二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ 0・メモリー 堂々完結
- 日時: 2014/12/07 13:44
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: oLjmDXls)
【読者の皆様へ】
初めまして、二次などで創作を行っている、タクと申します。この度はデュエル・マスターズ 0・メモリー、完全に完結しました! 今まで皆さん、応援ありがとうございました。続編、デュエル・マスターズ D・ステラも応援よろしくお願いします!
【番外編あらすじ】
教団の脅威は去ったはずだった。教団の神官、バラモンとデトロイトによって呼びこされた2人の無法の覇者、そして竜神王。しかし、それはやがて世界を脅かす要因に。そして、ヒナタがデュエマをやめる!? 衝撃の番外編、ついに本格始動!
用語集>>10
登場人物紹介>>02
デッキ紹介>>67
デッキ紹介2 >>190
参照1000突破企画:切札紹介 >>114
本編>>247
番外編:強襲の竜神王編
エクストラターン0:キー・メモリアル >>246
エクストラターン1:異変 >>253
エクストラターン2:竜神王 >>254
エクストラターン3:恐怖 >>257
エクストラターン4:狂気 >>258
エクストラターン5:行動開始 >>261
エクストラターン6:デコード >>262
エクストラターン7:ケリを付けろ >>265
エクストラターン8:敗者の条件 >>266
エクストラターン9:急襲、竜神王 >>267
エクストラターン10:決死の特攻 >>268
エクストラターン11:デッド・オア・デッド >>280
エクストラターン12:鬼 >>298
エクストラターン13:暴かれた根源 >>300
エクストラターン14:捨てられたデッキケース >>301
エクストラターン15:ベルフェモール >>304
エクストラターン16:向き合うこと >>305
エクストラターン17:大阪へ >>307
エクストラターン18:咆哮、激震、超克 >>310
エクストラターン19:星として、海に散る >>311
エクストラターン20:絶望への反逆 >>312
エクストラターン21:決戦の舞台へ >>313
エクストラターン22:立ち塞がる無法の皇 >>314
エクストラターン23:激震、インフィニティ・ドロン・ゴー! >>315
エクストラターン24:最後の戦い >>336
エクストラターン25:反逆の一戦 >>337
エクストラターン26:竜神王結合 >>338
エクストラターン27:破壊衝動 >>339
エクストラターン28:絶望と破壊の渦 >>340
エクストラターン29:終焉 >>341
参照3000突破記念!ヒナタへ56の質問
>>176 >>177
短編1:仁義なき戦い(パブリック・エネミー) >>163 >>164
短編2:恋の裏技 >>182 >>185 >>188
短編3:親父の背中 >>206
短編4:恐怖、学園七不思議!? >>281 >>283 >>285 >>289 >>290 >>294 >>295
短編5:探偵パラレル >>306
コラボ番外編
モノクロさん作、デュエル・マスターズMythology
”last smile”
あらすじ:デュエル・マスターズMythologyで活躍中のヒロインキャラ、御船汐。彼女の空白の一年間とは、まさしく鎧竜での一年間のことだった。では、何故彼女はそれを失うことになったのか? そして、記憶と共に彼女が失わなければならなかったものとは。オリキャラによって繋がる2作品の謎が今此処に明かされる。
そして、無法と神々が今、交錯する。
短編のつもりが中編クラスの長さになってしまったこの作品。最後まで必見!
第一話:別れと悲劇はデュエマの後で
>>316 >>317 >>321 >>322
第二話:月夜野シオは彼女なのか?
>>323 >>327 >>328
第三話:神話の使い手
>>329 >>330 >>331 >>332
第四話:そして神話へ
>>335 >>345 >>348 >>349
第五話:”先輩”
>>350
キャラクター裏話
パート1 暁ヒナタ >>293
パート2 黒鳥レン >>299
基本、概存のカードを使用していますが、これからの展開でオリジナルカードを使うかも知れません。ご了承下さい。
なお、クリーチャーの解説などは、以下サイト様から引用させていただいています。
DuelMasters Wiki(デュエルマスターズ ウィキ)様
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.333 )
- 日時: 2014/05/18 04:23
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
来週の土曜日がテスト期間ともろ被りしているモノクロです。せっかくドラゴン・サーガ第一章の発売日なのに……
それはさておき、今日のうちでコメントしようコメントしようと思っているうちに、どんどん更新されていくので驚きました。とりあえず区切りがついた(と勝手に解釈した)ようなところでコメントします。
まずシャンツァイとシオのデュエルですが、噛ませ臭のするシャンツァイがまさか《「黒幕」》を使ってくるとは思いませんでした。ゴッド相手には強い《デスメタル・パンク》ですが、ゴッド・ノヴァOMGは展開力が凄いですからね、除去しきれませんでしたか。
《ロラパルーザ》でフリーズされたのも痛いですね。攻撃できない豚は、ただの豚ということですか……
ですが、最後の一撃でブータンが身を挺し、それ汐もに寄り添うシーンは良かったです。こちらの汐ではありえないような、0・メモリーだからこそのシオ、という感じがしました。
さて、これで終わりかと思ったのですが、まだ続くんですね。
オラクルに操られてレンと戦うシオですが、なんだかデッキがシオという感じがしないですね。
そしてここでは、今度はスミスが消滅……ドラポンも泣いていましたが、モノクロもスミスのキャラはわりと好きだったので、これは残念です……というか、この番外だけでアウトレイジが二名ほど消滅してるって、ある意味シオもトラブルメーカーですね……意味が大分ブラックですが。
こうして汐の鎧竜での記憶は失われ、番外編が終わるのかと思いきや、まだ続くのですか。こんなに二転三転するとは思いもよらなかったです。
しかもここで『神話カード』が登場するとは……本格的にこのコラボ短編のラストが見えなくなってきました。
ヒナタは夕陽と対戦ですか。夕陽はファイアー・バードのビートダウン性を持った連ドラ、みたいなデッキですね。対するヒナタは火単のビートダウンですか。確かに火単だと手札補充は困りますよね。《パルサー》とか《コダマンマ》とかはいますが。
ただ最新弾では《爆打者 猛トラック》や《熱血龍 グランドスラム》のような火文明の手札補充が増えたので嬉しいです。少々癖はありますが。
そしてコトハはこのみとですか……体型に関してはご愁傷様としか言えませんが、それについてはこのみもこのみなりに苦労してたりします。本人は大して苦と思ってないかもしれませんが。
このみのデッキはこちらとあまり変わんないですね。ただ《ジュラピ》が《プロセルピナ》と相性が良いというのが判明しました。《ジュラピ》は召喚できませんが、《プロセルピナ》がいればクリーチャーがマナに落ちれば簡単に出せますね。
そして最後にレンとシオのデュエルですが……なんというか、なんとも言えない感じです。
デーモン・コマンドからダークロードに転向したシオと、ゼロ文明から闇のコマンド・ドラゴンに転向したレンという、なかなか新鮮なデュエルです。
ちなみに月魔館の名前のモデルは紅魔館です。さらにドライゼのモデルは吸血鬼なので、レンの言うこともあながち的外れではなかったり。
しかし、レンは意外とシオと繋がりがありますね。
思い出せば、シオの仲間内での初めてのデュエルはレンとでしたし、ブータンが出て来た頃にもレンに仲間について諭されてましたし。《ブータン》を使用するシオも、レン同様にオラクル的な要素を含んでいると言えなくもないですし(《ブータンPOP》はレンが使用してましたが)。
果てにはレンが闇文明使いに転向する契機となるとは……これがヨミの影響でシオに対して云々ではなければいいですが、モノクロ的にはレンが今後一番の期待株かもしれません。
というかこの短編も、もはや主人公がヒナタではなくレンになっているような気がします。台詞がレンの方が主人公っぽいというか、シオの転校について知った時も思いましたが、ヒナタって自分のトラウマはなかなか払拭できないわりに、他人の深い事情に関しては意外とあっさりしてますよね……
ここから話がどう転ぶのか、まったく読めない展開で面白いです。三人は『神話カード』の力の前に全敗してしまいましたが、これからどうなるのか……次回を楽しみにしています。
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.334 )
- 日時: 2014/05/18 22:51
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
モノクロさん
コメントありがとうございます。何故か、短編のつもりがかなり長くなってしまいました。取り合えず、とっととヒナタ達にはヨミを倒させなければなりませんね(笑)。
この短編のもう一つの意図は、この作品、0・メモリーを次回作のD・ステラへと繋げるためのものですからね。1つ目は神話との共演、もう1つはヨミとの最終決戦を描くつもりです。まあ、あと4話くらいで終わらせる予定ですので。こんなのだったら、もうとっくに番外編が終わっているという……。
さて、まずこっちの都合上で、後1話上げたら、再び番外編の更新に入ります。というか、先にこちらを終わらせなければいけなったんですよね。
夕陽たちとのデュエルへの流れは結構、無理矢理にしました。どういう形であれ、一度彼らをデュエルさせたかったからです。結局、幻像という形になりましたが。
夕陽の使用していたデッキは、彼が所期に使っていたものをベースにしています。結構、ヒナタと競合わせるのは大変でしたよ。
このみの使っていたデッキは、コトハの”ニュー・カチュアシュート”と張り合わせるために、カチュアシュートにしましたが、これ自体が生きることは結局ありませんでした。
シオの使っているデッキは、完全にダークロードメインです。互いの
デッキの変化を楽しめていただけたでしょうか。
話し変わりますが、やはり月魔館の元ネタは紅魔館ですか。大体、そんなかんじかな、と思っていたところです。
そして、レンとシオの関係ですが、今回の短編は0・メモリーでのレンサイドのエンディングを描くつもりです。やはり、読み返してみても結構接点が多いんですよね。
そして、ヒナタサイドのエンディングは竜神王編にするつもりです。
まあ、取り合えず続きをお楽しみに。ちなみに自分は、一度一気に更新すると反動で更新できなくなるといいますね……。
それでは、また。
- コラボ短編:last smile (12) ( No.335 )
- 日時: 2014/08/25 19:43
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
アポロンは腕組みしながら、尻ごむヒナタの前に立っていた。
「あー、ダメだダメだ! お前は確かに強い! だけど、俺を使うには、まだ弱すぎる!」
「おいおい、褒め殺しかよ」
「無法者の荒ぶる心に勝つには、それだけの精神力が必要だ!」
「まさか、もう一回」
「やるんだよ!!」
アポロンは、再び幻像を創り出す。火山の真ん中で、再びデュエルが始まった。
「上等だ、何回でも勝てるまでやってやらぁ!!」
「ああ、だが今のお前では絶対にアイツには勝てない」
「ッ……」
「そこでだ」
突然、スケッチブックをどこからか取り出すアポロン。
「修行1、溶岩滝打ちの業。修行2、情け無用クリーチャー組み手100連戦、修行3、溶岩スイム3キロ、さあどれがいい?」
「すみません、なるべく死なない奴でお願いします。つーか、1と3に至っては、もう人間じゃムリだろ」
「じゃあ、修行2から行くぞ」
出てきたのは、《翔龍提督ザークピッチ》など、ファイアー・バードの軍団だった。
「あー、まあ良いや、デュエマなら勝てる自信がある!」
「いや、肉弾戦で」
「ムリだろ!!」
***
「うあー、強い……。まさか、胸でもデュエルでも負けるなんて」
「うーん、まだまだかな? じゃあさ、コトちーもう一回!」
「え? まさか、まだやるの? てか、コトちーって勝手に仇名つけてるし」
「うーん、でもちょっとそれじゃありきたりだから、この子達と戦って! しゅぎょーしゅぎょー!」
突如、のどかな花畑の中から、奇妙な咆哮。次の瞬間、まさしくそれの主が大量に現れた。
それは、蜘蛛のような姿をした古代龍だった。それも、何体も、だ。
「《節食類怪集目 アラクネザウラ》ちゃん♪ 大人しくて、良い子なんだよ? だよ?」
「こんな修行、絶対嫌ァァァァァァ!!」
***
レンは、大の字に倒れ、天井を見つめていた。
アルテミスが彼の顔を覗き込む。
「あーあ、情けない。この程度?」
「まだまだ……」
「ん?」
「まだまだだぁ!!」
立ち上がり、キッとアルテミスに視線を向けるレン。
「そう? ならばやってみなさいよ」
「良いぞ……シオの仇を討つためだ、何度でもやってやる」
「そうね。それじゃ、まずは彼らと遊んでいたら?」
「む」
直後。幾つかの影が全て実態と化す。悪魔だ。彼女の召喚したデーモン・コマンドが全て実像と化したのだ。
元々、ダークロードはデーモン・コマンドを召喚する存在。故に彼女だからこそ出来るのだろう。
「彼らを倒してみなさい」
「やってやる」
だが、既にレンの瞳には決意が篭っている。
***
武闘ビルにて。既に、時計は朝の7時を回っていた。
「どんだけやってんだ、あいつら」
「ホントっちゃ!」
「遅いなぁ、コトハ」
「おめーらは、ずっとラブラブしてたろうが」
フジは、何時まで経ってもカードの中から帰ってこないヒナタ達を待ちながら寝てしまった。そして、今に至る。ドラポンたちは、さも関係ないかのようだったが。
ふと、電話が掛かってきた。
「ああ、もしもし武闘です」
『大変だ、フジ! 東京タワーの天辺にヨミが出てきやがった!!』
声の主はテツヤだった。話によれば、朝の速報をテレビで見たらしかった。
「な、何!?」
思わず、驚きの声を上げるフジ。このまま東京で無差別殺戮でもされたら手の打ち用が無い。
ここから、港区までは数キロ離れている。すぐに駆けつけるのはムリだ。
『それだけじゃねえ、海戸へ高速接近してやがる!』
「分かった。暗殺はそっちに委託する。対せんせー用銃で撃ち落せ」
『ざっけんなぁ!! 暗殺教室じゃねえんだよ! お前やヒナタ達がやらずに誰がやる! つーか、別にマッハで飛んでるとは言ってない!』
「お前が殺れ」
『お前の友達やめて良い?』
ドライな声が返ってきた。まあ、彼の性格を考えればそうだろう。
「まあ、良い。どうにかしろ、以上」
『雑だな! おい、待て、切るな』
カチャ、ツーツーツー……。
「よし、おめーら。行くぞ」
フジは立ち上がってドラポンとオーロラに言った。
「行くって」
「決まってんだろ、ヨミをぶっ飛ばしに行くんだよ」
***
「クハハ、まずは手始めにだ!! 現れよ、新たなる神! 《堕天左神カウントダウン》! 《羅刹右神オズフェスト》! 我が世の春が来たああああ!」
シャンツァイのテンションは、最高にハイに達しているのか。完全に両手を広げ、高笑いしていた。
「ふぉふぉふぉ、シャンツァイ殿、油断は禁物ですぞ。何処に敵が居るのか分かりませぬ。ここはじぃがもう少し様子を見ますぞ」
《信託の守護者 胡椒》がたしなめる様に言った。
海戸町中央都市街にヨミは鎮座していた。通行人が逃げ出す中、ヨミは残虐な笑みを浮かべる。
「愚かな人間どもよ……貴様らに裁きを下す。貴様らに示されるは、絶望の道なり!! はあああああああ……!!」
バチバチ、と強い音が鳴る。次の瞬間、眩い閃光と共にビルが砕け、ガラスが飛び散り、そして辺りは焦土と化した。
「ふはは、弱いな脆弱な人間共。さあ、アウトレイジを出せ。全て滅ぼし、無に帰してくれるがな!」
「お遊びはそこまでだ、ヨミ」
ヨミはもたれていた頭を上げた。そして、標的を視覚でしっかりと捉える。
フジだ。ようやく、ここまでやってきたのか肩で息をしていた。
「ほーう、人間と……アウトレイジと……裏切者か」
「ヨミ様! もう、こんなことはやめてください!!」
オーロラの悲痛の叫びは、ヨミの冷め切った声に遮られた。
「今更何を言うか。死ねい」
ビュン、とヨミの手から、眩い閃光が放たれたかと思えば、そこにはもうオーロラは立っていなかった。
服の部分部分はこげており、ボロボロだ。そして、頭からは血を流していた。
「オーロラッ!」
慌ててドラポンが駆け寄った。
「ごめん、ドラポン……もうあたし、戦えそうに無い」
「おお、そうかぁ? オーロラよ。大人しくヨミ様の言うことを聞いて置けばよかったのだ。ヨミ様に見初められたのにも拘らず、貴様はそれを蹴ったのだからな。ヨミ様はお怒りだ。愚か者め、はっはっは」
「くっ、外道が……!!」
笑うシャンツァイ。昔の上司--------インガから見たイザナイ----------に向けた侮辱だった。
フジは今の間に何も出来なかった自分を恨んだ。
「くっ、敵は3人……《シャンツァイ》に《胡椒》、そして《ヨミ》か……はっきり言って対処できるか分からんな」
と、その時だった。引っさげてきた”神話無法”のカードが光りだす。
直後、再び空間が開いてヒナタ、レン、コトハの姿が現れた。
「ひゅー、やっと終わったぜ……あれ? フジ先輩の部屋じゃなくね、ここ」
「ああ。街の中か? だが一体何が」
「ボロボロ……って、オーロラ!? 大丈夫!?」
「待ちわびたぞ……暁ヒナタ」
ヨミの冷たくも良く響く声がして、3人は振り返った。
「さて、殺されに来たのか、暁ヒナタ」
「なーるほどな。これやったのは、おめーらってことか。覚悟は出来てんだろうな!」
すると、シャンツァイが進み出る。
「黒鳥レンか。くく、貴様は月夜野シオの友人だったな。哀しいか? 友人が倒れて」
「許さんぞ、貴様。死ぬ覚悟はできたか」
「ふぉっふぉっふぉ、さて私は譲さんと戦うのですかな?」
「譲さん舐めてたら、痛い目に遭うわよ? それに、オーロラの仇も討たなきゃね」
退治する3人と3体。今ここに、最後の戦いが幕を開ける。同時に、空間が開き、火蓋は切って降ろされた。
- エクストラターン24:最後の戦い ( No.336 )
- 日時: 2014/05/21 00:34
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
直後、《ジャッキー》と《ブルース》のカードが2枚とも、ヒナタの手に吸い込まれるかのように入っていった。
「よっしゃあああ!!」
思わず、ガッツポーズを決めた-------------空中で。
見れば、足がヘリの地面に着いていないのがしっかりと分かった。
つまり次に考えられる可能性としては唯一つ。
お、ち、る。
「ぎっ、ぎゃああああ!!」
『ヒナタアアア!?』
全員は、ふと見た。気付かないうちに、前へ前へと進んでいたのか、空間が閉じた瞬間、既に足は地面に着いていなかったのである。
先の見えない渦の中へ、ヒナタは落ちていくのだった。
「またこのパターンか、畜生めェェェ!!」
***
「……きろ」
「あ?」
声が聞こえる。これが天の声であるなら、祝! 番外編完結! なのだが、主人公として絶対に譲れないことが在る。
それは何か。
------------ほーお、それで次回からは誰がこの暁ヒナタの代わりをつとめるんだ? まさか、お前じゃあるまいな!!
目を瞑った状態からの不意打ち。
ガスッ、と、目の前の”誰か”に鉄拳を喰らわせた。入った。確かに顔面にクリーンヒットしたはずだ。
「ほーお、それでお前は俺の機嫌を損ねたらどうやってこっから帰るつもりだ? まさか、徒歩じゃあるめぇな!!」
「ガブフッ!!」
「大丈夫か? ヒナタ」
食らわされた。今度は自分がパンチを。ドラポンが覗き込んでくる。
「えーっと? ドラポンにシント先輩?」
「起きるのが遅いっちゃ!」
「ああ、そうだな。テメェ、つーかよくもやったな」
目の前には、ボロボロになった無頼シントの姿があった。服は所々破れており、顔はすすだらけだったが、元気に振舞っているかのように思えた。ただ、顔面にキスマークならぬパンチマークがしっかりと押されていたが。
背後には巨大な鎧龍が鎮座していた。NEXだ。
「シント先輩も来てたんすか!」
「ああ、そうだ。どうやら此処が黒幕のアジトらしいぜ。何せ、ここら一帯が全部決闘空間-----------いや、決闘空間そのものってことだな。この世界でクリーチャーとデュエマするときは、絶対皆此処に来るってことだ」
「じゃあ、俺は今までも此処にきたことがあるってことすか」
「ああ。だが、俺らはその一部に入り込んだことがあるに過ぎない。ったく、ここまでNEXに乗って来たのは良いが、途中で仇討ちに来たクリーチャーに撃ち落されてこのザマだ」
「大変でしたね」
「ん? その様子だとジャッキー&ブルースをセットで手に入れたみたいだな」
「はい」
「ならよ、こいつをお前に一応渡しておく!」
カードが放られたので、ヒナタはキャッチした。
「俺は此処に来たがいいが、この辺りのクリーチャーぶっ倒したが、NEXがもう戦えそうに無いんだ。俺も後で絶対に行く! だから、頼む。奴を止めてくれ!」
「アンタ……俺を誰だと思ってるんスか?」
ヒナタはシントに向かって笑いかける。そして、拳を突き出して言った。
「俺は学院最強、行く行くは世界一のデュエリストになる暁ヒナタですから!」
---------へっ、我ながら生意気な後輩を持っちまったな。
シントも負けない笑みで拳を優しく交わした。
じゃあ、行きます、と戦場へ掛けて行くヒナタ。そんな彼にシントは呼びかける。
「ヒナタ! デュエマにおいて、一番大事なことを教えておいてやる! 絶対、諦めるな! それだけだ!」
「シント先輩……」
「諦めなけりゃ、絶対誰かが助けてくれる! 諦めなけりゃ、勝利の女神様が絶対付いててくれる! デュエマは最後まで何があるか、分かんないもんだぜ!」
一番当たり前のことだが、それだけでも大事なことだった。
「分かりました!」
「行くっちゃ、ヒナタ!」
「おう!」
駆け出す2人の姿を見て、シントはため息をついた。
そして、周りを見渡す。
「おい、好い加減出てきても良いんじゃねえか?」
「ゲゲゲ……」
「キヒャハハハ、待ちわびたぞ人間」
クリーチャーだ。結界が割れて、次々にシントの方へ雪崩れて来る。
「NEXの結界も限界だ。良いぜ、まとめて相手してやるよ雑魚共。後輩の邪魔はさせねえぜ!!」
シールドが展開され、戦いが始まった----------------。
***
「あーら、お客さんね」
振り向きざまにベルフェモールは人間---------暁ヒナタ-----------を垣間見た。
人間ではない。人間らしいそれはしているが、気配で違うと分かる。
「オラクルっちゃ?」
ドラポンがしゃしゃり出てくる。
「そうよ。全知全能の最強種族、オラクル」
彼女は嘲笑うように言った。まるで、人間やアウトレイジとはベクトルが全く違うと暗に言っているかのようだった。
「その中でも頂点に立つのがあたし。《箱庭のイザナイ ベルフェモール》よ」
「へっ、抜かしやがれ! たかだかイザナイごときが、竜神王操って、俺達の仲間傷つけて--------------覚悟は出来てんだろうな!」
「悪人……とでもいいたいわけ?」
彼女の気配は今までのどのイザナイとも違う。よりおぞましく、底知れない。
彼女は大きく手を広げると誇らしく、少し哀しげに言った。だが、目には狂気が含まれている。
危うい感じの狂気だ。全てを飲み込んでしまいそうな。
「あははは!! べるが何をしたって言うの? べるはずっとヨミ様の隣に居た!! いつだって、あの方の傍に居た!! なのに、なのにっ!! 捨てられたのよ!! 『許せ』の一言で! べるの力が強すぎたから? ふざけないでよ!! べるが力を求めたのは、あの方のために死にたかったから!! なのに、あの方はべるを全否定した!」
ぐっ、と拳を握り締め、彼女は哀しい笑みを浮かべる。
「バラモンとデトロイトだってそう。一生身をささげると誓った主に裏切られる気持ちをあなたは理解できる? できないわよね!! 私達が闇の中で苦しんでいる中、あんたらが光の中でほくそ笑んでいるのを見て、決意したのよ!! 討つ。べる達はこの世界を! そして作り変える! 今度はべる達が頂点に立てる世界を!!」
彼女は憎んでいる。思い通りにならない全てを。
「知ったこっちゃねえよ、馬鹿野郎」
だからこそヒナタはそれを正面から斬り伏せた。
「お前は信じる奴を間違ったんだ。お前の信じていた奴は、所詮、その程度だったってだけだ!!」
「な、何を!?」
「そいつのために死ねるだぁ!? んじゃあ、ヨミはお前のために死ねたのか!! そいつのために死にたいなら、まずはそいつが自分のために死ねる奴か、見極めりゃ良かっただけの話だ!!」
そうだ。彼女の言い分は一方的な逆ギレにすぎない。見誤ったのだ。彼女は。
「俺は誰かのために敢えて死ぬつもりは無いし、これからも多分ねえと思う!! それが俺達の絆って信じてるから!! 俺が生きることが、仲間の一番の幸せだって、信じてるから!!」
「そうっちゃ! もし、誰かが転んだなら引っ張り上げられる!! おんしらはそうやって、何度も修羅場を乗り越えて来たんっちゃ!」
『何にも信じられない未来なんか、絶対に嫌なこった!!』
隣には相棒が居る。背中には仲間たちがいる。それで十分じゃないか。最後の戦いに相応しいではないか。
これ以上の問答は無用だ。互いにデッキを掲げた。
『シールド展開!!』
- エクストラターン25:反逆の一戦 ( No.337 )
- 日時: 2014/05/21 08:10
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
世界中の希望を賭けた、ヒナタとベルフェモールのデュエル。現在、シールドは5対5で対等。というのも、まだ2ターン目である。
「べるのターン。《ピクシー・ライフ》を唱えるわ」
緑色のマナが呪文を形成する。そして、更なるマナを増やした。これで次のターン4マナ。
早い。ビートを得意とするヒナタにとっては、余り嬉しくない。
「俺のターンだ! 《一撃奪取 トップギア》召喚!」
赤いマナを生成し、火文明のアウトレイジ、《トップギア》を召喚するヒナタ。
これで、火文明の仲間のコストを1下げることが出来る。
しかし。
「下らないわね! 仲間なんて! 必要なのは、主従の関係のみ! この世には2種類の生き物が居る。従わせるものと、従えるもの!! べるがどっちかって、もう分かるでしょ! 《霊騎ラグマール》召喚!」
相手を道連れにマナゾーンへ引きずりこむアーク・セラフィム、《ラグマール》により、無数の蔓に囲まれて《トップギア》は地面へ沈んだ。
同時に。とてつもない苦しみがヒナタを襲った。
「う、うあああああ!!」
思わず、叫び声を上げる。《トップギア》がやられたことが原因か。クリーチャーの死亡をトリガーに、この空間ではダメージを受けるというのか。
こんなことは今まで無かった。やはり、ヒナタがアウェーだからか。
「ふふ、良い様!!」
「くそっ、俺のターン……ドロー、《フェアリー・ライフ》でマナをチャージ、ターンエンドだ!」
「べるのターン。《裁きの都 キングオブ・ラグーン》を要塞化♪」
裁きの都 キングオブ・ラグーン 無色(5)
城−自分のシールドをひとつ選び、このカードを付けて要塞化する。 その要塞化されたシールドがシールドゾーンから離れた時、このカードを自分の墓地に置く。 (「S・トリガー」能力を使う場合は、このカードを墓地に置く前に使う)
自分のターンに一度、自分の手札を1枚墓地に置いても良い。そうした場合、デッキから《竜神王》と名前にあるカードを1枚手札に加える。
この城を付けて要塞化したシールドが他の城によって要塞化されていなければ、そのシールドが相手のクリーチャーにブレイクされる時、かわりに他のシールドを1枚手札に加えてもよい。
風景が一気に変わった。ここは、今までの殺風景な決闘空間の中では無い。支配の都。あらゆる人々が規律に束縛され、自由を奪われ、唯一つの王のために生きる世界。
「これよこれ!! 《邪念因子》が復活すれば、この世界は今度こそ現実のものになるの。神による絶対統制!! それがべるの望み---------------」
「るっせぇ!! お前は《邪念因子》がどんだけ危険なものなのか分かって言ってんのか!! 危険だから、禍々しいもんだから《邪念因子》なんて名前が付いてるんだろうが!!」
「あんたねぇ、言わせておけばァァァ! 《アングバット・アンカラゴン》を手札から捨てて《ツメイ・ゴルニッヒ》を回収、殺してやる!! 殺してやるわ、人間!! 邪魔すんなっつってんだろうがああああ!!」
血走った目でヒナタを睨み、喚き立てるベルフェモール。理性など、とっくの昔に壊れかけていたのだ。
「哀れだな。俺のターン、ドロー。《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》召喚! ターンエンドだ」
「哀れなのはどっちかしらぁ!! 神に飲まれて贄となりなさい! あたしのターン、《ツメイ・ゴルニッヒ》召喚!! 手札を全部捨てて、効果で《アングバット・アンカラゴン》を蘇生!」
竜神王2体が墓地から現れる。
「さらにっ!! 《アンカラゴン》の効果で、あんたのクリーチャーのパワーは、−2000されるのよ! 良かったわねえ、首の皮が繋がって!」
漆黒の竜神王 アングバッド・アンカラゴン 闇文明 (3)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/ゴッド 2000+
G・リンク《奇怪の竜神王 ツメイ・ゴルニッヒ》の右横、《漆黒の竜神王 アングバッド・アンカラゴン》の上側。
ドラゴン・ブレス-《裁きの都 キングオブ・ラグーン》が要塞化されているとき、以下のD効果を使ってもよい。
Dレベル2:このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、山札から2枚を墓地に置く。その中にゴッドがあれば、そのクリーチャーを手札に加える。
Dレベル4:このクリーチャーが攻撃するとき、手札の水のカードを捨てて、山札から4枚を墓地においてもよい。そうした場合、相手のクリーチャー1体を選ぶ。そのクリーチャーは持ち主の手札に戻る。
このクリーチャーは、自分とリンクしているゴッドの数につき相手のクリーチャー全てのパワーを2000下げる。
瀕死の《ファルコン・ボンバー》。しかも、心なしかヒナタも苦しい。
だが、そんな中でも目の前の竜神王に向かって笑いかけた。
「今思えば-----------ゴルニッヒ、あんたも操られてたんだ。悪かったな」
「うるせえええ!! クリーチャーなんて、あたしにとっては道具よ! 目的が達成されれば、それでいいのよ!! 復讐よ、これは! 今まで、光の中で悠々と生きてきた、あんたらへのね!! 竜神王でシールドをブレイク!!」
竜神王が咆哮を上げて、ヒナタのシールドの1枚目を叩き割った。
「さらにっ! ドラゴン・ブレス:レベル3でマナのカードを3枚タップすれば、あんたのマナゾーンにあるカードを1枚墓地に! 《百万超邪 クロスファイア》、さよーならっ!!」
「ちっ!」
マナが1枚減った。地味な被害だ。
「くそ、どうすりゃ良いんだ……」
手札を1枚引いた。引いたカードは-----------------《破界の右手 スミス》だった。
「はぁ!? 何でお前が!?」
『わりーな、暁ヒナタ! お前のデッキに入るのは癪だったが、今の俺ならパワーダウン状態でも奴を一方的に叩き潰せる!』
「そうかっ! んじゃ、頼むぜ! 《破界の右手 スミス》召喚だ!」
現れたのは、パワー11000と5マナの割りに破格のスペックを持つアウトレイジ、《スミス》だった。
「《ファルコン・ボンバー》で攻撃だぜ!」
「ちっ! シールドなんか、くれてやるわ!」
「だけど、効果で《スミス》はスピードアタッカーだぜ! 竜神王を攻撃だ!」
竜のうち、1体が破壊された。《ツメイ・ゴルニッヒ》だ。
「くっ、うあああ!!」
苦しそうにうめき声を上げるベルフェモール。しかし、彼女からは並々ならない禍々しいオーラが伝わってきたのだった。
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