二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: 番外編 トライアルハウスバトル 後編 ( No.82 )
- 日時: 2011/04/23 17:14
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「ランクルス、ワンダールームだ」
テラは、シビルドンの特防が高く、サイコキネシスが効かないと分かるや否や、次の手を使ってきた。
ワンダールームは、互いの防御と特防を入れ替える技。つまり、シビルドンの高い特防は、防御に移されたのだ。
「へえ、そういう風に対策するんだ。シビルドン、噛み砕く」
「ランクルス、サイコキネシス」
ランクルスはサイコキネシスでシビルドンが接近してくるのを許さず、そのまま地面に叩きつける。
「怯んじゃダメ、シビルドン。電磁砲」
シビルドンは口に高電圧の電気を圧縮し、雷の球を作り出す。そしてそれを、ランクルスに向ける。
しかしこの時テラはさほど危機感を抱いてはいなかった。何故なら、電磁砲は確かに強力な技だが、命中率が低いのだ。それもそのはず、一直線に飛来する攻撃は結構避けやすいのだ。だから、テラは油断していた
「発射」
女性がそう言うと、シビルドンは電磁砲を発射した。
音速のスピードで。
「!? ランクルス!」
いくら直線的な攻撃とはいえ、流石に音速で飛来してくる攻撃を避けられるはずも無く、音速電磁砲の直撃を食らったランクルスは、戦闘不能となった。
「まさか……」
「ポケモンバトルにまさかはないわ。さ、次のポケモンを出して」
驚愕するテラに対し、クールに言葉を発する女性。
「……出て来い、ツンベアー」
「次はツンベアーね」
女性はツンベアーを見据える。
「よく育てられているわね」
「……ええ、まあ」
明るく話しかける女性だが、テラは逆に声が低く、暗い。
「シビルドン、瓦割り」
「ツンベアー、あられ」
シビルドンは腕を振り上げながらツンベアーに向かっていくが、ツンベアーはあられを使い、特性雪隠れで姿をくらました。
「ツンベアー、吹雪」
ツンベアーはシビルドンが右往左往しているところに、吹雪を吹き付けるが、流石シビルドンといった感じで、なんとかこらえている。
「シビルドン、右75度に電磁砲」
女性はこのあられの中で、吹雪が吹き付ける方向を特定したらしく、その方向に電磁砲を撃たせる。
「ツンベアー!」
音速電磁砲を食らったツンベアーは、吹雪と基礎体力のお陰か、ギリギリ持ち堪えた。
「決めるわよ、シビルドン。瓦割り」
ツンベアーがダメージを負ったことで、あられが止み、視界が明瞭になった為、シビルドンはツンベアーに突っ込んでいく。
「ツンベアー、じたばた!」
シビルドンの瓦割りが決まる直前に、ツンベアーはじたばたを繰り出した。その結果
「戻って、シビルドン」
「戻れ、ツンベアー」
両者共に戦闘不能になった。
「さあ出て来て、ウォーグル」
女性が次に繰り出したのは、ワシボンの進化系、ウォーグル。
「出て来い、ギギギアル」
対するテラが繰り出すのはギギギアル。
「ギギギアルかぁ。ギギギアルって、突如出現したポケモンで、今だ分からないことが多いのよね」
「随分と、詳しいんですね」
「これでも一応、考古学者だから。……さて、バトルに戻りましょうか。ウォーグル、ビルドアップ」
どうやら女性は能力値を上げて、一気に攻める作戦のようだ。
「ならこっちも。ギギギアル、チャージビーム」
チャージビームは攻撃と同時に特攻を上げる技。つまりテラは、攻撃しつつ能力値を上げる作戦に出たのだ。
「ウォーグル、ビルドアップ」
しかし、ギギギアルの攻撃を意にも介さず、ウォーグルはビルドアップし続ける。
「……金属音だ」
テラは仕上げとして、ウォーグルに金属音を聞かせ、特防を下げる。
「放電だ!」
ギギギアルは、電撃を溜め、それを一気に放出する。
「ウォーグル、ブレイブバード」
しかし、ウォーグルは凄まじいエネルギーを纏い、電撃を突っ切ってギギギアルに突撃した。
「ギギギアル!」
「休ませちゃダメ。エアスラッシュ」
ウォーグルはダメ押しにとばかり、空気の刃を放つ。
「ギギギアル、放電」
しかしギギギアルはその空気の刃を放電で防御する。そして
「一気に決めるぞ。破壊光線!」
ギギギアルは赤いコアにありったけのエネルギーを溜め、それをウォーグル目掛けて解き放つ。
「ウォーグル、馬鹿力」
だが、ウォーグルはその破壊光線を避けようとはせず、むしろ自分から当たりに行った。しかも、破壊光線のエネルギーを全て力押しで押し返していく。そうしたらやがて、ウォーグルの攻撃はギギギアルに届き、ギギギアルを吹き飛ばした。
「ギギギアル!」
吹き飛ばされたギギギアルを見れば、戦闘不能になっていた。
テラは女性とのバトルが終わると、局長から報酬を貰い、家に帰った。テラは、あの強い女性は誰だったのかと気になり、パソコンで調べてみるが、女性の明確な情報が少ないため、なかなか検索に引っかからず、最終的には諦めた。
結局、あの女性は誰だったのだろうか?
今回の番外終わりました。そろそろ分かったでしょうか、女性の正体。次回は冷凍コンテナでプラズマ団とバトル。という感じにしようと思います。ではまた。
- Re: 38章 冷凍コンテナ ( No.83 )
- 日時: 2011/04/24 00:33
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「言っておくが歓迎なんてしないぞ。跳ね橋を下ろしたせいで、街にプラズマ団が逃げたからな」
開口一番、ホドモエジムジムリーダーのヤーコンは、そう言った。
この時イリス、ミキ、チェレンは、カミツレの言った通りの人だと思った。
いきなり出て来ての言いようで3人とも面食らったが、いち早く回復したチェレンが、言葉を返す。
「でもそれと僕らがここに来た事は関係ありませんよね?」
「ふん、何とでも言え。ここで重要なのは、プラズマ団が待ちに逃げた事、そしてお前達がここに来た事だ。自分でも強引だと思うが、お前らもプラズマ団を探せ」
そう要求を押し付け、踵を返したヤーコンは、ふと思いついたように言った。
「そうだ。プラズマ団を見つければ、ジムに挑戦させてやる。世の中、ギブ&テイクだ」
そしてヤーコンは、プラズマ団を探すためか、街へと歩いていった。
それを見送る中、1人の少女がイリスたちの所へやって来た。
「ふう、やれやれ。本当にヤーコンさんは強引だな……」
しかもぼやきながら。
「あの、あなたは……?」
イリスが至極もっともな質問をする。
「ああ、ごめん。私はミナアキ。PDOホドモエ支部統括だ」
と、少女、ミナアキは名乗った。
それに応じて3人も軽く自己紹介をする。
「それじゃあ、私も街の方を探す。君達は、冷凍コンテナの方を探してくれ」
冷凍コンテナ。
ホドモエシティは、様々な品物が流通するイッシュ最大の港町で、冷凍コンテナは貿易で手に入った品物や流通する物品を保管しておく倉庫だ。
「チェレン、やっぱりこのコンテナの周囲にはプラズマ団はいなっかたよ」
イリスとミキが、コンテナの周囲の探索から帰り、チェレンに報告する。
「だとすると、やっぱりここか」
チェレンが憂鬱そうにそう言う。
「それじゃあ行くよ」
「寒いのは苦手なんだけどな……面倒だし」
チェレンは憂鬱に面倒が混じったような声でそう呟く。
イリスはそんなチェレンに構わず、扉を開ける。
「……寒いね」
「だから、サッサと中を調べて帰ろう」
チェレンは早く出たいと言う様に歩き出す。しかし
「し、師匠……」
ミキが寒さに打ち震えていた。
「ミキちゃん……まあ、その格好なら寒いか」
ミキの格好は半袖のTシャツにミニスカート。寒くて当然の格好である。
「ううー、冗談抜きで死にそうです……」
全くその通りである。
「寒いです、師匠……?」
ミキが寒さで凍死しそうなのを見て、イリスは自分の着ていた上着を脱いでミキに羽織らせる。
「これ羽織ってれば、気休めくらいにはなるかな」
「でも、師匠……」
「大丈夫だよ、僕なら。それよりもミキちゃんが風邪を引いたら大変だからね」
優しく、暖かくイリスは言う。
「……はい、ありがとうございます……」
ミキは俯き、頬を紅潮させながらそう言う。
その様子を見て、チェレンは顔が少し綻ぶ。
「さて、それじゃあ行くよ。早くこの面倒なのを終わらせて、ジム戦をしよう」
チェレンがそう言い、冷凍コンテナの中を3人は進んでいく。
「ここに、プラズマ団が居るのか?」
「たぶん。他に隠れられるような場所はないし、十中八九ここだよ」
3人が今居るのは、冷凍コンテナの中でも一際大きなコンテナの前だった。
「そんじゃ、行くとしようか」
イリスが明るくそう言って、コンテナの中に入る。
そして、コンテの中は
「寒い、寒くて敵わんぞ。ほら、お前ら。もっと俺を包め。凍死しちまうよ……」
「了解です、レド様」
「ですが、このままでは私たちも凍死してしまいます」
「知るかそんなもん。俺が死ぬよりよっぽどマシだ」
その光景を見た3人の感想は
『嫌な上司だな……』
だった。
「うおお!? なんだ、もう見つかったのか!?」
プラズマ団の下っ端に包まれていた、プラズマ団の制服を改造し、赤い髪の男は心底驚いたように叫ぶ。
「まさかこんなに早く見つかるとは……」
「まあ、他に隠れる所は無いみたいだし、見つかるのは時間の問題だったと思うよ」
イリスが丁寧にも説明してくれる。
「チッ、まあいい、見つかったからには名乗ってやる。俺はレド。プラズマ団7幹部の1人だ!」
レドは、高らかにそう名乗ったが
「寒いな、やっぱり……」
あまりの寒さに縮こまってしまった。
「決まらない奴だな……」
「この前のバイオって奴の方がまだマシだった……」
「というか、もう追い詰めちゃいましたけど、どうします?」
「好き勝手吠えてんじゃねえ!」
3人は口々にそう言うのを聞き、レドはキレた。どうやらキレやすいようだ。
「こうなったら俺が直々に叩きのめしてやる。出て来い、ヒヒダルマ!」
キレたプラズマ団幹部、レドはダルマッカの進化系、ヒヒダルマを繰り出した。
「凄い熱気だ……」
「ははははは、そうだろう!俺のヒヒダルマはボールから出すだけで周りの気温が急上昇し、この程度の寒さなら軽く吹き飛ばすのだ!」
と、高らかに叫ぶレドに、下っ端が口を開く。
「あの、レド様。最初からヒヒダルマを出しておけば寒さに震えることもなかったのでは……」
「…………」
無言。
『…………』
一同同じく無言。
「……行くぞ、ヒヒダルマ!」
気にしない方向で行くらしい。
今回はプラズマ団幹部の1人、レドが登場しました。レドはバトルは強いけど頭が悪いという設定です、見れば分かると思いますが。さて次回はその頭の悪いレドとのバトルです。頭は悪いですが圧倒的なパワーの力押しでバトルをします。お楽しみに。
- Re: 39章 激流の大技 ( No.84 )
- 日時: 2011/04/24 19:58
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「ヒヒダルマ、炎のパンチ!」
「フタチマル、シェルブレード!」
正直イリスは、プラズマ団幹部を甘く見ていた。最初に戦ったルー&リンはともかく、次に戦ったバイオは地力なら明らかにこちらの方が上だったし、今戦っているレドにしても、作戦も何もなく、ただただ力押しで攻めているだけだが
「フタチマル!」
フタチマルはヒヒダルマの炎のパンチにより吹っ飛ばされ、氷が溶けかけている壁に激突する。
「くっ、なんてパワーだ……」
そう、レドははただの力押しで攻めているが、その威力が尋常じゃない。
「ヒヒダルマ、炎の牙!」
「フタチマル、アクアジェット!」
今度はフタチマルのアクアジェットがヒットしたが、ヒヒダルマにはあまり効いてないようだ。
「ヒヒダルマ、火炎放射!」
「フタチマル、水の波動!」
火炎放射と水の波動がぶつかり合うが、やはり水の波動が打ち消され、フタチマルは火炎放射を食らう。
「フタチマル!」
「休ませるな。続けて炎のパンチ!」
ヒヒダルマは火炎放射を受けて倒れているフタチマルに炎のパンチを見舞おうとする。
「避けろフタチマル!」
しかし、間一髪のところで振り下ろされた炎の拳はフタチマルには当たらなかった。
「?」
そこでイリスは、ヒヒダルマの動きに1つ、疑問点を見つける。
「ふん。1回避けたくらいで、いい気になるなよ。ヒヒダルマ、炎の牙!」
「避けろフタチマル!」
フタチマルは牙に炎を灯して向かって来るヒヒダルマをかわす。
「水の誓!」
攻撃を避けられて無防備のヒヒダルマは、下から噴出してくる水をまともに受ける。
「ヒヒダルマ!」
「水の波動!」
吹っ飛ばされたヒヒダルマに追い討ちを掛けるように、フタチマルは水の波動を放つ。
「火炎放射だ!」
しかし、ヒヒダルマは火炎放射で水の波動を打ち消す。
「炎のパンチ!」
「かわしてシェルブレード!」
フタチマルはヒヒダルマの炎をパンチを避け、シェルブレードで切り裂く。
「やっぱりだ」
イリスは確信がついたようにそう呟く。
イリスが気付いたのは、ヒヒダルマが攻撃の後無防備になることだ。いや、ポケモンであり、攻撃をかわされた後となれば、大抵は無防備になるのだが、ヒヒダルマはその時間が長いのだ。どうも、攻撃力は半端なく高いが、その分攻撃後の動作が遅れるようだ。
「くっそ、気付きやがったか」
どうやらレドはそのことを知っていたらしい。
「しょうがねえ、こんな狭い場所ではやりたくなかったが、背に腹は代えられねえか。ヒヒダルマ、暴れる!」
突如ヒヒダルマは暴れだした。周りの物を、壁を、床を破壊しながら。とにかく暴れ、壊しまくった。
「フタチマル、水の誓だ!」
フタチマルが水の誓でヒヒダルマを止めようとするが、ヒヒダルマは止まらない。
「ヒヒダルマの暴れるは最終手段の奥の手だ。この状態のヒヒダルマを止められる奴はいないぜ」
レドが勝ち誇ったようにそう言うのを聞き、イリスは顔を伏せる。
「…………」
「どうした? 怖気ついたか?」
「……やるよ」
「あ?」
「止められる奴がいないなら、僕が最初に止めてやるよ!」
イリスはそう、豪語した。
「はっ。何を言い出すかと思えば、そんなことか。無理だ、この状態のヒヒダルマはボールにも入らねえ。止められっこねえよ」
レドがそう切り捨てる。
「やってみなきゃ分からないさ。……フタチマル、息を大きく吸い込んで、力を溜めろ」
ここでイリスが思い出すのは、サンヨウジムでベルと戦ったコーンのヒヤッキーだ。あのポケモンが最後に放った大技を、見様見真似だが、体現する。
「フタチマル、ハイドロポンプ!」
フタチマルは、溜めた力で超高圧の水流を発射した。その水流は暴れていたヒヒダルマに直撃し、吹き飛ばす。吹き飛ばされたヒヒダルマは壁に激突し、そのまま壁を突き破っていった。
「…………」
唖然とするレド。それもそうだ、「止められる奴はいない」と豪語したのに、それを崩されたわけだから。いや、それ以上にフタチマルのハイドロポンプが凄まじかったという事なのかもしれないけれど。
「はあ、はあ、フタチマル……」
ハイドロポンプを撃ったフタチマルは、果たして倒れていた。どうやら、体中の全ての力を使っての攻撃だったようだ。
「ありがとう、フタチマル」
そう言ってイリスは、フタチマルをボールに戻す。
「勝負は、僕の勝ちだな」
イリスはそう言い、レドを睨みつける。
「イリス、ヤーコンさんやミナアキさんにはライブキャスターで連絡した。直に来るよ」
チェレンがイリスに報告する。ちなみに、チェレンとミキは今まで下っ端の相手をしていたのだ。
それから数分して、ヤーコン率いる作業員の人や、ミナアキ率いるPDOホドモエ支部の人が、プラズマ団を連行していった。
それにより、イリスたちも冷凍コンテナから出ることになった。
「それにしても、最後のハイドロポンプ、凄かったです、師匠!」
「まあ、一か八かの賭けだったんだけどね」
「その一か八かの瀬戸際で賭けに勝つ君は、相当凄いけどね」
冷凍コンテナから出る途中、イリスはチェレンやミキに称賛の言葉を投げかけられていた。
「……そろそろ出口だ。早くこの寒いとこから出よう」
「師匠、この上着、お返しします」
「うん、分かっ……」
バタリ
イリスは、冷凍コンテナから出た瞬間、地面に倒れた。
「!? イリス!」
「師匠!」
親友と弟子の言葉が聞こえてくる中、イリスの目の前は暗くなっていった。
今回はついにレドを倒しました。いや、ついにと言うほど苦戦もしてませんが。そして、今回もまた、イリスは倒れました。次回は倒れたイリスを救出します(大げさな表現ですが)お楽しみに。
- Re: 40章 恋する男チャールズ ( No.85 )
- 日時: 2011/04/25 16:21
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「ん……」
イリスが目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
「やっと起きたね、イリス」
イリスの横には、チェレンがいた。
「チェレン……ここは……?」
「ポケモンセンターだよ。にしても、君は最近よく倒れるね」
「……ごめん」
「別にいいよ、これくらい。それより、君の容態だが」
「容態?」
「そう。まあ、あんな寒いところに半袖でずっといて、ヒヒダルマの熱気やら、バトルでの疲労やらが蓄積して、風邪を引いたらしい」
「…………」
それを言われて。イリスは自分が冷凍コンテナから出たところで倒れたのを思い出す。
「あのあと、大変だったよ。君をここに運んだ後、ジム戦をしようとジムに行ったら、プラズマ団のゲーチスがいたからね」
「ゲーチスが!?」
イリスは声を荒げる。
「落ち着きなよ、過程は説明してあげるから」
そう言って、チェレンは語りだした。
ホドモエジム前。
ここには連行されたプラズマ団がいた。(もちろん見張りもいる)
「ヤーコンさん、誰か来ました」
「ああ?」
ヤーコンが眉根を寄せてそう言うと、ゲーチスを先頭に、大量のプラズマ団がジムまでやって来た。
「初めまして。ワタクシはプラズマ団のゲーチスと言います。仲間を引き取りに来ました」
「いやなに、あんたらの仲間がポケモンを盗もうとしていたんでな」
「これは心外ですね。ワタクシ達プラズマ団は、ポケモンを解放しようとしているだけですが」
「どうだかね。ワシは正直者故に言葉が乱暴だ。対するあんたの言葉はキレイだが、どうもキナ臭くてな」
「まあ良いでしょう。で、どうします? ワタクシ達はその者たちを助けに来ただけです。もし仲間の救出を邪魔するのであれば、少々乱暴な手段を行使しますが」
「……ふん、分かった。こいつらを連れてきな」
「流石鉱山王と呼ばれしホドモエのジムリーダー、状況を見る目に優れてらっしゃる」
「はん、戦わずして勝ったあんたらの方が、よっぽどすごいがね」
「それはどうも。……皆のもの、こちらに来なさい」
そう言ってゲーチスは、レドたちを招き寄せる。
「すみません、ゲーチス様。俺の失態でこんなことに……」
「良いのです。同じポケモンを解放しようとするプラズマ団の仲間ではありませんか。それでは、行ますよ」
「はい」
そうして、プラズマ団たちは町から出て行った。
「……そんなことがあったんだね」
「ああ、ヤーコンさんのお陰で、街中でのバトルを回避できた。あの人、結構凄い人だ」
「チェレンは、ジム戦したの?」
「もちろん。そして、勝ったよ」
チェレンは口元を綻ばせながら、そう言った。
「……ところでチェレン、ミキちゃんは?」
「…………」
チェレンは「聞かれてしまった」みたいな顔をし、やがて口を開く。
「正直、君の弟子の方が深刻だね」
「どういうこと? もしかして、ミキちゃんも風邪を引いたとか?」
「いいや、違う。彼女、どうも自分のせいで君が倒れたと思っているみたいで、かなり落ち込んでる」
「……そう」
イリスは納得いかなかった。あれは自分が勝手にやったことであり、ミキが責任を感じる必要はないと。
しかし実際問題、ミキは自分のせいだと思っている。
イリスはベッドから起きようとするが
「まだ起きるな。今君は、かなりの高熱のはずだ。寝て安静にしてろ」
「でも……」
「それとも君は、自分の弟子に風邪を移したいのか?」
「…………」
そう言われると、イリスは黙るしかなかった。
一方ミキは、まだ若干落ち込み気味ではあるが、次の行動をしていた。即ち、薬を買ってくることだ。
ミキは、自分のせいでイリスが風邪を引いたと思っている。なら、自分がその風邪を治すべきだと考え、薬を買って来ようと思った。幸い、ホドモエシティにはホドモエマーケットというものがあり、そこでは漢方薬なる薬も売っているらしい。それを買って、イリスの風邪を治そうというのだ。
「ごめんね、さっきチャールズって人が全部買い占めてしまったんだ」
ミキは絶望の極みみたいな顔をした。
「そんな。あ、あの、私、今すぐ薬が必要なんです!」
「と、言われてもなぁ。在庫はもうないし、次入荷するのも結構先だし……」
漢方屋のおじさんは困ったような顔をする。
「何とかなりませんか……?」
ミキは涙目で懇願する。それが効いたのか、おじさんは1つ提案する。
「なら、買い占めていったチャールズって人に分けて貰いなさい。あの量の漢方薬は正直多すぎる。あれを全て投薬すればむしろ体に悪いからね」
そう言って、ミキとおじさんはバイクに乗ってチャールズを追いかけた。
「あ、いたよ。あの男だ」
漢方屋のおじさんが、前方にいる、バイクに乗った男を指差す。
「……何であの人、平地で徐行運転してるのでしょう……?」
「さあ……?」
謎である。
おじさんは慣れた手つきで男の前に回りこみ、男の運転を中断させる。
「ちょっといいかな」
「……さっきの漢方屋の」
「ちょっと君に用事がある子がいてね、さあ下りて」
ミキはそう言われ、バイクから下りる。
「じゃ、あとは頑張って。僕は店番があるから」
そう言っておじさんはバイクで走り去っていった。
「……何の用だ?」
男、チャールズは見た感じ悪そうな感じだった。だが、ミキは勇気を振り絞り、声を出す。
「私は、薬が欲しいんです。だから、あなたの薬を分けて貰えませんか?」
ミキの勇気を振り絞った言葉に、チャールズは
「……俺は恋する男、チャールズ。惚れた女が風邪を引いて、寝込んでいる。だから俺は、薬を届ける。あんたには悪いが、これを渡すことは出来ない」
ミキの願いを断った。
「そこをなんとか!」
しかしミキは引こうとしない、そこでチャールズが条件を付けてきた。
「……だが、全くチャンスがないというのも可愛そうだ。俺とバトルして、あんたが勝てば薬を分けてやろう」
かくして、ミキ対チャールズの戦いが始まるのだった。
今回は知る人ぞ知るチャールズを出してみました。次回はミキとチャールズとのバトルです。あとがき短いですが、次回をお楽しみに。
- Re: 41章 ミキの想い ( No.86 )
- 日時: 2011/04/25 18:28
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「……出て来い、ゼブライガ」
「出て来て、コジョフー!」
ミキとチャールズは、薬を賭けたバトルを今まさに始めようとしていた。
「……こちらから行くぞ。ゼブライガ、ニトロチャージ」
ゼブライガはその身に炎を纏い、コジョフーに突撃してきた。
「コジョフー、あて身投げ!」
コジョフーは向かって来るゼブライガを正面から受け、そのスピードを逆に利用し投げ飛ばした。
「……やるな。ならこれだ、電撃波」
ゼブライガは頭の角の様な鬣から電撃を高速で放つ。
「コジョフー!」
「……電撃波を避けることは不可能だ。ゼブライガ、ニトロチャージ」
ゼブライガは炎を纏って突撃し、今度こそ攻撃に成功する。
「戻って、コジョフー」
今の攻撃で、コジョフーは戦闘不能となった。
「ゼブライガは電気タイプ。なら、出て来てモグリュー!」
ミキが次に繰り出すは地面タイプのモグリュー。
「……電気タイプで来ると見ての地面タイプか。ゼブライガ、ニトロチャージ」
「モグリュー、穴を掘る!」
モグリューは炎を纏って突撃してくるゼブライガを穴を掘るで避ける。
「モグリュー、今だよ」
モグリューはゼブライガの腹の下辺りから出て来て、ゼブライガを攻撃しようとする。
「ゼブライガ、踏みつけ」
しかし、ゼブライガが大きく足を振り上げ、地面から出て来たモグリューを踏みつける。
……その光景は、もぐら叩きの様にも見える。
「モグリュー!」
「続けて踏みつけ」
踏みつけを食らって怯んでいるモグリューを、再度踏みつけようとするゼブライガ。
「モグリュー、守る!」
だが、モグリューの守るによって攻撃は失敗する。
「メタルクロー!」
モグリューの鋼鉄の爪がゼブライガにヒットし、吹っ飛ばす。
「続けてロッククライム!」
突如地面が隆起し、ゼブライガの退路を断つ。そこに凄い勢いでモグリューが突撃する。
「……戻れ、ゼブライガ」
ロッククライムが急所に当たったゼブライガは戦闘不能になった。
「……出て来い、バスラオ」
チャールズの2番手は乱暴ポケモンのバスラオだ。
「モグリュー、穴を掘る!」
「……バスラオ、アクアジェット」
モグリューが穴を掘るよりも早く、バスラオはモグリューを攻撃し、戦闘不能にした。
「……アクアジェットは必ず先制できる技。さあ、どうする?」
「……お願い、シキジカ!」
ミキは最後のポケモン、シキジカを繰り出す。
「シキジカ、突進!」
「……バスラオ、突進だ」
シキジカとバスラオが互いを目掛けて突進し、ぶつかり合う。そして、鍔迫り合いの様になる。
「……シキジカ!」
果たして押し負けたのは、シキジカだった。
「……バスラオの特性は捨て身。攻撃後にダメージを受ける技の威力が増す」
チャールズは、律儀にも説明する。
「……さて、そろそろ終わらせよう。バスラオ、噛み付く」
バスラオは素早い動きでシキジカに接近し、首元を噛み付いた。噛み付かれたシキジカは、痛みに鳴き声を上げる。
「シキジカ、エナジーボール!」
とそこで、シキジカは口から自然エネルギーの塊をバスラオ目掛けて放つ。しかも至近距離で。
「……バスラオ、戻れ」
至近距離からのエナジーボールを受けたバスラオは戦闘不能になり、チャールズの手持ちも残り1体となる。
「……出て来い、ワルビル」
チャールズの3体目はワルビルだった。
「シキジカ、一気に決めるよ。エナジーボール!」
「……噛み砕く」
ワルビルは、なんとシキジカの放ったエナジーボールを噛み砕くで粉砕した。
「!?」
「……ワルビル、地ならし」
ミキが驚愕している隙に、ワルビルは地面を踏みならし、シキジカの動きを止める。
「……瓦割りだ」
そして、素早く接近し、力を込めた手刀をシキジカに振り下ろす。
「シキジカ!」
シキジカはノーマルタイプを持つため、格闘タイプの瓦割りは効果抜群だ。
「シキジカ、二度蹴り!」
だが、それでもめけずにシキジカはワルビルに二度蹴りを放つ。
「至近距離からの攻撃なら、きっと倒せる。シキジカ、エナジーボール!」
シキジカは、ワルビルが二度蹴りで仰け反っている隙を狙って、至近距離から最大パワーのエナジーボールを撃つ。その結果
「……そんな……」
ワルビルは立っていた。
「……諦めろ。俺は恋する男チャールズ。惚れた女のために戦っているんだ、負けるはずが無い」
そうチャールズは言い、ミキは顔を伏せる。そして
「……私だって、好きな人のために戦っています。その人は、格好良いとか、優しいとかだけじゃなくて、私を守ってくれたし、強くしてくれた。私はその人に何か恩返しがしたい。何かを報いたい。だから、強くなるんです。だから私は、好きな人のために戦っている。だから——」
ミキは顔を上げる。
「私は負けられないんです!」
「!」
チャールズはここで、初めて驚いたような顔をする。だがしかし、この状況、完全に詰んでいる。シキジカは疲労困憊で、ワルビルの瓦割を受ければ確実に戦闘不能になるし、もう避ける体力も残っていない。
「……戻れ、ワルビル」
だがここで、チャールズはポケモンを戻した。
「え……?」
ミキは驚く。それもそうだ、もう負けると覚悟していた時に、相手がポケモンを戻したのだから。
「あ、あの……」
「……俺は恋する男チャールズ」
ミキの台詞を遮り、チャールズは言う。
「……同じ恋する仲間を見捨てることは出来ない。俺は自分の惚れた女の事を第一に考え動くが、同じ恋する仲間もそれに等しい」
チャールズは自分の持つ薬を半分ほど別の袋に入れ、ミキに向かって投げる。投げられた袋はすっぽりとミキの掌の上に乗る。
「チャールズさん……」
「……俺は恋する男チャールズ。俺は俺の恋路を歩む、だからあんたはあんたの恋路を歩め」
最後に「頑張れよ」と言い残し、チャールズは去っていった。
「……ありがとうございます、チャールズさん」
ミキも二重の意味の礼をし、ポケモンセンターに向かう。
今回はノーコメントでいかせてもらいます。今回の物語はこれを読んでくださった方が考えて、想像してください。では次回予告に移ります。次回はジム戦の予定です。ホドモエのジムリーダーヤーコンとのバトルを楽しみにしていてください。
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