すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-
作者/ 夕詠 ◆NowzvQPzTI

【harmony.46*trick!】
俺以外まったく女慣れしていない四人の部活仲間と合コンに来た俺―――岡田光輝は四人の度重なる失言のせいで窮地に立たされていた。
ここはやっぱりこの俺がやってやるしかねぇか。
「最後!岡田光輝、高校二年生!!よろしくね!」
最高に明るい笑顔できめる俺。
ここから徐々に場の空気を回復させてやる!
だが、その前に。
「おい、お前ら」
俺は声を潜めて四人を呼ぶ。
「くれぐれも余計なことするなよ?せっかく立て直してきたんだから」
俺が言うと四人は頷いて見せた。
……本当に大丈夫か?
まぁ、不安だけど……しょうがねぇ、いくか。
「ねぇ、誰でもいいからこの箱開けてみて」
俺は鞄の中から取り出した立方体の小さな木箱を女の子たちに渡した。
あれは一種のイタズラ道具で開けると毛虫のおもちゃが飛び出してくるというもの。
これで「わっ!?ビックリしたぁ!ちょっとぉー、岡田くーん!!もう、イタズラ好きとか可愛いー!!」的な流れに!!
そしたら、場の空気を元に戻すことが!!
―――……よし、いける!!
「えー?何ー?」
嫌そうなリアクションを取りながらも唯一名前が分かる女の子、沙希ちゃんは木箱を受け取った。
そして、ふたを開けた。
ここで毛虫が―――出てこない。
そのかわりに出てきたのは、放送禁止用語に引っかかるようなもので。
え、何アレ!?俺入れた覚えないんだけど!!
「ちょっと、岡田君?」
沙希ちゃんが冷たい目線を俺に送る。
うわー……怖ぇ!!
っていうか、こんなもの誰が……あ!!
「もしかして……」
俺がその人物―――秋臣に目を向けるとキラキラした笑顔が返ってきた。
あ、あ、あ……、
「秋臣ィィィィィィィィィィィ!!」

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