二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 ( No.124 )
- 日時: 2011/07/07 23:54
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
ジルウェ・26歳・男
容姿・常に目は閉じているように見え、眼鏡を掛けている。赤髪で目を開くと赤眼。赤い髪に誰も着ていない赤を基調としたPDOの隊服を着ている。
性格・PDOのリーダー。明るいようでいて威厳がある。ポケモンバトルの腕はリーダーなだけあってかなりのもの。いろいろなポケモンを持っており、その日の気分などで手持ちのポケモンを変更する。
手持ちポケモン
アギルダー ♂
とんぼ返り、影分身、虫のさざめき、命懸け
特性・潤いボディ
エルフーン ♂
草笛、暴風、エナジーボール、サイコキネシス
特性・悪戯心
???
他
- Re: 60章 タワーオブヘブン ( No.125 )
- 日時: 2011/05/11 00:56
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
タワーオブヘブン。
この世を去ったポケモンの墓碑が立ち並ぶ、いわばポケモンの墓地だ。
この墓地は塔になっていて、頂上には鳴らすとポケモンの魂を鎮める、と言い伝えられている鐘が設置されている。
「まさかこんなにプラズマ団がいるとは思わなかったな……」
「はい。ていうかもうこれ占拠状態ですよ」
イリスとミキは、入口にいたプラズマ団をジゲンに任せ、タワーオブヘブンに忍び込むように入ったのであった。
タワーオブヘブンは1階だけでも20人以上のプラズマ団がいる。この塔は5階建て+頂上になっているので、合計100人以上のプラズマ団がいることだろう。
「流石にこれはきついかな……」
「どうしましょう?」
イリスとミキが頭を悩ませていると、プラズマ団たちの話し声が聞こえてくる。
「おい、4階の奴らに増援しなくていいのか?」
「何言ってんだ。俺たちはあいつにやられてボロボロだろうが。それに何やら他の敵も入口の奴らと戦ってるらしい」
「ケッ、ついてねえな、今日の俺たち。変なオッサンに絡まれるし、やけに強いトレーナーにボコられるし。さんざんだぜ」
「5階にいる幹部の人たちは大丈夫なのか?」
「あいつマジで半端なく強いけど、あの人にゃ勝てないだろう。何せプラズマ団幹部のトップだからな」
「それもそうか」
「そうだよ。どうせあの人にやられるのがオチさ」
その後プラズマ団たちは快活に笑うと、その辺に座り込んで本格的に駄弁りだした。
「貴重な情報をくれて感謝するよ。味方と、敵と、戦力。まさか知りたい事をここまで教えてくれるとは思わなかったな」
近くの墓石の陰に隠れていたイリスは、そう言って立ち上がる。
「な、てめえ!」
「どこから入り込んできやがった!」
入口から。
とは言わず、イリスはプラズマ団たちを無視するようにミキの手を引いて階段に向かう。
「おい、無視すんな!」
プラズマ団の1人がそう叫び、イリスは振り返る。
「だって4階まではプラズマ団全滅してるんでしょ? トレーナーは無事でも、ポケモンがいないなら僕らは止められないよ」
そう言い残して、螺旋階段を上る。プラズマ団たちは、それを見ているしか出来なかった。
「オノノクス、ドラゴンクロー」
案の定。4階でプラズマ団を蹴散らしていたのはムントだった。どうやら今のドラゴンクローで、階段の側にいるプラズマ団を倒し、4階を制圧したようだ。
「プラズマ団なんて所詮、世間から追い出された弱者の群れ。取るに足らないな」
ムントはそう呟き、階段を上る。
イリスたちは螺旋階段を上っているうちに、面倒だと思ってしまった。それもそのはず。タワーオブヘブンの螺旋階段は結構段数がある。それに螺旋しているから走りづらいのだ。
「よし、出て来いフタチマル」
そこでイリスは頭を捻り、知恵を絞り、何か良い案を思いついたようだ。
「師匠、フタチマルで何をするんですか?」
「まあ、見てれば分かるよ」
そう言ってイリスはミキを抱き抱える。正直、大人びて見えるイリスを何も知らない人が先入観を持たず客観的に見ると、年齢よりさらに幼く見えるミキを誘拐しているように見えなくもない。ちなみにミキは顔を真っ赤に染め、脳はショートしたのか、湯気が上がっている。
「フタチマル、水の誓だ。それも強力なやつ」
ショートしているミキに気付いていないらしいイリスは、フタチマルに命令する。勿論フタチマルはその命令通りに水柱を勢いよく噴出する。イリスはそれに乗って、タワーオブヘブンの2.5階(2階と3階を繋ぐ螺旋階段)から5階まで一気に飛ぶ。螺旋階段というものは、中心が基本的に存在していない。見えない柱を中心に、螺旋状に階段があるのが特徴だ。その特徴を利用し、イリスはフタチマルの水の誓で発生させた水柱の勢いに乗って5階までの道のりをショートカットする。
「——っと」
イリスはミキを抱えたまま(これはミキでは着地に失敗するかもしれないと思っての行為であり、他意も下心もない。イリスにそんなものを求める方が無理な話だ)5階の床に着地する。
「うー足が痛い……」
あたりまえだ。
「それはともかく……ムントさんはいないのか?」
5階はこの塔が上に向かうに連れて螺旋していく構造上、かなり狭いのだが、墓石が邪魔で周りの様子が分からない。
「し、師匠……」
イリスがキョロキョロしていると、手元にいるミキが搾り出したような声で声を出す。対するイリスは今まで気付かなかったかのような素振りをしている。灯台下暗しとはよく言ったものだ、ここはほぼ最上階だが。
「ああ、ごめんごめん」
ミキの言いたいことに気付いたイリスは、ミキを地面に下ろす。
「さて、それじゃあ僕らはこの辺の捜索を——」
と言いかけたところで、イリスの後ろにある墓石が吹っ飛んだ。
「え……?」
そこにいたのは、藍色の髪にプラズマ団の制服を改造した男だった。
「俺はプラズマ団7幹部が1人。インディだ」
そして、そう名乗った。
今回はタワーオブヘブンです。そしてついに最後のプラズマ団幹部が出ました。そして次回はインディとイリスが戦う!?という感じにします。何か前にも似たようなことがあった気もしますが、まあおいておきましょう。次回の更新は早めにします。では、また次回で。
- Re: 61章 プラズマ団7幹部 インディ ( No.126 )
- 日時: 2011/05/12 00:52
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「……人様のポケモンのお墓吹っ飛ばすなんて、呪われるよ?」
「呪いなど、たかが迷信。恐れるほどのものではない」
インディは、手にモンスターボールを持っている。恐らくあのボールに入っているポケモンで、墓石を吹っ飛ばしたのだろう。だが
「ここの墓石は特殊な石で出来てるから、ポケモンといえどそんな簡単に破壊、それも一瞬で消し去るようなことはまず不可能なんだけどな」
イリスはぼやく。
「……侵入者は3人。1人は4階にて他の団員を殲滅している。他の2人はツーマンセルで侵入したばかり。この報告は今さっき伝えられたもので、十中八九2人組みはお前らだろう」
人の話を無視して一方的に話す。プラズマ団には自己中心的な人が多いのだろうか。
「だが、ついさっき侵入したばかりのお前達が、何故4階にいるであろうもう1人の侵入者よりも早くここにいる?」
「僕は結構面倒くさがりなんでね。裏道と裏技を使って3,4階あたりの階段をショートカットしたんだよ」
イリスはそう言いつつ、ボールを出す。正直勝てる気はしないが、何もせずここから立ち去るというのは無理だろう。それにこいつを倒さなくては、ここにいるプラズマ団を追い出すことは出来ない。
「……ふん。お前、イリスだな」
突然、インディはそんなことを言い出した。
「? まあ、そうだけど。ひょっとして知らなかったのか? 僕って結構プラズマ団に知られてるとばかり思ってたけど」
やや自意識過剰気味だが、その通りである。イリスは既にプラズマ団幹部を5人も倒していて、Nとも因縁がある。知らないとしたら下級の下っ端くらいだろう。
「いや、知っている。さっきのはただの確認だ」
わざわざ確認するとは、生真面目な奴だな。とイリスは思った。
「俺はお前と戦う気はない。ここで俺はお前と戦って倒してはならないんだ」
「? 何言ってるのかさっぱりだ。何で僕らを倒してはいけないんだ?」
「この上にいる方からの命令だからだ」
インディは即答する。
「それじゃあ、僕らとここで戦わず、通してくれるというのか?」
「違う」
どっちだよ!とイリスがキレ気味に叫ぼうとするより早く、インディは言葉を続ける。
「そろそろ出て来い。話なぞ聞かずとも割り込みでも何でもするがいい」
その時、墓石の陰から、1人の男が出て来る。
「ムントさん……!」
ムントだった。どうやらいつの間にか5階に来ていて、イリスとインディの話が終わるのを待っていたらしい。
「俺はイリス、お前を通せという命令は受けているが、それ以外の輩を通しても良いとは言われていない。無論、そこの小娘も同じだ」
インディはミキを見る。どうやら通すのは本当にイリスだけらしい。
「出でよ、ゼブライガ」
インディはいきなりポケモンを出す。
「イリス以外、何人たりともここは通さん」
そう言ってインディは3人をとおせんぼうするように立ち塞がる。いや実際とおせんぼうしているのだが。
「……出て来い、オノノクス」
ムントもポケモンを出す。どうやら戦う気らしい。
「……ムントさん、僕も戦います。たぶん1人では——」
「失せろ」
イリスは善意で加勢しようとしたが、ムントはそれを拒絶する。
「お前は弱い。俺は弱い奴が嫌いだ。それに弱い奴が加勢した所で、邪魔になるだけの枷にしかならない」
イリスは加勢と枷を掛けたのかな?と不謹慎なことを思うが、すぐ脳を切り替える。
ムントはよくある仲間を思い遣る感じの拒絶ではなく、本当に邪魔だと言っているような感じだ。イリスは一方的に味方だと思っていたが、どうやらそれはただの思い上がりらしい。
「……行くよ、ミキちゃん」
イリスは素直に従う。実際自分は負けているわけだし、自分よりは確実に強いと分かっているからである。
「小娘は行かせん。ゼブライガ、電撃波」
ゼブライガはイリスとともに階段に向かうミキを狙って、電撃波を放つ。
「きゃっ」
電撃波はミキを掠めるようにして外れた。ギリギリのところでイリスがミキの手を引いて回避したのだ。
「大丈夫、ミキちゃん?」
「はい、大丈夫です」
そう言って再び階段に向かって走り出す。
「……ゼブライガ。イリスごとやっても構わん。電撃波だ」
ゼブライガも再度電撃波を放とうとするが、それは突如地面が大きく揺れたことによって不発に終わる。
「余所見をするな」
ムントだった。恐らくはオノノクスが地震を使ったのだろう。
「……ふん、いいだろう。イレギュラーが入り込んでしまったが、仕方ない。後で切腹でも何でもしよう。だが、今目の前にいる敵は、排除する」
「やってみろ。幹部といえど、所詮は追放された弱者であることに変わりはない」
こうして、イリスは最上階に向かい、ムントはプラズマ団幹部の1人、インディと戦うこととなった。
今回は特に言うこともないので、次回予告でも。次回はタワーオブヘブンでの戦いが終わります。そして最上階にいる人物とは……?まあ、そんな意外な人でもないのですが。それではまた次回。
- Re: 62章 ライトストーン・ダークストーン ( No.127 )
- 日時: 2011/05/13 00:59
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
イリスとミキがタワーオブヘブンの頂上に着いた時には、外は嵐が吹いていた。強い雨が降り、猛烈な風が吹き、凄まじい雷が轟く。
そんな悪天候にも関わらず、1人の人間がポケモンの魂を鎮めると言われている鐘の前に立っていた。
Nだ。
「……来たね、イリス」
Nは後ろを向いたまま言う。暴風雨でもしっかりと聞こえる声で。
「まさか来るとは思わなかった」
「よく言うよ。僕を呼んだのは君だろ?」
「気付いていたのかい?」
「なんとなく、だけどね」
イリスがそこまで言うと、Nは振り返り、イリスと相対する。
「んん? おかしいな。インディには君だけを通すように言ったんだけど……?」
Nは本気で分からないというように首を傾げる。
「まだ半人前の弟子を敵対組織の幹部と戦わせるわけにはいかなんでね。それと、味方だと思っていた敵に止められた」
イリスは後半愚痴るように言う。
「ふうん。まあいいや。君、名前は?」
Nはミキの方を向いて言う。ミキは少し戸惑ったが、すぐに気を取り直して口を開く。
「PDOのミキです」
一応、イリスの弟子ではなくPDO隊員として名乗るミキ。
「ミキちゃんか、いい名前だね。ポケモンも美しき樹が必要だ」
「N、用件は何だ?」
Nが自己満足トークを始める前にイリスは先手を打つ。何事も先手必勝である。
「ああ、忘れてた。君に大事な事を話したいんだ、イリス」
大事な事なら忘れるな。とイリスは思ったが、黙る。人を振り見て我が振り直せ、だ。
「君はレシラムに選ばれ、英雄になる資格がある。英雄になれば、レシラムを従えて君の掲げる真実の世界が出来る。でも君は、レシラムと出会う方法を知らないよね?」
「ああ、知らない」
「本当はもっと早く言おうと思ってたんだけど、君との会話とバトルが楽しくてね。つい忘れてしまうんだ」
おい、プラズマ団の王のくせに何やってんだ。というよりお前はポケモンバトル反対派だろ。とイリスは言おうと思ったが、黙った。もうツッコミを入れる気力が失せたのだ。
「レシラムと出会うのに必要なもの。それは、覚悟だ」
「覚悟?」
イリスは間の抜けた声を出す。
「そう、覚悟。真実の世界を創りたいという覚悟さ」
「……いや、待って。まさかそんな抽象的なものでレシラムは現れるわけ? 覚悟さえあれば誰の元にでも光臨するようなものなの?」
かなりイリスは動揺している。ベクトルは違うが。
「まさか。覚悟だけでレシラムが呼べるものか」
だよねー。とイリスは思った。
「レシラムはとある石に封印されている。その封印を解くのに必要なのが、覚悟と資質だ。レシラムの場合は、自分の真実を貫くという覚悟と、真実の世界を創ることのできる資質」
ゼクロムの場合は真実が理想になる。とNは続ける。
「そしてそのとある石というのが、ライトストーン」
「ライト、ストーン……?」
「そう。ゼクロムが封印されているのは、ダークストーンという。これらの石は対になっているんだ」
「つまり、君は僕に、そのライトストーンを探せと言うのか?」
「その通りさ」
イリスの疑問に、Nは即答する。
「……てことは、僕がそのライトストーンの捜索を拒めば、レシラムは復活されないと」
「それもその通り。でも、君はレシラムを復活させなければならない。それは最終的には君の意思だが、それでも君は自分の真実を貫こうとするよ」
「……僕は、貫きたいと思うほどの真実なんてないよ。むしろ理想の未来を追っかける小さなトレーナーさ」
どこか遠くを見るような目でイリスは言う。
「謙遜するなよ。……ところで話は変わるが、この大嵐の原因を君は知っているかい?」
Nがいつも通り突拍子もないことを言う。勿論イリスは困惑するだけだ。
「嵐の原因? 詳しくは知らないけど、嵐は起きるから発生するんだ。原因はこの星自体にあると言ってもいい」
やや生真面目に返答するイリスだが、Nはそれに対し軽く笑う。
「その意見には大いに賛同するけどね。実際は違う。この嵐はれっきとした原因がある。この嵐は人為的なものだからね」
いや、違うか。とNは頭を振りながら言い直す。
「この嵐はポケモンによるものだ」
「……何だって?」
イリスは耳を疑う。こんな嵐を発生させる事のできるポケモンなんているわけがない、と思う。
「この嵐は、とあるポケモンが引き起こしているんだよ。その名もトルネロスとボルトロス。この2匹のポケモンはイッシュを飛び回って、大雨、暴風、落雷といった災害を起こすポケモンだ。ま、今まで被害に遭った人はいないけどね」
Nはそこまで言うと、イリスの方に歩んでくる。
「そろそろお喋りの時間は終わりだ。僕はこれでも忙しいからね。次ぎあう時も楽しみにしてるよ」
「…………」
目を閉じて笑っているNに対し、イリスの表情はやはり硬い。
「何回も言うけど、これだけは覚えておけ。君は英雄の運命からは逃れられない。何があっても、何をやっても」
すれ違いざまに、Nはイリスに囁く。イリスは階段を下りて行くNを、ただ見つめるだけだった。
頑張りました、ポケモンの登場なしで1話を乗り切りました。とまあ、どうでもいい僕の頑張りは置いといて、次回予告でも。次回はついにフキヨセジムです。フキヨセシティ編だけなんだか短くなるかもですが、そこは触れないでおきます。とにかく次はジム戦です。次回をお楽しみに。
- Re: 63章 人間大砲 ( No.128 )
- 日時: 2011/05/14 00:12
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
イリスはタワーオブヘブンでの一件の後日、フキヨセシティジムを訪れていた。
「来てくれたんだね、待ってたよ」
フキヨセジムのジムリーダー、フウロはそう言う。イリスの遥か高みから。
「……あの、フウロさん。何故にそんな高所におられるのですか? というか、どうやってそこまで?」
イリスはフウロからかなり低い位置(正確には300m下)から疑問を投げかける。聞こえるかは定かではないが。
「そこに大きな大砲があるでしょ? その中に乗り込んで、吹っ飛ばされて」
言われてイリスは前方を見る。確かにそこには直方体の箱のようなものがあり、入口と思しき切れ目も入っている。
「いや、吹っ飛ばされてって、そんな人間大砲なんてしたくないですよ」
イリスはブルーになりながら反論する。
「来ないとジム戦できないよ?」
フウロは挑発するように言う。するとイリスは仕方ないと言った感じで、大砲の中に乗り込む。
「ミキちゃんは観覧席に行ってて」
イリスに言われ、ミキは観覧席に通じるエレベーターに向かう。
「さて、こんなデンジャラスな大砲に乗って、僕は無事ジム戦ができうるのだろうか。というか、この大砲は僕を撃ち出せるのかな。故障でも何でもしてたらい——」
残念なことに、大砲は整備されたばっかりで故障しているところなどなく、イリスは人間大砲として吹っ飛ばされたのであった。
「死ぬかと思った……」
イリスは人間大砲としてフキヨセジムの一番高い所に着地(正確には落下)することが出来た。
「それじゃ、ジム戦始めよっか」
対するフウロはそんなイリスには一切構わず、ボールを取り出す。
「出て来て、ココロモリ!」
「……デスマス」
フウロはココロモリ、イリスはデスマスを出す。フウロはともかく、イリスは(大砲以外特に大したことはしていないのに)疲労困憊でもポケモンを出してバトルに臨もうとする辺り、流石である。
「それじゃあこっちから行くよ。ココロモリ、アクロバット!」
ココロモリは高速で動いてデスマスを攻撃しようとするが
「デスマス、怪しい風!」
さっきまでの疲労困憊振りが嘘のように回復したイリスは、デスマスの怪しい風でココロモリのアクロバットを止める。
「シャドーボール!」
さらに続けてシャドーボールも撃たせる。
「ならこっちも、シャドーボール!」
デスマスの放つ黒球に対し、同じ黒球で迎え撃つココロモリ。それにより両方の黒球は相殺された。
「ハートスタンプ!」
「怪しい風!」
ココロモリはハートスタンプを放つためにデスマスに接近しようとするが、デスマスの怪しい風で阻まれる。
「なら、エアカッター!」
しかしココロモリも負けておらず、怪しい風を切り裂くエアカッターでデスマスを攻撃する。
「デスマス!」
「続けてハートスタンプ!」
ココロモリはエアカッターの直撃を受けたデスマスにハートスタンプで追撃する。
「ぐぅ、怯み技か……」
ハートスタンプは稀に攻撃した相手を怯ませることのある技。それによってデスマスは怯み、隙が生まれる。
「シャドーボール!」
そこにすかさずココロモリは黒球を撃ち込む。さしものデスマスも、エアカッター、ハートスタンプ、シャドーボールの3連コンボには耐え切れず、戦闘不能となった。
「戻れ、デスマス」
「さあ、次はどんなポケモンを見せてくれるのかな?」
フウロは楽しそうに笑っている。実際楽しいのだろう、ポケモンバトルが。
「……よし。頼んだ、フタチマル!」
イリスはここ最近、楽しめるバトルというものをやっていない。だったら、この気に目一杯楽しんでおこうと思った。
「フタチマル、水の誓!」
まずは水柱を発生させ、ココロモリの行動と視界を制限する。
「考えるね。でも私のココロモリには効かないよ。アクロバット!」
有言実行。ココロモリはキレのある動きで水柱をかわしていき、フタチマルに接近する。
「残念ですが、そのココロモリじゃ僕のフタチマルには接近戦では勝てませんよ。シェルブレード!」
フタチマルはあらかじめ構えていて、接近してきたココロモリを二刀流のシェルブレードで切り裂く。
「まだだよ。ココロモリ、シャドーボールを連発して!」
ココロモリは指示通り黒球を次々と撃ち出すが
「フタチマル、ホタチで弾くんだ」
フタチマルの流れるようなホタチ捌きで次々と撃ち込まれる黒球を弾いていく。そして一発、フタチマルの弾いた黒球がココロモリに当たった。
「今だフタチマル、水の誓!」
その隙を狙い、フタチマルは水の誓により発生する水柱でココロモリを打ち上げる。
「ハイドロポンプだ!」
そして高圧水流をココロモリ目掛けて発射する。このハイドロポンプだが、3割程度の威力で撃てば、失敗することはなくなった。加減することで失敗というリスクを冒さなくなったのだ。
「ココロモリ!」
加減して撃ったとはいえ、ハイドロポンプの威力は凄まじく、ココロモリは戦闘不能となった。
「ありがとうココロモリ。ゆっくり休んでて」
フウロはココロモリをボールに戻し、新たなボールを出す。
「それじゃあ、次はこの子で行くよ」
「どんなポケモンが来ようと構いませんよ。全力で迎え撃ちます」
フキヨセジム戦は、まだまだ続く。
ついに来ましたフキヨセジム。今回のジム戦は無性にキーが進みそうなので、3回に分けるかもしれません。まあ、最終的には僕の気分になるのですが。では次回のフキヨセジム戦もお楽しみに。
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