二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
日時: 2011/07/29 00:16
名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252

はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。

登場人物
>>28

プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218 
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234

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Re: 番外編 マルチバトルサブウェイ 前編 ( No.317 )
日時: 2011/07/23 19:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

ここはバトルサブウェイライモンシティ行きスパーマルチトレイン最終車輌。
長ったらしいが、要するにバトルサブウェイの最後の車輌である。
そこに、2人の人間がいる。1人は黒を基調とした服を着た、落ち着いた雰囲気の男。もう1人は白を基調とした服を着た、幼い雰囲気の男。
名を、黒服の方はノボリ、白服の方はクダリ。2人ともバトルサブウェイの車掌にして、サブウェイマスターを務める者たちだ。
「……来た」
椅子で寝ていたクダリが、目を覚ましつつ唐突にそう言う。
「そうですね」
ノボリもそれに応じる。クダリが起き上がりノボリの横に立つと、目の前の扉が開かれる。
開かれた扉の先にいるのは、青い服に黒と赤の帽子を被った少年イリスと、ピンク色の髪の年端も行かぬ少女ミキだった。



「では、改めまして挨拶を。私、サブウェイマスターのノボリと申します」
イリスとミキが扉を開けると、そこにはサブウェイマスター、ノボリとクダリがいた。
「今更、ここまでいらしたあなた様方に言う事は何も御座いません。ですから、今までにない史上最高の戦いを、始めましょう」
ノボリのテンションはいつになく高かった。昔から一緒にいるクダリには分かる。
「それは面白そうですね。燃えてきました」
そしてイリスのテンションもノボリに負けず劣らず高かった。弟子であるミキには分かる。
「ではクダリ、何か御座いましたらどうぞ」
ノボリはクダリに振る。そしてクダリは口を開く。
「僕もこうして全力で戦うのを楽しみにしてた。今の気持ちは、最高に良い気分。でも、やる事いう事いつでも同じ」
そしてクダリは、開戦の号令のように、言葉を続ける。
「ルールを守って安全運転!ダイヤを守って皆さんスマイル!指差し確認、準備オッケー!目指すは勝利、出発進行!」



「お行きなさい、クイタラン!」
「出て来て、アイアント!」
ノボリが繰り出したポケモンは、赤と黄色の体色で足や頭部は茶色、身体の表面各所にはパイプやチューブ状の器官がある、アリクイポケモンのクイタラン。
クダリが繰り出したポケモンは、小さな体躯に、目と足以外を銀色に輝く鋼鉄の鎧を身に纏っている蟻のような姿をした、鉄蟻ポケモンのアイアント。
「出て来い、ズルズキン!」
「行って、ドリュウズ!」
そしてイリスが繰り出すポケモンはズルッグの進化系、ズルズキン。ミキが繰り出すポケモンはモグリューの進化系、ドリュウズ。
「ほう。どちらのポケモンも進化したのですか。これは楽しいバトルになりそうですね。クイタラン、気合玉です!」
クイタランは気合を凝縮した球体を作り、それをドリュウズに向けて放つ。
「ドリュウズ、気合玉!」
だがドリュウズは同じく気合玉を放ち、クイタランの気合玉を相殺する。
「ドリュウズ、ドリルライナー!」
「ズルズキン、炎のパンチ!」
ドリュウズは鋼鉄でできた頭と爪を合わせてドリル状になり、高速回転しながらクイタランに突っ込む。
ズルズキンは拳に炎を纏わせ、アイアントに向かって走り出す。
「クイタラン、弾ける炎!」
「アイアント、アイアンヘッド」
クイタランは炎の塊をドリュウズに発射し、アイアントは向かい来るズルズキンを逆に突撃する事で迎撃。
「虫の抵抗」
そしてアイアントは無数の小さな虫を放つ。虫は回転中のドリュウズとズルズキンに当たるが、ダメージはほとんどない。
「ドリュウズ、炎を突っ切って!」
ドリュウズはクイタランの放った炎を突っ切り、多少威力の落ちたドリルライナーをクイタランに決める。
「あそこまで簡単に消されると、弾ける炎も飛び火しませんね……クイタラン、もう一度弾ける炎!」
クイタランは再度炎を塊を発射するが、その標的はズルズキンだ。
「ズルズキン、かわ——」
「させない。アイアント、雷の牙」
アイアントはズルズキンの行動を先読みして、ズルズキンに電気を帯びた牙で噛み付く。
「くっ……ズルズキン!」
雷の牙で捕らえられたズルズキンは弾ける炎を喰らい、また飛び火した火の粉がドリュウズを襲った。
「ドリュウズ、気合玉!」
「クイタラン、気合玉です!」
ドリュウズはアイアントをズルズキンから引き剥がすために気合玉を放ち、またクイタランも気合玉を放つ。
どちらとも相殺されるかと思われたが、勝ったのはクイタランの気合玉だった。
「虫の抵抗は特攻を下げる技。それでドリュウズの特攻も下がった。アイアント、シャドークロー」
アイアントは牙だか爪だか分からない部位に影の爪を作り、ズルズキンを切り裂く。
「鬱陶しいな……ズルズキン、炎のパンチ!」
ズルズキンはなかなか離れないアイアントに、炎の拳を叩き込む。タイプ相性で威力4倍だ。しかしアイアントは倒れなかった。
「オッカの実。効果抜群の炎技を半減させる」
見るとアイアントは腹の下には赤い木の実があった。
「ドリュウズ、メタルクロー!」
「クイタラン、切り裂く攻撃!」
そしてドリュウズとクイタランも、接近戦を繰り広げている。
「もう一度メタルクロー!」
「虫食いです!」
クイタランはドリュウズの鋼鉄のように硬い爪をかわしつつ、ドリュウズの体にかぶりつく(と言っても長い舌で突っつくようなもの)。
「ドリュウズ、岩雪崩!」
ドリュウズはクイタランから距離を取り、雪崩のように岩石を降り注ぐ。
「ズルズキン、跳び膝蹴り!」
そしてズルズキンは岩雪崩を喰らって怯んだアイアントに、全身全霊の跳び膝蹴りを喰らわせ、戦闘不能にする。
「まだまだ。ズルズキン、噛み砕くだ!」
次にズルズキンはクイタランに接近し、その赤い体躯にかぶりつく。
「ドリュウズ、気合玉!」
そしてドリュウズは気合玉をぶつけ、クイタランを吹き飛ばす。
「諸刃の頭突きだ!」
最後にズルズキンは頭を突き出し、猛烈な勢いでクイタランに強烈な頭突きを喰らわせ、戦闘不能にする。
「予想以上に成長しましたね。ですが、バトルはまだ始まったばかり。まだまだ先は見えませんよ!」
バトルサブウェイマルチバトル。まだまだ続くのであった。



今回は番外なのですが、いきなり長めになってしまいましたので、あとがきは短く。では、次回のノボリ&クダリ戦もお楽しみに。

Re: 番外編 マルチバトルサブウェイ 中編 ( No.318 )
日時: 2011/07/22 21:37
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「次はこのポケモンです。アーケオス!」
「次はこのポケモンだよ。アバゴーラ!」
ノボリとクダリはそれぞれポケモンをボールに戻し、新たなポケモンを繰り出す。
ノボリが繰り出すは最古鳥ポケモンのアーケオス。クダリが繰り出すは古代亀ポケモンのアバゴーラ。
「アーケオス、岩雪崩!」
アーケオスはどこからか多量の岩石を出現させ、それをズルズキンとドリュウズに降り注ぐ。
「アバゴーラ、地震」
そしてアバゴーラは岩雪崩で怯んでいる車輌を揺るがす地震を発生させる。その衝撃でドリュウズとズルズキンは戦闘不能になってしまった。
「戻れ、ズルズキン」
「戻って、ドリュウズ」
イリスとミキはポケモンをボールに戻し、次なるポケモンを繰り出す。
「地震があるなら……出て来い、ウォーグル!」
イリスはワシボンの進化系、ウォーグルを繰り出す。飛行タイプなので地震が当たらないというのが理由だ。
「アーケオスは飛行タイプだから……出て来て、イワパレス!」
ミキはイシズマイの進化系、イワパレスを繰り出す。最も強そうなアーケオスの弱点を突けるというのが理由だ。
「ウォーグル、ビルドアップだ」
ウォーグルはひとまず能力を上げる。いくら地震が効かないとはいえ、タイプ的には攻防ともに不利なのだ。
「アバゴーラ、ストーンエッジ」
「アーケオス、噛み砕く」
アバゴーラは鋭く尖った岩を無数に発射し、アーケオスは鋭い牙をきらめかせ、突撃する。どちらもウォーグルが狙いだ。
「イワパレス、ストーンエッジ!」
しかしイワパレスのストーンエッジがアバゴーラのストーンエッジを相殺する。
「ウォーグル、もう一度ビルドアップだ」
そしてウォーグルはさらに筋肉を増強し、攻防ともに高めて噛み砕くのダメージを軽減する。
「ブレイククロー!」
ウォーグルは鋭い爪でかぶりついているアーケオスを引き剥がす。
「シャドークロー!」
イワパレスはハサミに影を纏わせ、アバゴーラを切り裂く。
「アーケオス、燕返しです!」
「アバゴーラ、アクアジェット」
アーケオスは流れるような動きでウォーグルの体を切り裂くが、あまりダメージはない様子。アバゴーラのアクアジェットも、イワパレスには効果抜群だが大きなダメージにはなっていない。
「ウォーグル、エアスラッシュ!」
ウォーグルは風の刃を飛ばし、アーケオスを切り裂く。
「イワパレス、シザークロス!」
イワパレスもハサミを十字に構え、アバゴーラを切り裂く。
「ふむ。想像以上ではなく、想像を遥かに超えると訂正したほうがよろしいですね。アーケオス、龍の波動!」
アーケオスは口から龍の力を波動として放つ。ウォーグルは旋回してそれを避けようとするが、結局は当たってしまう。
「イワパレス、ストーンエッジからシザークロス!」
イワパレスはまず鋭い岩を発射してアバゴーラの動きを止め、すぐさまハサミを十字に構えて斬り掛かる。
「鉄壁」
しかしその攻撃はアバゴーラの鉄壁で防御されてしまい、あまりダメージを与える事はできなかった。
「アーケオス、岩雪崩!」
「アバゴーラ、地震」
アーケオスは多量の岩石を降り注ぎ、2体のポケモンを怯ませる。そこにアバゴーラが地震を放ち、イワパレスを攻撃する。
「ウォーグル、アバゴーラにエアスラッシュ!」
地震のダメージを受けなかったウォーグルは、風の刃でアバゴーラを切り裂く。
「アーケオス、燕返し!」
「アバゴーラ、アクアジェット」
アーケオスは流れるような動きでウォーグルを切り裂き、アバゴーラは水を纏ってイワパレスに激突する。
「イワパレス、シザークロス!」
イワパレスは反撃のシザークロスを放つも、アバゴーラにはあまり効いていない。
「もう一度アクアジェット」
アバゴーラは再び水を纏ってイワパレスに突撃する。
「イワパレス、殻にこもる!」
しかしイワパレスは殻にこもり、アクアジェットのダメージを軽減する。
「よし、これで決める。ウォーグル、ブレイブバード!」
ウォーグルは燃え盛る炎のようなエネルギーを纏い、アバゴーラに突撃し、吹っ飛ばす。さらにそのままアーケオスにも向かう。
「くっ……アーケオス、龍の波動です!」
アーケオスは口から龍の波動を放とうとする。しかし
「イワパレス、ストーンエッジ!」
イワパレスが尖った岩を発射し、アーケオスの動きを一瞬だけ止める。そしてその一瞬で、アーケオスもウォーグルに吹き飛ばされた。
「……戻りなさい、アーケオス」
ノボリは戦闘不能となったアーケオスをボールに戻す。ちなみにクダリのアバゴーラも戦闘不能で、クダリはとっくに戻している。
「では、これで最後のポケモン。出て来なさい、ギギギアル!」
「出て来て、ギギギアル!」
ノボリ。クダリが最後に繰り出すポケモンは、どちらとも歯車ポケモンのギギギアルだった。
「ギギギアル、岩砕きです!」
ノボリのギギギアルは意外に速い動きでイワパレスに接近すると、棘の付いた輪を回転させてぶつけ、イワパレスを攻撃する。
「くっ、ウォーグル、ブレイブバード!」
「ギギギアル、10万ボルト」
クダリのギギギアルは高圧電流を纏い、それを向かい来るウォーグルにぶつける。
「ウォーグル!」
ウォーグルのブレイブバードはギギギアルの10万ボルトに押し切られ、そのまま電流を浴びて戦闘不能となった。
「イワパレスにも10万ボルト」
クダリのギギギアルはイワパレスにも電流を放ち、攻撃する。
「これでとどめです。ギギギアル、岩砕き!」
そしてノボリのギギギアルがイワパレスに岩砕きを炸裂、戦闘不能にする。
「では、そろそろバトルサブウェイも終点です。お忘れ物のないよう、お気をつけてください」



短いと内容が薄くなる。でも長くすれば入りきらない。なんとも悩ましい事です。今回は番外編初の中編です、入りきらなさそうだったので、分けました。では、次回は後編、お楽しみに。

Re: 番外編 マルチバトルサブウェイ 後編 ( No.319 )
日時: 2011/07/23 19:26
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「頼むぞ、ダイケンキ!」
「頼んだよ、メブキジカ!」
イリスの最後のポケモンはフタチマルの進化系、ダイケンキ。ミキのはシキジカの進化系、メブキジカだ。
「……それにしても、クダリさんのギギギアル。特攻がやけに高い……」
ギギギアルは本来、特攻よりも攻撃の高いポケモン。確かに特攻が低いわけではないが、それにしては高い気がする。
「それならばお答えしましょう。ズバリ——」
「特性プラスマイナスだよ」
ノボリの言葉を遮るように、クダリは言う。
「……その通りで御座います。ギギギアルの特性、プラスとマイナスは、それぞれ他に、プラスならばマイナス、マイナスならばプラスの特性を持つポケモンがいる場合、特攻が上昇するのです。ちなみに私のギギギアルはプラス、クダリのギギギアルはマイナスです」
「試しに見せてあげるよ。ギギギアル、ラスターカノン」
ギギギアルは銀色に光る球体を作り、それをダイケンキに発射する。
「ぐ……確かに、かなりの威力だ……」
効果いまひとつのはずなのに、ダイケンキは結構なダメージを受けている。
「でも、そうだとしても勝つのは私たちです!メブキジカ、ウッドホーン!」
メブキジカは角を突き出し、クダリのギギギアル(以下、ギギギアル−)に突進する。
「ギギギアル、ギアソーサーです」
しかしその攻撃はノボリのギギギアル(以下、ギギギアル+)が放った2つの歯車に遮られた。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキもメブキジカ同様、角に水のエネルギーを纏わせて特攻する。
「ギギギアル、金属音」
ギギギアル−は金属が擦れ合うような耳障りな音を放ち、ダイケンキの動きを止める。
「ギギギアル、岩砕きです」
そしてすかさずギギギアル+が棘付きの輪をぶつけてくる。威力はそこまで高くないが、防御を下げられてしまう。
「メブキジカ、シャドーボール!」
「ダイケンキ、吹雪!」
メブキジカは黒い影の球をギギギアル−に発射し、ダイケンキは猛烈な吹雪をフィールド全体に吹き荒ばせる。
「ギギギアル、10万ボルト」
「ギギギアル、ギアチェンジです」
ギギギアル−は10万ボルトを広範囲に放ち、吹雪を遮る。その隙にギギギアル+が歯車を高速回転させながら入れ替える。
「ギギギアル、破壊光線」
吹雪が収まると、ギギギアル−は赤いコアから極太の光線を発射する。光線は誰に向かって行くわけでもなかったが、ダイケンキとメブキジカを怯ませる程度の事は出来た。
「ギギギアル、ギガインパクトです!」
そして今度はギギギアル+が膨大なエネルギーを纏って突撃してくる。その狙いはメブキジカで、砂煙が舞っていて視界の悪かったメブキジカはギガインパクトの直撃を受ける。ギアチェンジで強化されたギギギアル+のギガインパクトだ。普通のメブキジカなら、まず耐えられないが
「メブキジカ、二度蹴り!」
メブキジカは耐え切り、ギギギアル+を二度蹴りつける。
「くっ、かなりの耐久力ですね……!」
「ダイケンキ、メガホーンだ!」
ダイケンキもメブキジカに触発されてか、破壊光線の反動で動けないギギギアル−に、強烈な角の一撃を浴びせる。
「ウッドホーン!」
「シェルブレード!」
そしてメブキジカは体力を吸収する角の一突きを、ダイケンキは仕込み刀による袈裟斬りを、それぞれのギギギアルに喰らわせた。
「一旦退いてください、ギギギアル」
「ギギギアル、ノボリを援護するよ。ラスターカノン」
ギギギアル+はメブキジカから離れ、ギギギアル−は銀色に輝く球を発射する。
「クダリさん、僕を置いて他人の心配してる場合ですか。ダイケンキ、メガホーン!」
そう、ギギギアル−は目の前にいるダイケンキを放置してノボリの援護をした。
選択ミスと思われそうな行動ではあるが、クダリはダブルバトルにおいては、最強と言っても過言ではないくらいの持ち主だ。そして、ノボリとクダリの息はピッタリなのだ。
「ギギギアル、岩砕きです!」
ダイケンキが角を突き出そうとすると、ギギギアル+が棘の輪をぶつけ、体勢を崩される。
「しまった……!」
気付いた時には、もう遅い。
「ギギギアル、10万ボルト」
ギギギアル−は高圧電流をダイケンキに流す。効果抜群なので、戦闘不能か、もしくは致命傷だろう。
「これで決めましょう。ギギギアル、ギアソーサ——」
ギギギアル+がとどめにギアソーサーを放とうとした、その時
『!?』
今まさにギア祖サーを放とうとしていたギギギアル+にぶつかるように、ギギギアル−が飛んで来たのだ。
「ミキちゃん、グッジョブ!」
イリスがミキに親指を立てる。
今のはメブキジカがギギギアル−の横に回りこみ、渾身のウッドホーンをぶつけて吹っ飛ばしたのだ。
「メブキジカ、とどめの破壊光線!」
メブキジカはそこで大きく跳躍し、ギギギアル−に極太の光線を放つ。
「クダリ!くっ……ギギギアル、ギガインパクトです!」
ギギギアル−がやられ、ギギギアル+は反動で動けないメブキジカに激突する。
「上手く引っ掛かってくれましたね」
ミキはメブキジカがやられると、ニヤリと笑いながらそう言った。そしてノボリは理解する。自分たちが負けた事を。

「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」

今ギギギアル+はギガインパクトの反動で動けない。そしてダイケンキは完全にフリー。
ダイケンキの放つ水流が、ギギギアル+を押し流していく。
「……私たちの、負けですね」
「……うん」



「僕、クダリ。今度は君たちに負けちゃった。だけど納得、だって君たち強すぎるもん」
バトル終了後、クダリはいきなり口を開く。
「君たち自身が持つ強さ、ポケモンへの信頼。見ていて凄く眩しかった」
そしてクダリは、とても嬉しそうに、楽しそうに言った。
「うん、最高に面白かった。また、僕らとバトルしようよ」



「ブラボー!心の奥底から、ブラボーです!」
そしてノボリも、最高にハイテンションで、手を叩きながらイリスとミキを褒め称える。
「あなた方とポケモンの類まれなるコンビネーション、非常に素晴らしいです。お気付きになられたでしょうが、自分と自分以外の組み合わせは、自分が備えている以上のエネルギーを生み出す最高のエンジンなのです!」
そしてノボリは、2人を称えるように、尊敬するように言った。
「よろしければ、また違う組み合わせでも私どもに挑んでくださるようお願いします。心の底からお待ちしています」



こうして、イリスとミキの、バトルサブウェイでの戦いは幕を閉じた。



長い番外でしたが、遂に書き終えました。中身が長いので、今回のあとがきは短めに。次回はプラズマ団との最終決戦に移行します。お楽しみに。

Re: 154章 行く手の影 ( No.320 )
日時: 2011/07/23 20:26
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「皆、無事だったのか」
「当たり前だよ」
「勿論無事に決まってるじゃん」
「というか、私たちからすれば師匠の方が心配でしたよ」
イリス、チェレン、ベル、ミキの4人は各自四天王を倒すと、最初に集まった像のある広場にやってきた。
「さて、問題はこの先だけど……」
チェレンはそう言うと、中央の像を見遣る。他の3人もそれにつられて目線を動かす。
「なんかこの像……光ってるよね」
見ると巨大な像は、まぶしくない程度に発光していた。正確に言えば、像の台座とその下が円形に発光している。
「これに乗れって意味だと、僕は思う」
チェレンはそう言いつつ、像に手を触れる。すると
「!動き出した……!」
像を中心とした円は、下へと降下し始める。
「……とりあえず、第一関門突破、ってところかな」
イリスは独りごちる。
「この後に控えているのは、アデクさんとのバトル……もしくはNとのバトルだね」
「……うん」
イリスは短く答える。決心はついているが、やはり少し不安だ。
「そうだ。イリス、ポケモンを1体出して」
ベルが唐突に口を開く。
「え? なんで?」
「薬が1つだけあるから、イリスのポケモンを回復させてあげるよ」
イリスは、ベルにしては気が利くな、と思いつつどのポケモンにするかを決める。
「やっぱりダイケンキかな。シキミさんとのバトルでも、頑張ってくれたし」
そう言ってイリスはダイケンキを出す。ベルはダイケンキにスプレー状の薬を吹きつけ、ダイケンキの傷を癒す。
「ん、完了」
「ありがとう、ベル」
イリスがダイケンキをボールに戻すと、丁度円形のリフトが一番下まで降りる。
「それじゃ、行くとしますか……」
そう言いながらイリスが足を踏み出すと、風を切るような音が聞こえてきた。

「ここは通さんぞ、英雄とその他の者よ」

出てきたのは、黒い忍装束のような格好の3人組、ダークトリニィだ。
「……まさか、こんなところで現れるとは……!」
イリスは苦虫を噛み潰したような顔をする。ベストコンディションとはいえない状態。そして控えるN戦の前に、ダークトリニィが現れたのだ。
「N様は今現在バトルの真っ最中。それを邪魔されては、我々も困る」
そう言ってダークトリニィはそれぞれボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
「サザンドラ……!」
ダークトリニィが繰り出したポケモンは、三つ首のポケモン、サザンドラだ。
「どうしても通りたいのであれば、我々を倒して見せよ」
「……分かった。なら——」
イリスもボールを取り出し、戦う覚悟を決めるが
「僕たちが相手になろう」
チェレンが名乗り出る。いや、チェレンだけではない。ベルとミキもだ。
「イリスはまだ戦っちゃダメだよ。ここはたしたちに任せて」
「師匠は先に行ってください」
チェレン、ベル、ミキは口々にそう言う。そう言われてしまえば、イリスも答えないわけにはいかない。
「……3人とも、頼んだよ!」
イリスは3人にこの場を任せ、走り出す。



「……随分と簡単に行かせてくれたね」
「まあな。ここにいるのは我々だけではないのだ」
「他にも誰かプラズマ団がいるのか?」
「いや、プラズマ団はいない。しかし、あの者なら時間稼ぎどころか、ここで英雄を倒してしまうやもしれぬな」



イリスは長い階段を駆け上がり、最上部の神殿を目指す。目指すが、途中で足を止める。

「ここは通行止めだ。通りたいなら私を倒す事だ」

登場早々宣戦布告ともとれる発現をしたのは、銀色の髪に死者のような眼。見る者の目を引く失われた左腕。
「メイル……!」
イリスの行く手を阻むのは、いつか戦い敗れた、メイルだった。
「英雄よ、どうする。ここで私と戦わず、Nのバトルが終わるのを待っているか。それともここで戦って、私——」
「戦うに決まってるだろ!」
イリスは怒鳴るように叫ぶ。じかしその表情は、なんだか楽しそうだった。
「……そうか。なら、出て来いアーケオス」
メイルの一番手は、光速の如きスピードのポケモン、アーケオスだ。
「頼んだぞ、ウォーグル!」
そしてイリスが繰り出すのは、勇猛ポケモンのウォーグルだ。
「アーケオス、アクロバット」
アーケオスはその瞬間、消える。正確には目にも止まらぬ速さで動き、ウォーグルに攻撃したのだ。しかし
「その攻撃はもう見切ってるんだよ!ウォーグル、ビルドアップ!」
ウォーグルは筋肉を増強し、アクロバットのダメージを抑える。
「捕まえろ!」
そしてウォーグルは翼を使ってアーケオスを包み込むように捕らえる。
「ブレイブバード!」
そしてその状態で、地面に急降下する。アーケオスはウォーグルに捕まったまま地面に激突し、効果いまひとつにも関わらずかなりのダメージを受けた。
「前よりは出来るようになったようだな。アーケオス、ストーンエッジ!」
アーケオスは上空にいるウォーグルに向かって鋭く尖った岩を発射する。
「薙ぎ払え、ウォーグル。エアスラッシュ!」
ウォーグルは風の刃を連続で放ち、襲い掛かる岩を全て砕き、そのままアーケオスを切り裂く。
「ブレイブバード!」
「諸刃の頭突きだ!」
そしてウォーグルは燃え盛る炎のようなエネルギーを身に纏い、アーケオスは自分さえ傷つけてしまうような勢いで、それぞれに突撃する。
2体のポケモンは激突し、しばらく競り合うが、やがて両方とも吹き飛ばされる。
「……相打ちか」
「ま、最初にしては悪くない終わりだな。それに、相手があんたなら尚更」
イリスVSメイル。イリスのリベンジマッチが始まった。



さて、今回は昔懐かし(失礼)のあの人の登場です。そう簡単にNとのバトルには行き着きませんよ。まあでも、そんなに長くする予定ではありませんが。では、次回はイリスVSメイル、リベンジマッチ。お楽しみに。

Re: 155章 リベンジマッチ イリスVSメイル ( No.321 )
日時: 2011/07/23 23:03
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「出て来い、デスカーン!」
「行け、ランクルス」
イリスの2番手は黄金の棺桶の姿をしたポケモン、デスカーン。メイルが繰り出したのは黄緑色のジェル状の物質を身に纏った胎児のようなポケモン、ランクルス。
「……あんた、他にもポケモン持ってたんだな」
「そういえば、お前に見せるのは初めてだったな。ランクルス、エナジーボール」
ランクルスは緑色の球を2つ作り出し、それをデスカーンに向けて放つ。
「デスカーン、怪しい風で吹き飛ばせ!」
デスカーンはその球を妖気を含む風で吹き飛ばす。
「シャドーボール!」
そして影で作った球を4つ、ランクルスに放つ。
「ランクルス、サイコキネシスで止めて雷だ」
だがランクルスは念動力で影の球を止め、さらにデスカーンに激しい落雷を落とす。
「くっ、凄い威力だな……デスカーン、鬼火だ!」
デスカーンは青白い不気味な火の玉でランクルスを囲み、身動きを取れなくする。
「動けば即火傷だ。デスカーン、シャドーボール!」
デスカーンはランクルスが動けない事をいい事に、シャドーボールを4発放つ。
「問題ない。ランクルス、かわせ」
しかしランクルスは鬼火に構う事無く、決して速いとは言えない動きでシャドーボールを回避する。
「私のランクルスの特性はマジックガード。技での攻撃以外ではダメージを受けない。鬼火など恐れるにたらん」
メイルの言う通り、ランクルスは火傷状態ではあるが、全くダメージを受けていない。
「ランクルス、エナジーボール」
ランクルスは緑色の球体を2つ、デスカーンに向けて放つ。
「デスカーン、鬼火で防げ!」
デスカーンはその球に対し、鬼火を盾のように隙間なく並べ、エナジーボールを防御。
「シャドーボール!」
「サイコキネシスだ」
そしてシャドーボールを発射。しかしランクルスのサイコキネシスで相殺されてしまう。
「だったらこれで……怪しい風!」
デスカーンは妖気を含む風を、弾丸のようにして竜巻状に撃ち出す。
「止めろ。サイコキネシスだ」
だがしかし、ランクルスはサイコキネシスでそれを止める。
「鬼火!」
ここでデスカーンは鬼火を放つ。しかし鬼火はランクルスには効かない。というか、既にランクルスは火傷状態だ。
「気でも狂ったか。ランクルス、放置しておけ」
ランクルスはゆらゆらと襲い掛かる鬼火に、何をするでもなく放っておく。しかし、ここで何らかのアクションを起こし、鬼火を消すなりデスカーンを攻撃するなりしておけばよかったと、メイルは後で悔やむだろう。
「!? シャドーボール……!?」
鬼火が通過すると、間髪入れずに黒い影の球が4発飛んでくる。いきなりだったので、ランクルスは4発全て喰らってしまった。
「これでとどめだ。目覚めるパワー!」
そしてデスカーンは朽葉色の小球を無数に発射する。
小球は全てランクルスにヒットし、シャドーボールで特防を下げられた事もあって、ランクルスは戦闘不能となった。
「それに、僕のデスカーンの目覚めるパワーは虫タイプ。エスパータイプのランクルスには効果抜群だ」
イリスは言う。ちなみに朽葉色とは、色あせた感じ黄緑色だ。文字通り朽ちた葉っぱのような色。分かり難ければ、虫タイプのイメージカラーと思ってくれれば良い。
「次は……このポケモンか。出でよ、ゾロアーク!」
めいるの最後のポケモンは、Nも使う悪タイプのポケモン、ゾロアークだ。
「……まさか、ゾロアークまで持っているとは……」
イリスは以前、Nのゾロアークにボロ負けした事がある。
「行くぞ。ゾロアーク、火炎放射」
ゾロアークは口から灼熱の炎を放射する。
「デスカーン、怪しい風だ!」
デスカーンは放たれる火炎に対し、怪しい風で壁を作りって防御する。
「鬼火だ!」
そして青白い不気味な火の玉を放つ。火の玉はゆらゆらと揺れながら、ゾロアークに向かっていく。
「ゾロアーク、バークアウトだ」
だがゾロアークはけたたましい叫び声を上げ、鬼火を掻き消す。さらにさらにその叫び声はデスカーンも襲う。
「くっ……目覚めるパワー!」
デスカーンは朽葉色の小球を放つが、ゾロアークの俊敏な動きでかわされてしまう。
「効果抜群の技といえど、当たらなければ意味がない。シャドークローだ」
ゾロアークは影の爪を作り、デスカーンを切り裂く。効果は抜群だが、デスカーンは堅いので大きなダメージにはならない。
「デスカーン、シャドーボールだ!」
「跳び上がってバークアウト」
デスカーンはゾロアークを追尾するようなシャドーボールを放つが、ゾロアークは大きくジャンプしてそれをかわす。そしてけたたましい叫び声を放ち、影の球を消しつつデスカーンを攻撃する。
「これでとどめだ。ダークバースト!」
そしてゾロアークは落下と同時に黒いエネルギーがこもった腕を振り上げ、デスカーンにぶつけるように振り下ろす。
「デスカーン!」
黒いエネルギーはデスカーンを中心として波紋のように広がり、デスカーンを吹き飛ばす。
「戻ってくれ、デスカーン」
イリスは今のダークバーストで戦闘不能となったデスカーンをボールに戻す。
「さて、ゾロアーク……N戦の予行演習と捉えておくか。いや……」
ちゃんとトレーナーとして戦おう。とイリスは呟き、最後のポケモンを繰り出す。
「後はお前だけだ、ダイケンキ!」



イリスVSメイル、リベンジマッチです。これは次くらいで終わらせる予定です。それそれとして、目覚めるパワーって便利ですよね。小説書く時でも、いろいろなタイプを自由に使えるし威力も強弱つけれて描写も楽。これほど便利な技はそうないですよ。……いや、手を抜いているわけではありませんよ?なんかあとがきっぽいあとがきを終えたところで、次回もお楽しみに。


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