二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 新企画開催! ( No.204 )
- 日時: 2011/06/17 00:32
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
クダリ 男
容姿・白を基調とした服を着て、同色の帽子を被っている。ノボリと顔がよく似ている。
性格・やや言動が幼く、行動も自由奔放でつかみ所が無い。バトル前に意味不明な発言をすることがある。バトルサブウェイの車掌兼サブウェイマスター・ダブルバトルでポケモンのコンビネーションを見るのが好き。
手持ち
ギギギアル
技・ラスターカノン、10万ボルト、破壊光線、金属音
特性・マイナス
アバゴーラ ♀
技・アクアジェット、地震、ストーンエッジ、鉄壁
特性・ハードロック
アイアント ♀
技・アイアンヘッド、シャドークロー、雷の牙、虫の抵抗
特性・張り切り
シビルドン ♀
技・ワイルドボルト、ブレイククロー、火炎放射、アシッドボム
特性・浮遊
イワパレス ♀
技・シザークロス、辻斬り、岩石砲、守る
特性・シェルアーマー
ダストダス ♀
技・ヘドロウェーブ、ロックブラスト、気合玉、空元気
特性・悪臭
- Re: 91章 バトルサブウェイシングルトレイン ( No.205 )
- 日時: 2011/07/18 01:16
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「フタチマル、シェルブレード!」
「シキジカ、エナジーボール!」
「プルリル、ナイトヘッド!」
「チュリネ、マジカルリーフ!」
イリスとミキは現在、バトルサブウェイの数多ある車輌のうち1つでバトルを行っていた。
「水の誓!」
「突進!」
それもマルチバトル。マルチバトルとはダブルバトルを発展させたもので、ダブルバトルは1人のトレーナーが2匹のポケモンに指示を出すが、マルチバトルはトレーナーの数も2人。つまり自分のポケモンだけに指示を出すのだ。
こうするだけでもバトルの内容は深まり、複雑になって多彩なバトルパターンが生まれる。
「よし、これで20勝!」
「やっとここまで来れましたね、師匠!」
イリスたちはノボリ・クダリに負けてから、ノボリにこう言われた。
「あなた方に行ってもらうのは、このバトルサブウェイでひたすら戦うことです。このサブウェイには様々なトレーナーが乗り込んでいるので、多彩なバトルが行えるでしょう。話を聞く限りは、あなた方に足りないのは経験だと私は推測します。なのでこのサブウェイでひたすら戦い、経験を積んでくださいませ。あなた方が最終車輌まで来れたならば、私たちも全力でお相手します」
「確か『21連勝を2回し、その後49連勝すれば本気の私たちをお見せしましょう』とか言ってたっけ。でも21連勝2回って何だろう? 一回負ける度に最初からやり直しになるけど、そういうことかな?」
「さあ? 私には分かりません」
そう言いながらイリスは次の車輌の扉を潜る。
「ようこそいらっしゃいました。バトルサブウェイノーマルマルチトレインにご乗車頂き、誠にありがとう御座います」
扉の先にいたのは、ノボリだった。
「……なんで、ノボリさんがここに?」
イリスは恐る恐るノボリに訊ねる。
「私とクダリはサブウェイマスター。サブウェイマスターとはバトルサブウェイに挑戦するトレーナーの実力を測定する者のことです」
ノボリは落ち着いた声で言うが、内容は微妙にずれていた。
「そして最初のサブウェイマスターと戦う時。それは次なる戦いに参加するための切符を手にする時です」
「あの、意味がよく分からないんですけど……」
もっともである。
「まあ、最後まで聞けばご理解頂けるかと思いますので、もう少しお待ちください。……つまり、あなた方が全力の私たちと戦うに相応しいトレーナーかを、測らせて頂きます」
そこまで言われて、イリスは理解した。つまりノボリは自分達がどの程度強くなっているかを調べに来たのだ。
「ご理解頂けたようですね。ではバトルを始めますが、このバトルに限って、シングルバトルとさせて頂きます。イリス様、ミキ様のどちらか一方のみ、バトルに参加することが出来ます」
言われてイリスとミキは顔を見合わせ、頷き合う。
「それじゃあ、僕が行きます」
前に出たのは、イリスだった。
「イリス様で御座いますか。では初めましょう。行きなさい、シャンデラ!」
ノボリが繰り出したのは、誘いポケモンのシャンデラだ。
「シャンデラ。ゴーストタイプか……なら、出て来いチラーミィ!」
対するイリスが繰り出すのはチラーミィ。出した理由はゴーストタイプの技を受けないからだ。
「ふむ。ここまでの戦いで相当鍛えられているようですね。だったら加減は無用です。シャンデラ、火炎放射です!」
シャンデラは灯っている火の1つから火炎放射を放つ。
「避けろチラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは火炎放射をヒラリとかわし、尻尾を鋼鉄のように硬くしてシャンデラに叩きつける。
「なかなかの攻撃ですね。シャンデラ、テレキネシス」
次の瞬間、チラーミィの体は重力を無視して浮かび上がった。
「え?」
イリスは間の抜けた声を上げる。
「テレキネシスは相手を宙に浮かばせ、こちらの技を当てやすくする技です。慣れない無重力状態では、体もうまく動かせませんしね」
確かにチラーミィは自分の体を動かすことが困難になっているようだ。その証拠にさっきからずっとジタバタしているが、体は前進も後退もしない。
「シャンデラ、煉獄です!」
そしてシャンデラは動けないチラーミィに地獄のような炎を浴びせる。
「チラーミィ!」
チラーミィはなんとか持ち堪えたが、ボロボロで火傷状態にもなっている。もはや瀕死同然だ。
「煉獄は必ず相手を火傷状態にする技。故にあたり難いのが難点ですが、テレキネシスを受けているポケモンにならばその欠点も補えます」
ノボリがそう説明するのを他所に、イリスはチラーミィをボールに戻す。一応まだ戦闘不能ではないが、これ以上戦わせても無意味だと理解した。
「次は……よし。出て来い、デスマス!」
今度は同じゴーストタイプのデスマスを繰り出す。ゴーストタイプはこちらの弱点だが、相手もそれは同じである。
「お次はデスマスですか。私のシャンデラに対し、同じゴーストタイプのポケモンを繰り出すトレーナーは今までに御座いませんでしたね」
ノボリの言葉に、イリスは敏感に反応する。
「最近あんまし言ってないけど……今までにいないなら、最初の1人が僕なだけですよ!」
イリスは久々に、自分の名言を口にする。
とりあえず今回もサブウェイマスターとバトルですが、今回はイリスVSノボリのシングルバトルです。いや一応ノボリはシングルの方でも出さないといけないと思ってのことなんですけどね。さて次回もノボリとのバトル続行です。ですがこの戦いは早めに決着にする予定です。では、次回もお楽しみに。
- Re: 92章 進化前後 ( No.207 )
- 日時: 2011/06/17 16:48
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「デスマス、シャドーボール!」
「シャンデラ、シャドーボールです!」
デスマスとシャンデラは互いに黒球を発射し、相殺し合う。
「怪しい風!」
だがデスマスはその後すぐに切り替えし、妖気を含んだ風を発生させる。
「シャンデラ、火炎放射」
シャンデラは火炎放射を放つが、怪しい風の壁で防がれてしまう。
「ふむ、中々」
しかしノボリは値踏みするようにデスマスを見るだけで、全く動揺しない。
「シャンデラ、テレキネシスです」
シャンデラは念動力でデスマスを浮かび上がらせ(元から浮いているが、身動きは取り難くなった)攻撃が必中するようにするが
「デスマス、サイコキネシス!」
デスマスもテレキネシスとは別の種類の念動力を放ち、テレキネシスを打ち消す。
「ほう、そう来ましたか」
だがやはりノボリの表情に焦りは見られない。むしろ余裕たっぷりだ。
「デスマス、シャドーボール!」
デスマスは今まで最高2つまでしか発射出来なかったシャドーボールを、今では最高4つまで発射出来るようになった。
「シャンデラ、煉獄です」
しかしシャンデラは冷静で、体(目のある部分)を囲んでいる4つの炎から地獄の業火を4つ放ち、向かい来るシャドーボールを全て相殺する。
「そしてシャドーボール!」
さらにこちらもシャドーボールを発射し、一気に畳み掛けてくる。
「デスマス、鬼火」
デスマスは鬼火で盾を作り、シャンデラの黒球を防ぐ。
「そろそろ決めるか……デスマス、サイコキネシス」
黒球を全て防ぐとデスマスは念動力を発し、シャンデラの動きを封じる。
「良い考えですが、甘いですね。シャンデラのテレキネシスはデスマスのサイコキネシスで相殺されましたが、その逆もまた然り。シャンデラ、テレキネシス」
言うとシャンデラも念動力を発し、サイコキネシスを打ち消しに掛かる。
「デスマス、怪しい風!」
しかしここでデスマスは怪しい風を発生させ、シャンデラの体力を少しずつ削っていく。
「妖気の含まれるこの風に当たっている限り、念動力なんてオカルトチックな技は使えませんよ」
イリスは言う。確かにシャンデラは怪しい風の影響でうまく念動力を扱えないでいる。
「とどめだデスマス。シャドーボール!」
デスマスは怪しい風が吹き荒ぶ中、4つの黒球を放つ。それぞれの黒球は吹き荒れる風に流され、不規則な動きでシャンデラを襲う。しかも怪しい風の妖気と風による加速も加わり、4つ全てがシャンデラにヒットする頃には、シャンデラは戦闘不能になっていた。
「戻りなさい、シャンデラ。……ここに来るまでに、随分と強くなられたようですね」
ノボリはシャンデラをボールに戻しつつ言う。
「では次はこのポケモンです。出て来なさい、デンチュラ!」
ノボリが2番手に出すポケモンは、電気蜘蛛ポケモンのデンチュラだ。
「……戻れ、デスマス」
イリスはさきほどの戦いでもほぼノーダメージのデスマスを戻す。
「デスマスは連続攻撃で疲労してますからね、交代させて3体目に臨みますよ。そして僕の3体目は、バチュル!」
イリスはノボリのデンチュラに対し、進化前のバチュルで挑む。
「……確かに進化後と進化前、どちらが強いとは一概には決めつける事は出来ませんが、それでもいささか型破りですね……」
ノボリは疑念の顔となる。
「特に大した意味なんてないですよ。ただ進化後には進化前で挑みたいってだけで」
「左様で御座いますか……デンチュラ、毒突き」
デンチュラは物凄い瞬発力でバチュルに接近すると、毒の染み込んだ腕(爪?)を突き出す。
「かわせバチュル。切り裂く攻撃」
バチュルは毒突きをかわすと今度はこちらから接近して、その爪でデンチュラの体を切り裂く。
「次はエレキボール!」
さらにバチュルは電撃を凝縮させた球を放つ。
「最後に雷!」
そして仕上げと言わんばかりにデンチュラの頭に雷を落とす。
「……大したものです。進化前のポケモンが進化後のポケモンにこれほどの攻撃を繰り出すとは」
ノボリは感心したような顔つきから、すぐに余裕のある顔つきに変わる。
「ですがやはり甘いですね。そのバチュルは素早さこそ私のデンチュラにも匹敵しますが、攻撃はそうでもない。デンチュラ、シザーウロスです!」
するとデンチュラは大きく飛び上がり、天井に張り付く。そしてそこからバチュルの頭上まで移動し、飛び降りる。勿論ただ飛び降りるのではなく、爪を交差させてバチュルに切り掛かりながら降りて来る。
「バチュル!」
バチュルはその攻撃で大きく吹っ飛ばされる。
「追撃ですデンチュラ、エナジーボール」
デンチュラはさらに自然エネルギーを凝縮させた球を放ち、バチュルに攻撃を加える。
「さて、そろそろ頃合でしょうか」
ノボリは(何故か)立ち上る砂煙を見て、そう呟く。
「決めますよデンチュラ。ワイルドボルト!」
デンチュラは全身に激しい電撃を纏い、そのまま砂煙の中に突っ込んで行く。
「……バチュル、やるぞ」
しかしイリスはいつになく真剣な顔で、そう呟くのであった。
こんなこと言うのもなんですが、このあとがきってあんまり意味無いような気がしてきました。まあ好きでやっているわけですから、止めたければ止めればいいのですが。さて愚痴はこの辺にして、次回予告。次回もノボリとのバトルですが、あまり時間を掛けることは出来ないので、次くらいで終わりにしようと思っています。お楽しみに。
- Re: 93章 終点間近 ( No.208 )
- 日時: 2011/06/18 00:42
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
デンチュラが激しい電撃を纏い突進してくる中、バチュルはじっとその場に佇むだけだった。
「デンチュラ、ワイルドボルト!」
そしてデンチュラがバチュルの体に衝突する刹那。
「バチュル、エレキネット」
バチュルは電気を帯びた網を発射する。その網はデンチュラに直撃し、体に纏わり付きはしたが、そのまま突き破られてしまう。
「これで抵抗する術は尽きましたか。とどめです、デンチュラ」
デンチュラのワイルドボルトがバチュルを捉える——ことはなかった。
「!? 後ろ……!?」
いつの間にかバチュルはデンチュラの背に乗り、その体に口を近づけている。
「このバチュルの取得は身代わりだったんですけど、それも忘れてしまいましてね。だから鍛えるついでに思い出させようとして、失敗しました」
イリスは頼まれてもいないのに、説明を始める。
「だけど代わりに、不完全ですが相手の虚を突いて攻撃をかわすことが出来るようになりましてね。言うなれば『セルフ身代わり』と言ったところですか」
つまりバチュルは、多少使い勝手が悪くなった身代わりを、技としてではなく技術として使えるようになったのだ。
「…………」
その驚愕の事実には、さしものノボリも黙るしかなかった。それほどに信じ難いことなのだ。
「さて、それじゃあもう決めるとするか。そろそろ頃合だしね」
イリスがそう言ってノボリのデンチュラと、それに乗っかっているバチュルを見遣る。ノボリもそれにつられて目線を移動させ、目を見開く。
「デンチュラ……」
デンチュラの体が、見るからに衰弱している。パッと見ただけでも分かるほどに衰えているのだ。
「バチュル、ですか」
「ええ、バチュルです」
瞬時にノボリは理解した。バチュルは電気を食べて生きるポケモン。それは家のコンセントだったり、空気中の電子だったり、ポケモンが帯びている微弱な電気だったりする。デンチュラもバチュルの進化系なのでそうやって生きているが、そのせいでバチュルに電気を根こそぎ持っていかれたのだ。もしデンチュラが体内で電気を発生させることが出来たならば、しばらくはもつだろう。しかし他のものから電気を摂取するということは、それだけ体内に溜めている電気が少ないということ。なのでノボリがそれに気付く前に、バチュルはデンチュラの電気を吸い尽くしてしまったのだ。
「とどめだバチュル、切り裂く攻撃!」
バチュルはあえて電気技を使わずにとどめを刺す。その辺りは抜け目が無い。
「……戻ってください、デンチュラ」
ノボリは静かにデンチュラをボールに戻す。
「いやはや驚きました。まさかイリス様がここまで成長しているとは、鍛えている側としては嬉しい誤算です。ですが私の3体目のポケモンはそう簡単には倒せませんよ」
「そうですかね。僕の残りポケモンはまだ3体フルにいます。バチュルとチラーミィは疲労していますが、それでもこちらの方が有利」
「まあ、見ればお分かりになりますよ。さあ、行きなさい。オノノクス!」
ノボリの最後のポケモンは、顎斧ポケモンのオノノクスだった。
「オノノクスか……いかにも強敵って感じだな。バチュル、エレキネット」
バチュルは電気を帯びた網を発射する。
この程度の攻撃、オノノクスなら簡単に対処するするだろうとイリスは考えていたが、実際はそうではなかった。
「当たった……?」
バチュルの放つエレキネットは、オノノクスに絡みつき、電気を流して動きを鈍らせる。
「単に素早さが低いだけか……? バチュル、エレキボール」
今度はバチュルに電撃の球を放たせる。雷球はオノノクスに向かって一直線に飛んでいき、またもヒットする。
「やっぱり鈍いだけか……バチュル、切り裂くだ」
オノノクスは単に鈍いだけと判断を下したイリスは、バチュルを突っ込ませる。その時だった。
「オノノクス、ドラゴンクローです」
オノノクスは両手の爪に龍の力を込め、バチュルを切り裂いた。
「バチュル!」
バチュルは吹っ飛ばされ、目を回している。戦闘不能だ。
「戻れ、バチュル」
イリスは悔しそうな顔で、バチュルをボールに戻す。
「浅はかだった……仮にもサブウェイマスター。そのエース級のポケモンがただ鈍いだけなわけなかった……!」
そう呟いてイリスはオノノクスを見遣る。その姿は何にも動じない、威厳と威圧感がある。その身も何の攻撃も受けていないような風だった。
「私のオノノクスの鱗は通常の固体の3倍は硬いのです。なので並大抵の攻撃は通用しませんよ」
「だったら……出て来い、デスマス!」
イリスはここで、最も防御に秀でたデスマスを繰り出す。
「デスマス、怪しい風!」
デスマスは妖気を含んだ風を発生させ、オノノクスを攻撃する。
「オノノクス、剣の舞いです」
しかしオノノクスは全く動じず、剣のように鋭く舞い、自らの攻撃力を高める。
「くっ……シャドーボール!」
「ドラゴンクローです」
オノノクスは向かい来る黒球2つを切り裂き、デスマスに接近する。
「鬼火——」
「アイアンテール」
イリスが技の指示を出すよりも速く、オノノクスの尻尾はデスマスを捉えていた。
デスマスは吹っ飛ばされ、それを見下すのは巨大なオノノクス。
「さて、バトルサブウェイノーマルシングルトレイン、間もなく終点に御座います。お忘れ物の無いよう、お気をつけくださいませ」
イリスVSノボリは、次くらいで決着になると思います。次回はそれだけでなく、もう1つバトルが追加されると思いますので、どちらともお楽しみに。
- Re: 94章 目指すは勝利 ( No.209 )
- 日時: 2011/06/18 14:28
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「戻れ、デスマス」
イリスは戦闘不能となったデスマスをボールに戻す。
「後はお前だけが頼みだ……行け、チラーミィ!」
イリスは最初に繰り出したチラーミィを再び繰り出す。シャンデラにやられた傷は大方癒えている。
「チラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは尻尾を鋼鉄のように硬化させ、オノノクスに特攻する。
「オノノクス、こちらもアイアンテールで迎え撃ちますよ」
そしてオノノクスもまた、鋼鉄のように硬化された尻尾でチラーミィに襲い掛かる。
チラーミィの尻尾とオノノクスの尻尾が鍔迫り合いのように押し合う。
「行け、チラーミィ!」
チラーミィはオノノクスの尻尾を弾き、その顔面にアイアンテールを見舞う。
「剣の舞いで強化された私のオノノクスが押し負けるとは……信じ難いですね」
ノボリは疑問そうな顔をしたが、すぐにその疑問は晴れる。
「火傷状態ですね」
「気付きましたか」
ノボリはオノノクスを見遣る。ノボリからでは見え難いが、オノノクスの腹には火傷の痕がある。
「さっきのデスマスが最後に使った鬼火ですね。防御に使用すると見せかけ、実はこのための布石だったと」
「まあ、そんなところです」
イリスは肯定する。
「ですがこの程度の火傷では私のオノノクスを停車させることは出来ませんよ。オノノクス、地震です!」
オノノクスはサブウェイ自体を破壊する勢いで地面を揺らす。
「チラーミィ、スイープビンタ!」
しかしチラーミィはそれを軽快に飛び跳ねてかわし、隙を見つけてはオノノクスに硬化させた尻尾を叩き込む。
「オノノクス、ドラゴンクローです!」
オノノクスもドラゴンクローを放つが、回避されてしまう。
「チラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは飛び上がり、オノノクスの頭上から回転しながら鋼鉄の尻尾をその頭に叩き込む。
「決まった!」
「いえ、まだですよ」
オノノクスは脳天にアイアンテールを食らい、大ダメージを受けた。しかしまだ戦闘不能にはなっていなかったのだ。
「アイアンテールです!」
そしてオノノクスは体を捻り、鋼鉄の尻尾でチラーミィを薙ぎ払う。
「危なかったです。もし急所に当たっていれば、オノノクスはやられていました。しかし一手足りなかったようですね。今度はこちらが決める番です。オノノクス、ドラゴンクロー」
ノボリはそう指示を出す。しかしオノノクスは動かない。
「? オノノクス——」
ノボリはこの瞬間気付き、吹っ飛ばされたチラーミィを見る。
「一か八かだったんですけど、賭けはやってみるものですね」
アイアンテールの直撃を受けたチラーミィは、ふらふらになりながらも立ち上がり、戦意の炎を滾らせる。
「お察しの通り、僕のチラーミィの特性はメロメロボディ。♀のチラーミィに直接攻撃を仕掛けた♂のオノノクスは、今はメロメロ状態ですね」
メロメロボディは必ずしも発動するわけではないが、イリスはその可能性に賭けてみた。本当はアイアンテールをかわすことは出来たが、肉を切らせて骨を断つ作戦に出たのだ。
「さて、これで終わりです。チラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは今度こそ脳天にアイアンテールを決め、オノノクスを戦闘不能にする。
「…………」
ノボリは俯いて、黙ってオノノクスをボールに戻す。
「えっと……あれ?」
ノボリの性格ならここで称賛の言葉を言ってくるのとばかり思っていたイリスは面食らう。しかし
「ブラボー!」
ビクッとイリスは体を震わせる。いきなり大声を上げたノボリにびびったのだ。
「いやはや素早しいバトルでした。あなた様ご自分の力で、勝利という名の終着駅に辿り着いたのです」
「はあ……」
どうしても生返事になってしまうイリス。ノボリのテンションについていけないのだ。
「ですがこれだけは忘れないでください。この勝利も長い人生の中では1つの通過点でしかありません。なので、あなた様はこれからも自分の夢に向かってひた走ってくださいまし」
ノボリは至極嬉しそうな顔で言うのだった。
「それと、素晴らしいバトルを称え、あなた方にはスペシャルボーナスを進呈致します」
言ってノボリはイリスたちの後ろの扉を指差す。
「今のバトルで21連勝分の勝利に匹敵します故、その扉を潜って次の難関を通過してください」
イリスは微妙に寒気を覚えながら、扉を開ける。するとそこには
「僕、クダリ。ダブルバトルが好き。ポケモンのコンビネーションを見るのが好き。だから、バトルしよう」
サブウェイマスター、クダリがいた。
「クダリとのダブルバトルは、通常4体のポケモンを使うのですが、今回に限って時間短縮のために3対3とさせて頂きます」
ノボリも車輌に入り、ルールの説明を行う。
「じゃあ、どっちが戦う?」
クダリはイリスとミキを交互に指差して言う。
イリスとミキは顔を見合わせ、互いに頷き合う。もう結論は出ているらしい。
「私が行きます!」
前に出たのは。ミキだった。
「ミキ様で御座いますか。これはまた面白いバトルになりそうですね。クダリ、バトルの前に申したいことがあればどうぞ」
ノボリはクダリに向かってそう言うが、クダリは言うのは意味不明な言葉だった。
「ルールを守って安全運転。ダイヤを守って皆さんスマイル。指差し確認、準備オッケー。目指すは勝利、出発進行!」
なんとかノボリとのバトルを終え、クダリ戦までこぎ着けました。それで、クダリの台詞なんですが……書いてみると結構恥ずかしいです。ゲームでは戦う前にこう言うのですが、書いているとかなり恥ずかしいです。まあ、それは置いといて、次回はミキVSクダリのダブルバトルです。お楽しみに。
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