複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.338 )
日時: 2017/12/22 15:15
名前: 梶原明生 (ID: doo.G8T9)  

「ひめゆり自衛隊」…言わなくても沢田一尉にはわかっていたのだ。そして…思わず爆炎の方角に向けて敬礼を行っていた。それに神谷三尉、植村三曹、高山陸士長も続き、涙でいっぱいになった吹田二士も力なく敬礼する。しかし、その頃三浦三曹のいる82式指揮装甲車内では、LCD画面が次々さざ波を打って見えなくなる現象が起こっていた。「第一カメラ破損。」「第二カメラも画像表示不可能。」「何だと、どういう事だ。」沢田一尉は三浦三曹はじめ、電子要員の隊員に叫んでいた。「UAVの存在が発覚したようで、次々撃ち落とされていったと考えられます。」「クソッ、よりによってこの正念場で空の目を失うとは…艦船は空自に任せるとしても地上部隊には常套手段でいくしかない。各班に継ぐ。迫撃砲を用意しろ。熱探知カメラで目視した時点で撃て。」沢田一尉はまた無線を取って全隊員に指示を出した。刻々と迫る米軍部隊。ほんの少しの油断のためか、高山陸士長が銃撃を受けた。「高山陸士長っ」すぐさま神谷三尉は駆けだし、岡田二尉が12.7ミリ重機関銃で援護射撃を行った。「ダダダダダーン」神谷三尉が高山陸士長の背中にあるベストの持ち手を握ってひきづり、96式装甲車の後ろへ回った。「大丈夫か、高山陸士長、怪我はどこだ。」「クウッ…大丈夫です。左手の甲に貫通しただけで、あとは防弾着に当たっただけです。」幸いその通りだったが、植村三曹が念のためくまなく調べた。「手の甲をナートします。見せてください。」「ああ、すまない植村三曹。」手早くドレッシングと包帯巻きを行う。「もっとキツく縛ってくれ。」「しかし、これ以上は…」「いいんですよ、その方が。すぐ戦闘に復帰できる。今は一人でも欠けるわけにはいかないんです。」そう言って彼はミニミ軽機関銃の銃床を地面に突いて杖替わりに立ち上がった。一方、並み居る米軍部隊に、迫撃砲弾の洗礼が雨あられのごとく降り注がせるように佐藤三尉等の部隊が発射していた。銃声と爆音に、奥で匿われている幼い子ども達は泣き声が絶えない。一方、重機関銃手と軽機関銃手は弾の連射を5、6発に制限していた。もはや弾薬は底を突きかけている。「新垣陸士長、弾倉頼む。」「こっちにも弾倉。」神谷三尉や植村三曹も三点射から単発にして節約はしているが、後数発も持たない勢いだ。「クソッ時空波はまだかっ。」高山陸士長が叫びながら撃っている。「パンツァー110ミリ砲 用意っ。」佐藤三尉が叫ぶと、…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.339 )
日時: 2017/12/27 19:08
名前: 梶原明生 (ID: txINssKz)  

「ひめゆり自衛隊」…一斉に隊員達が構えはじめる。「テーッ。」再びロケット弾が白煙を吹いて飛んでゆく。…その頃後藤曹長と柄川三尉が銃弾で負傷。高山陸士長が救援に向かう。その時、柄川三尉からコルトM4A1を授けられる。そうしている間に沢田一尉がL字型待ち伏せを指示し、タイミングを計って攻撃させた。これに怯む米軍。しかし、まだ攻撃はやまずに沢田一尉は銃剣をコルトM4に取り付けて現場に降りてきた。もはや最後は白兵戦に近かったが、自衛隊の鬼気迫る銃剣格闘にまたもや怯む米軍歩兵。MFIのカメラを飛ばしているだけこちらが有利だ。「来るなよ。もうこれ以上は殺したくないんだ。」神谷三尉のその呟きも虚しく襲ってくる米軍歩兵。しかし。「時空波来ます。」三浦三曹の無線越しの声が届いた時、神谷三尉の後ろからまるで後光が差すように…

輝く時空波が閃く。

その青白い光の雲トンネルを見て、誰もが心奪われていた。まるで無音映画のように、見える全ての姿がスローモーションに見えた気がした。「さぁ、神谷小隊長、96式車と共に時空波へ。」「了解。さぁ皆、こっちだ。あの光の中へ歩いていくんだ。」木村三尉や佐藤三尉の部隊が戦ってる間に次々と時空波へ入っていくひめゆりと沖縄県民。その頃、吹田二士は感極まって歓喜の声を上げていた。「やった、時空波だっ、時空波だっ、やっと、俺達の時代に帰れる。やったーっ。」高山陸士長も思わず洩らす。「その通りだ。俺達は元の時代に帰れるんだ。」そう言った途端にまた銃弾が飛んでくる。美幸の方はつい身を乗り出した。「美紀ーっ。」その時だった。彼女の胸を一発の流れ弾が撃ち抜いたのだ。「ウッ。」もんどりうって倒れ込む。「砂川ーっ、しっかり。相原三曹。」「了解。」傍らで89式小銃を構えていた彼女に助けを求め、二人で安全な所へ運んだ。美幸は訴えた。「美紀が…美紀が吹田さんを追って…妹と一緒でないと…行けない。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.340 )
日時: 2018/01/19 15:55
名前: 梶原明生 (ID: tf4uw3Mj)  

「美幸へ」…「若佐社長、出してください。」俺は無視するように車を出すように呼びかけた。「待って。」車のドアに掴まる美幸さん。しかし建人が彼女の両肩を掴む。「やめるんだ美幸。送り出してあげよう。」「建人…。」若佐社長はアクセルを踏んで一気に走らせた。そして一行は飛行機等を乗り継いで蒼碧石を持つ者の反応を読み取る能力を持った日野さんが、茨城県水戸市のP地区を指した。「何だ、ここは。」その町ではいたるところに「坂本自警団はいらない。町から出ていけ。」という立て看板が立っていた。「堂守さん、車止めてください。」異様な光景を見て、思わず俺の予感が働いた。「貼り紙渡せって言ってんだこのクソガキっ。」「嫌だっ、お前達には屈しない。警察呼ぶぞ。」「おう、呼べるもんなら呼んでみな。」数人の柄の悪い男達に、中学生くらいの少年が囲まれている。「よこせっコラっ。」殴られ蹴られる少年。「やめろっ、少年一人に男が寄ってたかって暴行か。」「誰だテメェ。」「誰だろうと関係ない。」「うぜーっ」男は殴りかかるが、上段受けして掌底突きを入れる。そして堂守が動いた。「堂守さん、あなた…」「すみません。私も少々心得がありまして。」既に2、3人の男達を見事な体術で倒していた。俺は思わずニヤついて構え直す。「しゅ、秋季の連中だ。」「秋季…」5、6人の男達がまた新たに現る。「私の息子をよくもこんな目に。許さん。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.341 )
日時: 2018/01/29 00:54
名前: 梶原明生 (ID: .2ijTo35)  

「ひめゆり自衛隊」…しかし、富岡三曹は遮って担架に乗せて時空波へと向かった。そんな時、神谷三尉は、吹田二士の姿がないことに気づいて青ざめた。「大変です。吹田二士ははぐれたようで、所在が掴めません。」「何だと、その吹田を追ってひめゆりの砂川美紀が消えたんだ。すぐに探し出せ。」アダンのジャングルに再び挑む神谷三尉達。その頃、吹田二士は、戦車の残骸下の蛸壺に美紀とともに身を隠していた。いつの間にか彼の口は塞がれていた。砂川美紀の唇が吸い寄せられたからだ。時間が長く感じられた。いや、一瞬だったかも知れない。それでも一生分を生きたような心地だった。「本当にいいんだね。」「うん。」「でもありがとう。今度生まれ変わったら、結婚しよう。」「何度でも、何度でも。…」「美紀ちゃん。」二人は固く抱き合った。「なんくるないさ。てーてーむにーっさんけーっ。」美紀はつい久々の沖縄弁を口にした。その頃、吹田達を探していた神谷達は、発見できずにいた。高山陸士長が叫ぶ。「神谷小隊長。もう仕方ありません。あれを見てください。時空波が閉まりかけてる。我々も帰れなくなりますよ。行きましょう。」その叫びに神谷三尉は断腸の思いで決断した。「わかった。全員時空波へ退却だ。撤収、急げ。」富岡三曹も新垣陸士長も、仕方なく付き従って走り出した。目前50メートルぐらいで直径5メートルくらいになっている。「皆、飛び込むぞーっ。」四人は一斉に高山陸士長の掛け声と共に最後の時空波に飛び込んだ。

「ウワーッ」

ギリギリセーフで何とか時空波に入ることができた。辺りが真っ白になり、光の渦に巻き込まれたようだ。しかし神谷三尉には、またしても音がないように感じられた。ほんの十秒か、それとも一時間か。…気がつけば、雲が引くように辺りには、慌ただしく走り回る現代の自衛官達が何百人もいる姿が目に飛び込んできた。「帰って…来たのか…」まだ実感が湧かない。それでもタイムスリップ前に見た宿舎も、施設も、電信柱もある光景が神谷達を正気に戻した。衛生隊員が彼等に走り寄ってくる。「ご苦労様です。大丈夫ですか。あちらに医務用の天幕があります。」言われたものの、彼等を見て驚いた。ビシッとキレイな陸自迷彩服に対して、自分達の何と汚れて泥だらけになった格好か。「あんなにキレイだったか、戦闘服。」神谷三尉は富岡三曹に聞いた。「タイムスリップしたあの時代に慣れてしまってましたから。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.342 )
日時: 2018/02/08 07:42
名前: 梶原明生 (ID: oJBEkqvs)  

…そう言っていた時に、糧食班の隊員が盆に乗せた冷水の入った紙コップを差し出した。「ありがとう…」次々に取って飲み干すが、高山陸士長だけ頭から冷水を被った。「ブラックホークダウンじゃないんすから。」新垣陸士長が呟くと皆ドッと笑いがこみ上げた。やがて人混みを掻き分け、沢田一尉率いる懐かしの戦友達が近づいてきた。「神谷三尉。 」「沢田中隊長、只今帰還しました。…しかし、私の隊に所属していた吹田二士、及び、ひめゆり学徒隊の砂川美紀は現地にて行方不明。」今にも涙が出そうになる神谷三尉。「報告会は後々するとして、先ずは救護所で休め。」沢田一尉は彼の肩を掴み、声をかけた。葉室三曹や佐藤三尉は富岡三曹に、植村三曹は新垣陸士長をそれぞれ気遣った。そして救護所まで歩いていこうとすると、多くの隊員達が彼等に向かって手を止めて敬礼した。まるで退官する時の花道のように。だが、その先には多くの警務隊員に囲まれた井上一佐と、羽野高正防衛大臣がいた。神谷は怒りを抑えながら睨みつける。しかし羽野は自ら歩み寄ってきた。「君が神谷三尉だね。」「はい大臣。」「君の言いたいことはわかる。私も責任を取るつもりだよ。言い訳かもしれんが、我が国は財政赤字の上、借金だけは膨れ上がるばかり。そんな中での決断だった。私一人の一存では中止は難しかった。無論、私自身ひめゆり学徒隊の悲惨さをこの目で見て、尚且つ愛した人を失った記憶が蘇り、多少の希望がなかったとは言わない。だが君達には本当にすまないことをした。このとおりだ。」深々と頭を下げる羽野。「それは亡くなられた隊員とその家族に言って下さい。」そう言い残し、神谷は砂川美幸がいる救護所まで向かった。

次回「最終回」…「再会それぞれの道」


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