンやらおにぎり投げられるのは、ちょっと……。
だからアイツらに早く彼女という存在を与えなければ、という結論。

「じゃあ、自己紹介から行きましょうか!」

俺はできるだけ明るいトーンで言う。
第一関門、自己紹介。
ここで成功への道が大きく分かれる重要な部分だな。
間違っても変な発言だけは避けさせなければ……。
要注意人物は年齢=彼女いない歴の秋臣だな。
緊張で何を口走るか分からねぇ。

「……高の伊藤沙希です」

茶色のウェーブがかかった髪に大きな目が特徴的な女子がハキハキと言った。
うわぁ、この子可愛い!!
っていうか、コレ向こう側の自己紹介終わった!?
やばいって、コレ!沙希ちゃんの名前しかわからないよ、コレ!

「じゃあ、次は俺たちですね」

意外にも落ち着いて梅垣が言った。
お、コレは安全牌……

「梅垣京平、高一です。好きなものは幼女です」

う、梅垣ィィィィィィィィィ!!
何しれっとした顔で言っちゃってんの!?
唯一の救いだと思ったら幼女だよ!予想はしてたけどさぁ!
見て見ろよこの状況!女の子たち引いちゃってんじゃん!
次の奴で挽回しねぇとまずいぞ……。

「じゃあ、次は俺が」

そう言って立ち上がるのは、珍しく男の格好をしている花ちゃん。
コイツは女装さえなければ美少年だからな……。
多少変なことを口走っても顔で補正されるだろうから大丈夫か。

「花形晶、高一。よろしく」

ニコリとも笑わずに言う、花ちゃん。
コイツ、ホント愛想無いなぁ。
だが、それだけならよかったのだが、座るときにボソッと一言。

「……なんだ、俺の方が可愛いじゃん」

花ちゃんんんんんん!?
美少年顔でそんなこと言わないの!
ほら、絶対女の子たちに聞こえたって!顔ピクピクしてるもん!
あぁ……やばいかも。