二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70
- Re: 145章 ワイルドカード ( No.307 )
- 日時: 2011/07/18 20:57
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「出て来て、シビルドン!」
ベルが次に繰り出すポケモンは、電気魚ポケモンのシビルドン。手と足のあるウナギのようなポケモンだ。
「シビルドン、ラスターカノン!」
シビルドンは口から銀色に光る球を、レパルダスに発射する。
「レパルダス、避けろ」
だがレパルダスの俊敏な動きで、ラスターカノンは回避される。さらにレパルダスはそのままシビルドンに接近してくる。
「燕返しだ」
そして鋭い爪でシビルドンを切り裂く。
「ドラゴン——」
「レパルダス、不意討ちだ」
シビルドンが龍の力を込めた爪でレパルダスを攻撃しようとすると、レパルダスはシビルドンの背後に一瞬で移動し、爪の一撃を見舞う。
しかし、シビルドンはその程度では怯まなかった。
「シビルドン、岩石封じ!」
突如、地面が隆起し、レパルダスは盛り上がった岩に捕らえられてしまう。
「下がってシビルドン、ワイルドボルト!」
シビルドンは捕まったレパルダスから一旦距離を取り、激しい電撃を身に纏って突撃する。
「フッ……なかなか、強力なカードを持っていたんだな」
ギーマはワイルドボルトで戦闘不能となったレパルダスをボールに戻し、そう呟く。
「シビルドンか……だったら次はこれだ。出て来い、ズルズキン」
ギーマの2番手は、イリスも使う悪・格闘タイプのポケモン、ズルズキンだ。
「ズルズキン、噛み砕く」
ズルズキンは口を開き、シビルドンに向かって走り出す。
「シビルドン、迎撃するよ。ドラゴンクロー!」
シビルドンは向かって来るズルズキンを、龍の力を込めた爪で引き裂く。
「その程度じゃ、このズルズキンは倒せないぜ。ズルズキン、もう一度噛み砕く」
ズルズキンは再度大口を開けてシビルドンに特攻する。
「それじゃあもう一度、ドラゴンクロー!」
さっきと同じように、シビルドンは龍の爪をズルズキンに繰り出すが
「潜り込め」
ズルズキンはシビルドンが腕を振るうのとほぼ同じタイミングで前のめりのまま体勢を低くし、ドラゴンクローを回避する。そして
「ローキック」
シビルドンの足をすくうような蹴りを放ち、シビルドンを転ばせる。
「冷凍パンチ」
さらに冷気を纏った拳を、がら空きになったシビルドンの腹に炸裂させる。これは相当なダメージになっただろう。
「深追いは禁物かな。ズルズキン、下がれ」
ズルズキンは慎重で、これ以上の追撃はせずにシビルドンから距離を取る。
「シビルドン、大丈夫だよ。ラスターカノン!」
何が大丈夫なのかは定かではないが、シビルドンは銀色に光るの球体を口から発射する。
「弾け。冷凍パンチ」
だがズルズキンはその球体を冷気を纏った拳で弾いてしまう。
「シビルドン、岩石封じ!」
シビルドンは床を叩き、地面を隆起させ、盛り上がった岩でズルズキンの行動を封じる事を試みる。
「思念の頭突き」
それに対しズルズキンは、思念のこもった頭を床に叩きつける。その奇怪な行動にベルは疑問符を浮かべるが、何故そのような行為に出たかはすぐに分かった。
「え……あれ。岩が……」
そう、岩石封じで隆起するはずの岩が、いつまで経っても出て来ないのだ。
「思念の頭突きにはこういう使い方もある。地面に思念を流し込む事で、他の思念を打ち消す事ができる」
岩石封じの他にも、誓の技や大地の力など地面から何かを発生させて攻撃する技は、総じて地面に思念を送り込んでいるのである。そうする事で地面から何かを発生させて攻撃するのだ。
ちなみにこれは、いつかのムントとレンジの戦いでムントが行った戦法の応用だが、それを知るのはその2人だけである。
「さあ行くぜ。ズルズキン、冷凍パンチだ」
ズルズキンは拳に冷気を纏わせ、シビルドンに向かって走り出す。
「だったらこっちも、ワイルドボルト!」
シビルドンも激しい電撃を纏いズルズキンに向かって走り出す、というか突進する。
「これはやや予想外だが、対処できなくはない。ズルズキン、ローキック」
ズルズキンは拳に冷気を纏わせたまま、シビルドンの足をすくうような蹴りを繰り出し、シビルドンを転ばせる。
しかし、代わりにズルズキンは吹き飛ばされた。
「な……!?」
ここで初めて、ギーマは驚きの表情になる。それもそうだろう、自分のポケモンがいきなり吹き飛ばされて、冷静でいられるトレーナーなどそういない。
「あれ……?」
ちなみにベルも疑問符を浮かべている。どうやらズルズキンが吹き飛ばされたのは、ベルが——シビルドンが故意にやった事ではないらしい。
「……まあ、シビルドンが気合を入れて電撃を纏い、その電圧や電流が通常よりも強かったってところだろうな」
ギーマはすぐに平静を装い、ズルズキンをボールに戻す。実はさっき吹き飛ばされて戦闘不能になったのだ。
「それにしても、途轍もない破壊力を持ったシビルドンだな。そんなワイルドカードを初っ端から使うとは、恐れ入ったよ」
ギーマは軽く微笑み、次のボールを取り出す。
「だが、単純に力が強い札なら、こっちにだってある。さあ出て来い、ワルビアル!」
ギーマの3番手は、威嚇ポケモンのワルビアル。直立したワニのような姿で、体色は赤黒いく、見た者に恐怖心を植えつけるような相貌だ。
「さて、この勝負はどう転ぶか……」
ギーマはボールをしまいつつ、怪しく微笑む。心の底から、バトルを楽しむように。
ヤバイです。なんだかこのベルVSギーマ、早く終わりそうです。まあ、話を長くするのは簡単なんで、そんなに深刻ではありませんがね。ではでは、次回はベルVSギーマ、パート3です。たぶん3です。お楽しみに。
- Re: 146章 エースカード ( No.308 )
- 日時: 2011/07/19 00:30
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「シビルドン、ラスターカノン!」
シビルドンは銀色に輝く球を口から発射する。
「ワルビアル、ストーンエッジ」
対するワルビアルは鋭く尖った岩を無数に発射し、ラスターカノンを相殺。そしてそのままシビルドンにもダメージを与えた。
「うぅ……シビルドン、岩石封じ!」
シビルドンは結構ダメージを受けたようだが、負けじと地面を隆起させようとする。
「砂地獄だ」
がしかし、ワルビアルは自分を中心としてそのの周囲に流砂を作り、岩石封じを防ぐ。
「ストーンエッジだ」
ワルビアルはさらに尖った岩を発射し、シビルドンを攻撃。
「だったら……ワイルドボルト!」
シビルドンは激しい電撃を纏い、飛来する岩を砕きながらワルビアルに突撃する。しかし
「効いてない……?」
「当たり前だ。ワルビアルは地面タイプで、ワイルドボルトは電気タイプ。電気タイプ技は、地面タイプには効果がない」
こんなものは初歩の初歩だ。とギーマは言う。
「ワルビアル、ドラゴンクロー」
ワルビアルは目の前で止まっているシビルドンに、龍の力を込めた爪を炸裂させる。
「シビルドン、こっちもドラゴンクロー!」
シビルドンも同じようにドラゴンクローを繰り出すが、ワルビアルのドラゴンクローの方が僅かに強い。
「とどめだ。ドラゴンクロー」
ワルビアルは最後にドラゴンクローを決め、シビルドンを戦闘不能にする。
「戻って、シビルドン」
ベルはシビルドンをボールに戻す。これでベルの手持ちも残り2体だ。
「地面タイプなら……このポケモンだね。出て来て、ムーランド!」
ベルの3体目のポケモンは、寛大ポケモンのムーランドだ。
「ムーランド、波乗り!」
ムーランドはどこからか大波を発生させ、ワルビアルを飲み込んだ。
「やるねぇ……ワルビアル、砂地獄だ」
ワルビアルは意外とタフで、効果抜群の波乗りを受けてもすぐに立ち直り、ムーランドの足元に流砂を発生させる。
「! ムーランド!」
ムーランドは流砂に捕まり、もがくが全然抜け出せない。
「無駄な足掻きだ。このワルビアルの砂地獄を喰らって、逃れられたポケモンはいない。さあワルビアル、ストーンエッジだ」
ワルビアルは動けないでいるムーランドに鋭く尖った岩を無数に放つ。
「ドラゴンクロー」
そして龍の力を込めた爪をアッパー気味に喰らわせ、ムーランドを打ち上げる。
「ムーランド、噛み砕く!」
ムーランドは攻撃こそ受けたが、そのお陰で砂地獄から脱出が出来た。そしてムーランドは落下しながらワルビアルを噛み砕こうとする。
「無駄だよ。ワルビアル、イカサマだ」
ワルビアルはムーランドが攻撃する直前に、不自然な動きを見せる。そしてムーランドの歯がワルビアルの体に喰い込むのとほぼ同時に、ワルビアルの一撃がムーランドに炸裂する。
「ムーランド。大丈夫?」
大きく後ずさったムーランドはかなりのダメージを受けたようだが、まだ戦闘不能にはなっていない。
「イカサマは相手の能力を利用して攻撃する技。使い難く扱い辛いのが難点だが、使いこなせば強力な武器となる。イカサマも、ゲームでは立派な戦法さ」
ギーマは黄色いマフラーをはためかせながら言う。
「ムーランド、岩砕き!」
ムーランドは前足に力を込め、ワルビアルに向かって走り出す。
「懲りないな……ワルビアル、砂地獄だ」
ワルビアルは再三、流砂を作ってムーランドの動きを止めようとするが
「ムーランド、ジャンプでかわして!」
ムーランドは大きく跳躍して砂地獄を回避、ワルビアルの脳天に岩砕きを炸裂させる。
「手を読み間違えたかな……? まあいいさ。ワルビアル、ストーンエッジだ」
ワルビアルはとりあえず、ムーランドを離すために鋭い岩を乱射する。
「ムーランド、退いちゃダメ。波乗り!」
ムーランドは後退せず、むしろ波乗りで前に出る。
「岩砕き!」
大波を受けて体勢を崩したワルビアルに、ムーランドは岩砕きを喰らわせる。
「ワルビアル、イカサマだ」
ワルビアルはムーランドの攻撃が止まったところを見計らい、不自然な動きでムーランドを攻撃する。
「ムーランド、噛み砕く!」
「かわしてドラゴンクロー」
ワルビアルはムーランドの噛み砕くを一歩後退してかわし、すぐさま一歩前に出てドラゴンクローを喰らわせる。
「しぶといな、そのムーランド」
ギーマは言う。確かに攻撃力の高いワルビアルの攻撃をこれだけ喰らってもまだ倒れないムーランドの耐久力は、見事なものだろう。
「だが、それでもそろそろ終わるだろう。ワルビアル、砂地獄だ」
ワルビアルはムーランドの足元に流砂を作るが、ジャンプで避けられる。
「そうくると思ってたよ。ワルビアル、ストーンエッジ」
ワルビアルは空中にいるムーランドに鋭い岩を無数に突き刺して攻撃。
「とどめだワルビアル。落ちてきた所にイカサマ」
ワルビアルはムーランドの落下点に素早く移動し、不自然な動きを見せる。どうやら落ちてきたらすぐに攻撃するようだ。
しかし、その作戦は失敗に終わる。
「ムーランド、ギガインパクト!」
ムーランドは落下すると同時に、膨大なエネルギーを身に纏う。そして落下点にいるワルビアルに、衝突する。
ワルビアルはその攻撃を受ける直前にイカサマを使ったが、ギガインパクトのただただ強大な破壊力の前には、イカサマなんて小細工は意味を成さず、巨大な力に押し潰された。
「……やれやれ、とんだエースカードを持っていたものだな」
ギーマは、戦闘不能となったワルビアルを見ながら、そう言う。
今回はベルVSギーマ、パート3です。チェレンと統一したいので、後2回分、頑張ります。それにしてもイカサマって何なんでしょうね?正直、僕よく知らないんですよ。相手の能力値だか攻撃力だかがどうたらこうたらというのは知っているのですが。では、次回のベルVSギーマ、パート4もお楽しみに。
- Re: 146章 ジョーカー ( No.309 )
- 日時: 2011/07/19 15:52
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「さて、このポケモンが最後か」
ギーマは残りのポケモンが1体だというにも関わらず、全く焦った風がない。
「それじゃあ出て来い、キリキザン」
ギーマの最後のポケモン、キリキザンは人型で、両腕、胴、頭に刃をつけたポケモンだ。
「キリキザン、サイコカッター」
キリキザンは腕の刃に念力を込め、それを刃と化してムーランドに飛ばす。
ギガインパクトの反動で動けないムーランドは、その刃の直撃を喰らうが、ぎりぎり耐えた。
「ムーランド、波乗り!」
ムーランドはどこからか大波を発生させ、キリキザンを飲み込もうとするが
「キリキザン、跳べ」
キリキザンは大きく跳躍し、大波をかわす。
「このキリキザンの刃はスカスカでな。防御力は低いが、その分素早さが高く、身軽なんだ」
キリキザンが着地するのとほぼ同時に、ギーマは言う。
「次、行くぞ。キリキザン、アイアンヘッド」
次にキリキザンは頭に銀色のオーラを纏い、ムーランドに突進する。
「ムーランド、岩砕きで引き剥がして!」
ムーランドは前足に力を込めて突き出すが、キリキザンはそれをバックステップで回避。
「辻斬りだ」
そしてキリキザンはムーランドの脇を通り、その通り間際に鋭利な刃物で切り裂く。
「ムーランド、ギガインパクト!」
ムーランドは辻斬りで距離が離れたキリキザンに向かって猛進する。効果はいまひとつだが、もし喰らえば相当なダメージになるだろう。しかし
「キリキザン、引きつけて瓦割りだ」
キリキザンはムーランドをギリギリまで引きつけ、その脳天に手刀を叩き込む。
「ムーランド!」
前の戦いでのダメージもあって、ムーランドは効果抜群の瓦割りを喰らって戦闘不能になる。
「戻って、ムーランド」
ベルはムーランドをボールに戻す。これでベルの残りポケモンも1体だけとなった。
「次はこのポケモン……出て来て、エンブオー!」
ベルの最後のポケモンは、直立した豚か猪のようなポケモン、エンブオーだ。
「エンブオーは炎・格闘タイプのポケモン。対するキリキザンは悪・鋼タイプのポケモン。タイプ相性では、キリキザンが圧倒的に不利だな」
そう言うがギーマは、全く慌てない。それどころか余裕の表情だ。
「エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーはその場で足踏みし、砂煙を舞い上げる。そして燃え盛る炎を纏い、キリキザンに突進する、が
「サイコカッターだ」
ニトロチャージは基本直進する技なので、途中で軌道を変えたりして相手の攻撃を避ける事が出来ない。なのでエンブオーは、キリキザンの放ったサイコカッターを避ける事が出来ず、直撃を受けてしまった。
「うぅ……だったら、熱湯!」
エンブオーは口から熱く煮えたぎる熱湯を発射する。熱湯は水タイプの技だが、相手を火傷状態にする事があるので炎タイプのエンブオーでも使用可能だ。
「サイコカッター」
しかしキリキザンは腕の刃に念力を込め、それを撃ち出さずに熱湯を切り裂いて防御する。
「アイアンヘッドだ」
そして鋼鉄の如き硬度の頭を突き出し、エンブオーに突進する。
「アイアンヘッドは相手を怯ませる事がある技。キリキザン、瓦割り」
さらにキリキザンはエンブオーがアイアンヘッドの追加効果で怯んでいる隙に、手刀を叩き込む。
「辻斬り」
そして最後にエンブオーの脇を通り抜け、その通り間際に鋭利な刃物で切り裂く。
「エンブオー、アームハンマー!」
エンブオーは背後にいるキリキザンに、拳を振り下ろす。しかしそこにキリキザンはおらず、拳は地面を叩くだけだった。
「無駄だ。その鈍いエンブオーじゃ、このキリキザンを捉える事は出来ない。こいつはトランプでいうジョーカーみたいなものだ」
ベルはキリキザンを見る。キリキザンの体の一部の刃は、銀色に光っている。
「そのエンブオーも相当タフなんだろうが、このキリキザンの攻撃力もなかなかだ。キリキザン、アイアンヘッド」
キリキザンは銀色のオーラを纏い、エンブオーに突撃。
「瓦割りだ」
さらに怯んでいる隙に、手刀も叩き込む。
「辻斬り」
最後は通り魔のように通り魔間際に切り裂く。いまさらだが、アイアンヘッド、瓦割り、辻斬りの3連コンボがキリキザンのメインウェポンだとベルは気付いた。
「エンブオー、熱湯!」
「サイコカッターで切り裂け」
エンブオーは熱湯を発射するが、キリキザンのサイコカッターで切り裂かれる。
「ニトロチャージ!」
「もう一度サイコカッターだ」
キリキザンは再度念力の刃を飛ばし、炎を纏って突撃してくるエンブオーを止める。
「残念だが、相性が悪かったな。タイプではキリキザンの相性の方が悪いが、ステータスとしてはキリキザンの方が相性的に有利だ。その巨体じゃ、身軽なキリキザンに一撃でも攻撃を入れることは出来ない」
ギーマがそう言うと、キリキザンはエンブオーに向かって走り出し、手刀を喰らわせる。瓦割りだ。
「エンブオー……」
エンブオーはかなりのダメージを受けているが、まだ倒れない。逆に言えば、もう少し攻撃を喰らわせれば、エンブオーは戦闘不能になるだろう。
「さて、このジョーカーをどう攻略するのか、楽しみだね」
ギーマは不敵に笑う。
僕は昼間にこうして更新する時、いつも思います。眠い、と。それで一眠りしてからまた更新しようしても、ついつい夕方まで寝てしまい、更新が夜以降になってしまうんですよ。いや、どうでもよい事でしたね。でも、あとがきなんでこういう事を書いても許されるはず……。それではあとがきもこの辺にして。次回、ベルVSギーマ、決着です。お楽しみに。
- Re: 147章 ゲームタクティクス ( No.310 )
- 日時: 2011/07/19 23:43
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「エンブオー、ニトロチャージ!」
「キリキザン、サイコカッター」
エンブオーは炎を纏って突進するが、キリキザンが放つ念力の刃によって止められてしまう。
「だったらこの技で……エンブオー、大文字!」
エンブオーは大きく息を吸い、大の字の巨大な炎を放つ。
「アイアンヘッドで貫け」
しかしキリキザンは銀色のオーラを纏い、鋼の頭を突き出して大文字の炎に突撃し、突っ切った。
「辻斬りだ」
そしてその勢いを殺さずにエンブオーの脇を通り過ぎ、その通り間際に腕の鋭い刃で切り裂く。
「エンブオー、アームハンマー!」
エンブオーは反撃のために振り返ると同時に重量感のある拳を繰り出すが、キリキザンはバックステップでそれを回避する。
「キリキザン、アイアンヘッドだ」
そしてキリキザンは鋼鉄の頭を突き出し、エンブオーに突撃する。
「瓦割り」
さらに手刀を勢いよくエンブオーに叩き込む。
「そして辻斬りだ」
最後にエンブオーの脇をすり抜けるように動き、すれ違い間際に切り裂く。
「サイコカッターだ」
キリキザンはエンブオーから距離を取ると、念力を込めた刃を飛ばし、切り裂く。
「どうした? そろそろそのエンブオー、終わるぜ?」
ギーマの言う通り、エンブオーはキリキザンの攻撃をしこたま喰らってズタボロだ。もういつ倒れ、戦闘不能なってもおかしくないほど疲労困憊、満身創痍だ。
「自ら勝負を捨てるのは愚の骨頂であり、愚者の行為だ。だからここで降りるとか言うなよ?」
「うぅ……」
いくらマイペースなベルでも、この状況でプレッシャーを感じないほど鈍感ではない。
「ほら、行くぞ。キリキザン、辻斬りだ」
キリキザンは素早くエンブオーに接近すると、目聡く隙を見つけて切り裂く。
「エンブオー……」
効果いまひとつの技で、当たりも浅かったためエンブオーは戦闘不能にはならなかったが、それでもきつい状況なのには変わりはない。
「どうしよう、このままじゃ……負けちゃう……」
ベルは沈んだ顔で呟く。
「イリスやチェレンは、こういうピンチを何度も乗り越えてきたんだろうなぁ……」
ベルは足りない頭をフル稼働させ、考える。この絶望的状況から抜け出し、逆転するための作戦を。
「威力が高くて広範囲にも攻撃できる技で攻撃すれば、勝てるよね……」
ベルは作戦を思いついたものの、それは子供が考えたような、大雑把な作戦だった。
「……大丈夫、出来るよ。絶対に出来る」
ベルはそう呟き、エンブオーを見る。エンブオーはそれに対して、力強く頷く。
「試した事はないけど、エンブオーならあの技を使える。だからエンブオー、頑張って」
ベルの最後の一言で、エンブオーはキリキザンと相対する。
「何をする気かは知らないが、その眼を見る限り、一発逆転の切り札でもあるのか?」
「そんな大層なものじゃないですよ。でも、あたしはこの勝負、勝ちますよ」
ベルは確信したような表情で、言い放つ。
「そうか。……キリキザン、辻斬り」
キリキザンは鋭利な刃を構え、エンブオーに向かって走り出す。そのスピードは、今までで最速だ。
対するベルはキリキザンがスタートダッシュをするとほぼ同時に、エンブオーに指示を出す。
「エンブオー、ブラストバーン!」
突如、地面が炎に包まれる。いや、そんな生ぬるいものではなく、地面が爆発を起こした、とでも言うべきか。
突如、地面が大爆発を起こしたように燃え上がる。というか、実際に爆発し、火山の噴火のように地面から炎が噴き出す。
「ぐ、これは……」
あまりの火力に、エンブオーの目の間にまで接近していたキリキザンはたじろぐ。正直、反動で動けないでいるエンブオーに攻撃するチャンスなのだが、爆発した後のフィールドは地獄絵図のような業火で包まれており、とても動ける状況ではなかった。
「凄い……まさかこんなになるなんて……」
ベルは珍しく読んだ本でブラストバーンを知ったのだが、ここまで威力があるとは知らなかったようだ。
いや、正確に言えばエンブオーの特性猛火と、エンブオー自身の力なのだが。
「よーし。それじゃあもう一発。エンブオー、ブラストバーン!」
エンブオーは大地を揺るがすかのような咆哮をあげ、地面を爆発させ、炎上させる。
「ぐっ、キリキザン!」
そしてキリキザンは爆炎に包み込まれ、焼け落ちたのだった。
「これはまた、随分とやらかしてくれたものだな……」
バトル後の塔内は、もうしっちゃかめっちゃかだった。
地面は焼け、壁は燃え、天井は焦げ、最初の気品ある空間は消え失せていた。
「す、すいません……」
流石のベルも頭を下げる。
「別に。勝者は全てを手に入れ、敗者には何も残らない。それが勝負の常だ。それに、勝負師はふてぶてしいものなんだよ」
ギーマは黒く焼け焦げたソファに座り、そう言う。
「良い勝負師ってのは、勝利を得て自慢するでもなく、敗北して取り乱すでもなく、ただ次の勝利を求めるのさ」
ギーマは何か深い事を言ったようだが、ベルの頭には理解できない。
「これだけは覚えておけ。誰かが勝てば相手した誰かが負ける。それが勝負ってやつだ。だが、勝利を得るには敗北が必要不可欠。勝利と敗北は表裏一体、絶対に切り離す事は出来ない。勝利あってこその敗北、敗北ありきの勝利。勝ち負けるのが、勝負なんだ」
僕がギーマを好きな理由、なんだかこの話を書いて分かりました。ギーマの思想って、僕の好きな小説家の書く小説の内容と噛み合っているんですよ。悪タイプがすきというのもありますが、たぶんその影響もあるんだと思います。では次回予告ですね。次回はミキVS四天王……といっても、もうお分かりになるでしょうね。でも、次回まで明かしません。では、お楽しみに。
- Re: 148章 ミキVSカトレア ( No.311 )
- 日時: 2011/07/20 11:38
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
幼馴染3人組がまだ四天王と戦っていない頃、ミキは北東の塔に向かっていた。
「…………」
その内部は神秘的で、宇宙空間のようにどこまでも広がる漆黒の壁に、それと対をなす白い床。そして頭上にはどう浮かんでいるのか、今まさに立っている床と同じ物がある。
「どうやって行けばいいんだろう……」
ちなみに、階段の類はない。飛行タイプのポケモンでも使わなければ進めそうにないが、それは手の内を明かしているようなものである。
「って、うわ……」
そう思っている矢先、ミキの体が浮かび上がった。そして広がる漆黒の中に微かに見える光の帯に沿って、螺旋しながら上昇していく。
「誰もいない……?」
またもミキは困惑する。恐らくバトルフィールドと思しき場所には、カーテンが引いてあるだけで誰もいなかった。
とまたそう思っている矢先、カーテンが独りでに開く。
「どなた……? アタクシの眠りを妨げる野暮なトレーナーは……?」
そして中から出て来たのは、白を基調とした寝巻きのような服装の金髪の少女だった。歳はイリスよりもやや年上というところだろうか。
「ふうん……あなたね……」
その少女は脱力的だが、どこか気品を感じさせ、まるでお嬢様かお姫様といった風である。
「強さと優しさを併せ持ち、なんだか手強そう……」
「どうも、ありがとうございます……」
ミキはその掴み所のない雰囲気に圧倒されていたが、なんとか声を出す。
「ええと、私はミキです。あなたは……」
「アタクシはカトレア……四天王よ……」
少女、カトレアはようやく名乗る。そしてモンスターボールを1つ、手に取る。
「あなたとは、楽しい勝負が出来そうね……。だけど、欠伸がでちゃうような退屈な勝負だけは、勘弁ね……」
カトレアは、モンスターボールを投げる。
「行きなさい、シンボラー」
カトレアの先発は、鳥モドキポケモンのシンボラー。分類通りシルエットこそ鳥のようだが、2つ目のある球体の体。頭部に付いている1つ目のIの字型の突起。分かれている羽と、その奇妙な姿は古代の象形文字を彷彿とさせる。
「シンボラーはエスパー・飛行タイプのポケモン。だったら……出て来て、バルジーナ!」
ミキが繰り出したポケモンは、ハゲワシのような姿をしたポケモン、バルジーナだ。
「バルジーナ、悪の波動!」
バルジーナは悪タイプを持つので、エスパー技が効かない。ミキがこのポケモンをチョイスしたのはそこにある。
「避けなさい、シンボラー」
シンボラーはトリッキーな動きで黒い波動をかわす。ちなみにカトレアは、バトルが始まると脱力的なオーラがなくなった。スイッチが切り替わったのだろうか。
「鋼の翼!」
バルジーナは翼を鋼のように硬化させ、シンボラーに襲い掛かる。
「シンボラー、リフレクター」
だがしかし、バルジーナの攻撃はシンボラーが発生させた透明な壁によって防御される。
「冷凍ビーム」
そしてシンボラーは頭の突起に付いている目玉から氷雪の光線を発射する。
「バルジーナ!」
冷凍ビームは飛行タイプのバルジーナに効果抜群の氷タイプの技。なのでバルジーナは大ダメージを受けた。
「原始の力」
さらにシンボラーは古代の力を含んだ岩を出現させ、バルジーナに叩きつける。これもバルジーナに効果抜群の岩タイプ技だ。
「あなたはエスパータイプに有利な悪タイプを選んだつもりらしいけど、生憎このシンボラーが覚えているエスパータイプの技はリフレクターのみ。だから悪タイプであろうとなかろうと、関係ないわ」
「…………」
まるでミキの繰り出すポケモンを知っていたかのようなポケモンのチョイスであった。しかしそんな事を考えても詮無き事なので、ミキはバトルに集中する。
「バルジーナ、悪の波動!」
バルジーナは翼を振るい、漆黒の波動を撃ち出す。
「かわして冷凍ビーム」
シンボラーは宙返りをするように悪の波動をかわすと、すかさず凍てつく光線を発射する。
「鋼の翼で防御!」
バルジーナはその光線に対し、翼を鋼鉄のように硬くし、それを盾のようにして防御する。
「そのまま突っ込んで!」
そしてバルジーナは鋼の翼を発動したまま、シンボラーに突っ込む。どうやらそのまま攻撃するようだ。
「シンボラー、リフレクター」
シンボラーは視認し難い透明の壁を創り出し、鋼の翼によるダメージを半減させる。
「原始の力」
そしてシンボラーは古代の力を含んだ岩を出現させ、その岩でバルジーナを囲むように挟みつける。
「冷凍ビーム」
さらに動けないバルジーナに冷凍ビームを発射。バルジーナは効果抜群の攻撃を連続で喰らい、大ダメージを受ける。
「強い……!」
ミキは戦慄する。このシンボラーは回避と防御、そして攻撃を上手く使い分け、戦っている。
「バルジーナ、鋼の翼!」
原始の力による拘束が解かれたバルジーナは、再度翼を硬化させてシンボラーに突っ込む。
「リフレクター」
しかしシンボラーのリフレクターにより、ダメージは軽減されてしまう。
「オウム返し」
ここでシンボラーは冷凍ビームや原始の力でなく、オウム返しを使う。するとシンボラーの体が光り、翼は鋼のように硬化される。
「行きなさい、シンボラー」
そしてシンボラーはその鋼鉄のような硬度の翼をバルジーナに叩きつける。
「オウム返しは相手の技を使い攻撃する技。……それにしても、手応えのない勝負ね。欠伸が出ちゃいそう」
「くぅ……」
ミキはその言葉に対し、呻く事しか出来なかった。
今回は四天王戦最後、ミキVSカトレアです。ちなみに今までの四天王とのバトルの順番は、僕の初回プレイ時の順番です。あの時、最後にカトレアが出て来てびっくりしましたね、はい。では次回はミキVSカトレア、パート2です。今回のバトルはちょっと長くなるかもです。お楽しみに。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70
この掲示板は過去ログ化されています。