二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: 84章 怒りと協力 ( No.164 )
- 日時: 2011/05/31 23:53
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「んじゃ、次はこいつだ。出て来な、ローブシン」
レンジはシンボラーをボールに戻し、筋骨ポケモンのローブシンを出して来た。
「ローブシン……圧倒的な攻撃力を誇る格闘タイプのポケモンか。でも、確かローブシンは素早さが低かったはず。なら、チラーミィでもいけるはずだ。チラーミィ、スイープビンタ!」
チラーミィは持ち前の素早い動きでローブシンに接近し、硬化させた尻尾で何度も叩く。
「アイアンテール!」
そして最後に、鋼鉄のように硬化させた尻尾をローブシンの頭を叩きつける。
「決まった!」
イリスでなくとも、この状況はローブシンが大ダメージを受けたと思うだろう。確かにチラーミィもスイープビンタにアイアンテールを叩き込む際、手応えは十分にあった。しかし
「けっ、大したことねえじゃねえか」
「?……!?」
イリスはレンジの言葉に疑問符を浮かべていると、ローブシンがチラーミィを掴み、地面に叩きつけた。
「チラーミィ!」
叩きつけられたチラーミィは、苦しそうである。
「ローブシン、アームハンマー」
さらにローブシンは、拳をハンマーのように振り上げ、チラーミィに振り下ろす。
「チラー……」
ドゴォという轟音を響かせ、地面が砂にも関わらず、ローブシンの振り下ろした拳の下は、大きく陥没していた。勿論、アームハンマーの直撃を受けたチラーミィは、瀕死どうこうより、生命的に危険な状態だろうが。
「そーいやお前、人間とポケモンの世界を守るとか言ってたらしいな。でもよ、ポケモン守れねえ奴が、そんなこと言う資格があるのか?」
レンジはニヤニヤと笑いながらイリスに言う。
「……もう……た」
「あ?」
「僕はもう、キレたよ。お前は、ぶっ倒す!」
イリスは怒りを含んだ眼差しで、レンジを睨みつける。
「やってみろよ、出来るんならな」
「やってやるよ。出て来い、ワシボン」
イリスは格闘タイプのローブシンに有利な、飛行タイプのワシボンを繰り出す。
「ワシボン、燕返し!」
ワシボンは素早くローブシンに接近し、その翼で切り裂く。
「弱点突いたくらいで勝てると思ってんなよ。ローブシン、アームハンマー」
ローブシンは拳を振り上げ、ワシボンに振り下ろす。
「避けろワシボン!」
ワシボンはそれを回避する。
「逃がすかよ。ローブシン、ストーンエッジ!」
ローブシンは尖った岩を無数にワシボンに発射する。
「オーベム、サイドチェンジ!」
チェレン&ミキ対ルー&リンとのバトルで、チェレンはオーベムにそんな指示を出す。
コジョフーがツンベアーに向けて飛び蹴りを放つ瞬間。そして、ツンベアーは切り裂くでコジョフーを迎撃する瞬間に、それは起こった。
「え? 消えた……」
「へ? 消えた……」
ツンベアーに向かっていったコジョフーと、モロバレルと相対していたオーベムが、それぞれの視界から消えたのだ。ただ、一瞬だけしか消えなかったため、すぐに2人は落ち着くだろうと思うかもしれないが、そうはならなかった。なぜなら、モロバレルがコジョフーに蹴り飛ばされ、ツンベアーの目の前にいたのはオーベムだったのだから。
「な、これは一体……」
「な、これは一体……」
ルーとリンは驚いている。無理もない。いきなり2匹の立ち位置が変われば、誰だって驚く。
「サイドチェンジ。僕のオーベムはそれを使ったのさ。サイドチェンジとは、2匹のポケモンの位置を入れ替える技だ。急に場所が入れ替わったもんだから、まだ混乱してるだろう?」
チェレンの言う通り、ルーとリンは混乱していた。
「さて、混乱状態から回復する前に、決めてしまおう。オーベム、シャドーボール」
オーベムは至近距離から黒球をツンベアーに放ち、戦闘不能にする。
「それじゃあこっちも。コジョフー、スピードスター!」
コジョフーも無数の星をモロバレルに向けて放ち、戦闘不能にする。
「戻れ、ツンベアー」
「戻って、モロバレル」
ルーとリンはそれぞれのポケモンをボールに戻す。
「それじゃあ次はこいつだ。出て来い、フリージオ!」
「それじゃあ次はこの子よ。出て来て、マラカッチ!」
ルーはフリージオ、リンはマラカッチをそれぞれ繰り出す。
「フリージオ、氷のつぶて!」
「マラカッチ、ミサイル針!」
フリージオは小さな氷の欠片、というかつぶてを放ち、マラカッチは無数の針をミサイルのように飛ばす。
「ぐぅ、オーベム!」
「コジョフー!」
オーベムは飛来する無数のミサイル針をほぼ全て受け、コジョフーはフリージオの放った氷のつぶてを食らって、どちらも戦闘不能となった。
「戻れ、オーベム。……さて、どうするか」
「戻って、コジョフー。……さて、どうしましょう」
2人はほぼ同時にポケモンを戻し、ほぼ同時に腕組みをしながら考える。
「ねえ、ちょっと。僕たちの個性を取らないでよ。その喋り方は僕らだけのものだ」
「ねえ、ちょっと。私たちの個性を取らないでよ。その話し方は私らだけのものよ」
不満があったのか、ルートリンは文句を垂れる。
「いや、別に故意にやったわけじゃないんだけどね。……よし、出て来いギガイアス!」
チェレンは悩んだ末、高圧ポケモンのギガイアスを繰り出す。
「よし、私も決めたよ。出て来て、バルチャイ!」
ミキはバルチャイだ。
「さて、僕らの戦いは好調だけど、向こうはどうなってるかな?」
「さて、私らの戦いは好調だけど、向こうはどうなっているかしら?」
「何が好調なのか、僕には分からないな」
「そうですね。最終的に、勝つのは私たちです」
古代の城でのプラズマ団との戦いは、まだ続くのであった。
なかなか終わりませんね、プラズマ団とのバトル。まあ、あと2〜3回くらいで終わるとは思いますが。さて次回も古代の城での戦いです。お楽しみに。
- Re: 85章 砂塵と防塵 ( No.165 )
- 日時: 2011/06/01 23:48
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「ワシボン、ビルドアップ!」
ワシボンの取ったストーンエッジの対処法は、簡単に言って防御であった。ビルドアップで防御力を高め、ストーンエッジの威力を弱めたのだ。
「だが、俺のローブシンのストーンエッジの威力は半端ないぜ? ビルドアップ1回くらいでどうこうできるモンじゃねえよ」
レンジはそう言うが、実際その通りだった。ワシボンは防御力を高めたものの、ストーンエッジの直撃を受けてボロボロである。
「さっさと決めるぞローブシン。マッハパンチ!」
するとローブシンは、今までの動きの鈍さが嘘のようなスピードでワシボンに接近し、その拳を振り抜く。
「ワシボン、燕返し!」
しかしワシボンはその拳に対し、自らの翼をぶつけることによって威力を相殺した。さらにもう片方の翼でローブシンを切り裂き、ダメージも与えることが出来た。
「さらにシャドークロー!」
ワシボンは影の爪を作り出し、またもやローブシンを切り裂く。
「ビルドアップで攻撃も強化されてるから、結構効くだろ?」
「ハッ、この程度屁でもねえよ。ローブシン、なし崩し!」
ローブシンはここで、手に持つ2つのコンクリートの柱を振り回し、ワシボンを攻撃してきた。
「なし崩しはこちらの能力変化に関係なく攻撃する技、か。厄介だな。ワシボン、エアスラッシュ!」
ワシボンはコンクリートを振り回している筋肉の塊から一旦距離を取り、空気の刃を放つ。
「ぬぅ、ローブシン!」
ローブシンは今までで1番効いているようで、その場に片膝をついた。
「そうか。ローブシンは防御は高めだけど、特防は低いんだ。だからエアスラッシュが効いていたのか」
そして、それならチラーミィの攻撃が効かなかったことにも説明がつく。
「よし、それならワシボン、エアスラッシュだ!」
ワシボンは再度空気の刃をローブシンに放つ。
「何度も同じ技が通用すると思ってんなよ。ローブシン、ストーンエッジ!」
しかしローブシンも、尖った岩を無数に発射する。
エアスラッシュのストーンエッジ。2つの攻撃は互いにぶつかり合うこともなく、それぞれのターゲットに向かっていく。
ローブシンは空気の刃に切り裂かれ、ワシボンには無数の岩が突き刺さった。そして、お互いその場に崩れ落ちた。
「フリージオ、冷凍ビーム!」
「マラカッチ、花びらの舞い!」
フリージオは口のうような部位から氷の光線を発射し、マラカッチは頭の花から無数の花弁を発射する。
「ギガイアス、パワージェム!」
ギガイアスは、煌く宝石のようなものを無数に発射し、フリージオの冷凍ビームとマラカッチの花びらの舞を防いでいる。
「バルチャイ、エアスラッシュ!」
そしてバルチャイは空気の刃を放ち、マラカッチを攻撃する。
「援護だフリージオ。氷のつぶて」
「反撃よマラカッチ。ミサイル針」
「ギガイアス、ストーンエッジだ!」
ギガイアスは無数の尖った岩を放ち、氷のつぶてとミサイル針を相殺する。
「バルチャイ、鋼の翼!」
そしてその間、バルチャイはフリージオに接近し、鋼の翼を食らわせる。
「なるほど、そっちの眼鏡の人が後衛から援護。そっちの小さい女の子が前衛で攻撃というわけだね。うまいコンビネーションじゃないか」
なるほど、そっちの眼鏡の人が後衛から援護。そっちの小さい女の子が前衛で攻撃というわけね。うまいコンビネーションじゃないの」
「それはどうも。ギガイアス、パワージェム!」
またもギガイアスは煌く宝石を発射する。
「でも、タネが割れたら対策は出来るよ。フリージオ、溶ける」
「でも、タネが割れたら対策は出来るわ。マラカッチ、コットンガード」
フリージオは溶けるで、マラカッチはコットンガードでギガイアスのパワージェムを防ぐ。
「コットンガードでパワージェムを防ぐなんて……」
どうやら、あのコットンガードはただのコットンガードではないようだ。
「さて、それじゃあ行くよ。フリージオ、辻斬り!」
「さあ、それじゃあ行くよ。マラカッチ、ニードルアーム!」
フリージオとマラカッチは、既に接近してきているバルチャイに攻撃を加える。まずフリージオがすれ違い様に切り裂き、次にマラカッチが棘の付いた腕を叩きつける。
「バルチャイ!」
「まだだよ。フリージオ、氷のつぶて!」
「まだよ。マラカッチ、ミサイル針!」
フリージオとマラカッチは追い討ちのように攻撃を加えてくる。だがその時
「ギガイアス、砂嵐!」
どこからか、猛烈な砂嵐が巻き起こる。そのお陰で、フリージオとマラカッチの動きが鈍り、バルチャイは一旦体勢を立て直すことが出来た。
「砂嵐なんて、味方もやられるような技をよく使うよ」
「砂嵐なんて、味方もやられるような技をよく使うわ」
「やられたりはしないよ」
チェレンはルーとリンの言葉に反論する。
「見てご覧」
そう言ってチェレンはバルチャイを見る。
「このバルチャイの特性は防塵。天候によるダメージを受けないんだよ」
どうやらチェレンはそれが分かっていて、砂嵐を発動したようだ。
「さて、それじゃあイリスの弟子の実力、見せてもらおうか」
「……臨むところですよ」
古代の城でのバトルは、もうすぐ決着である。
思ったほど古代の城のバトルが長引いてしまいましたが、あと1回で終わりそうです。ああでも、イリスとレンジのバトルはもうちょっとちゃんと書きたいから、あと2回になるかな? まあ、そんなわけで次回も似たり寄ったりの話になりますね。お楽しみに。
- Re: 86章 巨大なる地震 ( No.166 )
- 日時: 2011/06/02 20:50
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「バルチャイ、ついばむ!」
「ギガイアス、ストーンエッジ!」
「ぐ……フリージオ、溶ける!」
「く……マラカッチ、コットンガード!」
フリージオは溶けるでついばむを外させ、マラカッチはコットンガードでストーンエッジを防ぐ。
「バルチャイ、エアスラッシュ!」
「ギガイアス、パワージェム!」
「フリージオ、回避だ!」
「マラカッチ、回避よ!」
フリージオとマラカッチはそれぞれに繰り出される攻撃を避ける。
ギガイアスが砂嵐を使ったあたりでのルーとリンの思考は『砂嵐状態で防衛主体のバトルになるだろうから、一気に攻め込む』だった。
しかしチェレン、ミキの取った行動は正に真逆。防御どころか、猛烈な勢いで攻め込んできたのだ。これにはルーとリンも驚き、むしろこちらが防衛主体になってしまっているのだ。
「バルチャイ、鋼の翼!」
「ギガイアス、ロックブラスト!」
しかもチェレン、ミキの攻撃は休まることもなく、むしろ勢いづいてきているかのようだった。さらに砂嵐でフリージオとマラカッチはダメージを受けるので、ルー&リンのペアはかなり劣勢だった。
「くぅ、僕らがやられるなんて……」
「うぅ、私らがやられるなんて……」
ルーとリンは呻く。
「バルチャイ、エアスラッシュ!」
「ギガイアス、ストーンエッジ!」
空気の刃がマラカッチを切り裂き、無数の尖った岩がフリージオに突き刺さり、それぞれ戦闘不能となった。
「フリージオ!」
「マラカッチ!」
これでルーとリンの手持ちはもういない。チェレン、ミキの勝利だ。
「頼むぞ、フタチマル!」
イリスはワシボンを戻し、フタチマルを繰り出す。
「ほう、フタチマルか。なかなか鍛えられてるな」
レンジもローブシンをボールに戻しながら、イリスのフタチマルに称賛の言葉を言う。
「……敵に褒められても、嬉しくねえよ」
「ハッ、悲しいねえ。だがいいさ、俺たちは敵同士だから、それが当たり前の反応だろ」
レンジはついに、3体目のポケモンが入ったボールを取り出す。
「さあ出て来い、ワルビアル!」
レンジが繰り出したのは、ワルビルの進化系、威嚇ポケモンのワルビアルだ。だが、通常の固体よりも大きい。ワルビアルの平均の高さは1,5mだが、このワルビアルは2m以上ある。
「……でかいな、そのワルビアル」
イリスはワルビアルを見上げつつ言う。
「まあな。さて、それじゃあ行くぜ。ワルビアル、噛み砕く!」
ワルビアルはその巨体からは考えられないようなスピードでフタチマルに接近し、その大顎で噛み砕こうとする。
「フタチマル、シェルブレード!」
しかし接近戦ではフタチマルの方が小回りが利くので、シェルブレードで簡単に迎撃が出来る。
「やるじゃねえか。ワルビアル、地震だ!」
今度は地面を大きく揺らして攻撃を仕掛けてくる。
「そういう攻撃は僕には効かないよ。フタチマル、水の誓!」
フタチマルは地面から水柱を発生させて、地面をぬかるませようとするが
「え?……うわっ!」
結果だけ言うと、ワルビアルの地震はフタチマルに届き、フタチマルは大きなダメージを受けた。
「な、なんで……?」
イリスが驚愕していると、レンジが口を開く。
「簡単な話だ。フタチマルの水の誓で発生させた水を、ここらの砂が全部吸収したんだよ。何故だかここの砂は吸水性抜群だからな。それで、地面がぬかるまずに地震を起こせたんだ」
レンジはそう説明する。
「水の誓が、通用しないなんて……!」
これはイリスにとっては大きかった。地震というの技はそもそもかわすこと自体が難しいのだ。飛行タイプや特性浮遊を持つポケモンはともかく、大抵のポケモンは地に足をつけているので、地面を伝っての攻撃は非常に避け辛い。ジャンプしてかわすというのも、不可能ではないが、思いのほか難しいのだ。しかしイリスとフタチマルはそれを『地面をぬかるませることで不発させる』という対処法を編み出し、そうやって腹をくくってきた。そのため、地震を避けたりするのがやや不得手なのだ。
「どんどん行くぜ。ワルビアル、ドラゴンクロー!」
ワルビアルは両手の爪に龍の力を集め、それで切り裂きに掛かる。
「避けろ、フタチマル!」
フタチマルはそれを辛うじてかわし、距離を取る。しかし
「逃がさねえぜ、地震!」
ワルビアルが地震を起こし、フタチマルを攻撃する。
「ぐぅ、フタチマル……!」
フタチマルはかなり疲労している。それもそうだ。地震というのは命中率もさることながら、威力も高い。それにワルビアル自体攻撃力が高いので、1発受けるだけでも致命傷だ。フタチマルはそれを2発受けている。
「……フタチマル、冷凍ビーム!」
フタチマルは遠距離から冷気の光線を放つ。
「ハッ、そんなヘボ攻撃、食らうかよ。ワルビアル、焼き尽くす!」
対するワルビアルは口から燃え盛る火炎を吐き出し、冷凍ビームを相殺する。
「これで最後だ。ワルビアル、地震!」
ワルビアルは、大きく地面を揺り動かす。
今回でチェレン&ミキ対ルー&リンのバトル、終結です。なんだか地味というか、サラリと終わってしまいましたが、その辺は作者都合ということにしておいてください……。さて、次回ですが、次回はイリス対レンジ、決着です。それから、イリスがピンチになるかもです。いや、大袈裟でなく。では、お楽しみに。
- Re: 87章 高度300mの危機 ( No.167 )
- 日時: 2011/06/02 21:49
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
ワルビアルは地面を大きく揺り動かし、フタチマルを攻撃する。
「フタチマル、ハイドロポンプ!」
「!?」
フタチマルは、猛烈な地震を3発受けたにもかかわらず、極太の超高圧水流を放つ。いや、これはフタチマルの特性、激流によるパワーだ。
ハイドロポンプには今だ致命的な弱点がいくつかある。そのうちの1つが命中精度だ。フタチマルは加減して撃つ分にはそうでもないが、全力で撃つ場合は、命中精度が著しく下がるのだ。今までの土壇場ではなんとか当たっていたが、今回も当たるとは限らない。しかしワルビアルは地面を思い切り踏み揺らしているので、動きが完全にストップしている。なので、ハイドロポンプの絶好の的である。
「ワルビアル!」
ワルビアルは後方に大きく吹っ飛ばされる。明らかに戦闘不能だ。
「ちぃ、戻れワルビアル」
レンジは悔しそうにワルビアルをボールに戻す。
「さて、これでここの大将は討ち取った——」
ドゴォン!
イリスが満足げに言うと、突然横にある石造りの壁が崩壊し、中から3つの頭を持つ黒いドラゴンポケモンが出て来た。
「レンジ、時間稼ぎご苦労でした。もうここの調査は済んだので、撤退しますよ」
3つ首のポケモンの背に乗っていたのは、ゲーチスだった。
『ゲーチス!』
イリスと誰かの声が重なった。イリスは驚いて後を振り返ると、そこにはチェレンとミキがいた。
「ゲーチス様、すいません。奴に負けてしまいました」
「良いのです、レンジ。奴は紛いなりにも英雄なのですから」
ゲーチスは穏やかに言う。だがレンジはどこか割り切れなさそうな顔をしていた。
「ルー、リン。あなたたちも早く乗りなさい」
ゲーチスがそう言うと、柱の影から2人の人間が出て来た。ルーとリンだ。
「ゲーチスさん、すみません。こっちは英雄じゃない奴らに負けてしまいました」
ゲーチスさん、すみません。こっちは英雄じゃない奴らに負けてしまいました」
ルーとリンも頭を垂れる。
「だから良いのですよ。今回の目的は調査であって、あなた方の役割は時間稼ぎなのです。十分役目を果たしてくれました」
言うとゲーチスは、3つ首のポケモンに指示を出す。
「サザンドラ、飛び立ちなさい。我らの城へ帰るのです」
すると3つ首のポケモン——サザンドラは漆黒の6枚の羽を羽ばたかせ、飛び立とうとする。
「待て、ゲーチス!」
しかしそのサザンドラに向かっていく者がいた。イリスだ。イリスは全速力で走り、崩れた岩を駆け上り、踏み台にして、サザンドラの背に飛び乗る。
「師匠!」
そしてミキも、そのイリスの後に続いて、サザンドラに飛び乗った。
「イリス!?」
チェレンは2人の行動に驚愕している。無理もない。敵の飛行するポケモンに飛び乗るなんて、無謀もいいところだ。
チェレンは2人を引き戻そうと、サザンドラに近づくが、とき既に遅く、サザンドラは古代の城を崩すように飛び立ってしまった。
「イリス————!」
チェレンの叫びは、虚空に消えていった。
リゾートデザート上空。そこにはサザンドラの背に乗るものが7人いた。プラズマ団幹部のレド、ルー&リン、レンジ。実質プラズマ団を仕切っているゲーチス。そして、イリスとミキだ。
「まさか、こんな所まで追ってくるとは、大した執念です」
ゲーチスは本当に関心したように言う。
「お前には、まだ聞きたいことがある」
イリスはビュウビュウと吹き荒れる風の中、なんとか直立しながら言う。
「ほう。ですが、ワタクシにはあなたに話すことなどありません。それに、あなたをこのまま我らプラズマ団の城に連れて行くのは、少々気が咎める。だから、ここで倒させてもらうとしましょう」
そう言うとゲーチスは、モンスターボールを取り出す。
「出て来なさい、ガマゲロゲ」
ゲーチスは振動ポケモンのガマゲロゲを繰り出す。
「……分かった。やるよ」
そう言ってイリスもボールを取り出す。
「し、師匠……」
ミキが後ろで弱々しく声を出す。ミキは吹き荒れる風の中立つことが出来ず、へたり込んでいる。
「大丈夫だよ」
イリスはそう言うが、全然大丈夫ではない。イリスの手持ちはほぼ3体。対するゲーチスはサザンドラを含めて6体フルだろう。しかもフィールドが相手のポケモンの背中と、非常に分が悪い。しかしイリスは頭に血が上っていて、冷静な判断が出来ていない。
「それじゃあ、行くぞ。出て来い——」
とそこまで言ったところで、イリスは大波に流された。
「波乗り。ワタクシはあなたに話すことなどない。あなたと戦う理由がない。なので、戦うことをしません。しかし、攻撃をしないわけでは、ありません」
屁理屈だが、そんなことを言う間もなく、イリスは波に流される。
「ししょ——」
ミキも、イリスと共に波に流される。
ここはリゾートデザート上空、サザンドラの背の上。そんなところで、波に流されれば、どうなるか。答えは1つ。
落下する。
「あ——」
イリスとミキは、リゾートデザートの空。厳密に言えば、高度約300mの高さから、落下した。
2人は、落下した。
今回はイリスがついにレンジを倒し、プラズマ団7幹部コンプリートです。しかし喜びもつかの間、イリスとミキにとんでもない危機が! この後2人がどうなったか気になる人も多いでしょうが、次回は番外編です。お楽しみに……なれないかもですね……
- Re: 番外編 Heaven of battle 前編 ( No.168 )
- 日時: 2011/06/04 01:41
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
タワーオブヘブンにて、プラズマ団7幹部の1人、インディとポケモントレーナームントのバトルが繰り広げられていた。
「オノノクス、ドラゴンクロー」
「ゼブライガ、ニトロチャージ」
オノノクスはゼブライガのニトロチャージをドラゴンクローで突き破り、吹っ飛ばす。
正直このドラゴンクローの威力は半端ない。吹っ飛ばされたゼブライガが墓石をいくつか貫通するほどの威力だ。
「起きよゼブライガ。二度蹴り」
ゼブライガは素早く起き上がりオノノクスに接近すると、その蹄で二度、オノノクスを蹴り飛ばす。
「オノノクス、瓦割りだ」
二度蹴りを耐えたオノノクスは、ゼブライガに手刀を振り下ろす。
「ゼブライガ、回避の後電撃波」
ゼブライガはオノノクスの瓦割りを後ろに下がってかわすと、頭の角(というか鬣)に電撃を集め、それをオノノクスに放つ。
「オノノクス、龍の舞い」
オノノクスは龍の舞で攻撃と素早さを上げ、電撃波の回避を試みるが、電撃波の異常なスピードと誘導性には敵わず、電撃を浴びる。しかし
「ドラゴンクロー」
オノノクスは素早い動きでゼブライガに接近すると、龍の力を込めた爪で切り裂く。
「やはり、ゼブライガの電撃波では弱いか……」
オノノクスはドラゴンタイプ。なので電気タイプ技の電撃波はあまり効果がないようだ。
「なら、ゼブライガ、ボルトチェンジ」
ゼブライガは再度鬣に電撃を集中させるが、電撃波の時とは違う電撃だ。
「撃て」
インディがそう言うと、ゼブライガは溜めていた電撃をオノノクスに放つ。そしてゼブライガはボールへと戻っていった。
「ボルトチェンジは自らを交代させる技。出でよ、バイバニラ」
インディはゼブライガと交代でバイバニラを繰り出す。
「……オノノクス、瓦割り」
オノノクスは氷タイプのバイバニラにも有効な格闘タイプ技の瓦割を放つ。
「バイバニラ、鉄壁」
しかしバイバニラは鋼鉄の如く硬化し、オノノクスの一撃を防御する。
「バイバニラ、氷の息吹」
バイバニラはオノノクスが静止しているのをいいことに、至近距離からの氷の息吹を放つ。
「! 戻れ、オノノクス!」
だがムントはそんなバイバニラの攻撃を素早く察知し、オノノクスをボールに戻す。
「出て来い、コジョンド」
ムントはコジョンドに交代させる。確かに氷タイプのバイバニラには格闘タイプのコジョンドが相性的には良い。
「コジョンド、飛び膝蹴り」
コジョンドは目にも止まらぬスピードでバイバニラに接近し、そのしなやかな膝をぶつける。
「バイバニラ、鉄壁」
しかしバイバニラはまたも鉄壁で防御する。
「氷の息吹」
そして至近距離からの氷の息吹を放つ。どうやらこれがバイバニラの基本戦術のようだ。
「避けろ、コジョンド」
だがコジョンドは自分の体が凍りつき始める前にバイバニラから距離を取って、氷の息吹を回避する。
「ストーンエッジだ」
そして遠距離から尖った岩を無数に放つ。
「鉄壁」
だがやはりバイバニラは鉄壁で防御する。
「バイバニラ、ラスターカノン」
そしてバイバニラは体中の光を一点に集め、それを凝縮して放つ。
「かわせコジョンド」
しかしコジョンドは素早い動きでその光弾を避ける。
「草結びだ」
ムントがそう指示を出すと、バイバニラは草に絡め取られてしまった。
「今だコジョンド、飛び膝蹴り」
コジョンドは今度こそバイバニラに飛び膝蹴りを放つ。しかし
「バイバニラ、破壊光線」
バイバニラはコジョンドの膝を叩きつけられる前に、極太の光線を発射する。それも、至近距離で。
だがそこは流石コジョンドというべきか、直撃は免れていた。だがそれでもかなりのダメージを受けたわけだが。
「コジョンド、とんぼ返りだ」
そこでコジョンドはバイバニラが反動で動けなくなっている隙に、とんぼ返りを放って、他のポケモンと交代する。飛び膝蹴りを放つという選択肢もあったが、スピード的にはとんぼ返りの方が上なので、とんぼ返りにした。
「出て来い、ブルンゲル」
ムントが次に繰り出すのは、浮遊ポケモンのブルンゲル。特性浮遊じゃないのに、浮遊ポケモンという変わったポケモンである。
「ブルンゲルか。一応言っておくと、俺のバイバニラは体力に特化している。今までの戦闘で受けたダメージは、最大HPの半分程度だ」
あれだけの猛攻で半分かよ、と普通は落胆するところだが、ムントはクールな表情を崩さない。
「ブルンゲル、シャドーボール」
ブルンゲルは体に付いている2つのひだから黒球を作り出し、バイバニラに向けて放つ。
「ラスターカノン」
しかしバイバニラにはその程度の攻撃は効かず、簡単に相殺される。
「鬼火だ」
だがブルンゲルはいつの間にかバイバニラに接近していて、青白い不気味な火の玉を無数に放つ。
「ぐっ、鬼火だと……!」
本編では主に防御のために使われているが、これが鬼火の正しい使い方である。相手を火傷状態にして、徐々に体力を奪っていくのだ。
「つまり、バイバニラの残り体力を全て削り取ろうというわけか」
インディはフッと微笑むと、すぐに鋭い目付きに変わる。
出ましたムントの番外。今回のタイトルは英語にしてみました。カタカナにすると「ヘヴン オブ バトル」です。まあ、タワーオブヘブンでの戦いくらいに捉えていただければ結構です。では、次回の番外後編もお楽しみに。
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