二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
日時: 2011/07/29 00:16
名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252

はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。

登場人物
>>28

プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218 
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70



Re: 42章 ホドモエジム戦 VSヤーコン ( No.87 )
日時: 2011/04/26 17:18
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

イリスはミキの頑張りのお陰で、すぐに風邪が治った。その際に少々痛い目、というより苦い目にあってはいるが。

時系列は遡り、昨日。
ミキは手に入れた薬をイリスに飲ませた。そのときの(寝ていた)イリスの反応が
「にがぁ!? 何これ!? なんか味覚が一気に狂った気がするよ!?」
「師匠……良かったです。元気になって……」
「元気というか、これ死んだって!舌の細胞が全部死んだよ!全滅して死滅したよ!っていうか本当に何これ!? ミキちゃんは僕に何を飲ませたの!?」
「え? ただの薬ですけど」
「絶対ただの薬じゃないよ!いくら良薬でもこれは苦すぎるよ!脳が味を認識するのを拒んでるよ!」

とまあ、こんな感じのやりとりはあったもの、イリスは無事復活したのであった。
閑話休題。
イリスは今現在、ホドモエジムジムリーダーのヤーコンとバトルをしている真っ最中だった。
「フタチマル、シェルブレード!」
「ワルビル、穴を掘る!」
ワルビルは穴に潜ってシェルブレードを避ける。
「地面タイプが相手なら、負ける気はしない!フタチマル、水の誓!」
と、フタチマルが水の誓を放つ仕種をしても何も起こらなかったが、少し間が空いて、地面からワルビルが水流で打ち上げられた。
「な、ワルビル!」
「今までは地面をぬかるませるのが限界だったけど、今ではもうポケモンを打ち上げるくらいの事はできる」
ちなみにこれは、ライモンジムの最後に使用したものの応用である。
「ふん。だが俺様のワルビルはまだまだいけるぞ。噛み砕く!」
「シェルブレード!」
フタチマルとワルビルにより、ホタチと牙のせめぎ合いなる。その結果打ち負けたのはフタチマルだった。
「くっ……」
「どうした? まだバトルは始まったばかりだぞ。ワルビル、シャドークロー!」
ワルビルが影で作った爪でフタチマルに襲い掛かる。
「避けろフタチマル!」
イリスはここで、撃退ではなく回避の指示を出した。なぜなら、フタチマルはワルビルとの戦いが始まってから、攻撃力を下げられているのだ。
「どうやら、ワルビルの特性、威嚇が効いてるみたいだな」
そう。イリスが今一つ攻撃的になれないのは、ワルビルの特性威嚇によってフタチマルの攻撃力を下げられているからである。
「フタチマル、水の波動!」
「避けろワルビル、ストーンエッジだ」
ワルビルは水の波動をかわし、尖った鋭い岩を無数に放つ。
「避けろ、フタチマル!」
フタチマルはその無数の岩をホタチも使いつつ全て避ける。
「はっ。そんな逃げ腰でバトルしてたんじゃ、俺様はおろか、この先のジムリーダーすら倒せないぜ」
「……フタチマル、水の誓!」
ヤーコンの挑発に乗りそうになったが、イリスは安全圏からの攻撃を繰り返す。
「まどろっこしいバトルだな。昔の自分を見てるみたいだぜ……」
ヤーコンがそう吐き捨てる。
「昔の自分……?」
「何でもねえよ……ワルビル、シャドークロー!」
ワルビルが影の爪を作り、フタチマルに特攻する。
「……こうなったら一か八か。フタチマル、ハイドロポンプ!」
フタチマルは大きく息を吸い込み、力を溜める。そして溜めた力で超高圧水流をワルビルに目掛けて放つ。
はずだった。
「!?」
ハイドロポンプは超高圧水流を相手目掛けて一直線に撃つ技。しかし、フタチマルが撃ったハイドロポンプは、水流が散弾の様に拡散していった。
「それは先日冷凍コンテナをぶち破った時に使用されたハイドロポンプだな。ふん、どうやらまだ未完成らしいな」
ニヤニヤと笑いながらヤーコンはそう言う。
だが実際、ハイドロポンプは未完成だ。まずもって撃つのに時間が掛かり、うまく発射しないと力が分散してしまうだけでなく、撃てたとしても2発目は撃てない。ここまで欠点だらけでは、とても実践では使えないだろう。
「……フタチマル、戻れ」
イリスは戦闘不能となったフタチマルを戻し、次のポケモンを出す。
「出て来いワシボン!」
イリスの2体目はワシボン。これでワルビルの攻撃の半分は無効に出来る。
「ワシボン、ビルドアップから燕返し!」
ワシボンはビルドアップで自分の能力を上げると、素早くワルビルに接近し、翼で切り裂く。
「なに!? ワルビル!」
ワルビルはワシボンの燕返しの一撃で戦闘不能となった。
「ちっ……戻れワルビル」
ヤーコンは舌打ちをし、ワルビルを交代させる。
「出て来い、ガマガル!」
ヤーコンの2体目はガマガル。
「ガマガル、エコーボイス」
ガマガルは突然、ではないにしても、驚くに値する行動を起こした。
声を発し始めたのだ、さながら発声練習の様に。
「な、何これ……?」
「今に分かるさ」
ヤーコンがそう言うと、ガマガルの声がだんだんと大きくなっていくのが分かった。そして
「! ……ぐぅ。これは……」
「そうだ。エコーボイスは使えば使うほど音が大きくなり、威力も増す」
「本当は複数でやるんだけどな」と後付し、ヤーコンは言う。
「さあ、俺様のガマガルのエコーボイス。破れるものなら破ってみろ!」
ヤーコンはそう、豪語した。



やっとここまで来ました。5つ目のバッジを賭けたバトル、ついに始まります。そして次回は、ヤーコンとの決着です。まあ、バトルシーン書き出したら文字数がえらいことにはなりますが、大体2回に分けられるんですけど。では、次回をお楽しみに。

Re: ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 オリキャラ募集 ( No.88 )
日時: 2011/04/26 17:26
名前: ドリルさま&ラーメン ◆lxCT9zqKcQ (ID: 9Zr8.vma)

すごいです!!
応援します!!
僕のとこにも来て下さい!!
(小5)

Re: 43章 ドリルライナー ( No.89 )
日時: 2011/04/27 00:18
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

「ガマガル、エコーボイス!」
ヤーコンは執拗にガマガルにエコーボイスを指示する。
エコーボイスは使うほどに威力が増大していく技。本来はダブル、トリプルバトルでこそ真価を発揮するが、単体での使用でも、攻撃を積むことさえ出来れば十分強力な攻撃となる。
「ぐぅ……」
イリスはガマガルのエコーボイスにより精神がやられかけている。エコーボイスはそういう使い道があるわけではないが、ヤーコンのガマガルはそういった使い方に長けているようだ。
「ワシボン……」
イリスが呟く。
「……そろそろいいか。ガマガル、ヘドロ爆弾!」
ガマガルは発声(もはや発声とかいうレベルではなかったが)を止め、口からヘドロを発射する。
「ワシボン!」
「休ませるな、濁流!」
続いてどこからか濁った大波を発生させ、ワシボンを飲み込む。
「ふっ、流石にこれだけの攻撃を食らえば、立ってはいらねえだろう」
ヤーコンは勝ち誇ったように言う。しかし、その期待はすぐに打ち砕かれる。
「ワシボン、エアスラッシュ!」
濁流の波の中から、波を切り裂く真空波が、ガマガル目掛けて飛んできた。
「ガマガル!」
ヤーコンは叫ぶ。
「僕のワシボンは、これくらいじゃやられませんよ。シャドークロー!」
「ちぃ、俺様としたことが、状況を読み間違えるとはな……ガマガル、エコーボイス!」
ヤーコンは再びエコーボイスでイリスの冷静さを欠かせようとしたが、同じ手は二度と通用しない。
「エコーボイスは初撃は大したことない。だったら、早めに決めるのみ!」
そのすぐ後、発生を始めたガマガルに影の爪で切り裂く。
「ワシボン、燕返し!」
「ガマガル、ヘドロ爆弾!」
ワシボンがすかさず燕返しを食らわそうとしたが、それよりも早くガマガルが動き、ワシボンを迎撃する。
「ワシボン!」
「これでとどめだ。ガマガル、濁流!」
ヘドロ爆弾を受けて怯んだワシボンを、ガマガルは濁流で流す。
「くっ……戻れ、ワシボン」
「さあ、これでお前の手持ちは残り1体、どうする?」
精神的に追い詰めようとしているのか、ヤーコンはやや挑発的な口調でイリスにプレッシャーを与える。
「……出て来い、ズルッグ!」
イリスは最後の望みをズルッグに託した。
「ほう、ズルッグか。ガマガル、マッドショット!」
ガマガルは口から泥を発射する。
「避けろズルッグ、飛び膝蹴り!」
ズルッグは前進しつつマッドショットを避け、ガマガルに飛び膝蹴りを食らわす。
「続けて炎のパンチ!」
飛び膝蹴りを受けて仰け反ったガマガルに、ズルッグはすかさず炎の拳を叩きつける。
「ぬう……ガマガル、一旦距離を取れ!エコーボイスだ!」
「無理ですよ。ズルッグ、頭突き!」
距離を取ろうと後退するガマガルを追い、ズルッグは頭突きをする。
「とどめだ、炎のパンチから飛び膝蹴り!」
頭突きを受けて怯んだガマガルに、ズルッグは炎のパンチで打ち上げ、飛び膝蹴りで決めた。
「ガマガル、戻れ」
ヤーコンは低い声音で、ガマガルをボールに戻す。
「……最初に言っておくが、俺様が次に出すポケモンは、ワルビルやガマガルとは一味も二味も違うぞ」
「いいじゃないですか。それでこそ燃えるバトルになりますよ」
「……ふん、生意気な餓鬼だ。出て来い、ドリュウズ!」
ヤーコンの3番手、エースポケモンはモグリューの進化系、ドリュウズだ。
「確かドリュウズは鋼タイプも持っていたはず。だったらズルッグとは相性がいい。一気に攻めるぞ、飛び膝蹴り!」
ズルッグはドリュウズに向かって走り出し、飛び膝蹴りを放つ。
「ドリュウズ、メタルクロー」
しかし、ドリュウズのメタルクローによって、いとも簡単に弾き返される。
「な……!?」
あまりも簡単に弾かれたので驚愕するイリスだが、そんなことはお構い無しにヤーコンは攻め続ける。
「ドリュウズ、地ならし」
ドリュウズは地震にも匹敵しそうな地ならしをする。それにより、ズルッグの動きが止まる。
「ドリルライナー!」
次にドリュウズは、両手の鋼鉄の爪と、頭の角の様なものを合体させ、自らをドリルの形状にした。そのすぐ後、ドリュウズは高速回転し、そのまま動きの止まったズルッグ目掛けて突っ込む。
「ズルッグ!」
ドリルライナーを正面からまともに受けたズルッグは、かなりやばい状態だった。
「そろそろ終わりにするぞ。ドリュウズ、気合玉!」
ドリュウズは両手で気合をエネルギーにして凝縮し、それ球状にしてズルッグ目掛けて放つ。
「避けろズルッグ!」
ズルッグは気力を振り絞って気合玉を避けようとするが、完全には避けきれず、掠める形で気合玉を受けた。
「ふん、まだ足掻くか。それならもう決めてやる。ドリュウズ、ドリルライナー!」
ドリュウズは一回目の時よりも数段速いドリルライナーでズルッグに突っ込む。
「ズルッグ、飛び膝蹴りじゃあのドリルライナーは止められない。炎のパンチも、頭突きもだ。だから、耐えてくれよ」
イリスは全てをズルッグに賭け、ゆっくりと目を閉じる。
ドリュウズがズルッグに突撃する数秒前も、一歩手前でもイリスは動かない。ついにドリルライナーがズルッグを捉えた時、イリスは指示を出す。
「ズルッグ、カウンター!」
ドリルライナーは回転しながら攻撃する技なので、どうしてもこちらが攻撃で相殺しようとしても、力が流されてしまう。しかし、カウンターは違う。カウンターは相手の力を利用する技なので、力が流されるという事が無い。その結果、ドリュウズは今までで1番のドリルライナーを放った事が災いし、ズルッグのカウンターを受け、沈んだ。

「気に入らんな」
ヤーコンはバトルが終わるなり、そう言い出した。
「え……?」
イリスは驚いたが、ヤーコンは構わずに言葉を続ける。
「その若さにして堂々たる戦いっぷり。カミツレが認め、価値を見出すのも頷けるってものだ。そんなお前に、このクエイクバッジを授けよう」
バトルに負けていちゃもんでもつけられるのかと冷や冷やしていたイリスだが、それを聞いて安心し、バッジを受け取った。
「ありがとうございます!」
これでイリスのバッジは5つ、ポケモンリーグまで、残り半分を切ったのであった。



なんだか読み返してみると、どうもドリュウズの出番が短いような気がします。正直もう一回に分けたほうがいいかな、とも思いますが、もう書いてしまったので良しとしましょう。次回はイリスがミキルートを攻略します……言っても意味分かんないですよね。僕もよく分かっていません。まあ、次回はイリスとミキが何かするんです。お楽しみに。

Re: 44章 野宿の恐ろしさ ( No.90 )
日時: 2011/04/27 17:20
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

ホドモエジムでのジム戦を終えたイリスとミキは、次なる街、フキヨセシティを目指し、6番道路を歩いていた。

「あー……日が暮れちゃったね」
「……そうですね」
イリスとミキは、正直6番道路の長さを舐めていた。いや、知らなかったのだ。6番道路はイッシュの道路でも比較的長めで、道も獣道とまではいかずとも、あまり整備されていないため歩きにくい。だから、イリスは日が暮れるまで歩いたが、運の悪いことに周りには民家はなく、ポケモンの巣しかないところで野宿をする羽目になった。しかも悪いのはそれだけでなく
「にしても、今日は寒いね」
「はい、風も吹いてますし」
そう、今日の6番道路は気温が低く、風もあってかなり寒い。
「どうしようか、こんな寒い中野宿なんてしたら風邪がぶり返しそうだ」
「どうしましょうか」
2人が腕を組んで考える。すると、イリスは何を思いついたのか、口を開く。
「じゃあ、一緒に寝ようか」
「ふえ!?」
とんでもない事を言い出した。
「そんな、師匠。ま、まだ私たちは、いや、でも、なんで、はわ、わわわ……」
「いやなに、雪山なんかに遭難した時は、2人で密着し合って寒さを凌ぐって聞いた事があるからさ……っていうか、ミキちゃん大丈夫?」
全然大丈夫ではない。ミキは赤面してパニックになっていて、イリスはとんでもないことを言ったという自覚がないのかキョトンとしている。

結局のところ2人は、風通しの悪い所を探し、1つの寝袋で2人寝ることにした。
幸い(?)イリスの寝袋はやや大きめだったし、ミキは小柄なので2人で寝ることが出来た。だがしかし、それでも密着しているのには変わりなく、ミキは相変わらず顔を赤くして、心臓の鼓動も通常の4倍くらい速くなっている。対するイリスは、神経が図太いのかなんなのか、悠々と寝ている。
「……寝ないのかい?」
イリスが片目を開けてミキに言う。どうやら寝ていなかったようだ。
「え、あ、いや、えーと……」
最早ミキはイリスと顔を合わせることさえ出来ない。
「?」
一方添い寝の発案者は、どうしたのかな?みたいな感じで疑問符を浮かべている。
「じゃ、寝れないなら、眠くなるまで何か話してよっか」
寝れない元凶の人は、そんな事を言い出した。

だがミキはイリスと話しているうちに、気が紛れて心臓の鼓動は遅くなっていった。
「次は……そうだね、僕が戦ったジムリーダーの話をしようか」
そしてイリスは語った。サンヨウジムデントの弱点を突くバトル。シッポウジムアロエの戦略を練るバトル。どちらも苦しい戦いだったことを。
「それでこれが、トライバッジとベーシックバッジだ」
イリスは鞄からバッジケースを出し、ミキに見せる。
「これが……ひゃっ」
「ミキちゃん、どうしたの?」
「な、何か、寝袋の中に……」
ミキは自分の体をまさぐり、自分をくすぐっていた何かを出す。
「……ポケモン?」
「これは……チラーミィだね」
どうやってか寝袋の中に潜り込んでいたのはチンチラポケモンのチラーミィだった。
「でも、何でチラーミィが?」
「さあ……?」
2人とも首を傾げる。
「って、うわ!」
今度はイリスの服の中に潜りこんで来た。
「ああ、師匠!」
チラーミィはイリスの服の中に潜り込むと、イリスの体くすぐってきた。しかし
「…………」
イリスは全く動じず、服の中のチラーミィを摘み出す。
「あの、師匠……くすぐられて、平気なんですか……?」
「うん。昔からくすぐるとか効かないんだよね、僕」
だそうだ。
「で、このチラーミィは何なんだ?」
イリスがチラーミィを猫つかみすると、チラーミィはチラーミィは体を捻り、尻尾で叩きつけてきた。
「痛!」
「師匠!」
ミキがイリスに寄ろうとすると、チラーミィがくすぐるをする。
「わっ……は、はは、ひゃ、はう、はは、ははは……」
「何だよこのチラーミィ……フタチマル、シェルブレード!」
イリスがキレ気味にフタチマルを出すと、シェルブレードで切り裂かせる。しかし
「な……!?」
フタチマルのホタチは尻尾による連撃で叩き落された。しかもそれだけではなく、尻尾を鋼鉄のように硬化させ、フタチマルの脳天を攻撃する。
「たぶん、あの尻尾の連続攻撃はスイープビンタです。フタチマルに決めた攻撃はアイアンテールかと」
ミキがイリスに分かったことを伝える。
「スイープビンタとくすぐるはともかく、アイアンテールまで使えるのか……これは、本格的にやばいな……」
そうこうしてる間に、チラーミィはフタチマルをくすぐって攻撃と防御を下げる。
「フタチマル、水の波動!」
フタチマルは口に球状の水を溜め、それを発射しようとするが、突然ひっくり返って不発になる。
「フタチマル……!?」
よく見るとフタチマルの足元に草が絡まっていた。
「草結びか……遠慮はいらないな。フタチマル、ハイドロポンプ!」
フタチマルは大きく息を吸い込んでハイドロポンプを撃つ構えを取る。しかし
「って、逃げるな!」
やばいことを悟ったのか、チラーミィは一目散に森の向こうへ逃げていった。
「……結局、あのチラーミィなんだったのでしょう?」
「さあ……?」

2人は次の日、寝不足になりながらも出発する。その後ろには、白い影が見えるのだった。その影には、2人とも気付かない。



今回はチラーミィを登場させました。いや、別に大した理由ではありません。伏線とか思ったりしないでください。……なんか墓穴を掘った気がしますが、次回予告です。次回は電気石の洞穴のすぐ手前の民家です。霧火さんのオリキャラ、リオの実家でもあります。それと、イリスもそろそろ新しいポケモンをゲットして欲しいかな、とも。というわけで、また次回をお楽しみに。

Re: 45章 電気泥棒バチュル ( No.92 )
日時: 2011/04/27 19:58
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

失敗は成功の母、という言葉がある。これは、失敗してもその失敗を次に繋げろ、という意味だ。
しかし
「あー……日が暮れちゃったね」
「……そうですね」
この2人は全く学習していなかった。
「電気石の洞穴までもうちょっとなんだけどなー」
「でも……たぶんそこを通っているうちに明日になっちゃいますよ」
「そうだよね……さて、どうしようか……?」
「この辺に民家とかないですかね?」
「そんな都合良く……あった」
「あったんですか!?」
少し獣道(みたいな道)を行ったところに、ぽつんと一軒の民家があった。
「あそこに住んでる人に、一泊だけさせてもらえないか頼もう」
「はい!」
善は急げ。2人は全力疾走でその民家まで走った。
「ごめんください!」
イリスがドアをノックしつつ、大きな声で言う。
「はい」
すると中から、イリスと同い年くらいの少女が出て来た。というか
『リオさん!?』
出てきたのはPDOヒウン支部統括の、リオだった。

「ここ、リオさんの家だったんですね」
イリスたちはリオに一泊だけ泊めてもらえるように頼んだら、すんなりと了解してくれた。
「うん。休暇中で帰省してるの」
「へえ……キリハさんは、どうしてます?」
「キリハはデスクワークに励んでるわ」

PDOヒウン支部、執務室。
「はあ……リオめ、書類の処理くらいしてから帰ってほしいよ。お陰でデスクワークの類は全部僕がやる羽目になるし……今日は徹夜かな……」
独り寂しくデスクワークに励んでいた。もちろん、そんなことはイリスたちの知るところではない。
「そういえば、ここ最近僕の休暇ってデスクワークで潰れてるような……?」

「ん?」
突然、部屋の電気が消えた。停電だろうか。
「また停電? どうなってるのかしら……」
どうやらこれが最初というわけではないようだ。
「停電、多いんですか?」
「うん。ここ毎日」
「毎日!?」
驚愕だった。
「出て来て、シビルドン」
リオはどこにあったのか、ボールからシビルドンを出し、発光させた。どうやら応急処置らしい。
「あれ? リオさん、シビルドン持ってましたっけ?」
「ああ、このシビルドンは前に冒険してたときの仲間よ。シャンデラ以外は母親に預けてるの」
「へえ、リオさん、PDOに入る前はイッシュを旅してたんですか」
「うん。それで、一緒にポケモンリーグを制覇したの」
「ポケモンリーグ?」
「あ、いや、なんでもない」
リオは慌てたように口を塞ぐ。
「そ、それよりも、停電よ」
「そうですね……なんでこんな頻繁に停電が起こってるのでしょう?」
「ブレーカーが落ちてるわけじゃないのが変なのよね。あ、あと、電気代がやけに高くなったりしてたわね」
「電気代?」
イリスは復唱する。
「……もしかしたら、停電の原因分かったかもしれません」
「え? 本当?」
「はい。とりあえず3人で、この家の周りを捜索しましょう」

そんなこんなで、イリス、リオ、ミキの3人は、家の周りを歩くこと数十秒、停電の原因を見つけた。
そこには、数十体バチュルの群れがあった。
「これですね」
「なるほどね」
「え? どういうことですか?」
理解してる2人に理解してない1人。
「いいかいミキちゃん。バチュルっていうポケモンは、電気を食べて生活するポケモンなんだ。電気といってもいろいろある。例えば静電気とかだ。人間でも大なり小なり電気が流れている、ポケモンも同じだ。それを食べることもあるし、民家の電気を食べるバチュルもいる」
「つまり、このバチュルたちはリオさんの家の電気を食べてたってことですか?」
「そういうこと」
イリスはミキへの説明が終わると、バチュルたちの方を見る。
「どうします、リオさん?」
「どうするもこうするも、ここには近寄らないように仕付けるしかないわ。出て来て、チラチーノ」
リオはそう言って、チラーミィの進化系、チラチーノを出す。
「チラチーノ、歌う」
チラチーノは美しい音色を響かせ、バチュルたちを眠り状態にする。
「あれ? このバチュル、眠らない」
一匹のバチュルだけ、歌うが効かなかったのか、眠っていなかった。
その次の瞬間、バチュルは電気を帯びた網を放ってきた。
「エレキネットね……チラチーノ、ロックブラスト!」
チラチーノは無数の岩を発射し、エレキネットを破る。
「凄い威力だな……」
「私のチラチーノの特性はテクニシャン。威力の低い技の威力が上がるわ。チラチーノ、もう一度ロックブラスト」
再度岩を連射するが、バチュルはそれを辛うじて避ける。
「チラチーノ、追って」
チラチーノは物凄いスピードでバチュルに特攻する。その速度は、かつて戦ったメイルのアーケオスと同等、もしくはそれ以上だ。
「アクアテール!」
チラチーノは尻尾に水を纏わせ、それをバチュルに叩きつけるが
「え? あれ?」
バチュルは全く違うところにいた。
「これって……身代わり?」
身代わりとは、自分の体力を削って身代わりを作り、代わりに攻撃を受けさせる技だ。
と、その時、他のバチュルも一斉に眠りから覚めた。
「リオさん、加勢します」
「私もです」
イリスとミキは、敵の数が一気に増えて、加勢する。
「ありがとう、2人とも」
「いえいえ。出て来い、デスマス!」
「出て来て、モグリュー!」
これより、バチュル(37体)VSリオ、イリス、ミキのバトルが始まる。



電気泥棒というのをご存知でしょうか?電気泥棒とは、他人の家に行ったとき、ゲームや携帯の充電をすることで自分の家の電気代を浮かせようという手段です。……いや、これは本編とは関係無いので、無視してもらって結構です。次回はバチュル(37体)とのバトルです。お楽しみに。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70



この掲示板は過去ログ化されています。