二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ 0・メモリー 堂々完結
日時: 2014/12/07 13:44
名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: oLjmDXls)

【読者の皆様へ】
初めまして、二次などで創作を行っている、タクと申します。この度はデュエル・マスターズ 0・メモリー、完全に完結しました! 今まで皆さん、応援ありがとうございました。続編、デュエル・マスターズ D・ステラも応援よろしくお願いします!

【番外編あらすじ】
教団の脅威は去ったはずだった。教団の神官、バラモンとデトロイトによって呼びこされた2人の無法の覇者、そして竜神王。しかし、それはやがて世界を脅かす要因に。そして、ヒナタがデュエマをやめる!? 衝撃の番外編、ついに本格始動!

用語集>>10

登場人物紹介>>02
デッキ紹介>>67
デッキ紹介2 >>190
参照1000突破企画:切札紹介 >>114

本編>>247

番外編:強襲の竜神王編

エクストラターン0:キー・メモリアル >>246
エクストラターン1:異変 >>253
エクストラターン2:竜神王 >>254
エクストラターン3:恐怖 >>257
エクストラターン4:狂気 >>258
エクストラターン5:行動開始 >>261
エクストラターン6:デコード >>262
エクストラターン7:ケリを付けろ >>265
エクストラターン8:敗者の条件 >>266
エクストラターン9:急襲、竜神王 >>267
エクストラターン10:決死の特攻 >>268
エクストラターン11:デッド・オア・デッド >>280
エクストラターン12:鬼 >>298
エクストラターン13:暴かれた根源 >>300
エクストラターン14:捨てられたデッキケース >>301
エクストラターン15:ベルフェモール >>304
エクストラターン16:向き合うこと >>305
エクストラターン17:大阪へ >>307
エクストラターン18:咆哮、激震、超克 >>310
エクストラターン19:星として、海に散る >>311
エクストラターン20:絶望への反逆 >>312
エクストラターン21:決戦の舞台へ >>313
エクストラターン22:立ち塞がる無法の皇 >>314
エクストラターン23:激震、インフィニティ・ドロン・ゴー! >>315
エクストラターン24:最後の戦い >>336
エクストラターン25:反逆の一戦 >>337
エクストラターン26:竜神王結合 >>338
エクストラターン27:破壊衝動 >>339
エクストラターン28:絶望と破壊の渦 >>340
エクストラターン29:終焉      >>341

参照3000突破記念!ヒナタへ56の質問
>>176 >>177

短編1:仁義なき戦い(パブリック・エネミー) >>163 >>164
短編2:恋の裏技 >>182 >>185 >>188
短編3:親父の背中 >>206
短編4:恐怖、学園七不思議!? >>281 >>283 >>285 >>289 >>290 >>294 >>295
短編5:探偵パラレル >>306


コラボ番外編

モノクロさん作、デュエル・マスターズMythology

”last smile”
あらすじ:デュエル・マスターズMythologyで活躍中のヒロインキャラ、御船汐。彼女の空白の一年間とは、まさしく鎧竜での一年間のことだった。では、何故彼女はそれを失うことになったのか? そして、記憶と共に彼女が失わなければならなかったものとは。オリキャラによって繋がる2作品の謎が今此処に明かされる。
そして、無法と神々が今、交錯する。
短編のつもりが中編クラスの長さになってしまったこの作品。最後まで必見!

第一話:別れと悲劇はデュエマの後で
>>316 >>317 >>321 >>322

第二話:月夜野シオは彼女なのか?
>>323 >>327 >>328

第三話:神話の使い手
>>329 >>330 >>331 >>332

第四話:そして神話へ
>>335 >>345 >>348 >>349

第五話:”先輩”
>>350

キャラクター裏話

パート1 暁ヒナタ >>293
パート2 黒鳥レン >>299


基本、概存のカードを使用していますが、これからの展開でオリジナルカードを使うかも知れません。ご了承下さい。

なお、クリーチャーの解説などは、以下サイト様から引用させていただいています。
DuelMasters Wiki(デュエルマスターズ ウィキ)様

エクストラターン21:決戦の舞台へ ( No.313 )
日時: 2014/04/13 14:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

***


 時は少しさかのぼり、海戸ニュータウン中央病院周辺の港。オプティマスとのデュエルに敗れたテツヤは、空間から投げ出された。
 駆け寄る天川。

「だ、大丈夫かテツヤ!」

 しかし、彼は何も言わない。左胸に手を当てる。胸の鼓動は全く感じられない----------と思ったら、彼は右胸心だったのを思い出して再び鼓動を確認すると、確かに息はあることが分かった。

「くそっ、どうすれば……」

 恐らく、ジェイコフ達はまだ来ないだろう。
 ここは、自分が戦うしかない---------。
 と、飛び掛ってくるクリーチャー達に目をやった時だった。
 咆哮。耳が張り裂けんばかりの、雄雄しき咆哮が聞こえる。
 それを聞いた途端、クリーチャー達の動きは止まり、次々にディメンジョン・ゲートの穴へと帰っていく。
 オプティマスも、我をようやく取り戻したのか、倒れた直後、テツヤのデッキから散らばったカードの中へと帰っていく。


「智を司る私に、あの程度の洗脳は無意味--------------久しいなスプラッシュ」


 その影は、《「智」の頂 レディオ・ローゼス》だった。

「ローゼス! 君なんだね!」
「嗚呼、私だ」
「もうすぐ、仲間のヘリが来るんだ! そこで、今何が起こっているのか教えてくれ!」

 天川のかつての相棒、ローゼスは智を司る。故に、洗脳には掛からず、逆に洗脳を解く手段も見出したのだった。

「僕と共に、戦ってくれるかい?」
「勿論だ」

 そう言うと、レディオ・ローゼスは光の粒子となって、カードの中へと入っていった。

 

 そして、何十分かが経った。ジェイコフのヘリは無事、港へ到着した。
 こうして、ジェイコフ達もようやく決戦の地、エアーズロックへと駒を進めようとしていたのだった。

 ***

「重すぎる……」

 ヒナタは呟いた。窓を見れば、もう夜だった。明日にはオーストラリアに着いている筈だ。
 −−−−リョウが生きているのは嬉しかった。だけど、宇宙全部の危機なんて、俺には絶対ムリだ……。

 だが、デュエマで世界が救えるというのならば。
 あらゆるクリーチャーが実体化するには、この世界では一定の手番を踏まなければならないらしい。
 即ち、デュエマによる決められたルールで召喚すること。
 邪念因子が復活する唯一の方法で、唯一の倒すチャンス。
 −−−−俺のデュエマで世界が救えるのなら。

 勝たなければ、ならない。

「なーに、神妙な顔しとるんじゃ」

 ドラポンの声が響いた。

「うおっ、お前居たのか! −−−−−何話振りだ?」
「メタいわアホっ! やめんか、それ!」と返された。
「あんなぁ、ヒナタ。おんしはバカじゃ」
「ああっ!?」

 いきなりバカ呼ばわりされて、キレるヒナタ。
 「だからな」と続けるドラポン。


「そのバカが、デュエマで勝つこと以外を考えてどうすんじゃボケ!」


 デュエマで勝つこと------------そうだ。負けることを考えちゃ、いけないんだ。
 勝つためには、どうすればいいのか。
 それを考えることが、今の自分に出来ることだ。

「よーしっ! やるかっ!」

 景気付けるように、ヒナタはにっと笑って見せたのだった。

 ***


 夜は明けた。コトハに揺さぶられて起きるヒナタ。
 窓からの景色は、青い空が広がっている。だが、下のほうには禍々しい黒い渦があった。
 見ているだけで、吸い込まれてしまいそうな程、ぽっかりと開いてしまっている。

「着いたわよ……オーストラリア、エアーズロック頂上-------------」

 誘っているのか、それとも----------。

「おはよう、てめーら起きたか」

 フジが、手を振ってやってくる。

「今日、俺らがやることはたった一つだけだ」

 フジは口元を吊り上げた。


「こんなかに飛び込んで、黒幕をぶっ飛ばしてくんのさ」


 ***

 気付けば、朝だった。
 シントは目を擦って天を仰ぐ。
 昨晩は激闘が続いた。襲い掛かるクリーチャーを倒していく。
 何が起こっているのか、全くわからなかったが、フジに連絡したところ、何が起こったのかはすぐにわかった。
 竜神王という、敵の出現。
 いや、そのバックに隠れている敵の出現だった。

「俺は……何やってんだ」

 カードを1枚、手に取る。
 《竜魔神王バルカディア・NEX》。シントの最強切札。かつて、シントと共に戦った相棒だ。
 しかし、その魂は今、超獣界に帰ってしまっている。
 だから、実体化などしなかった。
 それでも、万が一クリーチャーに襲われたときの保険として、決闘空間を開けるようにはしてもらったのだった。
 
「今-----------どこにいるのかな」

 と、その時だった。幾つもの咆哮と共に、一度に大量のクリーチャーが現れる。
 アーマード・ワイバーンと思われる飛竜の群れが、一気に降下してきたのだった。

「はは、本格的にやべーな」

 自嘲するように、笑った。デッキケースを構える。
 しかし、疲れて最早命がけのデュエルをする余裕など無い。

 その時だった。

 アーマード・ワイバーンたちの体が、真っ二つに切り裂かれる。

 そして、背後には巨大な影。
 
 この感覚は-------------

「NEX!! 助けに来てくれたんだな!!」

 黄金の鎧に身を包んだ、伝説の龍。その名も、《竜魔神王バルカディア・NEX》。ここで、来てくれるとは思わなかった。
 シントの呼びかけに、咆哮で答えるNEX。言葉は通じなくとも、2人の絆はとても強いものだった。

「竜神王の居場所が分かるんだな?」

 NEXは確かに頷いてみせた。
 
「んじゃ、頼むぜNEX!!」

 咆哮とともに、2人は天空へと舞い上がる。
 竜は少年を背に乗せて、最後の決戦へと向かう-----------------。

エクストラターン22:立ち塞がる無法の王 ( No.314 )
日時: 2014/04/19 07:50
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「えーっと、フジせんぱーい? こん中入るの俺ら」
「入るんだ、行って来い馬鹿」

 ゲシッ、とフジがヒナタの尻を蹴る。危うく、落ちる所だった。
 危ない。
 突風が吹いて、唯でさえ危険だというのに。
 
「危ないじゃないっすか!! 仮にも、ここ空の上ですよ!?」
「うっせぇ、どうせ死ぬか生きるかは半々だ、とっとと穴ン中落ちて来い」
「あれぇー? おっかしいな、母さん、悲しくないのに涙が出てくるよ」
「それは単なるアンタの高所恐怖症」

 コトハのブルーなツッコミが決まったところで、自家用ジェットは穴の中へとどんどん近づいていく。
 と、そのときだった。影が横切る。
 そして、カードの中の《マキシマム・ザ・マックス》が叫んだ。

「気をつけろ!! ヤバい気配が直ぐ近くに2つもあるぞ!!」

 刹那、羽ばたく音が聞こえた。そこには、ヌンチャクを構えた竜人の姿。もう1つは、闇の渦から突如顕現し、黒いマントを羽織って杖を構えた亡者だった。
 しかし、今はどちらも正気を失っているようだった。

「《ジャッキー》はんに《ブルース》っちゃ……!」

 ドラポンが、露骨に怯えた様子で言った。
 その時、ジャッキーはヌンチャクを振り回してこちらへ向かってくる。領域への侵入者をここで撃墜するつもりだろう。

 --------------つーか、危ねぇ!! 落とされる!!

 間、一髪。
 ヌンチャクが機体に届く直前に、決闘空間を開いたヒナタであった。
 黒い霧が広がって、ヒナタの姿が消える。

 ***

 しかし、驚いたのは、2体を同時に相手取ることになったことだった。ヒナタは、思わず後ずさる。
 現実のカードとしても、ビクトリーの称号を持つ2体だが、今は無法の皇と帝として戦っている。
 現在、互いにシールドは5。場は、ヒナタが《一撃奪取 マイパッド》に対し、ジャッキー&ブルースは《戦略のDH アツト》を場に出している。

(墓地ソース……だな。マナのカードが《モールス》と《フェイト・カーペンター》なのを見ると。だけど、そのデッキでどうやってアイツらを出すつもりなんだ?)

 ヒナタは怪訝な顔をすると、手札を引いた。仮に、今目の前で戦っている2体を出すとして、どうやって召喚するのか。
 《ジャッキー》は、記憶が正しければコスト8のアウトレイジ版《バルガライザー》。さらに、呪文の手打ちを実質的に封じる。
 《ブルース》は、無法者、人形を墓地から召喚できるようになるだけではなく、自身も墓地から現れるということ。
 いずれにせよ、互いにデッキは墓地ソースだということだ。
 しかし、少々デッキの仕組みが違う。
 ヒナタの場合、火水のみで組んだ《スクランブル・タイフーン》型。
 一方の相手の場合、火水に闇を加えた《ホネンビー》型だろう。

「よし、お前の出番だ! 《日曜日よりの使者 メーテル》、来い!」

日曜日よりの使者(ビューティフル・サンデー) メーテル P 水/火文明 (4)
クリーチャー:アウトレイジ 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分がカードを1枚引く時、1枚のかわりに、2枚引いてから自分の手札を1枚捨ててもよい。

 こちらも、負けじと墓地を増やす。
 だが、ジャッキーとブルースも負けてはいない。

「ブルァァァアアア!!」

 咆哮したブルースの手が振るわれると同時に、《埋葬の守護者 ドルル・フィン》が現れた。

「くそっ、厄介なヤツが出てきやがった!」

 ヒナタからすれば、このカードは邪魔なブロッカーでしかない。後は、《ドルマークス》の餌食にして墓地を一気に増やす戦略をメインとしていたからだ。
 しかし、この場合は違った。少なくとも、弾除けではない。
 だが、ヒナタはまだこのことに気付いていないのである。

「俺のターン!」

 カードを引く。と、このときに《メーテル》の効果が発動する。カードをかわりに2枚引いて、1枚を墓地に落とすことが出来るのである。
 墓地に落ちたのは、《トップギア》。

「お前の番だ! 召喚、《マイパッド》の効果でコストを1下げて《フェイト・カーペンター》ッ!!」

 手札を2枚引いて2枚墓地へ落とす。落ちたのは、《シンカイタイフーン》に《ザ・クロック》。さらに、これでは終わらない。

「呪文、《エマージェンシー・タイフーン》で2枚引いて1枚落とす!」

 墓地に、《キューブリック》を落とすも、能力は発動しない。
 この状態では、まだ墓地はたったの4枚。一体、何をこのターンでやったのか、という話だが……。
 ”引く”ということ、これがポイントだった。

「G・ゼロ発動! 俺はこのターン、手札を6枚以上引いたため、こいつをただで出すぜ!」

 そこで吹き荒れるのは、炎の嵐か、激流の竜巻か。否、自由を求める無法のハリケーンだ。

「無法者の鼓動を聞け。巻き上がる炎、渦巻く水流! マッハ億万の轟く速さを目にせよ! 《天災超邪 クロスファイア2nd》召喚だぜ!」

 一気に奇襲をかけるヒナタ。

「いっけえ! 《2nd》でW・ブレイクだ!」

 だが、《ドルル・フィン》で防ごうとはしない。その後も、《メーテル》でシールドを割るも、全く動じる様子はない。

「ちっ、ターンエンドだ」

 何を考えているのか。
 だが、ようやくそれが明らかになる。

「グオオアアアア!」

 突如、ジャッキーがヌンチャクを振り回し始めた。まだ、バトルゾーンに出ていないにも関わらず、だ。
 直後、場に居た《アツト》と《ドルル・フィン》が破壊される。と、同時に山札から5枚が墓地に送られた。
 さらに、墓地からは1体の死龍が姿を現す。

「《偽りの名 ドレッド・ブラッド》を墓地からバトルゾーンへ出す……ブルァァァァア!!」

偽りの名(コードネーム) ドレッド・ブラッド P 闇文明 (7)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ/アンノウン 9000
自分のターンのはじめに、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、自分のクリーチャーを2体破壊してもよい。そうした場合、このクリーチャーを自分の墓地からバトルゾーンに出す。
W・ブレイカー

 味方の魂を喰らって、墓地から這い上がる死の侵攻者。
 さらに、まだまだ連鎖は続いた。

「呪文、《ヒラメキ・プログラム》で《ドレッド・ブラッド》破壊!」

 刹那、無法者の姿が顕現する。
 圧倒的な殺気。

「な、何が起ころうとしてるんだぁ!?」
『ヤバいっちゃ、ヒナタ! 今度こそ、本当に!』

 死の国の帝と、無法の皇。
 この2体が現れれば、どのような惨事になるのか、ヒナタには想像も付かなかったのだった。

エクストラターン23:激震、インフィニティ・ドロン・ゴー! ( No.315 )
日時: 2014/04/26 09:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 山札から捲られたのは、究極の無限を司る、皇だった。

「この俺様……《無限皇 ジャッキー》を召喚だあああ!!」

無限皇(インフィニティ・ビート) ジャッキー  ≡V≡  水/火文明 (8)
クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置いてもよい。そのカードが進化ではないアウトレイジであれば、バトルゾーンに出す。
W・ブレイカー
相手の呪文を唱えるコストは無限のマナを必要とする。

 咆哮し、ヌンチャクを振り回す竜人。それは、究極の無法者。
 だが、連鎖する脅威はコレだけでは終わらないのである。

「ぐおおおああああ! 俺様で、《クロスファイア2nd》を破壊!!」

 前述したとおり、《ジャッキー》の効果はアウトレイジ版《バルガライザー》だ。
 つまり、山札の一番上を墓地において、それがアウトレイジの場合--------------

「ブルァァアァアア!! さあ、行くとするかあ!!」

 タダで、バトルゾーンに現れる。
 しかも、よりによって死の国の覇者。帝王の異名を持つ亡者、《不死帝》なのだから。

「ブルァァァアアアア、この俺様、《不死帝 ブルース》絢爛!」

不死帝(デッド・オア・アライブ) ブルース  ≡V≡  闇文明 (8)
クリーチャー:アウトレイジMAX 11000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を墓地に置く。
W・ブレイカー
進化ではないデスパペットと進化ではないアウトレイジを、自分の墓地から召喚してもよい。
このクリーチャーを自分の墓地から召喚してもよい。


 表面の魂だけならば、アウトレイジそのもの。
 しかし、今は竜神王-------------否、そのバックに存在する敵の僕に過ぎない。
 しかも、山札からさらに3枚が墓地へ。同時に、ヌンチャクが振り回されて《クロスファイア2nd》の体も打ち砕かれた。

「ち、畜生がッ!!」

 ターンを終えるジャッキーとブルース。形式こそ、1対1のデュエマで変わりないが、ビクトリーカードである2体が揃ってしまった時点で、2体1となんら遜色ない。

「俺のターン……ドロー」

 引いたカードは、《ドラポン》だった。

『ヒナタ、もうダメっちゃ! あのお二方は、水文明と闇文明の文明代表……その時点で、勝ち目は無かったんっちゃ!』
「諦めるんじゃねえ!! 俺は、最後まで絶対諦めないッ!! たとえ、仲間1人居なくなったとしても、たった1人でも、俺は闘い続ける!!」

 しかし、この状況は《ドラポン》1体でどうにかできるものでもない。

「おだんは昔-------------スミスとか、他のアウトレイジと一緒に暴れまわってた時期があったんっちゃ」
「お前----------」
「ジャッキーさんになりたかった。ジャッキーさんのように、頂点に立ちたかった。じゃから、おだんは沢山傷つけた。数え切れないくらい、傷つけた」

 ドラポンの表情が暗くなる。

「結局、おだんはアウトレイジからも忌み嫌われる事になった」
 
 ドラポンは言った。

「そんとき、庇ってくれたのが、あの人じゃった」

 ***

「どーしたぁ? てめぇ、この間はよくもやってくれたなぁ!!」
「エグザイルだからって、チョーシこいてるんとちゃいますかぁ? ああ!!」

 大勢のアウトレイジが、怒りの形相で、詰め寄る。集中砲火を喰らって、ドラゴ・リボルバーはもう動けそうになかった。
 いや、もうこのまま死んだ方が良いのかもしれない。

「死ね」

 一体のアウトレイジが、右腕をマシンガンに変形させる。銃口が迫った。

 そのときだった。

 銃口を向けた手が動かない。掴まれているのだ。


「おいおい、これは何事だぁ?」


 そこにいたのは、ジャッキーだった。

「ジャ、ジャッキーさん!! そいつは、とんでもねえ暴れ者で……!」
「ああ、分かった分かった……んじゃ、どけ」

 前に進み出て、ドラゴ・リボルバーを見下ろす形になる。そして、襟首を掴んで引き寄せた。


「おらよッ!!」


 ジャッキーは鈍い音と共に、力いっぱい殴った。助けられるとは、毛頭思っていなかったが、ストレートに殴られるとも思っては居なかった。ドラゴ・リボルバーは激痛で、意識が離れそうになったが、ジャッキーの声だけはしっかりと聞いた。

「おい、これでもう満足だろ? とっとと帰れや」

「ひっ! は、はい!」

 慄いた様子で、他のアウトレイジは帰っていったのが分かった。
 しばらくして、ドラゴ・リボルバーは寝かされていることに気付き、起き上がったが、まだ体が痛む。

「悪かったなぁ? だが、こうでもしねえとテメーは連中に殺されていただろうよ。最も、悪いのはテメーみたいだしな」
「……何で」

 虫の息だったが、辛うじて息は保てた。


「俺なんか、死んでもよかったのに!!」


 自棄になって叫んだ。
 自分は、数え切れない罪を犯した。
 だから、償おうと思った。
 自分の死を持って。

 だが、無限皇は言った。

「おい、虫ケラ。てめーに腐ってても良いから魂があるんなら、刻み込んどけ」

 静かに、威厳のある声でジャッキーは言った。


「生きろ。それが嫌なら、生きる事自体がてめーに課せられた罰だ。」


 その声を聞いたところで、ドラゴ・リボルバーの意識は途絶えたのだった。


 ***
 

「それが、今のおだんを作っちょる。あの人の偉大さも、よく知っちょる! じゃから、おだんは……あの人に勝つことは出来ないっちゃ!!」

「それがどうしたってんだ!!」

 ビリビリ、と電撃のようなものがドラポンを動かす。
 一喝。
 ヒナタの顔は、真剣そのものだった。


「ちょっと間違ったぐれえでなんだ!! いつまでもうじうじしてんじゃねえ!! 憧れってのはな……憧れてたまんまじゃあ、何時までもまやかしに過ぎねえんだよ!!」
「まや……かし?」
「追いつくんじゃねえ、超えるんだ!!」

 
 その声を聞いたところで、ドラポンは体の中から大きな力が沸きあがってくるのを感じた。
 何時の日か感じた頭痛。それは、まさにこの覚醒のためだったとすれば。


「目ェ、冷めた……絶対に勝たんといけなかったんっちゃ!!」


 ドラポンは、確かにそう叫ぶ。


「行くぞ、ドラポン!!」


 カードが変わっていく。まるで、生まれ変わるかのように。

 今、ここで無法者は再誕する。


 新たなる、無限の力を持って!!



「俺のターン、こいつを召喚するぜ!! 《超絶 ドラポンBANG!!》、来い!!」



 焼け付く炎と共に、地獄から這い上がる最強の無法者、エグザイル。
 その姿は、全身に武装された中世のガンマンのような装備、加えて弐丁拳銃が目に焼きつく。

 そして何より、羽のような炎が背中から生えていることだった。


ツインバレット ドラポンBANG(バーン)!! 火文明(5)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 5000
スピードアタッカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、全てのプレイヤーのマナを2枚墓地に置く。
自分の他の《バレット》とあるクリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。
インフィニティ・ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊されたとき、山札から《バレット》とあるコスト8以下のエグザイル・クリーチャーを一枚選んでバトルゾーンに出す。
自分の《バレット》とある他のエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。


「行くぞ、ドラポン! 《ドラポンBANG!!》が場に出たとき、互いのプレイヤーはマナを2枚墓地に置くぜ!」
「おらあっ、行くっちゃ!」

 弾丸が、互いのマナゾーンのカードを貫く。ヒナタのマナゾーンから墓地には、《ドンドン吸い込むナウ》と《トップギア》が落ちた。

「さあ、スピードアタッカーのこいつでシールドブレイクだ!!」

 割られるシールド、しかし虚しくもそこから現れるのはシールド・トリガー。

「S・トリガー、《スーパー炎獄スクラッパー》で雑魚共を全て破壊」

 今ので、残りのアタッカーが殲滅させられた。止むを得ず、ターンを終了するヒナタ。
 ここで、ジャッキーとブルースのターン。《ブルース》の効果により、墓地からクリーチャーが召喚できるようになっている。
 しかも、G・ゼロも召喚。

「ブルァァァァァアアア!! 墓地から、G・ゼロで《クロスファイア》、コストを下げて《5000GT》召喚だ!! 貴様の手札はゼロ、ドロン・ゴーはありえねえ!!」

 同時に焼き尽くされる《ドラポンBANG!!》。ヒナタの手札はない。しかし、これでよかったのだ。

「《ドラポンBANG!!》は特殊なドロン・ゴーを持っている! それは、手札からのドロン・ゴーが出来ない代わりに、山札からドロン・ゴーが出来る、インフィニティ・ドロン・ゴーだ!!」
「なっ!?」
「来い、山札から《超絶弾 リボルバー・サンブレイズ》を召喚だ!!」


ツインバレットトリガー リボルバー・サンブレイズ 火文明(8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 9000
W・ブレイカー
自分のシールドが0枚になったとき、墓地からコスト4以下のクリーチャーをバトルゾーンに出す。
自分の他の《バレット》とあるクリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。
インフィニティ・ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊されたとき、山札から《バレット》とあるエグザイル・クリーチャーを一枚選んでバトルゾーンに出す。
自分の《バレット》とある他のエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。

 
 現れたのは、骨が体へ露出して鎧のようになった竜銃士。しかし、火文明の魂は忘れては居ない。

「はっ、今ドロン・ゴーしたところで何になる!! この軍勢は止められぬ! さあ行け、《5000GT》でT・ブレイク!!」

 シールドが0枚になった。しかし、ヒナタが狙っていたのはまさしくこれだ。

「《リボルバー・サンブレイズ》の効果発動!! 俺のシールドが0枚になったとき、俺は墓地からコスト4以下の好きなクリーチャーをバトルゾーンに出せる!! 《5000GT》が封じられるのは、あくまでも召喚だけだ!」

 《5000GT》が強いのは、S・トリガーも召喚に含まれるからである。しかし、これは召喚ではない。
 バトルゾーンに出す、という行為自体は制限されないのだ。

「時間よとまれ、《終末の時計 ザ・クロック》召喚だ!」

 時間は加速する。暗がりの夜があけるほどに。そして、夜の先にあるのは暁。
 明るい朝日が照らす!!

「俺のターン、《火炎特攻弾》で《サンブレイズ》を破壊、進化インフィニティ・ドロン・ゴー発動だ!!」

 日は昇った。遂に、新しい朝が来たのだ。
 《ザ・クロック》を進化元に、新たなる太陽が昇った。


「此処に集え、灼熱と激震の究極のアウトレイジ、全銀河を揺るがせ!! 新たなる姿は勝利を呼ぶ! 《絶望への反逆 ガトリング・エヴォルバー》、昇天し咆哮せよ!!」


バレット望への(ロック)反逆チェスティング ガトリング・エヴォルバー 火文明(12)
進化エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 17000
進化-自分のエグザイルではないアウトレイジMAX一体の上に置く。
T・ブレイカー
メテオバーン - このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚選び墓地に置いてもよい。そうした場合、火か水のコスト6以下の呪文を1枚、コストを支払わず自分のマナゾーンから唱える。
自分の他の《バレット》とあるクリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。
インフィニティ・ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊されたとき、山札から《バレット》とあるエグザイル・クリーチャーを一枚選んでバトルゾーンに出す。
自分の《バレット》とある他のエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。

 
 かつて、オリジンによって時空のハザマへと封じられたナイトが、新たな姿を得て帰還したかのように、新たな姿を得て現れた。
 両脇にはガトリング砲、4本に増えた腕には魔銃が装備されている。そして、かの邪神のような神々しい光を放っている。しかし、その本質は無法の力。
 そう、これを花にたとえるならば、花言葉は”究極”。


「《ガトリング・エヴォルバー》が攻撃するとき、メテオバーンで墓地から火か水のコスト6以下の呪文を唱えることが出来るんだ!! 呪文、《ドンドン吸い込むナウ》で《クロスファイア》をサーチして《ブルース》をバウンスだ!!」
「馬鹿め!! 貴様の場数は足りんぞ! 次のターンで、お終いだ!!」
「いや、次のターンはお前に来ない! アタック・チャンス発動!! 《反逆秘伝 ワン・フォー・オール》で俺はもう一度クリーチャーの召喚が行えるんだ!!」

 次々に展開していくカード。そこには、カードゲームさえも超えた”何か”があった。

反逆秘伝 ワン・フォー・オール 火文明(10)
呪文
アタック・チャンス−《絶望への反逆 ガトリング・エヴォルバー》(自分の《絶望への反逆 ガトリング・エヴォルバー》が攻撃する時、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい)
墓地から、無限の数だけコスト7以下のアウトレイジをバトルゾーンに出す。

 さらに、叩き割られるシールド。ジャッキーとブルースを護るものはもうない。
 墓地から、無法者達が次々に現れる。
 そこに、追撃と言わんばかりに激流と勺炎の無法者が炎をまとって現れる。


「《クロスファイア2nd》召喚!!」


 最後に現れ、咆哮するのはやはり彼だった。そして、無法の炎が迫る。


「--------------《クロスファイア2nd》でダイレクトアタック!!」

コラボ短編2:last smile ( No.316 )
日時: 2014/04/27 02:32
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「ふざけんじゃねえッ!」

 暁ヒナタは、唐突に叫んだ。自分でも、驚くほどの声で。だが、これが叫ばずにいられるだろうか。
 否、いられるわけがない。

 クラスメートの1人が、このクラスから居なくなろうか、という瀬戸際なのに。

「ちょっと、ヒナタ! 煩いわよ! いくら何でも叫びすぎ!」
「そう言われても、なぁ……」

 発端は、朝のHRでの担任の話だった。急に、壇上にシオを招いた。当の彼女は、一体何のことかさっぱり、といった様子だった。
 彼女のことだから、何かほめられるようなことでもしたのではないか。それ以外思いつかないヒナタの頭。
 しかし、担任の言葉は思った以上に重い台詞だった。

「非常に残念だが---------------月夜野シオさんは、皆と一緒に進級することは出来ない」

 は?

 と、一瞬教室全体が妙な静けさに包まれる。

「彼女は、今月の終わり。つまり、彼女は今年度の終わりに転校することになっている」

 ---------------!!

 いつもなら、感情を決して表立たせないはずのシオがいつも以上に青ざめた顔で先生に反論する。
 動揺している。
 全く何が起こったのか、わからない顔だ。

「ど、どういうことです!? わ、私はそんな事は全く聞かされていないです」
「親御さんが------------見事、復縁したらしい。それで、お母さんが帰って来いとの事だ! しっかし親御さんが復縁とは、良かったな、これでまた家族円満に暮らせるんだから、ははははははは」

 シオは、呆然とした様子でただただ、そこに突っ立っているしかなかった。
 クラスはすぐに、「よくねえだろ、クソメガネェェェェェ!!」と、騒然の嵐(と数の暴力)に包まれたのだった。

 ***

「ごめんなさいです、先輩方……」

 シオは俯き加減に呟くと、いつもは絶対に崩さない表情を、今日は少し哀しく崩しているかのように見えた。

「ブー!! ブータンは、シオちゃんと別れるのが辛くてたまらな」
「何でテメェまで、此処に残るんっちゃああああああ!!」

 ドラポンの弐丁拳銃が鳴り響く。ブータンは、自分も行けば良いことに気が付いたのか、蜂の巣のまんまで「あ、そーかブー!」とぽん、と手を置いた。

「しっかし、その様子だと両親が復縁したことがショックなのか。フツーは喜ぶだろ」
「無神経すぎるわよ、馬鹿ヒナタ」

 コトハに耳たぶを引っ張られるヒナタ。思わず、いだだだだと悲痛な声を上げた。
 レンが、座る彼女に問う。

「すまんな、馬鹿が無神経で」
「誰が馬鹿だ、いでででででで」
「いいです……知ってるですし」
「知ってるって、完全に俺馬鹿扱い!?」
「馬鹿に馬鹿と言って何が悪い馬鹿」
「同感です」
「う、うわーん!! もう、グレてやる!!」
「グレたら、どうなるか分かるわよね」

 コトハの目は、笑っていた。ヒナタの耳を掴みながら。だが、表情と声は全然笑っていない。目だけが爛々と笑っている。
 はっきり言う。
 とても怖い。

「同じことの繰り返しなんです。両親は」
「------------え?」

 シオは、その両親が嫌いらしかった。
 いや、これから聞く話を聞けば、ヒナタ達にも当然のように思えたのだが。

「両親は、何度も復縁と離婚を繰り返してるです」

 口から漏れた言葉は、あまりにもヒナタ達の常識からぶっ飛んでいた。

「な、何だそれ……」
「それだけなら良いんですけど、私はそれで何度も振り回されてきて。詳しい事情はいえないですけど--------------」

 シオの口はとても重かった。

「で、海戸を出発すんのはいつだ」
「さっき連絡を受けたんですが、3月27日……です」
「おいおい、今日は20日だぞ」

 しかし、気分は沈みっぱなしの面々だった。

 ***

 放課後。ヒナタ達は、いつもの三人で帰っていた。シオは、用があるらしく、居なかった。明日はいよいよ終業式。すぐそこまで近づく春休みと、別れ。
 そして、シオのどろどろとした家庭内情。
 こんな状況でも、ヒナタは腕を組んで言った。

「まー、今更どうにも出来ないってんならな」
「ちょっと、ヒナタ!」
「だって、俺らがどうこうできる問題と、そうじゃねえ問題ってのがあんだろうが」ヒナタの言葉は思ったよりも冷たかった。

「だからよ」と、彼は続けた。

「あいつ、俺らの前でとびっきりの笑顔で笑ってことって、ねえよな!」
「そういえば、無かったな」
「そうね」

 頭の中で、笑うシオを思い浮かべようとするレンとコトハ。しかし、思い浮かべられない。ヒナタは再び叫ぶ。

「だから、春休みを使って、アイツにめいっぱい笑ってもらうように、俺らが一肌、否二肌脱いじゃうぜ!!」
「貴様、とうとう変態になるのか」
「ちげえわ馬鹿!! 俺らががんばるってこと! 最後ぐらい、楽しんで貰おうぜ!」

 変態に言われたくはないところである。
 ヒナタの提案は直ちに、(頭の)愉快な仲間たちに受け入れられ、早速その計画が始まったのだった。
 
 無論、これはシオには内緒だった。

 ***

 終業式の日。とうとう、明日から「ヒャッハー! 退屈な学校とはおさらばして、春休みだぜクレイジー!」とか言う生徒(主に約一名しかいないが)や「やべぇ、春休みの宿題多すぎんだろ、俺死んだわ、俺死んだわヤベェ」とかようやく現実を知ってほざく生徒(こちらも同じく約一名しか居ない、というか同一人物)がいたりなんだり。
 そんな中、ヒナタ達1−Eの作戦は動き出していた。


 -----------しかし、同時に影が動き出していたことも述べねばならないであろう。
 そう。
 笑顔さえも覆い尽くす黒い信託の影が。

コラボ短編:last smile (2) ( No.317 )
日時: 2014/04/27 22:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 終業式が終わり、下校時刻が終わった直後。全員は、あたかも家に帰ったかのように見せかけて、直ぐに学校の中へ戻っていた。
 最後に、クラスでシオと一緒に何かしたい。それを考えるために。
 ヒナタ曰く、今回の作戦は

「良いか、良く聞け。名づけてな、『シオを笑顔で送り出すためのさよならパーティしたいけど、取り合えずオメーラ脇役だから黙って俺の言うこと聞いてシナリオどおりに動きやがれコンチクショウ作戦』だ」

 ということだったので、

「作戦名長すぎだし、おめーは何様だあああ!」

 自信満々に作戦名を述べたヒナタに、クラスの面々がいきり立って突っ込みを入れる。
 さて、男子共が騒然に包まれている間に女子達は持ち前の団結力で、1つの結論を出したのだった。

「シオちゃんも楽しめて、アタシ達も楽しめる事っていったら、アレしかないわよね?」
「あ、コトちゃん分かってる?」

 女子の1人が、お前の考えなど見え透いてるわという自身あり気なコトハに話しかける。

「そうっ! 人生ゲーム!!」
「予想の斜め上を言った!? 大丈夫、コトちゃん!!」
「冗談よ、分かってるって。おーい、馬鹿男子ぃー! アタシ達が、もう決めたわよ」

 コトハが進み出て、叫んだことにより、男子共の動きは一気に止まった。

「あ、何に決めたんだ? 俺らは一応、最後にサッカーや野球を」
「アンタ達馬鹿でしょ、シオちゃんがスポーツ出来ないの知らないの」
「……忘れてた」
「はい、馬鹿決定。アタシ達、もうこれに決めたから。勿論、アンタ達も楽しめる内容をね!」

 コトハは、自信満々に言った。


「最後に、クラスでデュエマ大会すれば良いのよ!」


 ……。
 男子達は固まった。あまりにも不自然な光景なので、思わず女子達は口々に尋ねる。

「いや、どうしたのよ」
「お前らにしては、いや、なんていうか、ボケ抜きで来たな〜って」
「毎回毎回ボケてんのは、むしろアンタじゃないのよ!!」

 何処から持ってきたのか、今もシュッシュッと磨かいているハリセンをヒナタに喰らわせるコトハ。
 スコーン、と小気味の良い音が聞こえた。ヒナタは頭を抑える。
 そんな光景を、1−Eの面子は、また違った視点で見ていた。

「ねえ、あの2人見てると、夫婦漫才見てるみたいよね」
「ほんと、仲良いわよね」
「実はアイツら付き合ってるんじゃね?」
「あ、奇遇ですね。僕もそう思っていたんですよ」
「同感だ。僕も同じく」

 全員は思った。

(微笑ましいつーか、仲良いなー)

「いだだだだ!!」
「え!? 何!? 今何つった!? もう一回言って見なさい、馬鹿ヒナタ!!」


 ***


「近づけぇ〜、ブリロー彗星ぇ〜」
「あの、シャンツァイ様? 好い加減、パ○ガスの真似ばっかしてないで、直接攻め込めば良いものを」
「ふははははは、この彗星を使って、こんな星滅ぼしてくれる、見ろぉもう彗星が近づいている!」

 喋るのは、鎧を身に纏ったクリーチャーだ。しかし、マントを羽織っているところ、どうやらオラクルのようだった。
 《破戒のインガ シャンツァイ》。それが、彼の名前だった。そして、近くに居る神官らしきクリーチャーは《浮魂ターメリック》だった。
 その手が、ピッとホログラムモニターのようなものを投影する。地球の外の映像らしかった。
 そして、一気に彗星が音もなく地球へ。どうやら、ブリロー彗星と呼ばれるその彗星の大きさはハンパがない。地球がスイカならば、彗星はりんごである。それほどの大きさの彗星が接近しているのである。
 ちなみに、断じて”ブ「ロ」リー彗星”ではない。”ブ「リ」ロー彗星”である。
 だが、彗星の大きさは徐々に小さくなっていくのが分かる。砕かれ、穿かれ、燃え盛り、どんどん元の大きさより小さくなっていく。
 彗星は大気圏に突入して燃え盛ったかと思えば、すぐに塵となって消え去ったのだった。
 場が一気に白けた。

「……分かってたよ、分かってたよ!! 彗星如きじゃ、地球が落とせないことぐらい! てゆうか、彗星衝突したら我らも死ぬし!!」

 ようやく、現実を見ることが出来たのか、シャンツァイは肩を落としたのだった。

「シャンツァイ様、気を御鎮めください。コンピューターが弾き出した計算によりますと、制御なんたらは正常ですじゃ」

 《信託の守護者 胡椒》が古めいた機械を見て語る。

「お前までソッチのネタに走らなくて良いんだけど?!」


『何時まで騒いでいる……余は煩くて眠れぬぞ……』

 冷たく、冷酷な声が聞こえる。白く、長い髪に羽根が生えたような独特の容姿。
 白きマント、そして統率者の荒ぶる気迫は正しく本物-------------------これが、《神人類 ヨミ》の真の姿だった。
 ヨミは以前。レンに憑依して戦い、そしてディアボロスを復活させて自滅した-----------ように思われた。
 だが、彼は生きていた。
 それは、肉体の完成と同時にオラクルの魂魄蘇生術で見事この世に再び復活することになったからである。
 しかし、今はその力を100%全て充填しきったわけではなく、こうして再起の時を待っているのだった。
 その時は刻々と近づいている。

 ヨミはふと、鎧竜の周辺に意識を飛ばした。憎き暁ヒナタの気配を探り、いつでも襲撃を掛けられるようにするためである。
 ヤツだけは、この手で殺さなければ気が済まない。
 と、そこに妙な気配を感じた。
 ドス黒いような、だが逆に黒すぎて澄み切った感じの気配だ。

「ほほう、面白い。ヤツは確か、暁ヒナタの同胞-----------------」

 ***

 当日、3月23日。ヒナタ達は、着々と教室に会場の準備を施していた。

「デュエマ大会開くのはいいとしてさ、サプライズでどうやってシオを誘うんだよ」
「手は打ってある」

 ヒナタの疑問にレンが答えた。まさにそれが、会心のアイディアであるかのように。
 ほら、もうすぐ来るぞ、皆隠れろ、というレンの言葉にヒナタ達は急いで机の下に隠れる。来たところを一気に飛び出して、驚かそうということだ。

「さっきの質問の答えだが、コトハに忘れ物を一緒にとりに行って欲しいという名目で一緒に着いて来させる作戦だ」

 すると、声が聞こえる。シオと、コトハの声だった。

「先輩、忘れ物くらい自分1人で-------------」

 教室の戸が開く。彼女の姿が確かに見えた。
 刹那、全員は飛び出して叫んだ。デッキケースを掲げて。


『デュエマしようぜ、シオッ!!』


 大勢が一気にシオの目の前にやってきた。
 シオは一体、何が起こったのかわからない、といった様子で呆然と立っていただけだったが、次第にどういうことか分かったのか、口を開いた。

「せ、せんぱい……」

 黒板には、カラフルな文字で”今までありがとう、シオちゃん”や”離れてもずっとデュエ友だぜ”などそういったメッセージが沢山。
 信じられないような、嬉しいような、色々混ざった感情が、彼女を覆い尽くしたのだった。


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