二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
日時: 2011/07/29 00:16
名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252

はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。

登場人物
>>28

プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218 
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234

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Re: 127章  2倍の戦力差 ( No.287 )
日時: 2011/07/10 20:26
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「チラチーノ、ハイパーボイス!」
チラチーノは息を大きく吸い、超高音の衝撃波を放つ。
「ガマゲロゲ、こっちもハイパーボイスだ」
対するガマゲロゲも息を吸い、こちらは重低音による衝撃波を発射する。
互いの衝撃波がぶつかり合い、相殺する。
「チラチーノ、気合玉!」
チラチーノは気合を込めた玉を7つ自分の周囲に浮かべ、それらをガマゲロゲに向かって放つ。
「濁流で押し流せ!」
ガマゲロゲは大きく叫ぶと、どこからともなく濁った大波が現れ、気合玉とチラチーノをを押し流す。
「とどめだ、マッドショット!」
最後にガマゲロゲは泥を光線のように発射し、チラチーノを吹き飛ばす。
「くっ……戻れ、チラチーノ」
イリスは苦しい顔でチラチーノをボールに戻す。イリスはこれで残りの手持ちは3体。対するチェレンはガマゲロゲを入れて5体も残っている。
「でも、ここで諦めるわけにはいかない。出て来い、ズルズキン!」
イリスのが次に繰り出すのは、悪党ポケモンのズルズキンだ。
「ズルズキン、炎のパンチ!」
ズルズキンは拳に炎を灯し、ガマゲロゲに向かって走り出す。
「濁流で押し流せ!」
ガマゲロゲは叫び、どこからともなく濁流を発生させ、ズルズキンを押し流そうとする。
「ズルズキン、跳べ!」
しかしズルズキンはこれを予想していたようで、大きく跳躍して濁流をかわし、落下とともにガマゲロゲの脳天に拳を叩き込む。
「そこから跳び膝蹴り!」
着地したズルズキンは間髪入れずにまた跳び、ガマゲロゲの腹に強烈な膝蹴りを叩き込む。
流石のガマゲロゲもその一撃は効いたのか、ズルズキンが足を引くと同時に、前のめりに倒れた。
「……戻れ、ガマゲロゲ」
チェレンはガマゲロゲをボールに戻し、次のポケモンが入ったボールを構える。
「次は君だ。出て来い、ケンホロウ!」
チェレンの3番手は、キジのような姿に桃色の仮面のような飾りが顔についている。
プライドポケモン、ケンホロウ。飛行タイプを持つポケモンだ。
「格闘タイプのズルズキンに対しては、無難な人選(ポケ選?)だね。君らしいよ、チェレン」
「それはどうも」
イリスの軽口に、適当に対応するチェレン。この辺の流れは流石幼馴染だ。
「それじゃあ行くよ。ケンホロウ、まずは電光石火!」
ケンホロウは目にも止まらぬスピードでズルズキンに突撃する。しかしスピードは速いが威力は大した事無く、ズルズキンにダメージはほとんどない。
「続けてエアカッターだ!」
ケンホロウは上空で翼を羽ばたかせ、いくつもの空気の刃を飛ばす。
「ぐっ、耐えろ、ズルズキン」
このエアカッターはズルズキンには効果抜群だが、それでも致命傷となるほどの事ではない。
どうやらこのケンホロウは、攻撃よりも素早さを重視して育てているようだ。なので一撃一撃は軽いが、手数で攻める戦法なのだろう。
「ズルズキン、炎のパンチ!」
ズルズキンはエアカッターが止むと、拳に炎を纏わせて跳躍し、ケンホロウに殴りかかる。
「フェザーダンスだ」
ケンホロウはズルズキンの攻撃に慌てる事無く翼を羽ばたかせ、無数の羽でズルズキンを覆う。羽はすぐにズルズキンから離れ、ズルズキンは拳を振るうが、ケンホロウはタイミングがずれたその攻撃をあっさりとかわす。
「一応言っておくけど、フェザーダンスは相手の攻撃力を下げる技だ。さっきは攻撃のタイミングが上手い具合にずれて避けられたけど、もし当たったとしてもそのズルズキンの攻撃力は半減しているから、防御の低い僕のケンホロウでも余裕で耐えられただろうね」
チェレンの言葉に、イリスは冷や汗をかく。つまりチェレンは、ズルズキンを弱体化させて倒そうという腹らしい。
「ケンホロウ。エアカッター!」
ケンホロウは翼を羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「ズルズキン、耐えるんだ!」
エアカッターは数が多い上に速いので、ズルズキンでは避けきれない。なのであえて防御を固めて攻撃に耐える。
「……よし。ズルズキン、跳び上がって噛み砕く!」
エアカッターを耐え切ったズルズキンは跳躍し、空中にいるケンホロウにその硬い歯で噛み付く——
事は出来なかった。
「!? ズルズキン……!」
ズルズキンはその場でうずくまり、苦しそうに荒い呼吸を繰り返している。
「やっと毒が効いたか。意外と巡りが悪かったね」
「毒……?」
チェレンの言葉に、イリスは疑問符を浮かべて復唱する。
「そう、毒さ。君のズルズキンはガマゲロゲの頭に物理攻撃を仕掛けただろう?ガマゲロゲは頭のコブから神経を麻痺させる毒液を出す事が出来る。君のズルズキンは、その毒液で神経が麻痺し、動けないのさ」
「っ!?」
イリスは驚愕する。もし本当にそうなのであれば、ズルズキンはもう負けたに等しい。動けないのであれば、敵の攻撃を避ける事はおろか自分から攻撃する事もできない。これはもう、詰んだ。
「とどめを刺すよ。ケンホロウ、ギガインパクト!」
ケンホロウは上空から物凄いエネルギーを纏い、猛スピードでズルズキン目掛けて急降下。そして激突し、ズルズキンは吹っ飛ばされる。
「ズルズキン!」
吹っ飛ばされたズルズキンを見ると、完全に目を回している。戦闘不能だ。
「さて、これで君の残りポケモンは2体。どうする、イリス?」
「ぐっ……」
チェレンの言葉と目に気圧されそうになるイリスだが、踏ん張って気丈に振舞う。
「まだだ。まだ全員やられたわけじゃない。仲間が1体でも残っていれば、まだ勝機はある!」



今更ながら思いますが、ゲームだったらこの状況、ほぼ終わりじゃないですか?いや、確かに回復道具なんかを駆使すれば勝てなくもないでしょうけど、それでもかなりキツイバトルになることでしょうね……ではでは次回予告を。次回はイリスVSチェレンパート4です。お楽しみに。

Re: 128章 弱点攻め ( No.288 )
日時: 2011/07/10 21:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「頼んだぞ、デンチュラ!」
イリスは電気蜘蛛ポケモンのデンチュラを繰り出す。チェレンは残り4体、イリスはこれで5体目なので、かなりピンチだ。
「ケンホロウ、電光石火!」
ケンホロウは高速でデンチュラに突撃し、それを繰り返す。しかしやはり威力は低い。
「デンチュラ、エレキボール!」
デンチュラは電撃を圧縮した球を発射し、ケンホロウを攻撃する。
「かわせ、ケンホロウ!」
ケンホロウはその雷球を旋回しながらかわす。
「エアカッター!」
そしてそのまま翼を羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「避けろ、デンチュラ!」
デンチュラはそれらを体を捻り、伏せ、身代わりも駆使して全て避け切る。
「跳び上がってシザークロス!」
デンチュラはケンホロウがエアカッターで疲れているところを見計らい、跳躍してその爪を交差させ、十字に切り裂く。
「くっ、だがこの程度のなら問題ない。ケンホロウ、フェザーダンス」
ケンホロウはシザークロスを受け、少し仰け反るが、すぐに体勢を立て直して翼を羽ばたかせ、無数の羽でデンチュラを包み込もうとするが
「遅い、エレキボール!」
ケンホロウがフェザーダンスの距離調整のために接近すると、デンチュラは電撃を圧縮した球でケンホロウを攻撃する。
「ケンホロウ!」
ケンホロウは地面に叩き落される。落下の衝撃と効果抜群の技が相まって、ケンホロウは戦闘不能になった。
「戻れ、ケンホロウ」
チェレンはケンホロウをボールに戻す。
「デンチュラは電気タイプ。なら、このポケモンだな。出て来い、ギガイアス!」
チェレンが繰り出したポケモンは、高圧ポケモンのギガイアス。紺色の巨岩が集結したような姿をしており、体表から無数のオレンジ色のエネルギー結晶体が生えている。
そしてこのギガイアスは、岩タイプだ。
「ヤバ……」
デンチュラは防御が低い。そしてこのギガイアスは攻撃が高い。その上虫タイプであるデンチュラの弱点の1つ、岩タイプなため、この勝負はかなり分が悪い。
(だからといってデンチュラを交代させて、ダイケンキを消耗させるのもな……)
イリスは基本、切り札は最後まで取っておくタイプなので、この状況でも入れ替えるという選択肢を選ぶのに躊躇してしまうのだ。
「ええい、もうやるしかない。行くぞデンチュラ、エレキボール!」
交代せずに戦う事にしたらしいイリスは、デンチュラにエレキボールを指示する。
電撃を圧縮した球はまっすぐギガイアスに飛んで行き、そのままヒットする。
「効いてない……?」
エレキボールは確かにギガイアス当たったが、ギガイアスは当たった所から煙が上がるだけで、微動だにしない。
「僕のギガイアスは防御だけでなく特防も出来る限り上げてある。その程度の攻撃じゃ、傷を付けるのが精一杯だよ」
ギガイアスは攻撃や防御は高いが、その分特殊系に関しては攻撃と防御ともに低く、そこが弱点だ。しかしそのうちの防御が完璧になれば、かなりの脅威になる。
「さあ行くよ。ギガイアス、ストーンエッジ!」
ギガイアスは無数の尖った鋭い岩をデンチュラに飛ばす。
「デンチュラ、ジャンプして回避だ!」
デンチュラはそのストーンエッジを跳躍して回避し、ギガイアスの頭上に来る。
「そのままシザークロス!」
そしてデンチュラは爪を交差させ、ギガイアスに斬り掛かる。
「ギガイアス、鉄壁」
しかしギガイアスは体を鋼鉄のように硬化させ、シザークロスを防御する。
「頭突きだ」
そしてギガイアスは頭を突き出し。デンチュラに頭突きを見舞おうとする。しかしその頭突きは、デンチュラの素早さのお陰で回避される。
「まだだよ。ギガイアス、地震!」
ギガイアスはさらに地面を大きく揺らし、その衝撃でデンチュラを攻撃しようとする。
「ジャンプでかわせ!」
デンチュラは指示通り跳躍し、地震を回避する。
「エレキボールだ!」
デンチュラは空中でエレキボールを発射する。エレキボールは緩い放物線を描き、ギガイアスの頭にある結晶体にヒットする。
「くっ、ギガイアス……」
ギガイアスを見ると、さっきのエレキボールはかなり効いているようだった。
(結晶体が弱点か……? いや、最初のエレキボールも胴体の結晶体に当たったけど、大きなダメージはなさそうだった。ということは頭の結晶体が弱点か)
弱点さえ分かれば、イリスは状況を逆転出来る。
「よし。デンチュラ、ワイルドボルト!」
デンチュラは激しい電撃を纏い、物凄い勢いでギガイアスに突っ込む。
「ギガイアス、鉄壁だ!」
ギガイアスはそれに対し、体を鋼鉄のように硬くして防御する。
「顔面に向かって切り裂く!」
とそこで、デンチュラは素早くギガイアスの顔面を切り裂く。効果いまひとつとはいえ、それなりには効いているようだ。
「弱点を気付かれたか……ギガイアス、決めるよ。ストーンエッジ!」
ギガイアスは地面から鋭い岩を無数に発射する。その攻撃範囲は、自分の体を覆うように発射され、攻防一体の攻撃だった。
「無駄だよ。デンチュラ、回転をかけてエレキボール!」
デンチュラはギガイアスを螺旋するような軌道のエレキボールを放ち、鋭い岩を全て弾き、ギガイアスに当て、そのままエレキボールもギガイアスの顔面にヒットさせる。
「ギガイアス!」
最後の一撃で、ギガイアスは崩れ落ちる。戦闘不能になったのだ。
「これで、2対2。追いついたよ、チェレン」
そしてイリスの闘志は、さらに燃え上がる。



今回はベル戦、ミキ戦で虚しく敗退したデンチュラが大活躍です。では次回もデンチュラが大活躍……すると思います、ええ。というわけで(どういうわけ?)、次回のイリスVSチェレン、パート……5か。パート5もお楽しみに。

Re: 129章 猫の手 ( No.289 )
日時: 2011/07/11 00:37
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「僕の次のポケモンはこれだよ。出て来い、レパルダス!」
チェレンが繰り出したのは、スマートな体型に紫色の毛並み。豹のような模様のある、猫型の女性的なポケモン、レパルダスだ。
「レパルダス、切り裂く攻撃!」
レパルダスは一気にデンチュラに接近すると、その鋭い爪で切り裂く。
「速いな……デンチュラ、シザークロス!」
デンチュラはカウンター気味に爪を交差させて斬り掛かるが、レパルダスはバク宙でそれをかわす。
「身のこなしも、敏捷性も俊敏性も凄いな。このポケモンも、ケンホロウみたいに素早さ重視のポケモンみたいだな」
イリスはレパルダスの動きを見て分かった事を、独り呟く。
「レパルダス、シャドーボール!」
レパルダスは黒い影で作った球体を、デンチュラに向けて発射する。そのスピードはかなり速い。
「エレキボールで相殺だ!」
デンチュラも電撃を圧縮した球体を発射し、シャドーボールにぶつけて相殺する。
「ワイルドボルト!」
そしてデンチュラは激しい電撃をその身に纏い、物凄い勢いでレパルダスに突っ込む。
「レパルダス、辻斬り!」
対するレパルダスもデンチュラに向かって突っ込むが、レパルダスはデンチュラが突撃している時の僅かな隙を見つけ、通り間際に鋭い爪で切り裂く。
「くっ、デンチュラ、大丈夫か?」
辻斬りは相手の急所を狙う技。今ので急所を切り裂かれたデンチュラは結構なダメージを負ったが、まだやれるようだ。
「あのレパルダスは飛び抜けて攻撃が高いわけじゃない。脅威になるのは素早さ。でも、素早さならデンチュラだって負けない。デンチュラ、エレキボール!」
デンチュラは電撃を圧縮した球を、レパルダスに発射する。
「レパルダス、切り裂け」
レパルダスは襲い掛かる雷球を爪で切り裂き、デンチュラに急接近する。そして

「レパルダス、猫の手!」

突如レパルダスの手が光る。するとそこから、光線状の念波が発射される。
「サイケ光線……!?」
デンチュラはサイケ光線と思しき攻撃を受け、後ろに後ずさる。幸い当たりが浅く、大したダメージではない。
「猫の手。君は1度この技を見ているはずだよ、イリス」
チェレンがそう言い、イリスは過去を遡って記憶を探る。今までいろんな事がありすぎてなかなか掘り出せなかったが、思い出した。
「サンヨウジム……」
そう、チェレンは1度、レパルダスがチョロネコの時に猫の手を使っている。それもサンヨウジム戦という公式の場で。
「猫の手は自分の手持ちポケモンが覚えている技を1つ、ランダムに使用できる技。あの時は手持ちが少なかったから、十分に活かす事の出来ない技だったけど、今の僕の手持ちは6体フル。これなら様々な技を発動できる」
ポケモンバトルというのは、技1つで戦況が大きく変わる。ポケモンは普通、技を4つまでしか覚えられないので、トレーナーはどの技を覚えさせるのかを慎重に選ぶ。そしてこの猫の手は、ムラはあるものの、多彩な技を使う事が出来るので、バトルの展開を大きく広げる事が出来る技なのだ。
「どんどん行くよ。レパルダス、猫の手!」
レパルダスの手が光る。すると今度は、そこから無数の風の刃が飛び出す。
「エアカッターか!デンチュラ、避けろ!」
デンチュラは襲い掛かるエアカッターを避ける。猫の手は他のポケモンの技を使うので、精度はいくらか落ちる。そこがせめてもの救いだ。
「猫の手!」
レパルダスの手が光り、そこから重低音が響き、衝撃波が放たれる。
「何故肉球から音が出るのかは知らないけど、デンチュラ、耐えろ!」
音となるともう目に見えないので、避ける事は難しい。なのでデンチュラは体に電気を纏い、衝撃波を耐える。
「……デンチュラ、反撃だ。シザークロス!」
デンチュラは跳び上がり、空中で爪を交差させてレパルダスに斬り掛かる。
「猫の手だ!」
レパルダスの手が光る。しかし今度は何も起きなかった。イリスは少々戸惑うが、デンチュラはそのまま両爪を振り下ろす。
ガィン!
しかし、デンチュラの攻撃は、まるで鋼にでもなったかの如く、防がれる。
「今度は鉄壁か……狙ってやってんじゃねえの?」
正直そう言いたくなるようなタイミングの良さだった。
「レパルダス、猫の手!」
レパルダスはまたも猫の手を使う。レパルダスの手が光り、その後また光りだす。いや、光を吸収している。
「デンチュラ、よく分からないけど今がチャンスだ。シザークロス!」
デンチュラは爪を交差させ、レパルダスに特攻する。そしてその爪を振り下ろすその瞬間
「発射」
デンチュラはレパルダスの手から放たれた光線に吹っ飛ばされる。
「!?」
イリスは驚いて振り返る。そこは砂煙がもうもうと舞い上がっていて、デンチュラの姿は見えない。
「ソーラービーム。まだ君は、僕のポケモンを全て見てはいない。だから、この技には気がつかなかったようだね」
チェレンは言う。今のソーラービームの直撃を受けたデンチュラは、効果いまひとつといえど、かなり際どいところだろう。

しかし、イリスの目は勝利を確信したようだった。

「デンチュラ、ワイルドボルト!」
突如、砂煙から電撃の塊とでも表現すべき何かが飛び出し、レパルダスに激突する。レパルダスは盛大に電撃と突撃を喰らい、吹っ飛ばされ、戦闘不能となった。
「な……!?」
チェレンはさっきのイリスのような顔になる。違うところと言えば、その表情が続いている事。
「ソーラービームは確かに効いたけど、シザークロスだって効いただろ?」
一瞬わけが分からなかったが、瞬時にチェレンは理解する。つまり、ソーラービームが当たる直前、デンチュラのシザークロスもヒットしていたのだ。そうでもないと、いくらレパルダスとはいえデンチュラがワイルドボルトの一発で戦闘不能にするなんて真似は出来ない。
しかし、デンチュラもまた、ワイルドボルトの反動で倒れる。
「……これで、サシの勝負だね」
「……そうだね」
イリスの言葉に、チェレンは溜息を吐きながら返す。
「どうしたのチェレン? もしかしてこの状況は計算外だった?」
イリスはおちょくるようにチェレンにそう言うが、チェレンは首を横に振り、口を開く。

「いや、むしろ計算通りに事が運びすぎていて、逆に怖いや」

「え?」
イリスが間の抜けた感じに口を開いていると、チェレンはレパルダスをボールに戻し、最後のポケモンを繰り出す。
「僕の最後のポケモンは草タイプのジャローダ。君の残りポケモンは水タイプのダイケンキだろ? だったら、この勝負は僕が貰った」
チェレンは、勝ち誇ったようにそう言うのであった。



本編がちょっと長くなってしまいましたので、あとがきは短めで。では早くも次回予告。次回はイリスVSチェレン、決着かもです。お楽しみに。

Re: 130章 冷戦 ( No.290 )
日時: 2011/07/11 23:36
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

ロイヤルポケモン、ジャローダ。
高圧的な眼、唐草模様の刻まれた緑色の胴体、蛇のようなボディ。一見しては分かり難い、葉っぱ状の小さな手。後頭部から生えた2対の耳のような突起物、長い襟のような装飾と、どことなく貴族のような高貴な雰囲気を漂わせている。
「出て来い、ダイケンキ!」
イリスはそんなジャローダに対し、水タイプのダイケンキを繰り出す。正確に言えば、それしか繰り出せない。
「イリス。僕は君の性格やポケモンの技なんかを読んで、最終的にこのような形でジャローダとダイケンキをぶつけようと誘導した。まあ、ここまで上手くいくとは流石に思ってなかったけどね」
チェレンは軽く笑う。対するイリスは悔しげで、苦しげな表情だ。
「いや、相性だけじゃポケモンバトルは決まらない。僕のダイケンキだって、草タイプの対策はしてある。だから恐れるほどの事じゃない」
イリスは自分にそう言い聞かせる。そして深呼吸し、バトルに戻る。
「それじゃ、こっちから行くよ。ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは超高圧の水流を、ジャローダに向けて発射する。
「かわせ、ジャローダ」
ジャローダはその水流を体を捻ってかわし、地面を滑るような動きでダイケンキに急接近する。
「燕返しだ」
そしてジャローダは尻尾の先端を振り、ダイケンキを切り裂く。切り裂いた後はすぐに後退し、反撃に出させない。
「くっ、ダイケンキ、吹雪だ!」
ダイケンキは今度はハイドロポンプよりも攻撃範囲の広い吹雪を放つ。
「ジャローダ、グラスミキサーだ」
対するジャローダは尻尾を高速で回転させ、木の葉を含む竜巻——木枯らしのようなものを発生させる。そしてそれを向かい来る吹雪にぶつける。
吹雪と木枯らしはぶつかり合い、互いにせめぎ合う。結果、範囲を広めて威力を落としたのが災いし、吹雪は木枯らしに突っ切られる。
「ダイケンキ、耐えろ……!」
横倒しになった竜巻のような空間の中で、ダイケンキは木の葉の乱舞を受ける。
「メガホーン!」
グラスミキサーが収まると、ダイケンキは角を突き出してジャローダに突撃する。
「無駄だよ。ジャローダ、回避だ」
ジャローダはそんなダイケンキの攻撃を跳び上がって避ける。
「叩きつける」
そしてそのまま勢いをつけた尻尾をダイケンキの体に叩きつける。
「ぐぅ、シェルブレード!」
結構な威力の叩きつけるを喰らうもダイケンキの体勢は崩れず、攻撃直後で隙のあるジャローダに、ダイケンキはシェルブレードを見舞う。
「全然効かない……!」
ジャローダはシェルブレードの直撃を受けたが、ほとんどダメージはないようだ。確かに効果いまひとつではあるが、それでも効果が薄すぎる。
「ジャローダ、太陽の光を吸収するんだ」
チェレンがそう指示を出すと、ジャローダの体は太陽の光を受け、それを吸収する。
「これはチャンスだ。ダイケンキ、メガホーン!」
ダイケンキはジャローダが動けない隙に、全力のメガホーンを放つ。ダイケンキの突き出した角は、ジャローダの細い体を確かに捉え、手応えもある。
(決まった。メガホーンは虫タイプの技、草タイプのジャローダには効果抜群だ。あの細身の体なら、防御力は低いはずだから、この一撃でほぼ決まり——)
「ソーラービームだ」
イリスがそんな事を考えていた刹那、メガホーンの直撃を受けたジャローダは、口から太陽光線を放つ。
「ダイケンキ!」
ソーラーービームの直撃を受けたダイケンキは大きく吹っ飛ばされる。幸い戦闘不能ではないが、かなりのダメージを負っている。物凄い攻撃力だ。
「ダイケンキのメガホーンを耐え切るなんて……」
そして何より驚きなのが、ダイケンキのメガホーンを耐え切った防御力。細身のジャローダの防御力がそんなに高いとは到底思えないが
「僕のジャローダは攻撃、防御、素早さ、全てにおいてトップクラスの能力を秘めている」
イリスはその言葉を聞き、さらに驚愕する。
強くて堅くてその上速いとなれば、もうどうしようもない。ダイケンキの能力では、全体的に特化したジャローダを打破する事は出来ない。
「ジャローダ、燕返しだ」
ジャローダは滑るような動きでダイケンキに接近すると、尻尾の先端でダイケンキを切り裂く。
「シェルブレード!」
ダイケンキもカウンターでシェルブレードを放つが、素早い動きでかわされる。
(どうすれば良いんだ。強くて堅くて速いあのジャローダを、どうやって倒せば良いんだ)
イリスは考えるが、良い案どころか、悪いビジョンばかりが浮かんでくる。
(このままじゃいずれダイケンキはやられる。くそ、こんなに早くバトルが終わるなんて——)
とそこで、イリスの思考は止まる。ただし、これは悪い意味ではない。閃いたというか、ジャローダの弱点が分かったのだ。
だが、出来るかどうかはかなり怪しい。正直出来ない気ばかりがする。
「いや、やるしかない。やって成功して、勝つんだ」
イリスの眼に、静かな炎が灯る。
「ダイケンキ、全方向に吹雪!出来なくなるまで、いや、出来なくなっても続けろ!」
イリスは無茶苦茶な指示を出す。普通のポケモンなら無視して寝始める可能性大だが、そこはイリスの一番のパートナーダイケンキなので、静かに首肯する。
そして、凍てつく吹雪を全方向に放つ。全方向に放っているにも関わらず、普段の吹雪よりも格段に威力が高い。これはもう吹雪というより、ブリザードだ。
「ジャローダ、これを返す事は出来そうにない。ダイケンキの気力が切れるまで耐えるんだ」
そしてジャローダはとぐろを巻き、吹雪を耐える。
そして、2体のポケモンは冷たい戦争のように、じっとその場で佇む。



先に言っておきます。僕の書く小説での表現は、結構適当です。なので意味や用法の違う単語や表現が出て来る事が多々あります。特に今回は自分で書いていて気付くくらいあります。では、注意事項もそこそこに、次回予告。今回は決着ならずでしたが、次回こそイリスVSチェレン、決着です。お楽しみに。

Re: 131章 2つの風 ( No.291 )
日時: 2011/07/12 16:05
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

ブリザードのような吹雪は5分以上続いていた。ジャローダは持ち前の防御力で耐えているようだが、肝心のトレーナーは寒さで参りかけている。
「面倒だな……」
チェレンは呟くが、大した意味は込められていない。口癖みたいなものだ。
とその時、ダイケンキの放っていた猛吹雪が収まる。ジャローダはとぐろを巻いていた体を伸ばす。結構ダメージを受けたようだが、戦闘不能とまではいかなかったようだ。
そしてダイケンキ。ダイケンキは足が崩れ、その場に蹲ってしまう。先ほどの吹雪で気力をほとんど使ってしまったのだろう。
「ふっ、大方吹雪を長時間放って、ジャローダを倒そうとという魂胆だったんだろうが、僕のジャローダはそれくらいじゃ倒せないよ」
チェレンは勝気にそう言うが、寒さで体が震えていた。
「これで決めてくれる。ジャローダ、叩きつける!」
ジャローダは跳び上がり、ダイケンキの頭上まで来ると、大きく尻尾を振るってダイケンキの体に叩きつける——

事は出来なかった。

「な……ジャローダ、どうした!?」
チェレンは声を荒げる。そしてジャローダは荒い息を繰り返していた。
「君のジャローダ攻撃、防御、素早さ、その3つにおいては優れているかもしれないけど、その分体力がない。だからスタミナが切れないように速攻で決めに掛かったんだ。そして今そのジャローダは、長時間吹雪を受けたことで、体力はほとんど削られている。さらに体の表面も薄く凍っているだろうしね。そしてなにより、ジャローダは太陽の光を浴びないと行動が出来ない。普段なら太陽のエネルギーを体内で増幅して蓄積する事が出来るんだろうけど、そのエネルギーも吹雪で削り取った」
つまりイリスの目的は、ジャローダの体力——スタミナを削って、動けなくさせる事。吹雪はその手段だ。
「行くよダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキは頭の角と前足に仕込まれているアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、ジャローダに特攻する。
「……ソーラービーム!」
ジャローダはそれに対し、太陽の光を吸収し、それを光線状にして発射しようとする。
だがソーラービームには溜めがあるため、ジャローダはシェルブレードで切り裂かれる。しかしそこですかさず溜まったエネルギーを太陽光線として発射する。
「ダイケンキ、避けろ!」
ダイケンキは慌てて後ろに下がる。太陽光線はほとんど地面に向けて発射したため、直撃はしなかった。だが地面に当たって散った光線がダイケンキの体を掠める。
「ジャローダ、グラスミキサー!」
ジャローダは尻尾を高速で回転させ、木の葉の渦を作る。そしてその木枯らしのような渦を、ダイケンキに向けて放つ。
「ダイケンキ、吹雪!」
それに対してダイケンキは猛烈な吹雪を発生させ、グラスミキサーにぶつける。
吹雪と木枯らしがぶつかり合い、せめぎ合う。2つの風の威力は互角だが、しだいに木枯らしが押していく。
ジャローダの特性、深緑だ。ピンチになると草タイプの技の威力が上がる特性で、今だ体力を消耗し続けているジャローダのグラスミキサーの威力は、徐々に上昇していく。
そして吹雪が押し切られる一歩手前で、吹雪はなんとか留まる。だが、それでも直突っ切られるだろう。
と、その時
「ダイケンキ!」
イリスは叫んだ。たった1つの言葉を叫んだだけだが、それだけでダイケンキの体に力が漲ってくる。そしてダイケンキもイリスのように大きく叫ぶ。すると、今にも押し切られそうだった吹雪が、どんどん木枯らしを押し戻していく。
「な、く……ジャローダ!」
ジャローダも負けまいと必死に力を振り絞るが、結局木枯らしは吹雪に押し切られ、ジャローダは凍らされて吹き飛ばされる。
「…………」
チェレンは絶句する。しかしすぐに我に返り、口を開く。
「君の勝ちだ、イリス」



「チェレン、ベル。君らはこれからどうするんだ?」
チェレンとのバトルを終えたイリスは、まず最初にそれを聞く。
「決まってるだろ。ポケモンリーグに行くんだ。僕は今まで旅して、本当の強さを知った。けれど、チャンピオンになるという夢を捨てたわけじゃない」
「あたしも行くよ、バッジも8つ手に入れたし」
と、いう事らしい。4人でポケモンリーグに行くなんて前代未聞だろうが、まあ、そこは単に行き先が同じだったの一言で済ませてしまえるから良いだろう。
「着きました。バッジチェックゲートです」
ミキのその言葉を聞き、イリスは目の前の巨大な門を見据える。
「……ここを通るのか」
イリスはそう呟くが、返答なんて気にしていない。
4人はバッジケースを取り出し、その巨大な門を潜る。
何もないシンプルな第一門。鬱蒼と草が茂る第二門。虫の形の巨大階段を上り下る第三門。電気弾ける橋を通る第四門。地層の広がる第五門。崖の下から突風が吹く第六門。一面が凍りついた第七門。龍のオブジェが2つ並んだ第八門。
4人はそれらの門を潜り、チャンピオンロードに足を踏み入れる。だがそこには
「嘘だろ……」
そこには、夥しい数のプラズマ団が待ち構えていた。



ついにここまで来ました。やっともうすぐで四天王戦ですよ。ですがその前にチャンピオンロードでプラズマ団を撃破……するかどうかは、次回分かります。ちなみにイリスのポケモンは原作よろしく、チェレンが回復しています。では、次回もお楽しみに。


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