二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ 0・メモリー 堂々完結
- 日時: 2014/12/07 13:44
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: oLjmDXls)
【読者の皆様へ】
初めまして、二次などで創作を行っている、タクと申します。この度はデュエル・マスターズ 0・メモリー、完全に完結しました! 今まで皆さん、応援ありがとうございました。続編、デュエル・マスターズ D・ステラも応援よろしくお願いします!
【番外編あらすじ】
教団の脅威は去ったはずだった。教団の神官、バラモンとデトロイトによって呼びこされた2人の無法の覇者、そして竜神王。しかし、それはやがて世界を脅かす要因に。そして、ヒナタがデュエマをやめる!? 衝撃の番外編、ついに本格始動!
用語集>>10
登場人物紹介>>02
デッキ紹介>>67
デッキ紹介2 >>190
参照1000突破企画:切札紹介 >>114
本編>>247
番外編:強襲の竜神王編
エクストラターン0:キー・メモリアル >>246
エクストラターン1:異変 >>253
エクストラターン2:竜神王 >>254
エクストラターン3:恐怖 >>257
エクストラターン4:狂気 >>258
エクストラターン5:行動開始 >>261
エクストラターン6:デコード >>262
エクストラターン7:ケリを付けろ >>265
エクストラターン8:敗者の条件 >>266
エクストラターン9:急襲、竜神王 >>267
エクストラターン10:決死の特攻 >>268
エクストラターン11:デッド・オア・デッド >>280
エクストラターン12:鬼 >>298
エクストラターン13:暴かれた根源 >>300
エクストラターン14:捨てられたデッキケース >>301
エクストラターン15:ベルフェモール >>304
エクストラターン16:向き合うこと >>305
エクストラターン17:大阪へ >>307
エクストラターン18:咆哮、激震、超克 >>310
エクストラターン19:星として、海に散る >>311
エクストラターン20:絶望への反逆 >>312
エクストラターン21:決戦の舞台へ >>313
エクストラターン22:立ち塞がる無法の皇 >>314
エクストラターン23:激震、インフィニティ・ドロン・ゴー! >>315
エクストラターン24:最後の戦い >>336
エクストラターン25:反逆の一戦 >>337
エクストラターン26:竜神王結合 >>338
エクストラターン27:破壊衝動 >>339
エクストラターン28:絶望と破壊の渦 >>340
エクストラターン29:終焉 >>341
参照3000突破記念!ヒナタへ56の質問
>>176 >>177
短編1:仁義なき戦い(パブリック・エネミー) >>163 >>164
短編2:恋の裏技 >>182 >>185 >>188
短編3:親父の背中 >>206
短編4:恐怖、学園七不思議!? >>281 >>283 >>285 >>289 >>290 >>294 >>295
短編5:探偵パラレル >>306
コラボ番外編
モノクロさん作、デュエル・マスターズMythology
”last smile”
あらすじ:デュエル・マスターズMythologyで活躍中のヒロインキャラ、御船汐。彼女の空白の一年間とは、まさしく鎧竜での一年間のことだった。では、何故彼女はそれを失うことになったのか? そして、記憶と共に彼女が失わなければならなかったものとは。オリキャラによって繋がる2作品の謎が今此処に明かされる。
そして、無法と神々が今、交錯する。
短編のつもりが中編クラスの長さになってしまったこの作品。最後まで必見!
第一話:別れと悲劇はデュエマの後で
>>316 >>317 >>321 >>322
第二話:月夜野シオは彼女なのか?
>>323 >>327 >>328
第三話:神話の使い手
>>329 >>330 >>331 >>332
第四話:そして神話へ
>>335 >>345 >>348 >>349
第五話:”先輩”
>>350
キャラクター裏話
パート1 暁ヒナタ >>293
パート2 黒鳥レン >>299
基本、概存のカードを使用していますが、これからの展開でオリジナルカードを使うかも知れません。ご了承下さい。
なお、クリーチャーの解説などは、以下サイト様から引用させていただいています。
DuelMasters Wiki(デュエルマスターズ ウィキ)様
- エクストラターン4:狂気 ( No.258 )
- 日時: 2014/02/20 21:24
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「な、《ムシュフシュ》がいない!?」
レンは辺りを見回した。しかし、もう何も居なかった。
すかさず、コトハが助言する。
「どこかに呼び出された……いや、召喚されたってこと?」
「はぁ、だとすればこいつを必要とする誰かが奴を呼び出したってことか?」
「同感です。でも、今はヒナタ先輩を探すのが先決だと思うです」
シオは至極もっともなことを言う。
「……ヒナタのこと、忘れてた」
「だとすれば先輩は、とんでもないお馬鹿さんですね」
ぐさりと刺さる言葉。久々のシオの毒舌である。
「なっ!?」
「今の記憶障害の上に、貧乳フェチ、そして大量の《逆転王女 プリン》のカードを隠し持っている上に、それを毎日飽きずに頬ずりしているといるらしいですね」
「な、なぁー!? 何で知っているんだ!? てか、記憶障害って何!?」
「オーロラがね、この間撮って来ちゃったんだ♪」
ばっちり証拠の写真を見せ付けるコトハ。意気消沈、と言った様子でへたり込むレン。
そして、シオはコトハの陰に隠れながらとどめの一言。
「変趣味の上に馬鹿が重なるとは……先輩はとんだ変体さんですね。見損なったです。しばらく私に近づかないで欲しいです」
次の瞬間、レンは光の矢に胸を打ちぬかれた感覚と同時にアスファルトの上へ倒れた。
シオに悪意は無いだろう。毒舌は最早彼女からは切っても切れないものだ。
毎晩そんな趣味を隠し持っていたレンもどうかと思うが、それを暴露するオーロラとコトハもどうか……。
***
「ギッシャアアアア!!」
咆哮を上げる四柱神。四つの首がそれぞれうねっている。
「《ツメイ・ゴルニッヒ》は他の竜神王の数だけ、相手のパワーを−2000……つまり、合計−6000のパワーダウンを永続的に行う、ターンエンドだ!」
とてつもない状況になってしまった。これでは、弱小クリーチャーを出せても、すぐに破壊されてしまうのだ。
しかも、竜神王のパワーは合計15000。ぞっとしないほどである。
「だけど、まだまだだ! 俺のターン、《スクランブル・タイフーン》で5枚を墓地へ!」
墓地の中には、《キューブリック》の姿が。
「よしっ、水マナの数が3枚以上あるから、墓地に落ちた《疾封怒闘 キューブリック》の効果で竜神王をバウンス!」
「貴様に出来るのか、それが」
「は?」
墓地から一時的に現れたキューブリックは、今にも竜神王に掴みかからん勢いで突っ込んでいく。
しかし、次の瞬間、竜神王の前に1人の少女の姿が現れる。
刹那、それを目にした途端、ヒナタは咄嗟に叫んだ。
「《キューブリック》、止まれ!」
《キューブリック》はその声にしたがって止まり、そのまま墓地へと還った。
『ア、アホ、何やっとるんっちゃ!』
墓地から、ドラポンの怒鳴る声が聞こえる。
「ほほう? 幾ら貴様といえども、非常になりきれないようだな。彼女のことを知っているだろう?」
覚えていないわけが無かった。
「ナナ……!!」
檜山ナナカ。数年前、事故で死んだヒナタの呪縛とも言える存在。ヒナタは、自分が傍に居なかったせいで彼女が死んだと思っており、自分を責め続けていた。
「どうした? 我に服従すると誓えば、彼女の魂を開放し、現世に生きとして生けるものとして復活させることも出来るのだぞ?」
「ふざけるな、てめーはそうやって俺を惑わせるつもりだろ!」
『ヒナタ……』
声が聞こえた。か細い声、だが確かに。何も変わっていない。
確実に、彼女のものと分かった。
「良いのだな?」
直後、ガルグイユの腕が彼女の霊体に伸びた。
「や、やめろ……!!」
しかし、指は一本、また一本と彼女の体に絡みつく。鎖で縛られた彼女には、悲鳴を上げてすすり泣くことしか出来ない。
その声の1つ1つがヒナタの心を乱す。
「やめろ、やめてくれ!! ナナを離せ!!」
ガルグイユは一気に腕に力を入れた。
そして直後。
暗い空間に、断末魔が響き渡った。
何かがはじけ飛ぶ生々しい音と同時に。
何かが。彼女と過ごした何かもの思い出が頭をよぎる。目をよぎる。
彼女と幾度と無く交わしたデュエル、護ってもらった思い出……そして、棺の中で見た彼女の変わり果てた姿。
全部が、爆ぜた。
「うっ、うわあああああああああああ!!!!!」
ただただ、叫ぶしかない。
滅茶苦茶だった。
何もかもが狂ってしまった。彼の中で。
「うわああっ、うわああっ、うわああああああ!! ナナッ、ナナッ、うわああああああ!!!」
『落ち着け、ヒナタ! タダの幻影っちゃ!』
しかし。今のヒナタがそれを聞き入れるわけも無く。
「あああああああああ!! 《ドラポン》! 《天災超邪 クロスファイア2nd》! 《暴走龍 5000GT》ィィィ!!」
手札にあったクリーチャーを、滅茶苦茶に召喚する。
プレイが乱れている。
精神が正常ではない。
最早、くるってしまった。
顔は、笑ってさえ居なかった。
《5000GT》の効果で破壊された《ドラポン》は、新たな姿へと次元を超えて変化する。
『《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》、参上!!』
すかさず、ヒナタに声をかける。
『落ち着け、ヒナタ! 相手は神だぞ!!』
「うっ、うわああああ!!」
全てのカードをタップする。その矛先は、全て竜神王へ。
怒り、悲しみ、混沌とした負の感情が、全て仇敵へと向かった。
しかし、パワーで敵うわけが無い。
全て、破壊されてしまった。
「ああああああああ!!」
無残にも倒されて紅い粒子となって消えていくクリーチャー。その光景が、一層ヒナタの心を掻き乱した。
「感じる……感じるぞ、貴様の負のエネルギーが!!」
虚しくも。声が枯れてヒナタはもう叫べなかった。
そして、ずっと竜神王のターンだ。
「我々でダイレクトアタック!!」
次の瞬間、無数の紫電がヒナタを貫いた。
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.259 )
- 日時: 2014/02/20 21:23
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: fExWvc7P)
タク
久しぶり!
レッドだけど、覚えてるかな?
しばらく見ない間に進んでてビックリした!
完結おめでとう!
お疲れ、よく頑張ったね!!(≧∇≦)
- Re: デュエル・マスターズ 0・メモリー 番外編 ( No.260 )
- 日時: 2014/02/20 23:08
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
レッドさん
久しぶりです!コメントありがとうございます!
いや〜、長いようで短かったような……ようやく完結できましたよ。
応援、これからもよろしくお願いします!
それでは、また!
- エクストラターン5:行動開始 ( No.261 )
- 日時: 2014/02/21 01:34
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「先輩!」
「ヒナタ、大丈夫か? 起きろ!」
「ちょっと、救急車呼ぶわよ、良い!?」
仲間の声が聞こえる。だけど、ヒナタには関係なかった。何もかもが雑音としか捕らえられない。
光が、4つに分かれて消えていくのだけは分かった。
***
気付けば、既に午後6時だった。
武闘ビル。かの有名な大型グループ、武闘財閥の所有する最大大型建設物。内部には、武闘財閥の本社だけではなく、ショッピングモールなども設置されているが、今は関係ないので割愛する。
その中でも、1つ孤立した一部屋がある。小さな書斎、と言ったような部屋で、中には白く脱色した髪の少年、武闘フジの姿があった。彼は、パソコンと睨めっこをさっきからずっと続けていた。
その傍らに黒髪をストレートに伸ばした少年、星目テツヤはその画面の映像に見入っていた。
「《マントラ教皇 バラモン》。こいつが元凶と言っても過言じゃねえ」
フジは画像を拡大した。銀行強盗事件の際、浮かんでいる2つの影。そのうちの1つを指差して言った。
テツヤはコーヒーを飲むとフジに向かって語りかける。
「傍迷惑な話だ。こいつが竜神王の封印を、0・メモリー使って解いちまったんだろ? アレは消滅したかと思っていたんだが。挙句の果てには、鍵に封印されていた《無限皇》と《不死帝》を引きずり出して、自分の犬にしちまいやがった、て訳だな」
「ああ、あとコッチ。《神聖鬼 デトロイト・テクノ》だ。途中から、生命反応が消えた辺り、どうやら死んだらしい」
「じゃあ、残りはバラモンと竜神王達、そして解禁された無法者だな」
「しかし……」とテツヤは遮った。
「この実体化するクリーチャー共は、一体何者なんだ? 何故、俺達の世界に存在するカードゲームにあるクリーチャーと同じ姿、同じ設定で出てくる?」
「俺は-------------」
フジは少し間をおいて答える。
「奴らが、パラレルワールドから来たと考えてる。アウトレイジや0・メモリーを含めてな」
「何だ、そりゃ。いよいよSFみたくなってきたぞ?」
「簡単だ。こっちの次元じゃ、クリーチャーはカードの中にしか本来は存在できねえ。だが、奴らが元居た次元じゃクリーチャーの物語が背景ストーリーの通りに繰り広げられている。0・メモリーは大方向こうの世界から来た、ってことだ」
要するに、同じ時間を流れる別の空間の宇宙から彼らはやってきた、ということになる。
クリーチャーが存在しないこの世界に、クリーチャーが存在する世界からやってきたのだ。
「問題は、何故連中がこの世界にやってきたか、だ。この竜神王だが、どのパックにも収録されていねえ。つまり、奴らが教団を初めとするクリーチャーとは全く違う、異端の存在だということだ」
「異端……成る程、似たような例に神話の神を模したカードがあるという風のうわさだけは聞いたことがある。ま、真偽は問わないとして、その竜神王が、そもそもの元凶って言いたいのか?」
「ご名答」
フジは淡々と続けた。
「って言いたいが、あくまで推測だ。俺は竜神王に次元の壁をぶち破る程の力があったとすれば、全て辻褄があうと考えた」
「へえ? 根拠は」
「あるさ。今、ヒナタ達が合宿行ってる常磐山に竜神王と思われるクリーチャーの反応があった。その際、時空のひずみが著しく起こった。これだけじゃ、まだアレだ。だけど何より、時空のひずみを起こせるだけの力を持ってるんだ。本気を出せば、俺が考えている以上の事だってやってのけるかも、だぜ」
その時だった。書斎の電話に、一通の着信が。フジはすぐさまそれをとった。
「はい、武闘ですが……嗚呼、コトハか。何? ヒナタがやられた!?」
***
暁ヒナタは、死んだも同然だった。
確かに息はしているし、体はまだ鼓動を刻み続けている。
だけど、目はぼんやりと虚空を見つめており、目の前に居る何もかもを受け付けることは無かった。
海戸病院にすぐに搬送された彼の容態は、あまり良くなかった。
「ヒナタ……」
ドラポンは哀しそうに彼の顔を覗いた。だが、ヒナタは何も言わないし、何もしなかった。
「おんしのバカッ!!」
そういって、銃身でヒナタの頭を小突く。だけど、いつものように啖呵を切ってくることも無かった。
「……ドラポン」
オーロラの姿があった。ヒナタも心配だ。だが、それを憂うドラポンもまた、心配だった。
「ヒナタは大丈夫だよ」
そういって、ぎゅっとドラポンを抱きしめる。ほんのりとドラポンはオーロラの温かさが伝わってきた。肌を通して。
「おだんには、他に組むデュエリストなんかおらん。ヒナタが駄目になったら、おだんは誰と組んだらいいん!?」
「今は、信じようよ」
ドラポンは、泣きたかった。いや、現に涙が溢れて来る。寸前でこらえる。
「今は、ヒナタを信じよう?」
「あ、嗚呼……」
「泣きたいなら、泣いて良いんだよ? だいじょうぶ。あたしたちがついてる」
気づいた時には、大粒の涙が視界いっぱいに広がっていた。ただただ泣くことしか出来なかった。だけど、その後彼は嫌な気持ちが皆流れてしまっていることに気付いた。
***
「竜神王は、リンクした後。再び世界中に散ったようです」
星目テツヤは先輩、零皇崎 封李にこれまでの経緯を話していた。
ヒナタが倒されたことも含めて、だ。
そして、竜神王の反応がバラバラに散って、消えたことも話した。
「なーるほどね。奴らのリンクはまだ完全じゃねえらしい。しかも、リンクには途方も無いエネルギーが必要だから、当分は単独で動いてるんじゃねえか? 一回割ったりんごがなかなか元に戻せないのと同じだぜ?」
「教団のゴッド・ノヴァは何度もリンクを繰り返していましたが?」
「アレはな、言うなれば一時的にノリでくっつけたようなもんだ。だから、リンクの解除は簡単に出来る。教団の神と竜神王は完全な別物だ。竜神王は元々は1つの存在だったらしいからな。ああ、コレ全部カツドンから聞いた」
封李は得意げに話す。テツヤは1つ聞いた。
「はぁ、にしても何故竜神王はヒナタを狙ったんでしょうか?」
「さあな。それより……そろそろアイツの出番だな」
「はい?」
そこに、1つの足音が加わる。思わず、テツヤは振り向いた。
「お前は二年の……!」
- エクストラターン6:デコード ( No.262 )
- 日時: 2014/02/21 09:04
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
***
「ヒナタの奴、全く何も食わないからとうとう栄養剤点滴することになったらしい」
「……一体何があったの……? たぶん、竜神王の片割れにやられたとは思うんだけど……」
コトハも普段の明るい表情に、陰りを見せていた。
「だけど今の僕たちがやるべきことは……竜神王の行方を追うこと、だ」
「ええ、どうやらフジ先輩が調べているみたいだから、手伝いに行きましょ」
「ですです」
シオも同意のようだった。
ノートパソコンを持ってきたフジは、現在待合室にいるらしい。
すると、病室からオーロラとドラポンが飛び出てくる。
「ああ、お前ら。取り敢えず、カードに戻っておけ」
「おうっ!」
「わかった!」
2人は即座にカードに戻る。ドラポンは、レンが預かることにした。
直後、レンは何かを感じ取ったかのように、《破界の右手 スミス》のカードを掴む。
「さて、スミス。まずは……さっきから立ち聞きしてる愚純な奴をぶちのめしてやれ!!」
次の瞬間、スミスは実体化して虚空を切り裂いた。
「やっぱりお前か……!」
スミスは歯軋りする。
掠った。
直後、空間が歪んで、その愚純な輩の姿が露になる。
見れば、神官のような風貌の男、しかし筋肉に覆われたその厳つい見た目は、どちらかというとパワーファイターのようだった。
「《マントラ教皇 バラモン》! やはり、貴様だったか」
「先輩、やはりさっきから感じていた異様な殺気は、こいつの仕業ですか」
「えっ? そうなの?」
コトハ1人が浮いていた。珍しく。
「ほほう? お見通しか。黒鳥レン……」
「テツヤ先輩から電話で聞いたが、貴様が今回の事件の黒幕らしいな……!」
「左様。ならば、ここで消えてもらうぞ……!」
次の瞬間、黒い靄が現れる。レンはその中に入っていく。
「先輩、これを使ってください」
次の瞬間、カードが投げられた。見れば、《ブータン》のカード。
「一体?」
と、レンが手に取ったそのときだった。《ブータン》が白く変化する。
「オラクルに?」
「やはり、影響を受けましたか……先輩、今回のデュエルではブータンを使って欲しいです」
「……すまない!」
何枚かカードを渡された。そして、レンは急ぎ足で空間へと入っていった。
急いで、デッキの中からカードを抜いて、スペースを作る。
***
レンとバラモンのデュエル。見れば、バラモンは《爆裂のイザナイ ダイダラ》に《マントラのイザナイ カリーナ》等を使っているのを見れば、オラクルの種族デッキにフレイム・コマンドを組み合わせたものであることは間違いないだろう。
一方のレンは、今まで通りゼロビートで通していた。しかし、今回は水の手札補充とS・トリガーを少し積んでいる様子だった。レンの場には、いつも通り《墓地の守護者 メガギョロン》がいた。
「僕のターン、《神豚 ブータンPOP》召喚だ」
『ブー、どうせならシオちゃんと一緒が良かったブー。ていうか、俺様ひょっとしてカッコ良くなってるブー!?』
神(シェン)豚(トン) ブータンPOP(ポップ) UC 無色 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX/オラクル 4000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から3枚を見てもよい。そうした場合、そのうちの1枚を自分の手札に加え、残りを墓地に置く。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《神豚》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《神》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
「調子に乗るな。さもなければ、お前の実家をメンチカツ家にするぞ」
『か、勘弁ブー!!』
現れたのは、白くオラクルとしての力を併せ持った、新たな《ブータン》。その能力は、アタックトリガーで墓地肥やしを行うこと。
「ふはは、我がターン。我が分身、《マントラ教皇 バラモン》をこの手で召喚!」
マントラ教皇 バラモン VR 光文明 (7)
クリーチャー:オラクル 8000+
W・ブレイカー
バトルゾーンにある自分の他のオラクル1体につき、このクリーチャーのパワーは+5000され、シールドをさらに1枚ブレイクする。
このクリーチャーが破壊される時、かわりに自分の他のオラクルを1体、破壊してもよい。
「我が場に、オラクルは他に2体。よって、我はパワー18000のQ・ブレイカーとなる!」
「アニメでは、これの出番なく死んだくせに」
「メタ発言うるさいよ!? ハハハ、さて《カリーナ》でシールドブレイク!」
マントラの中でも、イザナイの力を併せ持つ《カリーナ》が強襲した。シールドを割られて、残り4枚に。さらに、《ダイダラ》の攻撃で3枚になってしまった。
「光臨発動。《最強横綱ツッパリキシ》と《爆走マントラ シラヌイ》を召喚!」
「ふん、僕のターンだ。行くぞ、《ゼロの裏技 ニヤリー・ゲット》を使う。そして、《トンギヌスの槍》に《破界の右手 スミス》を手札へ。さらに、《戦慄のプレリュード》で《スミス》を直接、召喚!」
『任せなァ!! ゼロの未来を、アウトレイジの新たな世界を切り開くのは、このッ俺だァー!!』
次の瞬間、スミスの体が光り輝いているのが分かった。そして、新たな姿へと変わっていくのが分かる。
『《開放する右手 スミス・デコード》!!』
開放する(オープン・オブ・ザ)右手 スミス・デコード 無色 (7)
進化エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 9000
マナ進化-マナゾーンの無色クリーチャー1体の上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに居る限り、他のコスト7以下の無色クリーチャーは召喚酔いしない。
このクリーチャーが攻撃するとき、マナゾーンの呪文を一枚手札に加えてもよい。それがアタック・チャンス呪文だった場合、このクリーチャーが発動条件にあっていれば唱えられる。
自分のほかに、《右手》とあるクリーチャーをバトルゾーンに出すことは出来ない。
現れたのは、新たな《スミス》の姿。その名の通り、無色やバニラクリーチャーの秘められた力を解析(デコード)することで、更なる力を開放するのである。
「……とは言ったが、貴様ァー!! お前がパワーアップしたせいで、コストが増えたな!? マナをさらに2枚タップしなければいけないではないかァー!!」
『お、おいおいそこは突っ込むなよ』
「しかも、マナ進化クリーチャーだと!? マナのカードが一枚減ってしまったァー!!」
『お前、もう好い加減にしろォー!!』
『好い加減、ターンを進めて欲しいぶー』
「「てめーは黙ってろよブタァー!!」」
日頃の行いが悪いからか、ブータンはぼろくそに言われてしょげている。
そろそろバラモンも痺れを切らしたのか、
「好い加減にしろ、まだか?」
「ああ、分かったよ……今から貴様の引導引き渡してやるわァー!! 《スミス・デコード》でW・ブレイク!! アタック・チャンス《黄泉秘伝 トリプル・ゼロ》でシールド、マナ、手札を同時に回復だ」
シールドが二枚、一気に叩き割られた。しかし、
「S・トリガー《デビル・ハンド》で墓地を増やしつつ貴様の《ブータンPOP》を破壊だッ!!」
悪魔の手が《ブータン》へ伸びて貫いた。
と、そのときだ。
「かかったな? 貴様はエグザイルの真の恐ろしさを知らんらしい。だから、思い知らせてやる」
破壊されたブータンが白い粒子で飛び散るのと同時に、再び集結する。
「愚かな反逆者共に告ぐ。貴様ら全員処刑台に並べ。直々にこのゼロの魔王が裁きを下してくれる! 収束せよ、集結せよ! 同志よ、我が元に!! 《神豚槍 ブリティッシュROCK》!!」
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