複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.62 )
- 日時: 2013/01/20 15:58
- 名前: 梶原明生 (ID: UlsZCx61)
「ひめゆり自衛隊」・・・就職した大手企業の自衛隊研修で自衛隊に魅せられてそのまま居座り、現在にいたる。やがて沢田一尉の目にとまり、彼の電子工学とロボット工学の才能を買って特殊作戦群に入隊させた。・・省略・・近くでuavやmfiを見上げている男がいた。田上曹長である。口髭がだいぶ濃くなってきたようだが、逞しい二の腕を組みながら見ていた。「あんな物がな。・・・」・・省略・・「いやいや、そんなことは。・・・佐籐三尉の実力ですよ。しかしあの頃とは比べ物にならん。私らの頃は暗視装置ですら最新鋭だったのに、今ではあんなロボットが導入され、個人装備ですらコンピューターとつながるとは。想像などつかんことでした。」「全くで。でも変わらぬものもあります。隊員一人一人の兵士としての実力ですよ。こればかりは鍛えぬかないと身に付かない。その事は私より、田上曹長がよく知っておられる事ではありませんか。」「そうでしたな。・・・佐籐三尉、頼みがあるんですが。」「何でしょうか。」「この木箱を預かってもらえませんか。」「な、そ、それは。・・・」まるで桐でできたような真新しい木材で作ったと見られる15センチ四方の木箱を佐籐三尉に差し出した。「どうやらこれを使う時が迫ってる気がするんです。中には私の短い毛髪と写真、それから妻と3人の娘達に宛てた遺言状もあります。もしもの時はこれを届けてやってはもらえませんか。」「何を言ってるんですか。必要ないですよ。必ず生きて帰れます。ですから。・・・」「いや、そうとは限りません。それにこれはいつも用意しとったものです。・・・イラク派遣隊のとある手記に感動しましてな。是非ともあやかりたいと、つい真似事を。預かるだけでいいんです。お願いします。」「わかりました。ですが、作戦が終わり次第お返しします。それに・・・来月は娘さんの結婚式ではありませんか。」田上曹長は思い出したように空を仰ぎ見た。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.63 )
- 日時: 2013/01/24 16:52
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「ひめゆり自衛隊」・・・「・・・いざとなれば、分かってくれるはずです。ここは、私にとってのイラクなんです。」それを言われて佐藤三尉も返す言葉はなかった。・・省略・・三角兵舎で作業していた神田幸子、宮城静子、守上エリ、日嘉栄子の4人は何か物が近付いてくる音を不審に思い、顔を上げて辺りを見回した。すると神田幸子のすぐ後ろに、金属で出来た玩具の戦車とも言える、キャタピラの付いた機械が一人で動いているではないか。彼女たちは腰を抜かしそうになった。物を掴めるロボットアームに両目のようなカメラアイが付いた頭部は、現代人なら映画「ショートサーキット」か「ウォーリー」を思わせる姿に見えることだろう。・・省略・・これは陸戦用のUGVだ。ただ、違うのはこのリモコン型のロボットは偵察用ではなく、はじめから戦闘用に銃器を持たせて走らせるためのロボットであるという点だ。・・省略・・今回、沖縄戦では自然壕や亀甲墓での攻防に役立つと考えられたために大量に導入されていた。・・省略・・この当時の人から見れば、まさに「未知との遭遇」となるは必至だろう。「な、何なのこれは。」神田幸子は恐怖に怯えた。その姿を見て50メートルは離れた所でギリースーツと顔の迷彩ペイント、ドーランを塗った地賀谷一曹は可哀想に思えて突然走り出した。「ごめんごめん。驚かせてしまって。義烈空挺隊の者だ。地賀谷一曹だ。よろしく。」やっと安堵したのか、他の3人も落ち着き始める。「そうだったんですか。・・するとこの機械は。」「そうだ。これぞ最新鋭の小型戦車だよ。」宮城静子が感嘆の言葉をかける。「凄い。独りでに動く戦車だなんて見たこともない。」守上エリも続く。「本当に、どうやって動いてるのかしら。」日嘉栄子もまた続く。「改めて米軍なんかより優れているのがわかるわ。」・・省略・・しばらく雑談した地賀谷一曹と田丸二曹は宿営地側へと帰っていった。田丸二曹は地賀谷を嫌っていた。・・・「おいっ、コラッ、宿営地外に許可なく出る事は禁じられてるはずだ。どこへ行っていた。」佐藤三尉が怒鳴ると、地賀谷一曹が応える。「これはこれは佐藤三尉に田上曹長。申し訳ありませんが、我々特戦群は特権がありましてね。あなた方とは格が違うんですよ。」「バカ野郎ッ、特戦群だが何だろうが隊の規則を守るのが鉄則だろうが。」「規則に縛られないのが特戦群の鉄則でね。」そう言い放って歩き去る地賀谷一曹。時代の違いを痛感しつつも怒りを隠せない二人であった。 「今昔」終わり。 次回「義務」に続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.64 )
- 日時: 2013/01/25 17:04
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「コラ、何やってる。」「あ、先生。・・・」間が悪いなといった顔つきになったがすぐ返答してくる。「何でもないよ。遊んでただけ。」「嘘付け。今取ったのを美幸へ戻せ。」「やだ。」俺は妙子の両肩を持って真っ直ぐ彼女の目を見据えた。「いいか、よく聞くんだ。こんな誤魔化しをやってもいずれ自分に返ってくる。こんな欲に駆られた行動は悪いことなんだ。美幸に返してあげなさい。」「えーーっ。」それを後ろで見ていた焼酎を浴びてる久幸さんが妙子に飛び蹴りをしようとした。「こらーー、妙子ー。」それを俺は掌底下段払い受けで逸らした。「気持ちは分かります。ですが暴力はいけませんよ。」「じゃ、じゃがこの子はの・・・」「分かってます。妙子、返すんだ。」しぶしぶお年玉を返す彼女。「替わりにこれ。俺のバイト料だからな。特別に。ただし、二度とこんな事しないと約束するならあげる。どうだ。」「分かった。しない。」「よーし、じゃ、お年玉だ。」妙子は貰うなり喜んだ。こうした小さい事件も終わり、翌日は昼からせっせと俺は道場の両岸にフックを3段階の高さに間隔を空けて取り付けた後、それぞれのフックにロープを結んだ。「何ですか、これ。物干しですか。」友成が兄弟を引き連れて聞いてきた。「ん、これか。違うよ。ま、見てれば分かる。」おもむろに端側に立つと、手を構えた。「フッ、シュ、エイッ、・・・」適当に技を繰り出しつつ、何と肩の高さにあるロープを左右に頭を潜らせて打撃をしつつ前へ進む。「ダッキングの鍛錬だよ。ほら、皆も俺に続いて。」「なるほど、面白そう。」「お、美紀子か。馬子にも衣装とはこの事だな。」彼女がようやく道着を着て道場に現れた。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.65 )
- 日時: 2013/01/27 18:01
- 名前: 梶原明生 (ID: WkUUvDWJ)
「美幸へ」・・・「えっ、そうかな。何か照れるな。」「大丈夫。よく似合ってるよ。さぁ、まずは座禅だ。」そう言ってサンドバッグのところへ後ずさりすると、美幸さんが何やら一生懸命にやっている。「ん、これはもしや。」心当たりが大有りだった。何と彼女はサンドバッグに頭をぶつけて「頭突き」を鍛えていたのだ。「兄弟ケンカに強くなるために、こんな時からやってたんだ。凄まじいな。」・・・やがて稽古も終わり、辺りはすっかり夕暮れ時となった。自分自身の羅心流空手拳法鍛錬を行っていたその時、外でガラスの割れる音が聞こえた。「何事か。」と外を覗くと、天原家で女の子達がケンカしていたのだ。「あれほどケンカはいかんと言ってあったのに。」いくら教えてもやはり子供。些細な事でケンカは付き物だった。・・省略・・「わぁのもん、くれや。」「ヤダっ。これだけは。」加代が友美の服を引っ張り上げようとしていた。やはりケンカの主導権は加代が握っていたようだ。「ケンカで勝ったほうが物を奪っていく。いつものことだろ。」だが、その服は横取りされた。「だな。なら俺が貰ってもいいわけだ。ここでケンカに一番強いのは俺だけだからな。全部貰うぞ。義弘、友成、あ、それから勇と正彦の玩具も貰っとこう。」「えっ、先生、そんな。」血相変えて加代は挑んでくる。「どうした加代。そんな肘打ちじゃ、踏込みが甘すぎるぞ。もっと鳩尾を狙ってこい。はい、しっかり。・・・」奪うフリをしつつもちゃっかり稽古をつける。「もういい。そこまでだ。欲しけりゃいつでも道場に来い。相手になってやる。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「義務」 3月28日0620時。 朝6時起床。今日で5日目を迎えた。遠くの砲撃が近ずいてくるように感じられた。少しずつではあるが、傷病患者が増えてきている。いずれにしろ、初日とは違うことは確かだった。それでも起床ラッパと国旗の掲揚はかかさなかった。すぐに着替え、食事となり、午前8時には朝礼が始まる。・・省略・・野田校長は宿営地側を見ていた。「今の世にあのような部隊。いや、装備があるだろうか。ならばどこの国の軍隊と言えようか。まさか、先の世の軍隊ではあるまいな。でも、まさか。・・・」野田校長の推理はまだ半信半疑の域を出ていなかった。が、それは真実だった。そこへ、3人の女生徒が近ずいてきた。上地貞子、棚原ハツ、瑞慶村春子だ。「どうされましたか、校長先生。」棚原ハツが声をかけてきた。「ん、いや何でもないよ。・・・どうやら、機関銃の訓練があったようだね。」「そうですね。私達を守るばかりでなく、米軍をしっかり叩き伏せてほしいです。私は義烈空挺部隊の方々に期待しています。」・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.66 )
- 日時: 2013/01/28 15:11
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・俺は道場の真ん中で陣取って、加代達が来るのを待った。「どうする。相手は先生だよ。」「ここはとりあえず皆で協定を結ぼう。取り返すためだ。」加代と義弘がそう話し合い、兄弟全員一致した。その中で友成だけ何故か笑っていた。「どうした兄ちゃん。何がおかしいんだ。」「いや別に。・・・」どうやら彼だけは気付いてきたようだった。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・瑞慶村春子が反応した。「それは少し言い過ぎなんじゃない棚原さん。恐い戦争だもの。この際私達を守ってくれればそれだけでいいと思うけど。」上地貞子も便乗してくる。「そうよ。私も・・その・・方がいいと・・思うわ。」「何を言ってるの二人とも。一人十殺一戦車の精神で行けば、あれほどの兵力があるなら、米軍を真っ先に倒すのが義務よ。」それに対して穏やかな性格の野田校長が諭すように語った。・・・続く。
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