すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-

作者/ 夕詠 ◆NowzvQPzTI



【harmony.33*あたしの気持ちと修学旅行!】



結実ナルシス子事件で揉めたグループ研修が終わり、今はホテルの部屋。
ちなみにあたしはひなたと同じ部屋。

「ねぇ、郁ちゃん。ホントに今日言うのー!?」

ひなたはベッドの上で駄々をこねるようにごろごろ転がっている。
今日、ひなたは加賀美に告白する。予定。
後押ししたのは、あたし。
加賀美だってひなたのことが好きかもしれないんだから、言わないのは勿体ないでしょ?
だったらちゃんと言った方がいいと思う。
だけど、

「そりゃそうでしょ。だって今日ぐらいしかチャンスなんてないじゃない」

ひなたの事は好きだし、応援したいって思ってる。

「えー!!でも緊張するよー!!」

でもね、ひなた。

「大丈夫よ。きっと加賀美だってアンタの事、」

一つだけ言ってないことがあるの。

「きっと……」

あのね、

「アンタの事……っ」

今まで隠して来たけどずっと、

「郁ちゃん?泣いてるの?」

ずっと、

「泣いてない……っ!!」

涙が止まらない程、加賀美が好きなの。



でも、あたしになんて振り向いてくれないのは分かってるから、ひなたに譲ってあげる。
それが加賀美にもひなたにとっても一番だって信じてるから。

「……頑張ってね、ひなた」

繕った嘘は、儚く落ちた。