二次創作小説(紙ほか)
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- デュエル・マスターズ 0・メモリー 堂々完結
- 日時: 2014/12/07 13:44
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: oLjmDXls)
【読者の皆様へ】
初めまして、二次などで創作を行っている、タクと申します。この度はデュエル・マスターズ 0・メモリー、完全に完結しました! 今まで皆さん、応援ありがとうございました。続編、デュエル・マスターズ D・ステラも応援よろしくお願いします!
【番外編あらすじ】
教団の脅威は去ったはずだった。教団の神官、バラモンとデトロイトによって呼びこされた2人の無法の覇者、そして竜神王。しかし、それはやがて世界を脅かす要因に。そして、ヒナタがデュエマをやめる!? 衝撃の番外編、ついに本格始動!
用語集>>10
登場人物紹介>>02
デッキ紹介>>67
デッキ紹介2 >>190
参照1000突破企画:切札紹介 >>114
本編>>247
番外編:強襲の竜神王編
エクストラターン0:キー・メモリアル >>246
エクストラターン1:異変 >>253
エクストラターン2:竜神王 >>254
エクストラターン3:恐怖 >>257
エクストラターン4:狂気 >>258
エクストラターン5:行動開始 >>261
エクストラターン6:デコード >>262
エクストラターン7:ケリを付けろ >>265
エクストラターン8:敗者の条件 >>266
エクストラターン9:急襲、竜神王 >>267
エクストラターン10:決死の特攻 >>268
エクストラターン11:デッド・オア・デッド >>280
エクストラターン12:鬼 >>298
エクストラターン13:暴かれた根源 >>300
エクストラターン14:捨てられたデッキケース >>301
エクストラターン15:ベルフェモール >>304
エクストラターン16:向き合うこと >>305
エクストラターン17:大阪へ >>307
エクストラターン18:咆哮、激震、超克 >>310
エクストラターン19:星として、海に散る >>311
エクストラターン20:絶望への反逆 >>312
エクストラターン21:決戦の舞台へ >>313
エクストラターン22:立ち塞がる無法の皇 >>314
エクストラターン23:激震、インフィニティ・ドロン・ゴー! >>315
エクストラターン24:最後の戦い >>336
エクストラターン25:反逆の一戦 >>337
エクストラターン26:竜神王結合 >>338
エクストラターン27:破壊衝動 >>339
エクストラターン28:絶望と破壊の渦 >>340
エクストラターン29:終焉 >>341
参照3000突破記念!ヒナタへ56の質問
>>176 >>177
短編1:仁義なき戦い(パブリック・エネミー) >>163 >>164
短編2:恋の裏技 >>182 >>185 >>188
短編3:親父の背中 >>206
短編4:恐怖、学園七不思議!? >>281 >>283 >>285 >>289 >>290 >>294 >>295
短編5:探偵パラレル >>306
コラボ番外編
モノクロさん作、デュエル・マスターズMythology
”last smile”
あらすじ:デュエル・マスターズMythologyで活躍中のヒロインキャラ、御船汐。彼女の空白の一年間とは、まさしく鎧竜での一年間のことだった。では、何故彼女はそれを失うことになったのか? そして、記憶と共に彼女が失わなければならなかったものとは。オリキャラによって繋がる2作品の謎が今此処に明かされる。
そして、無法と神々が今、交錯する。
短編のつもりが中編クラスの長さになってしまったこの作品。最後まで必見!
第一話:別れと悲劇はデュエマの後で
>>316 >>317 >>321 >>322
第二話:月夜野シオは彼女なのか?
>>323 >>327 >>328
第三話:神話の使い手
>>329 >>330 >>331 >>332
第四話:そして神話へ
>>335 >>345 >>348 >>349
第五話:”先輩”
>>350
キャラクター裏話
パート1 暁ヒナタ >>293
パート2 黒鳥レン >>299
基本、概存のカードを使用していますが、これからの展開でオリジナルカードを使うかも知れません。ご了承下さい。
なお、クリーチャーの解説などは、以下サイト様から引用させていただいています。
DuelMasters Wiki(デュエルマスターズ ウィキ)様
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.308 )
- 日時: 2014/04/01 02:53
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
ここ数日が異様に長く感じられたモノクロです。もう四月なので、一応は高校三年生ということになりました。
まずヒナタの行方ですが……まあ、身投げ云々は冗談のつもりでしたが、案外ストレートだったというか、結構身近なところにいましたね。ただ、屋上で寝そべって、封李と同じような感覚を有した、というのは良かったと思います。
次に今回の黒幕らしき人物は、オラクルの残党でしたか。《箱庭のイザナイ ベルフェモール》って、なにを光臨させるのやら。箱庭という単語がまたやば気ですね。ベルフェモールというのは……語感的に、七つの大罪などで有名な怠惰を司る悪魔、ベルフェゴールですかね? いやでも、綴りが違うか……ベルフェモールのスペルなんて知りませんが。それでも怠惰って感じとはちょっと違いますね。好色が微妙に合ってるような合ってないような……
ベルフェモールはヨミに封印かなにかされていたようですが、ヨミを皮肉るわりに、やってることはそんなにヨミと変わらないように思えます。ただ、規模は正に宇宙規模ですけど。
全ギャラクシーオラクル化ってことは、全宇宙全惑星をオラクルの支配下に置くみたいな感じですかね。それだけ壮大なことをしでかそうとしているのに、神官や階級一位のカノンなどではなく、階級が第三位のイザナイというのが、いい意味でちぐはぐ感を感じます。
ともあれ、このベルフェモールの動きも要チェックですね。
そして……このタイミングでまた番外を挟むとは思いませんでした。しかも、内容がパラレル世界でデュエマが関係ないという……
確かに怪盗は普通の盗人と違って、「魅せる」ことを重視していると聞きますね。自分の能力をアピールすることにやりがいを感じているだとかなんとか。実際、盗む物品そのものはあまり関係ないらしいです。たとえるなら、スポーツにおける試合の結果より、試合中のプレイングを観客に見せることが目的、みたいな感じでしょうか? それを踏まえたオチの付け方は、上手いと思います。
しかし、19世紀のロンドンに同人誌って……いやまあ、会社という枠に囚われず発行した雑誌という意味で言えば、その時代にもありますけども……
ところで、タクさんは作品を執筆する時、なにか意識することとかはあるでしょうか?
『デュエル・マスターズ Mythology』のスピンオフ作品の執筆をそろそろ開始しようかと思っているのですが、モノクロの悪い癖で、どうしても色々と書き込みすぎてしまうんですよ。
ただ、一応そちらは息抜きがてらに執筆するつもりなので、もっと文章量を削ってさくさく進むようにしたいので、今の書き方と合わなくて……
息抜きの作品で頭を悩ませるという本末転倒な事態が発生してしまっているのですが、前置きでここまでぐだぐだと述べている時点で、モノクロの冗長さは理解してくださると思います。
タクさんの作品は、文がそれほど多くないのに話の流れや展開が理解できるので、そんな風にもっと文章をコンパクトにまとめたいのです。
なので意識して書いていることや、逆に普通に執筆するしている時はどういう風に執筆しているか、というのをお尋ねしたいです。
押し付けがましい質問なのですが、些細なことでも、よろしければ教えてください。
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.309 )
- 日時: 2014/04/01 21:52
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
モノクロさん
コメントありがとうございます。最近、デュエマの大会で優勝しました。嘘です。今日エイプリルフールなのに、ネタが思いつかなかったという……。
今回、この辺の展開は自分でも行き当たりばったりなのですがね。ストレートと言えばストレートだったでしょう。よく、高いところに行くと嫌なことを忘れられるとはいいますがね。
あれ? でも自分で書いててアレなんですが、ヒナタって高所恐怖症だった気が……まあいいか。
因みにベルフェモールの野望は、ベ○ーとも全ギャラクシーツ○ル計画とは何の関係もないので。はい。
……というのは置いておいて、やはりベルフェゴールから来ているところはあります。ただ、これだと少々硬い感じがあったので、変化させたわけですね。結構、名前って登場人物のイメージ固めますし。
そして、彼女は危険な特徴を持った故にヨミに目を付けられて封印されることになります。特徴というか、能力ですね。
後、番外編の短編はアレです。思いついたネタをそのまま書いただけなので。
やっぱり、間にギャグを挟むとリフレッシュできます、はい。最近シリアス多めなので。
というわけで、本題です。作品を書くときに意識しているところ、字数少なめでコンパクトに書く方法ですか? というか、今まで特に意識していたわけではないんですよね。
まあ、強いて言うならば地の文を極力登場人物の動作や背景描写などに抑えることですかね。
まあ、自分でも良く分からないので、こんなので力になれるか分かりませんが、スピンオフ作品の執筆、がんばってください。
それでは、また。
- エクストラターン18:咆哮、激震、超克 ( No.310 )
- 日時: 2014/04/04 18:19
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
戦いは熾烈を極めた、が。
「《暴走龍 5000GT》でダイレクトアタック!!」
と、楽々勝ってしまった。数では圧倒されていたが、やはり弱い。
すぐさま、現実空間に戻る。
「終わったか!?」
「ええ、こっちもですー」
全員の無事を確認しあって、とりあえずこの場は切り抜けたと思われた。
切り抜けたと思われた、のだが。
「おい、ヒナタ! おんし、あれをよく見てみぃ!! 滅茶苦茶デカイクリーチャーが!!」
「はぁぁ!?」
1体の巨大なクリーチャーの姿。
デュエルが終わった他の面々もその姿をしかと目にする。
巨人だ。
武器を構えた白い巨人。
特に、動揺していたのはフジだった。
「《マキシマム・ザ・マックス》!? お前なのか!?」
『ぐおああああ!!』
吼えた。そして、一気に襲い掛かる。
「どうして! フジ先輩、アンタの言ってるそのカードは、しっかりとデッキに------------」
「俺達はかつて、実体化して意思を持つカード、通称”リアルカード”を所持していた。それはライオネルがあけた大穴の所為なのだがな。そして、ライオネルとの戦いが終わると同時に奴らは超獣界へ帰っていったんだ。分身であるカードを残してな」
俺には分かる。ヒナタはそれを聞いて、漏らした。
「あの……先輩、全然話が掴めないっていうか、俺その話聞いていないっていうか……」
「あー、うるせーうるせー」
フジは苛立ちながらも、返す。
だが、と続けた。
「俺は鬼だ。だから、例えかつての仲間だろうが、親友だろうが、相棒だろうが、立ち塞がるならば徹底的に叩き潰す」
そう言って、マキシマム・ザ・マックスに向かってデッキを向けた。
黒い靄が、2人を包んだ。
それに------------と途端呟く。
「ヤツが俺の敵になろうとも、俺のデッキにはヤツのカードがある。ヤツが俺に託してくれた魂(カード)がな」
その言葉が、聞こえるか聞こえないかのうちにフジの姿は消えていった。
「フジ先輩……よく分かんねえけど、どっちにしたって仲間と傷つけあうなんて……哀しすぎるよ……」
ヒナタの言葉が届く前に。
***
「貴様……、今喋ったのか?」
4年前。初めて、《マキシマム・ザ・マックス》を手にしたときのことだった。本来なら、もう何枚か積むつもりだったこのカードをシングルで購入した際、このカードがふと自分にかたりかけてきたことに気付く。
「一つ問う」
マキシマム・ザ・マックスは響くような低いトーンの声でフジに語りかける。頭の中に直接。
「貴様は、強いのか?」
少し、質問の意図に戸惑ったが、フジはきっぱりと言った。
「ああ、強いぜ」
断言してみせた。仮に今、そうでなくとも
***
フジとマキシマム・ザ・マックスのデュエル。かつての相棒とこうして戦うことになったフジ。
だが、彼の性質上容赦はしない。
「しかし、珍妙だな。確認できた種族は装甲竜(アーマード・ドラゴン)を初めとして、水棲人(リキッド・ピープル)、悪魔(デーモン・コマンド)、天使(エンジェル・コマンド)、獣人(ビースト・フォーク)、その他諸々……」
まるで、統率された1つの軍隊というよりは、御頭によって疎らにかき集められた傭兵団のようだ。
しかし、いずれも目的は同じ。
”人間を喰らい尽くすこと”。
故に、超獣界に帰ったはずの相棒とどうであれ、再会することになったのだが。
「はっ、まあ良い。俺のターンだな」
鼻で笑い、フジは場を見渡した。シールドは自分が5、相手も5。場には誰もいない。しかし、ワンショットキルを本来の使い手とするフジは、一気に形成を立てていく。
「《シンカイタイフーン》召喚で手札と墓地を増やして、ターンエンド!」
「ぐおおおおああああ、《ピクシー・ライフ》使用、マナをブースト。《ガチンコ・ルーレット》でさらにブースト! ガチンコ・ジャッジを貴様に挑む」
向こうも容赦する気等ないらしい。
だが、最後に一言だけ掛けた。
「マキシマム・ザ・マックス……俺様のことを本当に忘れちまったのか?」
僅かな、残された希望に掛けて。
だが。答えは残酷にも-------------
「……誰だ、貴様は」
だった。
そうか。ならば仕方があるまい。
「ガチンコ・ジャッジ発動、我はコスト8の《真実の名 メガパウンダー・マック》」
「コスト8だぁ?」
--------全然スケールが小せえじゃねえか!!
大胆不敵、余裕綽々と言った笑みでフジは山札をめくる。
「俺様が捲ったのは、コスト10の《「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス》だぜ!」
--------俺の、勝ちだ!
マキシマム・ザ・マックスは自身と同じ超獣を封じ込めたカードをみて、少し動揺していたが、すぐに笑みを零した。
「何をほざくか。貴様の切札は山札の下-------------」
「確かにな。俺のターン、《メッサダンジリ・ドラゴン》召喚だ」
ターンエンド。
マキシマム・ザ・マックスのマナは既に7。そして-----------
「呪文、《セブンス・タワー》を使用してメタモーフこみで3枚加速。ターンエンドだ」
「俺のターン、んでもって《クリスタル・メモリー》で山札から1枚を手札に。そして、《怨念怪人ギャスカ》召喚。効果で俺は自分の手札を全部捨てる」
「はっ、自分から死にに急ぐとは愚かだな、貴様!!」
墓地に落ちたのは、《魔龍バベルギヌス》と《マキシマム・ザ・マックス》の2体。
しかし、手札は同時に0枚になってしまった。
マキシマム・ザ・マックスは吼えると、すぐさまクリーチャーを召喚する。
そう、自分自身を。
「呪文、《ミステリー・キューブ》。効果で山札をシャッフルし、最初に捲れたクリーチャーを出す。ふははは、私自身を召喚。そして-------------」
------------呪文、もう一度《ミステリー・キューブ》。
再び現れる巨大な影。緑の箱から現れるは--------
「《永遠のリュウセイ・カイザー》召喚!!」
最悪の権化。(この状況では)スピードアタッカーとなる上にタップインの追加。しかも、このターンで一気にシールドを持っていくつもりだ。
「《マキシマム・ザ・マックス》でワールド・ブレイク!!」
シールドが全て吹っ飛んだ。
しかし。
フジのほうに運は味方したようだった。
「S・トリガー、《スパイラル・ゲート》で《リュウセイ》をバウンスだ!!」
「何!?」
ギリギリのS・トリガー。
とどめを刺しそびれた。
しかも、次はフジのターンだ。そう。準備を完全に整えた、フジのターンだ。
「俺のターン。行くぞ。《インフェルノ・サイン》詠唱!! 効果で墓地からぼちぼちコイツを召喚だぁぁぁ!!」
現れるのは、《魔龍バベルギヌス》。そして、己が身を自ら滅ぼすことで、究極の頂点が現れる。
「制圧し、世界を破壊しつくすゼニスは我が一人!! 怒りのままに咆哮せよ、激震せよ、超克せよ!! 《「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス》召喚!!」
「武」の頂 マキシマム・ザ・マックス P(R) 無色 (10)
クリーチャー:アンノウン/ゼニス 12000+
パワーアタッカー+12000
ワールド・ブレイカー
エターナル・Ω
ついに現れたフジの切札。そして、友情のカード。
本来なら、召喚酔いで動けないところを《メッサダンジリ・ドラゴン》の効果でスピードアタッカーとなっている。
「もう、元には戻らないんだな---------------俺様の《マキシマム・ザ・マックス》で貴様の《マキシマム・ザ・マックス》を攻撃。そして、アタック・チャンス発動。《天頂秘伝 ゼニス・レクイエム》っ! さっき、貴様が割ったシールドが、貴様の首を絞めることとなるのだ!! そして、効果でアンタップ」
バトルに勝ったため、再び起動する《マキシマム・ザ・マックス》そして、その刃はかつての友にして、目下の相手へと向かう!!
「ワールド・ブレイク!!」
シールドが全て吹き飛んだ。
そして--------------
「《メッサダンジリ・ドラゴン》で」
ダイレクトアタック。
衝撃がマキシマム・ザ・マックスに襲い掛かり、消し飛ばした。
刹那-----------彼が直前に手にしていた手札を見る。
シールドから加えられたカードの中には、《ナチュラル・トラップ》の姿が。
憤りを感じた。
直前で、彼は----------マキシマム・ザ・マックスは記憶を取り戻していた。
そして、フジを勝たせるためにわざと----------------
腹が立つ。
ふざけるな。
相棒だったからこそ、全力で自分を潰しに来て欲しかった。
「フジ……すまない。だが、貴様にこの世界を-----------」
「はっ、バカ野朗、んなこと聞いてるんじゃねえよ」
目じりが熱い。
目の前の巨人は、どんどん体が粒子となって消えていく。
「何でッ、何で最後に手を抜いたァーッ!!!」
虚しい叫びと同時に、巨人と空間は消え去った。
- エクストラターン19:星として、海に散る ( No.311 )
- 日時: 2014/04/04 18:58
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
「俺らは今、海戸中央病院にいる。すぐさま、迎えに来い。いいな? 先輩命令だかんな! あ、ちなみに来なかったらフジに頼んでお前のトコの会社潰してもらうわ。またはムチで百叩き。良かったな〜、俺みたいな美男子に苛めてもらえて」
『扱い酷くないですか!? なんていうか、ヒキョウというか。というか、アンタに苛められて喜ぶ豚なんかいないかと』
「安心しろ、今日の俺はドSだ。運が良かったな」
『おい、野生のアナゴの台詞をパクるな。てかよくないですし』
「るっせええええ!! じゃねえと、本当にこの星目テツヤが直々にぶちのめすぞ!!」
テツヤが電話で怒鳴る。連絡先は、ジェイコフが乗っているヘリ。ジェイコフは、「このままオーストラリアに向かう予定だったんですけど」と零したが半脅迫的なテツヤの文句に従うことになった。
「ったく、急に病院から出て行ったからどうしたのかと思ったよ」
「一度-----------光に照らしてみたかったのさ」
カッ、とホイルが反射した。テツヤの最高の相棒、《オプティマス》に。
「アイツがこれを残して超獣界に帰ったときは、少し残念だったがな。あいつは、下僕根性ゲフンゲフン忠実だったからな、俺に」
「おい」
下僕根性という台詞に反応した天川だが、ドSの彼には言っても通用しないか。
「今頃-----------どうしてるのかな」
防波堤の波が一層高くなった。
----------そのとき。大きな魚が海からぬっと姿を現して空中を泳いでくる。
《一角魚》の群れだ。
それだけじゃない。グレートメカオーにサイバーロードなど、水文明の種族を中心に襲ってくる。
「いっ!? 何でクリーチャーが!!」
「テツヤ君、水面をよく見ろ!」
魔方陣が展開されている。そして、中央には大穴。
フジたちは、大穴と呼んでいるが正式名称は-----------
「ディメンジョン・ゲート、だと!? ライオネルをぶっ倒して、事は解決したはずじゃねえのか!!」
「竜神王だね。考えられる可能性としては」
そんな中、一際目立つクリーチャー。
機械の装甲を持ち、ぱっくりと開いた巨大な口を持つクリーチャー。
つまり-----------《常勝ディス・オプティマス》だった。
そして、テツヤは一目見て分かった。
こいつは、自分と戦ってきた相棒だと。
「オプティマス------------? 何故、お前が」
「我が主に従い、貴様を滅する。それが我の役目」
次の瞬間、黒い靄が開かれてテツヤは空間へと誘われた。
「テツヤ、気をつけろ! そいつは敵だ! 君の知ってるオプティマスじゃない!」
「ああ、分かった」
***
「我がターン。呪文のコストを下げる《王機聖者ミル・アーマ》召喚」
王機聖者ミル・アーマ P(C) 光/水文明 (3)
クリーチャー:グレートメカオー/イニシエート 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
自分の呪文を唱えるコストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
※殿堂入り
テツヤとオプティマスのデュエル。テツヤは、相も変わらず”ラララオプティマス”。一方のオプティマスは、ドロマー超次元のデッキのようだった。その証拠に、超次元ゾーンにカードがちらちら。
テツヤの場には、《コートニー》。一方のオプティマスは《ミル・アーマ》を繰り出していた。シールドは互いに5枚。
「俺のターン。行くぞ、《アマテラス》を召喚して《ノーブル・エンフォーサー》をジェネレート!」
「我がターン、《超次元ミカド・ホール》で《ヴォルグ・サンダー》召喚」
山札が削られる。今ので、5枚ほどテツヤはデッキを削られた。
「ターンエンド」
「へっ、良いのかよ! そんな悠長にしていてよ! たとえ、お前がかつての相棒だろうが、ここで倒す! 俺のターン、行くぜ」
と、カードを引いた途端だった。激痛が頭を襲う。
脳腫瘍の症状がここで出てくるとは思わなかったようだ。
(いってぇ、目の前がぼやけてやがる)
しかし、意識だけは確かに持ってプレイングを進める。
「《オプティマス》召喚ッ、さあ行くぜ。ループ開始だ! 《ラララ・ライフ》と《オプティマス》のコンボで、無限ループを開始して山札が2枚になるまで、加速するぜ! んでもって、《iFormulaX》を召喚して《神々の激流》を使う------------」
残り山札は2枚。しかし、テツヤは余裕綽々といった笑みを浮かべた。
勝った。後はコレで、《ラララ・ライフ》を使ってから《ドンドン打つべしナウ》を打てばいい。
が-------------ない。さっき、使おうと思っていた《神々の激流》が無い。
目を擦る。
しかし、見当たらないのである。
「あれ----------?」
このとき、ようやくテツヤは悟った。
自分の脳腫瘍はとうとう、自分の感覚と思考を蝕むほどに肥大していたことを。
よくよく考えてみれば、《神々の激流》を使ってしまえば、マナのカードが全て無くなる。
《ラララ・ライフ》でマナの補完は出来ても、次に自然のカードが来るかどうかは分からないのに。
未遂とはいえ、”順序”の間違い。
プレイングミス。
普通のテツヤなら考えられない。
「おかしい、おかしすぎる……はは、傑作だぜ、俺の慢心がここでおれ自身を締めることになるとは」
そして、墓地を見た。
そこには、デッキに2枚しか刺していないはずの《神々の激流》が2枚とも落ちていた。
さっきの《ヴォルグ・サンダー》の効果だ。
「はっ、ふざけるな」
だが、こんなこともあろうかと。殴る勝ち方を見出すために、マナは沢山チャージしたのだ。
そして、手札には、それが可能なカードが沢山ある。序盤のサーチによって。
「《ボルバルザーク・エクス》に《永遠のリュウセイ・カイザー》召喚!! スピードアタッカーと化した俺の軍勢で、一斉攻撃だ!」
しかし、《永遠のリュウセイ・カイザー》を初めとするテツヤの攻撃を、オプティマスは受ける様子がない。
シールドが2枚、吹っ飛ばされた。
しかし、それは光の粒と共にオプティマスの下に集結した。
「貴様の戦法-----------ラララオプティマスは、山札を消費する。《神々の激流》を落とせば、貴様は今度、大量に増やしたマナで一斉攻撃を仕掛けてくると思った。まさか、貴様自身がミスプレイするとは思わなかったが」
「はっ、バカ言え。そのS・トリガーが何なのか答えてからほざけよ」
「S・トリガー、《転生プログラム》だ」
破壊された。《オプティマス》が一瞬にして。そして、進化ではないクリーチャーが出るまで、山札が捲られていく。
そして-------------現れた。再び《オプティマス》が。
テツヤの希望といえたカードが。
だが、同時にテツヤの山札も消えていたのだった。
空間の消滅と共に。
そして、衝撃波を食らうテツヤは、もう何も考えられはしなかった。
- エクストラターン20:絶望への反逆 ( No.312 )
- 日時: 2014/04/12 20:46
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
「ウム……我は一体、何をしていたのだぁ……」
半身が消えかかっている巨人は起き上がった。目の前には、見覚えのある少年の姿。少し、膨れっ面気味ではあったが。
「フジ……迷惑を掛けてすまなかったな」
申し訳なさそうに、マキシマム・ザ・マックスは呟いた。
しかし、フジの拳は震えている。
そして、一喝した。
「この大馬鹿野郎がッ!!」
その場に居た全員が、ビリビリと電撃の如く肌が痺れるような感覚を覚えた。
フジの表情は、怒りそのもの------------と思われた。
が、違った。
-----------泣いている?
だが、必死に堪えていた。涙が溢れるのを。
相棒とこんな形で会ってしまったという、複雑な心境は喜びとも怒りとも悲しみともとれなかった。
「勝負云々の問題だけじゃねえ!! マックス、お前は何でこんなことになるまで俺を頼らなかったんだ!! 何で、貴様のようなヤツが、竜神王の犬になっているんだ!!」
「……すまん」
巨人は一度、頷くとすぐにフジが手に持っているカードの中に、吸い込まれたかのように消えた。
直後、声が響く。
「カードの中からで済まぬ。だが、人間界ではこの中のほうが力を使わずに済むからな」
それに、今の状態で外に出たままでは消滅してしまっていただろう。
「いや、もう俺らは慣れてるから……」
ヒナタは、辟易したかのように言った。
「カナデも久しいな。シントとテツヤも元気か?」
「はいです。 あたしは皆とは別の中学に行っちゃったけど、文通で元気なのは知ってます!」
「マックス。話は飛行機の中で聞く。今は休め」
そして、フジはヒナタ達の方に向き直ると、言った。
「お前ら、飛行機に入れ。多分、もう襲ってくるクリーチャーはいないだろうよ」
「あ、待ってくださいよっ!」
こうして、大阪での一件は幕を閉じたのだった。
***
空を飛んでいる中、ようやく自己紹介となった。
耳がキリキリ痛むヒナタであったが。
「改めて、紹介しておく。水澤カナデ、聖(セント)羽衣決闘学院の三年生。彼女の映像編集に解析、データ収集の技術は非常に高い。皆、よろしく頼む」
「はいっ! 皆さん、よろしくおねがいしますねっ!」
健気に振舞う彼女。
さて、ここからが問題だ。
カナデはノートパソコンをプロジェクタに接続して、壁に投影する。
と、画像が出てきた。
そして、照明が消えてはっきりと見えるようになる。
「見ててください、この画像には竜神王---------------それも、アングバット・アンカラゴンがオーストラリアのキャンベラ街を襲っているシーンをニュース中継した映像なんですけど……」
大口を開けて、人々を喰らっている姿が確認できる。
胸糞が悪い。
ヒナタは、反吐が出るかと思った。
リョウが喰らわれたときの事を思い出したのだ。
「ったく、閉じてください! こんな映像がどうかしたって言うんすか!」
「どうかするんですよね〜それが」
カナデは、もったいぶるかのように言った。
「食べられちゃった人々に、”助かる見込み”がある可能性が見出せたんですから」
全員に衝撃が走った。
-------------助かる? リョウが? 食べられちまった人たちが?
ヒナタはカナデに向かって突撃していく。
「本当なんですかっ! じゃあ、早く方法を!」
「わっわっ! 揺らさないでくださいよぉ!」
しかし--------と彼女は続けた。
「方法が見つかった、というのではなくって、あくまでも食べられた人々が死んでいないというだけです。この画像を見てください」
拡大すると同時に、画像も鮮明になっていく。彼女の編集技術のおかげだろう。アンカラゴンの腹部に迫った。そこにはガラスの如く透き通ったようなパーツがある。
凝視するヒナタとコトハ。
すると----------その部分に人の顔が見えた気がした。
思わず、コトハは仰け反った。
「あ、あの……これって……」
「よくやったな、カナデ。その件についてはマックスが既に知っているとの事だ」
フジがしゃしゃり出てきた。
それを聞くと、落胆するカナデ。
「ふぇ!? あたしの映像解析、もしかして意味無かったんですかぁ!?」
「まあ、待て。頼むぞマックス」
ああ、と答えてカードの中の巨人は喋り始めた。
「長くなるから、覚悟しておけ。トイレには行ったか? つーか、下等なお前らに理解できるかどうか分からんが」
『今更上から目線キャラを作ろうとすんなバカ』
このとき、初めて全員の台詞が一致したのだった。
***
-----------古来------------竜神王とは、あらゆる宇宙を管理する絶対にして聖なる存在として崇められていた。
ここで言う宇宙とは、パラレルワールドのことだ。
例えば、ある宇宙の地球にはデュエマが存在するが、ある宇宙の地球にはデュエマがなかったりもする。そして、ある宇宙には地球すら存在しない、なんてこともある。
お前達が知っているアウトレイジやオラクルなんかも、我々から見れば未来のクリーチャーだ。しかし、過去・未来構わずあらゆるクリーチャーが存在する世界がある。それが超獣界。異なる時間が1つの空間に存在する、きわめて珍しい世界なのだ。
話がずれたな。
それら全ての宇宙を管理しているのが竜神王だ。
とは言え、全宇宙に一度に力を及ぼすほど竜神王の力は高くない。あくまでも、奴らの持つ8つの目が全ての宇宙の光景を見渡すことが出来るというだけだ。
しかし、そこに宇宙の秩序を乱すような事件があれば、すぐさま駆けつけて沈静させるだけの力は持っている。
竜の持つ”力”。
神の持つ”権力”。
この2つを併せ持つのが、竜神王だ。
さて、ここからはリキッド・ピープル共のアカデミーを脅して聞き……いや、何でもない。受け売りなんだがな。
竜神王は昔、1つのクリーチャーを封じ込めた。
その名も、《邪念因子》。宇宙を再び無に帰して作り変えようとしたとんでもないヤツ-------------いや、正確に言えばあらゆる悪意やマイナス感情の集合体が、具現化したクリーチャーだ。
それを、竜神王は封じ込めた。
己の体の中にな。
今度の黒幕は、竜神王を何らかの方法で操っているんだ。
そして、この宇宙で最も歪んだ感情を持つ生命体----------人間の絶望の感情を喰らうことで蓄積させて、《邪念因子》を復活させようという魂胆だろう。
絶望が限界まで蓄積したヤツは今、反乱分子を皆殺しにするために、超獣界の穴をこの世界に繋いだ。そして、洗脳の催眠を掛けて、俺達を送り込んだって訳だ。
ちなみに、竜神王は、喰らった者を”元の形”でフリーズさせる能力を持っている。邪念因子も同じような要領で封印された。だから、中に居る連中は無事だろう。
さて、今回の一件は何が何でも阻止しなければならない。
さもなきゃ、全宇宙はお終いだ---------------。
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