複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.308 )
日時: 2017/07/13 01:40
名前: 梶原明生 (ID: Xc48IOdp)  

…その声に反応したのか、ゆっくり頭を上げた。「俺だ、高山だ。覚えているだろう、あの時アサルトパックを渡した。」ゆっくり記憶を取り戻したかのように、見る見るうちに涙が溢れ落ちた具志上恵子。「高山さん…」その胸に見えたのはぐったりと首をうなだれて口から血を流す洋介の変わり果てた姿だった。「どうしてだーっ。健一、ナツ、洋介、何でお前達が。」間伐入れず、例の少尉が割って入る。「何をうろたえておる。当たり前だ。子供は泣き声をあげる。米兵に気づかれてはならぬから、わしらが首を絞めて始末した。それの何が悪い。わしらは半島から日本人のために命を投げ出して守る戦いをしておるのだぞ。たかがガキの一人二人、殺したからといって何だと言うのだ。」怒りに震える高山陸士長の炎に油を注ぐ真似になったことは言うまでもない。「貴様ーっ。」「何だと、それが上官に対する言葉か。」「グァーッ。」高山陸士長はその少尉に飛びかかった。すでに89式小銃を負い紐で後ろに回していた彼は、正拳で一瞬のうちに倒し、蹴りを入れる。無論、他の兵士も止めようと殴りかかったが、かわされてハイキックを食らい、もう一人はフックと正拳を一度に食らって倒れる。「こいつ沖縄空手か何かやってるぞ。その上、アサルトなんて英語も喋った。こいつら敵の回し者だ。」奥にいた兵士が叫んだことにより、一斉に99式小銃を構え始める兵士。しかし銃声は自衛隊側から響いた。神谷三尉、元村一曹、三村三曹、そして柄川三尉等である。一足先に89式小銃や、コルトM4カービンの銃弾があの少尉はじめ、多くの兵士に引き金を引かせることなく射殺していた。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.309 )
日時: 2017/07/15 15:11
名前: 梶原明生 (ID: Xc48IOdp)  

「美幸へ」…⑳「十五歳からの卒業。そして夢」

俺は珍しく、若佐工務店に泊まり、朝海岸まで走り、52島の海を背にして羅心流空手拳法の鍛錬に励んでいた。ふと気がつくと、灯台近くに俺と同じ道着姿で、突き蹴りに勤しむ少年がいた。「こんな所に羅心流が…」その型の流麗さに心奪われた。「凄いな。うまいよその型。君も羅心流を…」「ああ、これはお恥ずかしい。あなたもですか。」「ああ俺。そうだよ。どこで習ったんだ。」「中52町に最近できまして。」驚いた。この時まだ52島に道場はないはずだ。やはり時空の捻れのせいなのか。それはわからなかった。この少年の名は天原建斗。美幸さんと同じ中学3年生だ。天原でびっくりしたが、それ以上にびっくりすることがあった。建斗は、美幸さんの運命の人だったからだ。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.310 )
日時: 2017/07/20 01:53
名前: 梶原明生 (ID: 70vEHkeO)  

「ひめゆり自衛隊」…高山陸士長は驚いたものの、すぐ前に向き直って残党が撃ってきたのを、後ろに倒れこみながらほぼ寝起きの姿勢で、股上で銃を構えつつ引き金を絞った。「ダダダンッ」三点バーストの弾丸が次々と日本兵の残党に弾着していく。「ウガッ」「ウウッ」短い叫び声が壕内に響く。高山陸士長は起き上がると同時に、生き残りはいないか索敵するものの、誰一人動く者はいなかった。「よし、掃討終了。…あっ、恵子さん。」運が悪かったのか、数発の99式小銃弾が、具志上恵子の心臓を貫いてた。「しっかり、恵子さん、すまない。本当にすまない。あの時俺が君達を守っていればこんなことには…すまなかった、許してくれ。」息も絶え絶えになりながら具志上恵子は高山陸士長を見つめつつ言った。「いいんです。やっと、この子達に会える、私…達…ここのマブイになって…いつまでも…かなさんど。」高山陸士長の腕の中で彼女は息を引き取った。「柄川三尉ーっ」彼は側にいながら診ようとせず、ただ首を横に振った。「もう手遅れだ。悪いが手の尽くしようがない。」言われて高山陸士長は叫びつつ嗚咽した。「ワァーッ、クソックソッ…」初めてだった。あの高山陸士長が取り乱しつつ涙を見せたのは。天を仰ぎ見るように。…元村一曹が歩み寄ってくる。「とにかく彼女達を、せめて手厚く葬ってやろう。」「了解。…」その後は外で円ピを使って穴を掘っていた。その横でビニールシートに被せられた4人の遺体が川の字に寝かせてあった。やがて遺体を埋葬すると、全隊員で手を合わせてしばし黙祷を捧げた。最後に神谷三尉が英語で金属プレートに文章を残していった。「どうか彼女や子供達の遺体を現存する親類縁者がいましたら、丁重にお引き渡し下さい。どうか人道的な御配慮あることを、切にお願いします。」

そして安らぎを。…

…次回「解明」に続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.311 )
日時: 2017/08/03 02:17
名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)  

「ひめゆり自衛隊」 「解明」…同日14:40時。摩文仁本部壕付近。 「だいぶやられたし、汚れもヒデーな。」88式鉄帽を手で上に揚げながら新垣陸士長が96式装輪装甲車を外から見上げて思わず呟いた。辺り一面銃弾と爆片痕が残っていて、故障箇所も目立って、やっとの思いでもっている感じだ。いや、どの車両もそうだ。82式指揮装甲車も、軽機動車LAVも所狭しとあちこち駐車している様は、まるで軍用車の不法投棄場かと思わせるほどひしめいている。だが、ここだけは何としても死守しなければならない。後一日。後一日すれば帰れるのだ。誰もがそう心に思っていた。壕入り口で警戒に当たっていた神谷三尉は、植村三曹等に突然思い出したように叫んだ。「アーッ、思い出した。」「いっいきなりどうしました神谷三尉。」「あの時、砂川姉妹を救った際に傍にいた大山という少年、防衛省大臣 羽野高正氏に似ている。」言った途端、高山陸士長も応える。「そうですよ、間違いない。どっかで見た顔だと思ったら確かに。」「で、でも、だとしても他人の空似ってこともありえますし、まさかこの時代にあの年で生きているはずが…」植村三曹が現実論を出すものの、神谷三尉は自信あり気に覆した。「いや、違う。間違いない。彼は十代の羽野高正だ。しかし、それを確かめるいい方法がある。」「と、言うと…」「砂川姉妹だ。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.312 )
日時: 2017/08/08 17:45
名前: 梶原明生 (ID: u7d.QD9m)  

「美幸へ」…やがて、待ちに待った中52中学と、隣の中学校との合同学園祭が開催された。美幸さんはこの時ケータイを持って家を出た。俺もつい好奇心から、学園祭に保護者面して見に行った。史実通りなら、美幸さんの「初彼」ができる時。どんな奴か見てやろうとか、悪い男なら成敗してやろうとか考えてたが、美幸さんがメアドを渡した相手は何と、あの天原少年だったのだ。学園祭の応援団長として黒い学ランに赤い鉢巻きに白い手袋が何とも格好いい。美幸さんが一目惚れするのも無理はなかった。美幸さんの目は輝いていたように見える。やがてカリキュラムが終わると、少年は美幸さんを見た。「あの、初めまして。メアドを、あ…」互いに同じ言葉が出たので恥ずかしがった。…続く。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。