二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
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フキヨセシティ
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セッカシティ
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バトルサブウェイ
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ソウリュウシティ
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ポケモンリーグ
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エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: 106章 秘儀 技いなし ( No.246 )
- 日時: 2011/07/01 21:17
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「ズルズキン、諸刃の頭突きだ!」
ムーランドの攻撃力、耐久力は確かに脅威だが、それでもただボケッと突っ立っているわけにはいかないので、ズルズキンは頭を突き出し、猛烈な勢いで突撃する。
「ムーランド、波乗り!」
ムーランドは最初の時のように大波を発生させ、ズルズキンを迎撃しようとする。
「ズルズキン、止まれ!防御だ!」
ズルズキンはムーランドが波乗りをするや否や諸刃の頭突きを中止し、その場で防御の体勢を取る。
お陰でズルズキンは波に飲まれて体勢を崩さずに済んだ。まあ、波で後退はしたが。
「もう一度諸刃の頭突き!」
そしてズルズキンは再度諸刃の頭突きを繰り出す。
「ムーランド、岩砕き!」
対しムーランドは焦った風もなく、諸刃の頭突きに岩砕きをぶつける。しかし流石に諸刃の頭突きの威力は相殺し切れなかったのか、後ろに少し後退する。
「ズルズキン、一気に畳み掛けるよ!飛び膝蹴り!」
ズルズキンは後退したムーランドに追い討ちをかけるように、その顔面に飛び膝蹴りを打ち込む。
「決まった!」
「いや、まだだよ」
イリスの言葉を、ベルが否定する。ムーランドを見ると、飛び膝蹴りが今だ顔面にめり込んでいるが、重心がが全くぶれていない。
「ムーランド、噛み砕く!」
そしてムーランドは顔面から膝がどけられた瞬間に、ズルズキンの胴体にかぶりつく。
「ズルズキン!」
効果は4分の1なのに、その威力は文字通り桁違いだった。防御も高いズルズキンの顔は、苦痛に歪んでいる。
「引き剥がせ、炎のパンチ!」
流石にまずいと思ったズルズキンは、ムーランドの頬を炎を纏った拳で殴りつける。
「剥がれない……!」
しかしムーランドの表情は全く変わらず、ズルズキンを噛み続ける。
「ムーランドは極寒の雪山でも活動できるくらい丈夫な毛皮を持っているんだよ。そして寒さに強ければ、熱にも強い。だからムーランドに炎のパンチは効かないよ」
ベルは自分のポケモンの手の内を晒すほど余裕だ。
「だったら、飛び膝蹴り!」
ズルズキンは最初に噛み砕くを脱出した時のように、ムーランドの顎に膝蹴りを食らわせ、ムーランドの強靭な顎から解放される。
「ムーランド、波乗り!」
ムーランドはズルズキンを解放してしまったが、それでも猛攻は続く。大波を発生させ、ズルズキンを飲み込んだ。
「耐えろ、ズルズキン……!」
波が引くと、後ろに後退したもののズルズキンは立っていた。
しかし
「決めるよムーランド。ギガインパクト!」
イリスの最も恐れていた事が起こった。
通常、トレーナーがポケモンに技を覚えさせる際、そのポケモンと同じタイプの技を1つは覚えさせる。これはタイプが同じ技を使うと、その技の威力が上昇ずるという、全ポケモン共通の性質があるからだ。
さしあたってイリスは、ムーランドの最後の技が何かをいくつか予想していた。
その中の最も最悪で、最も恐怖するのが、ギガインパクト。
ギガインパクトはノーマルタイプの物理技で、自爆と大爆発を除けば最強の技だ。そしてベルのムーランドは恐るべき攻撃力を備えている。
イリスは以前、ムーランドの進化前であるハーデリアのギガインパクトを、ミジュマルのホタチでいなすという離れ業を行った事があるが、あれはミジュマルのホタチあっての技だし、そもそも今突撃してくるムーランドのギガインパクトの攻撃力は、いなせるほど低くはない。
だが、イリスは、腹を括る。
「ズルズキン、ムーランドの動きをよく見るんだ。攻撃が当たる直前に、受け流せ」
ズルズキンではまず不可能なことを、イリスは言う。しかしズルズキンは、静かに頷いた。
そうこうしているうちに、ムーランドがズルズキンに迫ってきた。
「今だズルズキン!」
イリスが叫ぶと同時に、ムーランドの巨体はズルズキンに接触していた。
ズルズキンは両手でムーランドの突撃を止める素振りを見せ、すぐさま斜め前に出していた前足を軸としてその場で半回転する。
この間は、コンマ1秒にも満たない。
ムーランドはズルズキンを完全に捉えられず、近くの木に激突。その木をへし折って停止する。
ギガインパクトは相手に当てなければ反動がないが、この場合はズルズキンが最小のダメージに抑えただけなので、反動がある。
そして勿論、イリスはその反動で出来た隙を逃さない。
「ズルズキン、諸刃の頭突き!」
ズルズキンはすぐさまムーランドの方を向き、頭を突き出して突撃する。勿論ムーランドは反動で動けないため、直撃する。
「炎のパンチで打ち上げろ!」
さらにズルズキンは軽くしゃがみ、ムーランドの腹の部分——比較的毛皮の薄い部分に炎のパンチを叩き込み、60kg以上あるムーランドを上空に打ち上げる。
「とどめだ。飛び膝蹴り!」
最後にズルズキンは飛び上がり、ムーランドの顔面に思い切りその膝を叩き込み、そのまま地面へと蹴り飛ばす(蹴り下ろす?)。
地面に落下したムーランドを見ると、完全に目を回している。
「ムーランド……ありがとう……」
ベルは戦闘不能となったムーランドをボールに戻し、次のボールを出す。
「何度も言うけど、やっぱりイリスは強いよ。でも、あたしだってまだ切り札が残ってる」
ベルは今までイリスが見てきた中で、最も真剣な顔つきになる。
「さあ、出て来て、エンブオー!」
結局、御三家対決は次の章となってしまいました。いやでも、一応前のあとがきで『期待しない程度に〜』と付けていますから。……どう考えても屁理屈ですよね。まあ、切り替えて。ついにムーランドを倒し、エンブオーを出させました。そして次回こそ、御三家同士のバトルを行いますので、お楽しみに。
- Re: ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 新企画開催! ( No.247 )
- 日時: 2011/07/01 22:08
- 名前: 雪姫 (ID: mOILM.Mp)
- 参照: http://
雪姫です♪
いや〜、本当にベルって強いですよね。
見た目あんまり、強そうじゃないのに(殴っ
すいません、今のは私の心の声です!
ついに、エンブオー出てきましたね♪
ベルとエンブオーが、どんな闘い方をするのかすごく気になります!!
更新頑張ってください!
- Re: ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 新企画開催! ( No.248 )
- 日時: 2011/07/01 22:26
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
雪姫さん
まあ、ベルは見た目も中身も強そうには見えませんよね。でも、強いんです。すっごく強いです。
エンブオーの戦い方は、技を見れば大方想像出来なくもないですがね。
ちなみに、イリスのダイケンキ、チェレンのジャローダ、ベルのエンブオーの覚えている技はある程度共通点があったりします。
では、テストも終わり自由の身なので、休み使って一気に更新します。
- Re: 107章 水の闘志と炎の闘志 水の武将と炎の武将 ( No.249 )
- 日時: 2011/07/02 02:14
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
ベルの切り札、大火豚ポケモンエンブオーは、恰幅の良い体躯に、炎の顎鬚。鋭い目付き、大きな牙、雲文様の刻まれた胴と、全体的に厳ついポケモンだった。
「それじゃあ行くよ。エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは地面を踏み鳴らして砂煙を舞い上げ、炎を纏って突撃する。
「ズルズキン、受け止めろ!」
対するズルズキンは、先ほどのムーランドのギガインパクトにも匹敵しそうなニトロチャージを受け止める。
ズルズキンの特性は自信過剰。ムシャーナ、ムーランドを倒した事により、攻撃力が2倍に膨れ上がっている。本来攻撃力は、文字通り攻撃する際の威力なのだが、ズルズキンはそれを応用して受け止める際の力に変換している。
「エンブオー、熱湯!」
ズルズキンはエンブオーを受け止めたものの、エンブオーは熱く煮えたぎる熱湯をズルズキンの顔面に放つ。
流石のズルズキンも効いたのか、後ろに後退し、大きく仰け反る。
「ニトロチャージ!」
エンブオーはいきなり熱湯を食らって混乱しているズルズキンに、炎を纏って突撃する。足を踏み鳴らす動作がないので、多少威力は落ちるものの、ズルズキンを大きく吹っ飛ばした。
「ズルズキン!」
ズルズキンはまだ辛うじて立っていたが、それでも満身創痍。全身ズタボロだ。
「エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは足を踏み鳴らして砂煙を舞い上げる。そして炎を纏ってズルズキンに突撃する。
三度目の正直。このニトロチャージを受け、ズルズキンはついに戦闘不能となった。
「よくやった。戻ってくれ、ズルズキン」
イリスはズルズキンをボールに戻し、最後のポケモンが入ったボールを手に取る。
「……相手はエンブオー。こいつは早く使いたかったけど、ここまで我慢した甲斐があったな」
イリスは独り言のように(というか独り言)呟く。
「さあ、頼んだぞ、僕のエース。ダイケンキ!」
イリスが繰り出したポケモンは、蒼い体、イッカクなどの海獣のような意匠に、豊かな白髭。貝で作られたと思しき甲冑でその身を纏い、その兜は角の生じた法螺貝のようだ。
見た目もさることながら、その気迫にも威厳と貫禄があり、睨まれるだけで身が竦みそうである。
イリスの手持ちから、フタチマルの進化系でまず間違い無いだろうが、フタチマルやミジュマルの時の面影はほとんど見られない。まずもって、フタチマルとミジュマルの専用武器にして象徴のホタチが無い。まあ、4足歩行なのだから、手に何かを持って戦うという事は出来ないのだが。
「ふええ……何だか、凄いポケモンだね……」
ベルはダイケンキの気迫に圧倒されている。ダイケンキは貫禄ポケモン。一睨みするだけで敵を黙らせるほどの威厳と貫禄があるのだ。
「ダイケンキは見ての通り水タイプ。炎タイプのエンブオーには有利だ」
イリスは至極全うな事を言う。そのくらい、トレーナーなら誰だって分かるだろう。
「……でも、タイプ相性だけがポケモンバトルじゃないよ。エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは地面を踏み鳴らし、砂煙を舞い上げ、炎を纏って突撃する。
「ダイケンキ、シェルブレードで迎え撃て」
ダイケンキは前足の鎧と、兜の角に水のエネルギーで構成された剣を作り、エンブオーを迎え撃つ。
ダイケンキとエンブオーは少し競り合ったが、結局はどちらも互角に終わる。
「メガホーン!」
だがそこから攻撃を続けたのはダイケンキだった。ダイケンキは角で思い切りエンブオーの胴を突く。
「うぅ……エンブオー、アームハンマー!」
エンブオーはカウンターのように拳をダイケンキの体に叩き込む。
「退け、ダイケンキ」
ダイケンキはエンブオーの拳を受け、一旦距離を取る。
(エンブオーは技の威力からして物理型。ニトロチャージで接近して、アームハンマーや熱湯で叩くのが基本スタイルかな?)
イリスは考える。エンブオーのバトルスタイルを理解すれば、それだけで勝率は上がるのだ。
(だったらここは距離を取ったままで、遠距離から攻めるか、見た目で誤解されがちだけど、ダイケンキの本領は遠距離攻撃——特殊技だ)
イリスはとりあえず距離を保ちつつ様子を見ながら攻撃というパターンを取った。
「ダイケンキ、吹雪!」
ダイケンキは猛烈な吹雪を発生させる。その威力は極寒地帯で発生するブリザードさながらだった。
「エンブオー、大文字!」
しかしエンブオーはそんな吹雪を、超高熱の大の字の炎で相殺する。
「さらにニトロチャージ!」
そして足を踏み鳴らす一連の動作を行い、炎を纏って突撃。
「ハイドロポンプ!」
それに対しダイケンキは超高圧の水流を放ち、エンブオーを押し戻す。
フタチマルの時は全力で放てなかったハイドロポンプだが、進化して体が大きくなり、ハイドロポンプを放つ際に起こる衝撃にも耐えられるようになった。
「……本当、イリスって強いなぁ……」
ベルは1人呟く。
「よーし。エンブオー、本気の全力で戦うよ!下準備はもう出来てるからね!」
「何が来るのかは知らないけど、僕のダイケンキはそう簡単には倒せない。王将を討ち取るのは、容易じゃないんだよ」
イリスとベル。どちらもトレーナーの魂とでも言うべきものに火がついた。
イリスは静かな水のような、ベルは燃え盛る炎のような。
今回は()を使ってみました。()はその人物が何を考えているのかを表しています。そして次回、次回ですが、次回はダイケンキの秘密を徹底公開!……というほど、大袈裟なものではありません。でも、あまり知られていない事ではありますね。ということで、次回もお楽しみに。
- Re: 108章 アシガタナ ( No.250 )
- 日時: 2011/07/02 12:31
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは地面を踏み鳴らして砂煙を舞い上げ、炎を纏って突撃する。しかし今までは直線的な突撃だったが、今回のは迂回してダイケンキの胴体を狙うような攻撃だ。
「ダイケンキ、全方位に吹雪!」
対するダイケンキは物怖じせず、猛烈な吹雪を一方でなく、全方位に吹き荒ばせる。
「エンブオー、吹雪を突っ切って!」
しかしエンブオーは炎を纏っているため、吹雪で止まるような事はなく、最終的にはダイケンキへの攻撃は成功した。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキは攻撃を受けたものの、吹雪での威力軽減とタイプ相性で大したダメージにはならず、カウンターでシェルブレードを見舞う。
「下がってエンブオー。もう一度ニトロチャージ!」
ダイケンキから距離を取ったエンブオーは、再度炎を纏って突撃する。
そしてこのニトロチャージは、ダイケンキへ直接攻撃するつもりがないのか、ダイケンキの周囲をぐるぐると回っているだけだった。
「ダイケンキ、吹雪だ」
ダイケンキは自分の周囲を走り回っているエンブオーに吹雪を放つも、避けられる。
「あれ……?」
イリスはここで、異変に気付く。
「エンブオー、アームハンマー!」
気付いたのは良いが、それによって一瞬バトルから気が逸れ、ダイケンキはエンブオー拳を食らう。
「ニトロチャージで回って」
そしてエンブオーは地面を踏み鳴らす動作を省略して、炎を纏いまたダイケンキの周囲を回る。
そしてこの行動で、ベルの作戦が分かった。しかし、分かった時には、もう詰んだも同然だった。
「ニトロチャージで素早さを上げたエンブオーによるヒット&アウェイ……これが君の作戦か、ベル……!」
イリスが気付いた異変とは、エンブオーが速い事である。エンブオーはその巨体ゆえにそんなに速くない、というかはっきり言って鈍い。ダイケンキも結構素早さは低い方だが、それでもエンブオーよりは速い。
なのでイリスはエンブオーの素早さに、異変を感じたのだ。ちなみに気付くのが遅かったのは、ダイケンキが動かず、エンブオーの素早さと比較するものが無かったからである。
何故エンブオーが速くなったのか。それは単純明快、技の追加効果である。もっと詳しく言えば、ニトロチャージの効果だ。ニトロチャージは攻撃の度にそのポケモンの素早さを上げる効果がある。それをエンブオーは既に7回も使用している。一応、エンブオーの使うアームハンマーはリスクとして自身の素早さを下げる効果があるが、それでもまだ2回しか使っていない。どう考えてもニトロチャージによる素早さの上昇幅の方が大きい。
さしあたってベルが今実行している作戦は『ニトロチャージでエンブオーの素早さを上げる』『エンブオーが敵に攻撃を当てる』『上昇した素早さを利用して敵の攻撃を避ける』の繰り返しだ。
さらに自分のポケモンがダイケンキというのも、イリスにとっては痛い。
ダイケンキは4足歩行で、基本は正面にしか攻撃が出来ない上に、広い目で見れば素早さが低い。さらに小回りが利かない事もあって、全てにおいて今のエンブオーより劣っている。
「随分とえげつない作戦を思いつくね、君は……!」
さらにエンブオーは攻撃力が高い。ヒット&アウェイなどと言ってはいるが、実際はアームハンマーを何発か叩き込めば戦闘不能に出来る。
「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは自分の周囲を高速で走り回るエンブオーに、出来るだけ拡散させたハイドロポンプを発射するが、やはり当たらない。
「メガホーン!」
思い切って角を突き出してみるが、アームハンマーをぶつけられて失敗に終わる。
「エンブオー、大文字を連続発射!」
ベルがとんでもない事を言い出した。
エンブオーはダイケンキの周りを走りながら、大の字の炎を何発も放つ。勿論ダイケンキはその攻撃を避けることが出来ず、全発直撃を受ける。
「エンブオー、熱湯!」
さらにエンブオーは熱湯を発射。
「アームハンマー!」
そして追い討ちとしてアームハンマーを叩き込む。その後すぐにニトロチャージで文字通り走り回る。
「……ヤバイな」
イリスは口ではそう言うも、顔は全く焦っていなかった。むしろ余裕を持っているようにも見える。
実は、まだイリスとダイケンキには秘策があるのだ。
「決めるよエンブオー。ニトロチャージ!」
最後にエンブオーは、地震でも起こすかのように地面を踏み鳴らし、砂嵐のような砂煙を舞い上げ、灼熱の炎をその身に纏い、猪突猛進という言葉の通り、突撃する。
エンブオーは最初、まっすぐにダイケンキを狙ったが、少し接近したら急に向きを変え、最終的には後ろから攻める。
「行っけぇ!エンブオー!」
エンブオーは真後ろからダイケンキに突撃する。
「ダイケンキ、立ち上がってシェルブレード!」
なんと、ダイケンキは後ろ足だけで立ち上がり、すぐさま後ろを向いてエンブオーの突撃を止める。そして前足だった部分には、水のエネルギーを纏った刀のようなものが握られている。
「え……?何これ……?」
ベルは動揺を通り越してポカンとしている。
「ダイケンキは4足歩行のポケモンだと思われがち……というかその通りなんだけど、時として後ろ足で立ち上がり、2足歩行が出来る。そしてホタチに代わる新しい武器、前足の鎧に仕込まれている仕込み刀の『アシガタナ』。これを振るうんだよ」
イリスがそう言った瞬間、エンブオーはダイケンキのアシガタナに十文字に切り裂かれる。
「僕の勝ちだね」
そこには、地面に倒れ伏す炎の武将と、それを見下ろす水の武将がいた。
今回は、なんとダイケンキが立ち上がりました。いや、本当に2足歩行出来るらしいですよ。『ホタチ』も前足に仕込まれてる仕込刀『アシガタナ』に相当するものだそうです。もう一度似たニュアンスの事を言いますが、本当なんです。嘘だと思うなら調べてください。フレッシュぺディアとかいうのに載ってましたから。では長くなりましたが、次回予告。次回はベルとのイベントが終わり、シリンダーブリッジを通り、例の奴とのイベントに、ソウリュウシティ到着と、忙しいです。では、長い今回に比べ、次回は短くなるかもです。そんな次回もお楽しみに。
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