二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: 番外編 四季の川 後編 ( No.144 )
- 日時: 2011/05/25 00:17
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「ワルビル、爪とぎ」
ワルビルは爪を砥いで攻撃力と命中率を高める。
「ゾロアーク、悪の波動」
ゾロアークは悪の波動を放ち、ワルビルを攻撃するが
「ワルビル、影分身!」
ワルビルの影分身でかわされてしまう。
「噛み砕く!」
「避けろ!」
ワルビルが突っ込んでくるのに対し、ゾロアークは俊敏な動きでそれを回避する。
「なら砂地獄だ!」
ゾロアークの足元に、突如流砂ができ、ゾロアークを飲み込んでいく。
「バークアウト」
しかしゾロアークはけたたましい叫び声で流砂を消滅させた。そして素早くワルビルに接近する。
「お仕置きだ!」
お仕置きとは、相手の能力が上がっているほどに威力を増す技。なので今のワルビルには打って付けの技だ。
「続けてバークアウト!」
そしてそのままバークアウトに繋げ、叫び声でワルビルを吹き飛ばして戦闘不能にさせた。
「戻れ、ワルビル。……出て来い、キリキザン!」
プラズマ団は最後のポケモンと思しきキリキザンを繰り出してきた。
「キリキザンか。ゾロアーク、バークアウト!」
キリキザンはモロに叫び声を受ける。しかし
「キリキザン、ローキック!」
キリキザンは素早くゾロアークに接近し、その足元払うような蹴りを入れる。
「ゾロアーク!」
「メタルクロー!」
ゾロアークが地面に伏しているところに、メタルクローを振り下ろすキリキザン。
「とどめだ、シザークロス!」
最後にキリキザンは腕を交差させ、そのままそれを斜めに振り下ろすようにしてゾロアークを切り捨てる。
「悪タイプのゾロアークには虫タイプのシザークロスは効果抜群。もう立てないだろう」
プラズマ団はゾロアークに寄り添うミナアキにそう言い放つ。
「くぅ……」
悔しそうに呻くミナアキ。プラズマ団は構わず、喋り続ける。
「この川はなかなか良い川だ。澄んだ川ほど、汚れていくのを見るのは面白い」
ニヤリといやらしくプラズマ団は笑う。ミナアキは、それを見ている事しか出来なかった。そして、昔を思い出していた。
10年前。ミナアキはホドモエで生まれ、ホドモエで育つ少女だった。ホドモエの子供には、昔から注意すべきことがあった。それは、四季の川に近づかないこと。四季の川は危ないから、決して近づいてはいけないと。
しかし、少年少女時代。誰しもしきたりなんかを破ってみたくなるもので、ミナアキもそうだった。ミナアキはこっそりと朝早くに家を出て、四季の川へと向かった。
四季の川の水はとても澄んでいて、きれいだった。この辺りには草タイプのポケモンが多く住んでいて、その為水も澄んでいるのではないかと言われている。
ミナアキはその水面を見て、見蕩れていた。そしてその水を飲んでみようと前のめりの姿勢になったその時。ミナアキのいた足場は崩れた。どうやらその足場は脆くなっていたようだ。
ミナアキは比較的浅い所に落ちたが、如何せんまだ幼いので足が着かず、必死でもがいていた。しかしやがて、体力が尽き、ミナアキは川に沈んでいった。ミナアキは意識が遠のいていく中で、危険な川に近づいたことを後悔した。しかしその時だった。
何かが自分の背中を水面に向けて押し上げている。間もなくして、ミナアキは水面に顔を出し、近くの岩につかまって周りを見渡す。するとそこには1匹のオタマロがいた。どうやらこのオタマロが助けてくれたらしい。
ミナアキはホッと安堵の溜息を吐いたが、すぐに新たな危機が迫ってきた。乱暴なポケモンで有名なバスラオが、こっちに向かってくるのだ。ミナアキはまた終わったと思ったが、世の中は悪いことが起こった後は良いことが起こるもので、そのバスラオに攻撃を仕掛けたポケモンがいた。ゾロアである。
ゾロアは素早い動きでバスラオに接近し、ひっかく。しかしあまり効果的なダメージは与えられていないようだ。だが、続いて後ろから無数の葉っぱがバスラオを攻撃した。そこにいたのは、ハハコモリ。この近辺に生息するポケモンだ。その上空にはマメパトがいる。どうやらあのマメパトが呼んできたらしい。
この後、ミナアキは3匹のポケモン+ハハコモリに助けられ、家に帰ると親に物凄く怒られた。しかし、あの川で溺れたことは全く後悔していない。何故なら、大切なポケモンが、仲間が出来たから——
「……思い出した」
「あ?」
「最近忙しくて、すっかり忘れてた。そうだ、私は四季の川で皆と出会ったんだ。だから、お前らなんかにその川を汚させはしない」
ミナアキは再び滾ったやる気を起こし、眼を鋭くする。
「はん。往生際が悪い。だったら一思いにサッサと決めてやる。キリキザン、アイアンヘッド!」
キリキザンは頭を突き出し、猛烈な気迫を纏って突進してくる。
「ゾロアーク、行くよ。悪の波動!」
ゾロアークは全身全霊の力を使い、悪の波動を放つ。
そして
「キリキザン!」
キリキザンは吹き飛ばされ、戦闘不能となる。
「ふぅ、勝った……」
ミナアキは安堵する。しかし
「まだ、俺たちは残っているぞ」
新たなプラズマ団が現れた。どうやらまた援軍を呼んだらしい。
「や、やばい……!どうしよう……!」
明らかにパニックに陥り、動揺するミナアキ。
しかし、良いことの次には悪いことが起こり、その次には良いことが起こるのが世の常。
「オーベム、サイコキネシス」
念動力により、プラズマ団は一掃される。
「あなたは……キリハさん!」
プラズマ団たちの後ろにいたのは、キリハだった。
「歩いてヒウンに帰る途中、季節研究所の方が騒がしいと思えば、プラズマ団がいるし、最近僕はついてないな」
溜息を吐くキリハ。
「ミナアキさん。これも何かの縁。手助けします」
というわけで、置いてけぼりを食らったキリハが偶然季節研究所の近くを通りかかって、プラズマ団を捕まえることが出来たのであった。
その後。
「キリハさん。ヒウンまでどうやって帰るんですか?」
「歩いて。それしか方法がないんです。どこか誰かに置いてかれたから」
「それなら、お礼といっては何ですが、私のケンホロウを使ってください。私のケンホロウはメスなので、今日中に着くと思います」
「良いんですか?」
「はい、是非」
ということがあり、キリハは無事ヒウンに帰る事が出来ました。
番外その4。ついに終了です。まずメデューサさんへ。ミナアキを出すのが遅れてすいません。今回やっと番外まで辿り着きました。そして過去にバスラオに襲われた、的な設定を勝手に付け加えてしまってごめんなさい。……では、次回予告を。次回はセッカの湿原で何かするか、ジム戦です。次回もお楽しみに。
- Re: 71章 雪花のジム ( No.145 )
- 日時: 2011/05/25 20:37
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「はくしょん!」
という情けない感じのくしゃみを聞いて、イリスはジムリーダーのところまで辿り着いた。
場所はセッカジム。このジムの通路はやけに長く、寒くて床も滑るので、とても歩き辛かった。そしてやっとこさフィールドのあるところまで来れたが、そこにはジムリーダーと思しき人物がくしゃみをしていた。
「む……チャレンジャーか」
「……ええ、はい、あなたは、ジムリーダーのハチクさんですよね?」
「ああ、そうだ。氷タイプのポケモンを主として使っている」
氷タイプ使いがくしゃみしてんじゃねぇ!とイリスは叫びたくなったが、そこは自重した。
「では、早速始めるとしよう。出でよ、バニリッチ」
ハチクはバニプッチの進化系、バニリッチを繰り出す。
「氷タイプか……Nのバニプッチ対策には丁度良いな。出て来いデスマス!」
イリスはデスマスを繰り出す。
「では、こちらから行かせてもらうぞ。バニリッチ、冷凍ビーム」
バニリッチはデスマスに向けて冷凍ビームを放つ。
「デスマス、鬼火で防御!」
だがデスマスもそう簡単には攻撃を受けず、鬼火の盾で冷凍ビームを防ぐ。
「デスマス、サイコキネシス!」
デスマスは念動力でバニリッチを攻撃する。
「続けてシャドーボール!」
さらに放たれる黒球を、バニリッチは受ける。サイコキネシスで特防が下がっていたこともあり、かなりのダメージを受けただろう。
「…………」
ハチクは黙って眼を閉じる。
「よし、まだ行くぞデスマス。怪しいk——」
「ミラーコート」
イリスがデスマスに指示するより速く、ハチクはバニリッチに指示を出し、攻撃させる。いや、攻撃というより、反射に近いが。
「デスマス!」
デスマスはバニリッチの体から放たれる光に吹き飛ばされる。その威力はデスマスの放ったシャドーボールの2倍ほどの威力だ。
「今の技は……!?」
「ミラーコート。相手から特殊攻撃を受けた場合のみ使える技だ。この技を使えば、受けた特殊攻撃のダメージを倍増させて相手に返す事が出来る」
つまり、ミラーコートとはカウンターの特攻版というわけである。
「確かに凄い技だけど、僕のデスマスはそれくらいじゃやられませんよ。シャドーボール!」
「雪雪崩」
デスマスは黒球を放つが、バニリッチの発生させた猛烈な雪崩によってかき消されてしまった。
「冷凍ビーム」
「鬼火で防御!」
バニリッチが力を溜めて冷凍ビームを放つ寸前に、デスマスは鬼火で盾を作る。いや、作ろうとした
「バニリッチ、挑発」
バニリッチは冷凍ビームの発射を止め、デスマスが動くより速く、デスマスを挑発する。
「! 挑発……!」
挑発とは、相手に攻撃技しか出させないようにする技。それにより、デスマスは鬼火を封じられた。
「冷凍ビーム」
そして、デスマスは無防備のまま、バニリッチの冷凍ビームを受けて戦闘不能となった。
「戻れ、デスマス」
イリスはデスマスをボールに戻す。
「次はお前だ。頼むぞズルッグ!」
イリスは氷タイプの弱点を突ける、ズルッグを繰り出した。
「ズルッグ、頭突きだ!」
ズルッグは頭を突き出してバニリッチに向かっていく。
「無駄だ。雪雪崩」
ズルッグはバニリッチの雪雪崩に巻き込まれる。そして
「ズルッグ、カウンター!」
「!」
雪雪崩は一応物理技。なのでカウンターで返す事が出来る。
「バニリッチ!」
「さらに飛び膝蹴り!」
カウンターで怯んだバニリッチに、間髪いれずズルッグは飛び膝蹴りを叩き込んで(蹴り込んで?)戦闘不能にする。
「戻れ、バニリッチ。……やるではないか、少年」
「少年なのは認めますが、僕の名前はイリスです。言い忘れてましたけど」
「そうか、イリスか。良い名だな」
ハチクはほとんど無表情で言う。褒められている気がしない。
「では次はこのポケモンだ。出でよ、フリージオ!」
ハチクは2番目に、プラズマ団幹部のルーも使っていたフリージオを繰り出す。
「フリージオ、オーロラビーム」
フリージオはオーロラの様に美しい光線を発射する。
「避けろズルッグ。炎のパンチ!」
ズルッグはオーロラビーム軽く避け、拳に炎を灯してフリージオに突っ込む。
「避けるのだ。フリージオ」
しかしフリージオも、ズルッグの攻撃をかわす。
「このフリージオ、意外と素早い。ズルッグだと少し苦戦しそうだな……」
イリスはそう呟く。
「フリージオ、再びオーロラビーム」
「ズルッグ、避けて炎のパンチ!」
前と同じく、ズルッグはオーロラビームを避けて炎のパンチを叩き込もうとするが、フリージオに避けられる。
「フリージオ、毒突き」
しかしフリージオの避けた後の行動が変わる。フリージオはズルッグの攻撃を避けた後、口から出ている氷の鎖の様な物でズルッグを攻撃する。
「かわせズルッグ!」
ズルッグは辛うじてその攻撃をかわす。そして一旦距離を取る。
「ふぅ……このバトル、結構苦戦しそうだな……」
イリスはそう、呟いた。
セッカジム来ました。これで7つ目のバッジを賭けたバトルになります。いやーもう7つ目ですか。思い返してみると長かったような短かったような。まあ、感傷に浸るのはこの辺にしておいて、あまり意味のない次回予告でも。次回もジム戦です。恐らく決着は次回の次回、つまり73章になると思います。では、また次回もお楽しみに。
- Re: 72章 新たな自分 ( No.146 )
- 日時: 2011/05/25 22:16
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「ズルッグ、頭突き!」
「避けろフリージオ、毒突き」
フリージオはズルッグの頭突きを避け、鎖から放たれる毒突きで突くが、避けられてしまう。
「ズルッグ、炎のパンチ!」
「毒突きだ」
ズルッグは拳に炎を灯し殴りかかるが、フリージオの毒突きに相殺されてしまう。
「強いですね、ハチクさん」
「わたしはこれでもジムリーダー。常に高みを目指し、精進するのだ」
「……あの、ハチクさん。つかぬ事をお聞きしますが」
「何だ」
「昔、テレビでハチクさんのこと見たことある気がするんですけど」
「…………」
「確かそれは、時代劇だったんですが、ハチクさんは俳優だったんですか?」
「……昔はな。だが、もう引退した」
「どうして引退したんですか?」
「……撮影中に怪我をしてな。それ以来俳優業から引退した。わたしはそれで酷く落ち込んだが、現チャンピオンのアデク殿が、私を激励してくださった。そして、わたしのポケモントレーナーとしての資質を買って、ジムリーダーの推薦状をも書いてくれた。この時から、わたしは俳優としてのハチクではなく、ジムリーダーとしてのハチクとなったのだ。このアイマスクも、自分の素顔を隠すためのものだ」
と、ハチクはそこまで語って、何やらスイッチが入ったように雰囲気が変わった。
「……アデクさんは、ハチクさんとも親交が深いんですね。流石チャンピオン、といったところか」
イリスもまた、少し雰囲気が変わる。どちらも鋭く、鋭利な感じがする。
「ではこちらも聞かせてもらいたいのだが」
ハチクは自分が問われたように、イリスに問う。
「そなたと共に来た少女。彼女は最近同盟を結んだPDO、それもセッカ支部統括、ザキの妹のミキではないか?」
「やけに回りくどく言うんですね。まあ、その通りですけど。それが何か?」
「いやなに。2人はどういう関係なのか、少々気になってな」
「どういう関係……師弟関係ですね。僕は、彼女の師です」
「そうか。よく、ザキが許したものだな」
「あの、ハチクさんて、ザキさんやミキちゃんと、親しいのですか?」
「親しい。そうだな。このセッカはあまり広い街ではない。故に街の人々はお互い親しい仲なのだ。ザキとミキは、赤ん坊の頃から知っている。ザキは妹思いの良い兄だ。ミキもしっかりとした意思を持った強い娘だ。どちらも素晴らしい」
ハチクはザキとミキを称賛するが、当のミキは半分照れつつ、半分はハチクの少々誤った理解に対して苦笑している。
「そうですか……っと、そろそろバトルに戻りましょうか」
「そうだな」
2人は会話を打ち切り、バトルに臨む剣呑な雰囲気となった。
「ズルッグ、炎のパンチ!」
「フリージオ、毒突き」
またも炎のパンチと毒突きが相殺される。
「ズルッグ、地面に炎のパンチ!」
ズルッグは炎の拳を地面に叩きつける。すると、弱火だが炎の火柱が上がる。
「くっ、オーロラビーム」
やはり氷タイプのフリージオは炎が苦手。オーロラビームで火柱を消していく。
「今だ、頭突き!」
フリージオが消火をしている隙に、ズルッグはフリージオに頭突きを当てる。
「結構効いてるな。どうやらあのフリージオ、防御は低いみたいだ。あと何発か入れれば、倒せる。ズルッグ、地面に炎のパンチ!」
ズルッグは再び炎の拳を地面に叩きつける。
「同じ手は2度も食らわんぞ。フリージオ、払い除けろ」
フリージオはズルッグが地面に拳を振り下ろす前に、口から伸びている鎖でズルッグの足を払う。
「毒突き」
「ズルッグ、避けろ!」
ズルッグは鎖から放たれる毒突きを転がってかわす。そして素早く起き上がり、後を取る。
「飛び膝蹴りだ!」
ズルッグは全身の力を込めての飛び膝蹴りをフリージオに見舞う。しかし
「フリージオ、締め付ける」
フリージオの鎖が伸び、空中で今まさに蹴ろうとしているズルッグを締め付け、身動きを封じた。
「ズルッグ!」
「これで終わりだ。絶対零度」
ハチクは技の名の通り、絶対零度の如し冷たさで言い放つ。
「絶対……零度……?」
イリスが疑問符を浮かべていると、ズルッグの周りが凍っていき、次第にズルッグおも凍らせていき、1分もしないうちにズルッグは完全に凍りついた。
「これは……」
「絶対零度とは、ポケモンの周囲の空気を極寒の冷気に変え、相手を凍結させる技。これを受けたポケモンは一撃で戦闘不能となる、必殺の技。凍結させるまで時間が掛かり、命中率は低いがな」
ハチクは淡々と説明し、イリスはその間ズルッグをボールに戻す。
「まさか、一撃必殺の技を覚えているなんて……」
イリスは本気で驚いているようだ。一撃必殺の技は命中率が異様に低いので、使用頻度も低いからだ。
「相手の裏を読み、裏の裏をかく。そして相手に裏をかかせないようにする。これこそが、ポケモンバトルの心得」
ハチクはイリスをじっと見据え、そう言う。
「……それは、良いことを聞きました。肝に銘じておきますよ」
イリスはそう言いつつ、次のポケモンを出す。
「頼むぞ、チラーミィ」
イリスの3番手はチラーミィだ。
「チラーミィか。素早く、相手を翻弄しつつ戦うポケモン。相手にとって附則はないな」
ハチクの眼は、一層鋭くなる。
いきなりこんなこと言うのもなんですが、あとがきのネタがなくなりつつあります。なんというか、こういうのって小説内のキャラクターとか出した方が良いんですかね。僕はあとがきっぽさを出すために登場させていませんが。まあ、その辺は必要に応じて切り替えるとしましょう。それから、読者のみなさんも、どうすれば良いか希望を言ってくれると嬉しいです。結局他人任せになってしまいましたが……さあ、長くなりましたが次回予告。次回はセッカジム戦、ついに決着です。お楽しみに。
- Re: 73章 熱さと冷たさ ( No.147 )
- 日時: 2011/05/27 16:06
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「チラーミィ、スイープビンタ!」
チラーミィは尻尾を硬化させ、フリージオに突っ込んでいく。
「フリージオ、毒突き」
フリージオもチラーミィを迎撃すべく、口から伸びる氷の鎖でチラーミィを突く。
「かわせ、チラーミィ!」
しかしそこは流石チラーミィ。フリージオの繰り出す毒突きをひらりとかわしていく。
「アイアンテールだ!」
そして毒突きの合間を抜けるようにアイアンテールを放ち、フリージオを戦闘不能にする。
「戻れ、フリージオ」
これでハチクのポケモンも残り1体になった。
「では、行くぞ。わたしの切り札、ツンベアー!」
ハチクは最後に、エースポケモンらしいツンベアーを繰り出す。
「ツンベアーか。確かそのポケモンは、攻撃は高いけど素早さは低いはず。ならチラーミィには持って来いの相手だ」
「果たして、そううまくいくかな。ツンベアー、氷柱落とし」
ツンベアーはどこからか次々と氷柱をチラーミィに落とす。
「チラーミィ、アイアンテールで粉砕しろ!」
チラーミィは飛び上がり、尻尾を鋼のように硬化させ、ガキンだのバキンだのと音を立てながら次々と粉砕していく。
「よし、そのまま突っ込め!」
チラーミィは尻尾を硬化させたまま、ツンベアーに突っ込んでいく。
「ツンベアー、冷凍パンチ」
それに対しツンベアーは、凍てつく拳を構え、迎撃の態勢を取る。
「行け」
そしてその拳を振り抜き、チラーミィに殴り掛かる。
「下だ、チラーミィ!」
しかしチラーミィはツンベアーの下に潜り込み、冷凍パンチをかわす。そしてそれだけでなく、そのままアイアンテールを下から上に切り上げるようにして食らわせる。
「ぬぅ、ツンベアー!」
だがツンベアーは気合でその攻撃を耐え、気合でチラーミィを吹き飛ばした。
「この時代にまさかのド根性精神ですか。いろんな意味でビックリですね」
イリスは驚愕の行動に心を乱されないように、軽口を叩いて冷静さを保とうとする。
「行くぞツンベアー。氷の息吹」
ツンベアーは口から今にも凍てつきそうな氷雪の息吹を放射する。
「ぐっ、チラーミィ、草結びだ!」
チラーミィは草結びでツンベアーの動きを止め、この息吹を消そうと試みたが
「無駄だ」
ツンベアーは想像以上にタフで、草結びを受けても何も感じていないようだ。
「くぅ、チラーミィ!」
それによってチラーミィは、氷の息吹を受け、その場に倒れこんだ。
「氷の息吹は相手の急所を確実に攻める技。直撃せずとも、大ダメージは免れない」
ハチクの言う通りである。チラーミィは直撃したわけではないのに、かなりのダメージを負っている様に見える。
「さて、そろそろこの勝負も終わりにしようではないか。ツンベアー、気合玉」
ツンベアーは全身の気力と気合を球状にしたような球を、両手で包み込むようにして構える。そしてそれを倒れ伏しているチラーミィに向けて放つ。
「チラーミィ!」
ドッカーンという轟音の後、砂煙がもうもうと立ち込める。そしてチラーミィは
「チラーミィ……」
チラーミィはなんとか立ち上がったが、もうふらふらである。とても戦えるような状態ではない。
「まだ立つか。だが、立った所で良いことはない。別段、今回負けても、次があるのだ。反省を活かし、それに臨めば良い」
ハチクの言うことは正しい。というか正論だ。このままチラーミィが戦い続ければ、体を壊す恐れがないとも言い切れない。しかし
「残念なことに、僕は諦めの良いときと悪いときの比率が丁度良いことで有名でしてね。今回のこれは、確実に諦めたらいけないでしょう!」
イリスは負け惜しみのようにも、何かを確信しているようにも聞こえることを言う。
「……よかろう。そこまで言うのであれば、続けるとしよう。ツンベアー、氷の息吹」
ツンベアーは凍てつくような息吹を吹き、攻撃してくる。
「突っ切れ、チラーミィ!」
「なに!?」
ハチクは驚愕した。満身創痍と言っても過言ではない状態のチラーミィが、急所を攻撃する氷の息吹に突っ込んでいったのだから。
「あくまで正面からぶつかるというわけか。なら、氷柱落とし!」
ハチクはどこかヒートアップした感じで指示する。指示されたツンベアーも、一層気合を入れて氷柱落としを放つ。いや、それはもう氷柱というより、小型の氷山が逆さまになってまとめて降ってきたようだった。しかし
「スイープビンタ!」
チラーミィはその氷柱(氷山?)を紙一重で回避し、時にはスイープビンタで粉砕したり、尻尾をばねのように使って移動したり、落ちてくる氷柱を足場にしたりと、とにかく素早い動きでツンベアーに接近する。
「氷柱落とし!」
だが最後の最後で、ツンベアーは自分の周囲を防御するように氷柱を落とす。これではチラーミィに氷柱が当たり、やられてしまう。
「チラーミィ、アイアンテール!」
しかしチラーミィは諦めず、落下してくる氷柱ごと、ツンベアーにアイアンテールを食らわせる。氷柱はパリーンと砕け散り、ツンベアーは顎に鋼の尻尾が叩き込まれ、仰向けにバタンと倒れこむ。
「……わたしの負けだ」
ハチクは、負けを認めた。
「熱いだけでなく、冷たいだけでなく、2つを自在にコントロールする。それがわたしの流儀。そなたは、それらを自在に操ることが出来る。なので、このアイシクルバッジを授けよう」
「ありがとうございます!」
イリスはお礼を言うと、ジムから出た。
「あれ? チェレン、ベル?」
ジムから出ると、そこにはチェレンとベルがいた。ベルはいつも通りだが、チェレンは心無し沈んでいるように見える。
「イリス……僕は、どうすればいいんだ。最近、強さとは何か、弱さとはなにか。それが分からなくなってきた」
「もうチェレンったら。そんなこと気にしなくていいの。それよりイリス、ジム戦は終わったの?」
「うん。なんとか勝てたよ」
イリスは微笑みつつ言う。すると背後から誰かが来た。ハチクだ。
「誰だ」
「えっと、あたしはベル……こっちはチェレンで……」
ベルは言い淀みながらも言うが、ハチクは他をきにしているようだ。
「いるのは分かっている。出てきたらどうだ」
『?』
その場にいる、ハチク以外全員が疑問符を浮かべたところで、その3つの影は現れた。
セッカジム戦、ついに終わりました。もう7つ目ゲットです。あと1つです。では、本編が長めなので早めに次回予告。次回はこの件ですので、龍螺旋の塔です。お楽しみに。
- Re: 74章 龍螺旋の塔 ( No.148 )
- 日時: 2011/05/27 16:57
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
龍螺旋の塔。イッシュ地方最古の建造物で、イッシュの国が出来る前から建っていると言われている。この塔には入口が存在せず、内部がどのような構造になっているのかが不明である。また、いつ、誰が、何のために建てたのかも不明で、謎の多い塔である。なお、最上階では、伝説のポケモンが真実を追い求める人間を待っている、と言い伝えられている。
「うわー、すっごい穴開いてるよ。まったく、こんな歴史的建造物になにをするんだか」
現在イリスとミキは、龍螺旋の塔の外いる。そして、プラズマ団が開けたと思しき大穴が、塔の側面にある。
「ご丁寧に橋まで架けてあるし、一体全体こんなとこで何をするつもりなんだか」
「今更そんなこと言っても無駄だと思いますけど。相手も結構目的が近づいているっぽいですし、もう止まりはしないでしょう」
「それもそうだね」
イリスはミキの発言を肯定して、歩き出す。
「N、本当に君は何をするつもりなんだ……?」
イリスはそっと呟く。セッカジムを出た時のことを思い出しながら。
時は5分ほど前。イリスがセッカジムを終えた直後のことである。
「流石セッカのジムリーダー、ハチク。陰の存在である我らに気付くとは」
突如現れたのは、ゲーチスに絶対の忠誠を誓っている3人組、ダークトリニィだ。
「ダークトリニィ!? 何でこんなところに!」
「貴様に用があるのだ、イリス」
ダークトリニィは、イリスを名指しする。
「今から話すことは、本当はイリスだけに伝えるつもりだったのだが、まあいい。イリスよ、龍螺旋の塔でN様が貴様を待っている」
それだけ言うと、ダークトリニィはヒュンという音をたてて消えた。
「龍螺旋の塔……そちらの少年、ジム戦ならしばし待たれよ。わたしは龍螺旋の塔に向かう」
ハチクはそう言うと、北の方角に向かって走り出した。
「僕も行く。プラズマ団がまた面倒なことしてるなら、何が何でも止めなくちゃね」
チェレンもまた、ハチクに続いて北の方角に向かって走り出す。
「ミキちゃん、僕らも行こう」
「はい、師匠!」
イリスとミキも走り出す。そして、ベルだけが取り残される。
「あ、ちょっと皆! 待ってよ〜〜!」
ベルも慌てて走り出す。
イリスとミキ、そしてベルが龍螺旋の塔に辿り着くと、そこにはアララギ(父)がいた。
「おお、お前さんたちか」
「アララギ博士(父)。何でこんなところに?」
イリスが疑問を投げかける。
「いやなに、この龍螺旋の塔は科学者や研究者の間ではかなり有名な塔でな、わたしもその筋だからセッカに来たついでに見ようと思っていたところだが、どうもそんな暢気なことをしている場合ではないようだ」
すると、アララギ(父)の目付きが鋭くなる。
「現状を説明するぞ。今し方プラズマ団が爆弾か何かで塔の壁を破壊し、中に侵入した。そしてそれをジムリーダーハチクと、チェレンが追いかけて行った」
「僕も行きます」
アララギの言葉が終わるや否や、イリスは言った。
「ふうむ。子供がプラズマ団を相手取るのはあまり関心せんが……」
「大丈夫ですよ博士。チェレンもイリスもミキちゃんも、プラズマ団と戦って勝ったことが何度もあるんですから」
アララギ(父)が渋るような素振りを見せると、ベルがフォローをしてくれる。
「あ、でも、あたしはそんなに強くないから……ここで、博士のボディーガードでも出来たらいいなーと……」
ベルは少し言い淀みながら言う。強気にはなれないが、何か力になろうと必死なのだ、ベルは。
「はっはっは、これは頼もしい。それじゃあ、お願いするとしよう」
アララギ(父)は、ベルの申し出を快く引き受ける。そして、何か思い出したように懐から何かを出す。
「今はこれしか残っておらんが、気休めくらいにはなるだろう」
そう言いながら渡してきたのは、ヨウカンだった。
「ヨウカンなんて入りませんよ! これじゃ気休めもクソもないですから!」
イリスはヨウカンを近くの草むらに投げ捨て、叫ぶ。ちなみにヨウカンは草むらにいるポケモンがおいしくいただいている。
「そうか……ヨウカンうまいんだがな……」
「知りませんよ!」
「ヨウカンおいしいのにね……」
「ベルも乗らなくていい!」
「ヨウカンおいしんですのに……」
「ミキちゃんもボケ倒さなくていいから!」
以上、回想シーンでした。
イリスは龍螺旋の塔の内部を進んでいるうちに、ふと足を止めた。
「なんか、この塔揺れてない?」
「言われてみれば、そういう気もしなくもないですね」
「最上階で、何かあったのかも。急ごう」
「はい」
イリスとミキは少し小走りで塔の内部を進んでいく。
「? 誰かいる……」
イリスは広間のようになっている場所で、足を止める。そして倒れている柱の陰に身を潜めつつ、周囲を見渡す。
「隠れなくとも良い。お前達の居場所は分かっている」
そう誰かに言われた瞬間、イリスは立ち上がる。
「あんたは……」
そこにいたのは、プラズマ団7幹部の1人。バイオだった。
さて、次回予告です。いや、早すぎだろって感じなのは分かりますが、ネタがないんです。だから早々に次回予告を済ませようかなーという作者都合です。次回はバイオと、もう1人幹部を出すことを予定しています。お楽しみに。
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