二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- デュエル・マスターズ 0・メモリー 堂々完結
- 日時: 2014/12/07 13:44
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: oLjmDXls)
【読者の皆様へ】
初めまして、二次などで創作を行っている、タクと申します。この度はデュエル・マスターズ 0・メモリー、完全に完結しました! 今まで皆さん、応援ありがとうございました。続編、デュエル・マスターズ D・ステラも応援よろしくお願いします!
【番外編あらすじ】
教団の脅威は去ったはずだった。教団の神官、バラモンとデトロイトによって呼びこされた2人の無法の覇者、そして竜神王。しかし、それはやがて世界を脅かす要因に。そして、ヒナタがデュエマをやめる!? 衝撃の番外編、ついに本格始動!
用語集>>10
登場人物紹介>>02
デッキ紹介>>67
デッキ紹介2 >>190
参照1000突破企画:切札紹介 >>114
本編>>247
番外編:強襲の竜神王編
エクストラターン0:キー・メモリアル >>246
エクストラターン1:異変 >>253
エクストラターン2:竜神王 >>254
エクストラターン3:恐怖 >>257
エクストラターン4:狂気 >>258
エクストラターン5:行動開始 >>261
エクストラターン6:デコード >>262
エクストラターン7:ケリを付けろ >>265
エクストラターン8:敗者の条件 >>266
エクストラターン9:急襲、竜神王 >>267
エクストラターン10:決死の特攻 >>268
エクストラターン11:デッド・オア・デッド >>280
エクストラターン12:鬼 >>298
エクストラターン13:暴かれた根源 >>300
エクストラターン14:捨てられたデッキケース >>301
エクストラターン15:ベルフェモール >>304
エクストラターン16:向き合うこと >>305
エクストラターン17:大阪へ >>307
エクストラターン18:咆哮、激震、超克 >>310
エクストラターン19:星として、海に散る >>311
エクストラターン20:絶望への反逆 >>312
エクストラターン21:決戦の舞台へ >>313
エクストラターン22:立ち塞がる無法の皇 >>314
エクストラターン23:激震、インフィニティ・ドロン・ゴー! >>315
エクストラターン24:最後の戦い >>336
エクストラターン25:反逆の一戦 >>337
エクストラターン26:竜神王結合 >>338
エクストラターン27:破壊衝動 >>339
エクストラターン28:絶望と破壊の渦 >>340
エクストラターン29:終焉 >>341
参照3000突破記念!ヒナタへ56の質問
>>176 >>177
短編1:仁義なき戦い(パブリック・エネミー) >>163 >>164
短編2:恋の裏技 >>182 >>185 >>188
短編3:親父の背中 >>206
短編4:恐怖、学園七不思議!? >>281 >>283 >>285 >>289 >>290 >>294 >>295
短編5:探偵パラレル >>306
コラボ番外編
モノクロさん作、デュエル・マスターズMythology
”last smile”
あらすじ:デュエル・マスターズMythologyで活躍中のヒロインキャラ、御船汐。彼女の空白の一年間とは、まさしく鎧竜での一年間のことだった。では、何故彼女はそれを失うことになったのか? そして、記憶と共に彼女が失わなければならなかったものとは。オリキャラによって繋がる2作品の謎が今此処に明かされる。
そして、無法と神々が今、交錯する。
短編のつもりが中編クラスの長さになってしまったこの作品。最後まで必見!
第一話:別れと悲劇はデュエマの後で
>>316 >>317 >>321 >>322
第二話:月夜野シオは彼女なのか?
>>323 >>327 >>328
第三話:神話の使い手
>>329 >>330 >>331 >>332
第四話:そして神話へ
>>335 >>345 >>348 >>349
第五話:”先輩”
>>350
キャラクター裏話
パート1 暁ヒナタ >>293
パート2 黒鳥レン >>299
基本、概存のカードを使用していますが、これからの展開でオリジナルカードを使うかも知れません。ご了承下さい。
なお、クリーチャーの解説などは、以下サイト様から引用させていただいています。
DuelMasters Wiki(デュエルマスターズ ウィキ)様
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.263 )
- 日時: 2014/02/21 13:10
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
高校入試の関係で登校できない白黒です。まあ、ありがたいですけど。
竜神王とのデュエル、始まってしまいましたね。しかし、あいつらは単独で戦うものとばかり思っていたので、まさかG・リンクするとは思いませんでした。四体でリンクして、しかも龍の姿なので、神帝みたいですね。
新たな竜神王も出て来ましたが……《ツメイ・ゴルニッヒ》はロシアの方で伝わる伝説の生き物でしたか。《アングバット・アンカラゴン》は流石にもう分からないです。結構マイナーどころを出してきますね……好みですけど。
しかし、竜神王は思ったよりも派手さがないですね、コストも低いですし。いや、強力な能力なんですけど……それと、能動的に手札を捨てて発動する、という能力はデュエマでは珍しいですね。遊戯王なんかではコストの支払いとしてよくありますけど、デュエマではなにかしら行動をしたときに、他のなにかの効果で捨てる、という場合が多いので。
ふと気になったのですが、竜神王が「他のゴッドの数だけ〜」というような効果を発動させていますが、リンクしているゴッドは一体のクリーチャーなので、「リンクしているゴッドの数だけ〜」などではないでしょうか?
もう一つ思ったのは、能力の竜神王の吐息ですかね。某ライトノベルの記憶を粉砕する羽を思い出させる名前ですが、これはキーワード能力なんですかね? 能力にこういったルビが降られているは珍しいというか、他にないんじゃないでしょうか。レベル:5とかレベル:6とかいうのも、他に類を見ませんし……もしかして、レベル:1から順々にあるんですかね。だとすれば恐ろしい……のか?
久々にシオの毒舌を聞きましたが、威力上がってませんか? なんだか白黒がモデルにしたキャラに凄く近づいているようにも思えます。
それよりもレンの性癖が暴露されていく様の方が(色々な意味で)衝撃的でしたが。貧乳好きで《プリン》に頬ずりしてるのか……なにをやっているんでしょうね、彼は。
それからヒナタですけど、前から薄々思っていましたが、ヒナタって意外とメンタル的に打たれ弱いところがありますね。今回も、ナナカの幻影だけで錯乱していましたし……
流石にこれで退場、ということはなさそうですが、これからヒナタがどうなるのかも、気になるところですね。
そしてアニメではあっさり敗れ去った《バラモン》の登場。巷では使いにくいカードと言われていますが、個人的には結構強いと思うんですよね。《カリーナ》で展開すれば除去耐性に加えてパワーもブレイク数も増加しますし、最新弾では本編でも出ていますが《爆走マントラ シラヌイ》で速攻殴れますしね。
ただまあ、インパクトは《ブータンPOP》と《スミス・デコード》に持って行かれた感がありますね。《ブータンPOP》はどうなるのかと密かに思っていましたが、ゼロ文明の使い手というだけあって、レンが使用しますか。結局一度も効果は発動されませんでしたが。
そして《スミス・デコード》ですが……某デジタルなモンスターが出て来そうな名前はともかくとして、面白い効果ですね。召喚酔いしないというテキストの書き方もそうですが、マナゾーンから呪文回収で、それが自身の使用できるアタック・チャンス呪文なら唱えられる、ですか。マナゾーンからアタック・チャンスが発動できますし、自身で使えなくても他のアタック・チャンスの補助にもなりますね。
既存カードで《スミス・デコード》が使えるアタック・チャンスというと《トリプル・ZERO》《ナッシング・ゼロ》《悪・即・斬》それから一応エグザイルなので《カツトンファー》くらいですか。意外と多いですね。
所詮やられ役の教皇とのデュエルなので、さくっと流すと思っていましたが、思いのほか白熱しそうで、先が楽しみです。1500文字を余裕で超える長文失礼しました。それでは。
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.264 )
- 日時: 2014/02/22 00:04
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
白黒さん
はい、コメントありがとうございます。竜神王達はG・リンクの持ち主です。種族にゴッドを持っています。
確かに、神帝のようですが、神帝が一括されたデザインに対し、竜神王は各々の姿がばらばらで、それがG・リンクの際に触手によって繋がる、といった形です。
また、竜神王に派手さがないというのは、承知しています。というのも、まだまだ竜神王は真の能力を発揮していないからです。
というより、まだ竜神王はこれで全部じゃないので。
あと、効果の間違いのご指摘ありがとうございます。
ちなみに、竜神王の文明は、《ガルグイユ》と《ゴルニッヒ》が水、《ムシュフシュ》と《アンカラゴン》が闇です。
何が言いたいのかというと、彼らのキーワード能力、竜神王の吐息(ドラゴン・ブレス)は彼らの属する文明によって発動条件が違うからなんですね。(といっても、現時点では水と闇しかありませんが)この効果は、記されたレベルによって発動条件が違います。闇文明の竜神王の場合、この効果のレベル分だけ自分の山札を墓地に置くことで能力を発揮し、逆に水文明の竜神王の場合、墓地のカードを山札に戻すことによって効果を発揮します。
この2つがシナジーすることで、竜神王の効果は実質デメリットなしとなります。墓地が足りないときは、《裁きの城 キングオブ・ラグーン》でカードを墓地に置けば問題ないですね。
とまぁ、説明下手な自分の解説は置いておいて……。
シオの毒舌は確かに威力倍増しています。元になったキャラについてはそちらの雑談スレで見ました。というわけで、そのキャラの喋り口をネットで調べて参考にした結果がこれです。
ちなみに雑談掲示板に書き込もうとすると未だにエラーが出てしまいます。
さて、ヒナタについてですが、まず彼は一旦置いておいて……まぁ、まだ何とも言えませんね。
やはり、彼にとってナナカの傍に付いてやれなかった事は、今でも呪縛になっています。今回の番外編は、そう言った彼の過去にも深く突っ込んでいこうと思います。
そして、レンとバラモンとのデュエマですが……完全に《スミス》の名前は、おっしゃるとおり、某電脳獣のゲームのタイトルですね。はい。
能力に付いては、結構強くしたつもりです。今回は、このようにオリカも多々登場する予定です。まぁ、味方は後4枚くらいですかね。
では長くなりそうなのでここらで切っておくとします。それでは、また。
- エクストラターン7:ケリを付けろ ( No.265 )
- 日時: 2014/02/22 15:54
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「こいつッ……!」
バラモンは、悔しそうに見上げるようにして目前の夷敵をにらみつけた。
憎きエグザイル。遠き昔、イズモによって一度は手に入れたはずの《ブリティッシュ》の力は、もう手の届かない場所にあるというのか。
神(シェン)豚(トン)槍(ギヌス) ブリティッシュROCK(ロック) R 無色 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX/オラクル 6000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置いてもよい。その後、自分の墓地にあるカードの枚数よりコストが小さい相手のクリーチャーを1体、破壊する。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
「足掻くなよ? 《ブリティッシュ》でW・ブレイク。そしてアタックチャンス・《トンギヌスの槍》!!」
トンギヌスの槍 R 無色 (6)
呪文
アタック・チャンス−名前に《神(シェン)》を持つクリーチャー(自分の名前に《神(シェン)》を持つクリーチャーが攻撃する時、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい)
相手のカードを1枚、バトルゾーン、マナゾーン、またはシールドゾーンから選ぶ。バトルゾーンに自分の 《神聖牙 UK パンク》があれば、かわりにそれぞれのゾーンから1枚ずつ選ぶ。相手はその選んだカードを自身の山札の一番下に好きな順序で置く。
アタック・チャンス呪文、《トンギヌスの槍》。それは、ゼロ文明が得意とするデッキバウンスを行うもの。手にすれば世界を手に入れるこの槍の威力は、半端では無い。
《ブリティッシュ》が振りかぶって、槍を一気に投げる。
それは《バラモン》の体を貫いた。
同時に、バラモンのシールドを吹っ飛ばす。
「とは言ったものの、このターンでは決められないな。ターン終了」
「ぐっ、くそォ……私は、オラクルのマントラ教皇、バラモン様だぞォ!! この程度で負けてたまるものかァー!! 私のターン、貴様の出番だ!」
何が出てくるか、全く読めない。しかし、バラモンのマナは光、火、そして闇。まさかとは思ったが、悪寒がする。
光と闇が含まれた9マナがタップされた。
そして瞬間、魔法陣が現れた。
「《カリーナ》を進化元に、最終鬼畜兵器《破獄のマントラ ゾロ・ア・スター》よ、現れよ!!」
破獄のマントラ ゾロ・ア・スター SR 光/闇文明 (9)
進化クリーチャー:オラクリオン/オラクル 12000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化ー自分のオラクル1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、各プレイヤーはバトルゾーンにある自身の、ゴッド、オラクリオン、オラクル以外のクリーチャーをすべて、好きな順序で山札の一番下に置く。
T・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを3枚ブレイクする)
「オイ待て、最終鬼畜……なんて!?」
「《ゾロ・ア・スター》の効果で、オラクル、オラクリオン、ゴッド・ノヴァ以外に対し、デッキバウンスを行う!!」
現れたのは、最早人でも神でもない存在と成ってしまった策士、《ゾロスター》。
それは、同類以外の存在さえも許さない。純粋なる破壊の権化。
『ワ…タシコソガ……カミダ…』
次の瞬間、場の《ゾロ・ア・スター》以外のカードが全て吹っ飛んだ。
「な、何が起こった!?」
「簡単な話だ……! こいつは、神以外の存在を許さない。これで、貴様の場は更地に……」
「そいつぁ、良かった……悪いが、貴様の目は節穴以下か!」
居た。
確かに、そこに居た。
「《ブリティッシュROCK》!! しまった、奴はオラクル……だが、私のシールドはまだ残っている!! それにこのターン、貴様のシールドを全て吹っ飛ばした後、《シラヌイ》と《ダイダラ》のいづれかでダイレクトアタックすれば勝てる!」
「確かにな」
「《ゾロ・ア・スター》でT・ブレイク!!」
全て、割られた。残りの3枚のシールド全部が。しかし、それでも尚レンは笑っていた。
そう、勝利を確信したように。
「お前に、それだけの時間が残されていれば良いがな……! S・トリガー《クリスタル・メモリー》で山札から《スミス・デコード》を回収。そして、《終末の時計 ザ・クロック》を召喚して、ターンを強制終了させる!」
「くっ、ば、馬鹿な!!」
「僕のターン。《戦慄のプレリュード》で《スミス・デコード》をマナ進化させる」
再び現れたスミス。強力な腕を開放し、今にも食いかからない勢いだ。
「《スミス・デコード》での攻撃時能力で、マナから呪文を回収する。そして、《黄泉秘伝 トリプル・ゼロ》を《スミス・デコード》の効果で唱える。フッ、またシールド・手札・マナが増えた。最後のシールドをブレイク!!」
もうバラモンには自分を護るべきものが存在しない。ただただ、自分の運命を受け入れるしかない。破滅という名の戦慄と共に。
「ケリを付けろ--《神豚槍 ブリティッシュROCK》でダイレクトアタック!!」
ああ、そうだ。
骨一つ残すんじゃないぞ。
どうせ殺られるなら、せめて楽に葬ってくれ……。
しかし、容赦なく迫る槍は苦痛をバラモンに与えた。
嗚呼、やはり死ぬのは辛い……。
***
「ふっ、私が負けるとはな……!!」
呟くと同時に体が光の粒子となって消えていくバラモン。
「これで、お終いだ。貴様の迷惑な置き土産のせいで、僕たちはもっと苦労しそうだがな」
「……そのようだな。貴様らに、竜神王を止めることが出来るか?」
「止めてやるさ」
「なら、精々死なないよう気をつけろ」
レンの言葉を聞いて苦笑いして返したバラモンの体は、その後消えてなくなった。空間の消滅と同時に。
シオとコトハが駆け寄ってくる。
「大丈夫でしたか、先輩」
「何とか倒した。それより、コレ返して置く」
ヒュッとカードが投げられると、シオの手に渡った。《ブータン》のカードはしっかりと元のカラーに戻ったのが分かった。
「ありがとうな。こいつが居なければ勝てなかった」
「礼には及ばないです」
「とにかく、武闘先輩のところに行こう、飛んだ時間を食っちゃったけどね」
- エクストラターン8:敗者の条件 ( No.266 )
- 日時: 2014/02/23 19:47
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「お前は、二年のジェイコフ・クライニュー!?」
「どうも」
テツヤは彼が来たのが意外のようだった。
「僕にも今回の件の解決に協力させて欲しい」
「そうか。竜神王の話はフジから聞いているのか?」
「ああ、だからこそ僕も協力しようと思った。しかし、モンダイは連中が世界に散ってしまったことだ」
ワンセグ画面をジェイコフはテツヤに見せた。
アメリカからの中継だが、《サーペント・ムシュフシュ》が暴れてビルに噛み付き、砕いてしまっている。
「嗚呼、ならば話は簡単だ」
テツヤは、さも当たり前かのように言った。
「行きゃいーんだよ、現地にな!」
***
蘇るのは、忌々しい記憶。しかし、それを無理矢理振り払って暁ヒナタの意識は覚醒した----------
という情報を聞き、茅山リョウは病院に駆けつけてきたわけである。
事後、研修合宿は中止となり、自宅待機となったが、リョウがそれを待ちきれるわけがなく。
(ヒナタ君がやられたのは、僕が居なかった責任でもあるんだ)
あの時、加勢していれば何とかなったかもしれない。
だけど、後悔しても何ともならない。
大事なのは、今どうするか、だ。
「……嗚呼、リョウか」
完全に意識を取り戻したヒナタの顔は、いつもと何ら変わっていないように見えた。
「はは、情けねえな、あんなのに負けちまうなんてよォ。だけど次は絶対勝つからな……!」
「ヒナタ君……」
表情には、少し陰りが見えた。
リョウは意を決して彼にデッキケースを持って近づいた。
--------決闘空間ならば場所も関係ない。
「僕とデュエルしてくれないか?」
次の瞬間、黒い靄がデッキケースから一気に広がった、
***
「リョウ、ちょっとこれは強引だったんじゃないのか?」
「行くよ、ヒナタ君! 今の君じゃ、僕には勝てない!!」
すると、ヒナタのこめかみが引きつったように見えた。
「やってみねえと、分からないだろ!」
「じゃあ、僕に勝ってみてよ」
彼の様子がおかしいことなんて分かっていた。今のヒナタは、笑顔を作れるような精神状態じゃないはずだ。
なのに、それを隠し通してまで彼は笑顔を作ろうとしている。
それが、リョウには辛くてたまらなかった。
「僕は今日こそ君に勝つよ! 何故なら、今の君は誰にも勝てないから!」
***
「僕のターンだ。文明代表、来い! 《驚異的陣形 アレキサンドライト》召喚! 効果で、《クロムウェル》をシールド・ゴー!」
光文明代表、《アレキサンドライト》。何度見てもその強さは変わらない。しかし、リョウの場には、これだけだ。
「スピードアタッカーと化した《アレキサンドライト》でW・ブレイク!」
「くっ、きっつ……!」
これで、ヒナタのシールドは3枚に。
一方のヒナタは、ドラポンこそ居ないが、火水のビートを使っていた。場には《カーリ・ガネージャー》が構えている。
「俺のターン、《海底鬼面城》を要塞化して《一撃奪取 マイパッド》召喚!」
海底鬼面城 UC 水文明 (1)
城
自分のターンのはじめに、相手はカードを1枚引いてもよい。その後、自分がカードを1枚引いてもよい。さらに、バトルゾーンに自分のサイバーロードがあれば、カードを1枚引いて、自分の手札を1枚山札の一番下に置いてもよい。
一撃奪取(スタート・ダッシュ) マイパッド C 水文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 1000
各ターン、自分の水のクリーチャー1体目の召喚コストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
「鬼面城ビート……手札を増やして速攻を掛けるビートダウンデッキか」
「そういうことだ、《カーリ・ガネージャー》で《アレキサンドライト》と相打ちに! ターンエンドだ!」
「まっ、悪いけど……」
リョウは少しため息をつくと、
「そのデッキの弱点は、解析済みだよ!」
そういうと、一枚のカードを並べた。
「行くよ! 《ヴェルネライト》を召喚し、そのまま進化ッ!! 《守護大帝 ストーンゴルド》に!!」
「やべッ……!!」
守護大帝(ジェネラル・ガード) ストーンゴルド R 光文明 (5)
進化クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
進化−自分のアウトレイジ1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、「シールド・ゴー」を持つクリーチャーを1体、自分の墓地から表向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
この時、ヒナタは直感した。
避けられない悪寒。それはつまり----------------
敗北への恐怖だ。
「《ストーンゴルド》でW・ブレイク! 折角の鬼面城ビートなのに、それを維持できない……センスゼロだねヒナタ君!」
「く、くそォッ! 負けたくねえ、負けたくねんだ!!」
悲惨な光景が目に蘇る。
あのデュエルで、自分がさっさと竜神王を倒していればこんな目には遭わずに済んだかもしれないのに。
「まだだよ。《ストーンゴルド》の効果で、墓地から《凄惨な牙 パラノーマル》をシールド・ゴー!」
またシールドが増えた。ドローソースをもぎ取られたヒナタだが、諦めるのにはまだ早すぎた。
「俺のターンッ……! くそっ、何か来い!」
引いたのは-------------《スクランブル・タイフーン》だ。
「っしゃあ、《スクランブル・タイフーン》で手札を5枚ドローして3枚墓地へ……くそっ!」
しかし、肝心の《天災超邪 クロスファイア2nd》が来ない。
「まだまだ、《アクア・ハルカス》を召喚して《熱湯グレンニャー》を召喚!」
とにかく、手札を増やすヒナタ。しかし、目当てのカードは全く来ない。しかも、《パラノーマル》の効果で2体共破壊された。
「嘘だろ!? 何で来ないんだよ!!」
「ヒナタ君。君の最大の長所は”クリーチャーに信頼されている”ことなんだ」
「はァ!?」
いきなり何を言い出すんだといわんばかりに、必死の形相でリョウを睨むヒナタ。
しかし、リョウは臆せずに続けた。
「だけど、今の君は負けることを恐れている!! 敗北を恐れる臆病者に、クリーチャーは絶対力を貸さない!! 勝つ事で逃げ道を見出す様な卑怯者に、勝利は無い!!」
「逐一、うるせえんだよッ!!」
「じゃあ、何で怯えているのさッ!?」
言葉に詰まった。リョウの言葉責めは容赦なく続いた。
「今の君は、負けることを怖がっているように見えるよ」
- エクストラターン9:急襲、竜神王 ( No.267 )
- 日時: 2014/02/27 23:22
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「俺が-------------怖がっている」
確かに考えてみればそうだった。負けなければ、等負けたことをいつまでも引きずっていた。
そんなことでは、前に進めない。
勝てるわけが無い。
負けない為に戦うんじゃない、勝つために戦うのだ。
弱い自分と。
「ありがとよ。リョウ。俺は、お前のおかげで大事なものを失わずに済んだ!!」
そして、目の前の相手をキッと見据えた。
「終わってねえぞ、俺のターンは!!」
残りのマナを全て払って、これに賭ける。
「二体目の《熱湯グレンニャー》召喚! 効果でドロー!!」
来た。今、一番来るべきのクリーチャーが。《グレンニャー》は一瞬で破壊されたが、すかさず今引いた手札を投げるようにバトルゾーンへ放つ。
「6枚以上引いたため、グラビティ・ゼロ発動! 《クロスファイア2nd》を召喚し、バトルゾーンへ!!」
激流の力を纏った王邪が、ここに再び現れた。
大胆不敵に。そして、絶対無敵に。
「《クロスファイア2nd》……! だけど、勝てないよ! 《パラノーマル》がシールド・ゴーしてるから、そいつのパワーはマイナス3000されてたったの4000! たとえ、このターンで僕のシールドを破ったとしても、次のターンで僕が除去カードやもっと強いカードでソレを除去すれば関係ないんだ!」
「いーや、勝てるぜ……! ウラワザを使えばな!!」
次の瞬間、ヒナタは先ほど《ハルカス》で手札に加えたカードを放つ。
そのカードは赤い衝撃を放って、同時に《クロスファイア2nd》の体が更に隆起するのが見えた。
「《無法の裏技 ドドンガ・ドン》でこいつはパワーアタッカー+3000を得るぜ! つまり、そのまま《ストーンゴルド》を殴り倒せるようになるんだ!!」
「プ、プラマイゼロ!? しまった、これじゃあ……!!」
その時だった。
ザクッ、と空間が裂ける音が聞こえた。
空間が裂けて、突如デュエルが中断された。
***
空間が裂けた後、真っ先に目に飛び込む光景は病室、のはずだった。しかし、その窓からは、本来現実世界では目にすることは出来ないはずの、巨大な異形の生物が真っ黒な闇の夜空に浮いて見えた。
その体はブクブクと太っており、体の部分部分がたるんでしまっている。紫色の毒々しい肌の色は、一層邪悪さを助長させた。
そして、黒い小さな角は竜であることの証。何より、背中には大柄な体格に合わない小さな翼が生えている。
何より、ぶつぶつとした無数の突起が生えた顔面に、埋め込まれたかのようなまん丸の目玉を見ているだけで吐き気がこみ上げる異形の姿。
まさしく、ガルグイユとのデュエルで現れた竜神王の一角であるツメイ・ゴルニッヒだった。
しかし、問題点はそこではない。
ズバリそれらが、何体も居るということだ。
「うっ、うわああああ!?」
とにかく、逃げるしかないだろう。カードを全部ケースにぶち込んでベッドを飛び降り、パーカーを羽織って病室をともに飛び出した。
「な、何が起こってるんだ!? あいつは竜神王じゃねえか!!」
「決闘空間での出来事は、コッチの世界では一瞬で済まされます、だから間違いなくその間に現れたとは考えられない……まさか、最初っから居て気づかなかっただけ!?」
ヒナタは当初、精神が異常を来たしており、またリョウもヒナタに意識が集中していたため、気付かなかったのも無理は無い。
だが、今の状況から見れば何より、建物の中に居るのが一番自由が効かなくて危険だ。
病院を慌てて飛び出したところで、ヒナタは1つの事柄に気付いた。
「リョウは……!?」
リョウの姿が見当たらないのだ。
***
「海戸ニュータウンにクリーチャーが!?」
テレビ画面を見ていたフジは、素っ頓狂な声を上げた。
ならば現地に行けば良いというテツヤのぶっ飛んだ発想は即却下されたが、武闘ビルのフジの書斎にヒナタの愉快な仲間達は集合していたのだった。
とはいえ、現在此処にいるのはフジにテツヤにジェイコフ、そしてレンにコトハにシオの6人だった。前者の3人はテレビから、後者の3人はパソコンから情報の収集を行っていたのだが、とうとうゴルニッヒが海戸ニュータウンの中央病院付近に出現したという映像を掴んだのだった。
しかも、大量に。
「どうなっている!? 竜神王の個体数は、一種につき一体ではないのか!?」
「分かりません。が、1つだけいえるのは、ヒナタ達が危ないってことですよ!!」
レンが焦燥の表情で、フジに向かって叫ぶ。
「黙れ黙れ、此処は元はと言えば俺様の部屋だぞ!? それを狭いのを我慢してお前らに少し貸してやってるんだ! ちったぁ、黙っとけ! うるさいんだよ!」
とは言ったものの、フジも本心では相当心配しているのが目に見て取れる。
「アレ、そういえば無頼先輩の姿が見当たらないんですけど」
コトハがもっともな指摘をする。
いまや、世界最強クラスのデュエリストとして名を馳せていた無頼シント。今、彼が居れば心強いほか無いだろう。
「嗚呼、アイツか。アイツはな……今、ラリアに行ってやがる」
『はァ?』
一瞬、テツヤ以外全員の顔がフジに集中した。
フジは一度咳払いをすると、続けた。
「だから、アイツは今はオーストラリアに行ってんのさ。」
***
「あー、気持ちいーわぁ、コレ。やっぱビーチで肌を焼くのサイコーだわ」
ビニルシートの上で寝転がり、サングラスで目を覆ったまま彼は-------------無頼シントは陽気にビーチから水平線を眺めていたのだった。
水着の美人に心躍らせながら、タピオカジュース片手に、腰にはデッキケースをつけて彼は完全にバカンス気分だっただろう。
と、その時だ。
「Hey!(よぉ!) You do Burai Sint?(無頼シントか?)」
「イ……イエス!?」
いきなり、金髪碧眼のケラケラ笑う兄ちゃんに話しかけられたシント。いきなりのイングリッシュに戸惑うが……。
「Oh!(おお!) Well it, let's Duel!(それじゃあ、デュエルしよう!)」
その兄ちゃんの手には、しっかりとデュエル・マスターズのカード。
「The'm a fan of you.(君のファンなんだ)」
「サ、サンクス……」
この後、言語の違いはあれど、デュエマを楽しんだシントであった。
***
「と言った経緯で、外人とデュエルしたって話は昨日届いた手紙にあった」
「何で!? 何でオーストラリアなんかに行ってるんですか、無頼先輩!!」
「懸賞でオーストラリア旅行7日分当たったらしい。後2日は帰って来ないぞ、アイツ」
テツヤが、さも呆れたかのような表情で語る。
「まぁ、楽しんでればの話だけどね」
同時に、ドス黒いSのオーラを放ちながら。
「は? どういうことですか?」
「向こうにも今、竜神王が出てるのさ。それも、漆黒の竜。アングバット・アンカラゴンがな」
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