複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.67 )
日時: 2013/01/29 17:08
名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)

「美幸へ」・・・義弘が美紀子に向って言った。「姉ちゃん、出番だ。」「えっ、私。・・・」ヒソヒソ話が始まった。「先生、相談があるんだけど。」美紀子がしおらしい声で玄関に来た。「ん、どうした美紀子。」「外に見せたいものがあるんです。」「分かった。」何と無く罠と分かっていたが乗ってあげた。「今だ。」兄弟達が一斉に襲ってきた。「痛い、痛い。」「おいっ、早く今のうちに物取り返せ。」義弘が友成と友美達に支持する。「わかった、わかった。参った。」極めつけは美幸さんの頭突きだった。「イタタタッ。・・・よーしっ、俺の負けだ。皆、道場に入れ。」促して中に入れた。・・省略・・「まぁ聞いてくれ。勝負には4つの種類があるのを知っているか。」「4つ。・・・わかんない。」加代が首を傾げる。「1つ、上手に勝つという事。2つ、下手に勝つということ。3つ、上手に負けるということ。4つ、下手に負けるということ。この4つだ。そしてこの中で一番良い勝負は何だと思う。」友成が答える。「上手に勝つかな。」「それはバツだな。・・・この中で最も良いのは3つ目の上手に負けるだ。これが思いやりに繋がってる。お前らがやってるのは下手に勝つというやり方だ。譲り合いがない。それでもやりたいなら、この道場で決着を付けろ。俺が審判してやる。」「わかったよ先生。それでいいな、皆。」友成が総括を買って出た。「はーい。」・・・続く。        「ひめゆり自衛隊」・・・「まぁまぁ棚原。気持ちは分かるが上の方にも色々考えあっての事だ。それに天皇陛下直々のお達しとあればまず間違いないであろう。それとも君は陛下の考えに不服と言うのかね。」「い、いえ。まさかそのような事は一切ありません。すみませんでした、つい口走ってしまって。」「いや、構わんよ。それだけ棚原は日本の為を思っているということなんだから。」「校長先生、ありがとうございます。」深々と頭を下げる棚原ハツだったが、そこへ酒田一等兵がやってきた。「君たちは棚原ハツ、上地貞子、瑞慶村春子だな。沢田一尉がお呼びだ。すぐに向かうように。」「はい、分りました。」棚原ハツが軍人顔負けの姿勢で応えた。立ち去る3人を哀しげに見つめる野田校長。それもそのはず。遅くなったものの、明日にはひめゆり学徒隊の卒業式が執り行われるからだ。本当なら、盛大に師範学校で行うべきなのに、ここで行わなければならない悲惨な変わりように、言いようのない空しさを感じていた。・・・「義務」終わり。 次回「春の恋」に続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.68 )
日時: 2013/01/31 17:12
名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)

「美幸へ」・・・皆が返事した直後にいきなり電灯が消えた。「ん、何だ何だこれは。」俺が慌てるものの、皆は落ち着いている。「まただよ。停電か。よくあるんだよな。正月は電気使いすぎたものな。停められたか。」友成が説明してくれた。俺は常備していたLEDライトを取り出して灯した。「わー、凄い。そんな明るいライト初めて。しかも小さいのに。」美紀子が驚く。「え、あー、そうだな。友達から貰ったドイツ製の・・・多分その辺にはないライトだよ。ハハッ。」そう言いつつ皆を誘導する。中では文子さんや、久幸さんがロウソクを灯していた。「お、モンチャクは解決したか。」「うん。」久幸さんが気軽に義弘に聞く。「うわーっ、キレイ。」美幸さんがロウソクの火にうっとりしつつ、義弘にくっついていた。「そう言えば、自伝書の中で義弘兄ちゃんが一番好きだったんだよな。」兄弟と分かっていても、何かジェラシーを感じる自分に辟易した。・・・続く。             「ひめゆり自衛隊」・・・「春の恋」3月29日0805時。「知っての通り、今日はひめゆり学徒隊のささやかな卒業式が行われる日だ。・・省略・・沢田一尉からも宴を開いてくれるとの事だ。しかし、あまりハメを外すなよ。私からは以上だが、何か質問はあるか。」神谷三尉は言ったが誰も口を開く者はいなかった。「よし、では解散。各自装備、武器の点検。・・・そのあとは自由行動だ。」吹田二士は「やった。」といった顔をした。・・省略・・吹田二士はそのツテで内密にカワサキKLX250オートバイを2台調達し、新垣陸士長が宿営地でも死角になっている96式装甲車の影に、オリーブ色のカバーで隠しておいた。「よし、これから繰り出すか。」「OKっすよ。そうこなくっちゃ。」二人のいつもの掛け合いが始まった。「あんまり調子に乗るな。何せ皆には内緒なんだからな。」植村三曹が笑顔ながら、忠告した。一方、壕堀りを手伝わされていた島袋ノブは、砂川美紀、美佐に耳打ちした。「もうこれで壕掘りは終わりらしいから、裏側に行ってみましょう。」「ええ、行きましょう。」二人は同時に答えた。・・省略・・「吹田さーん。」「お、ノブちゃん来たか。約束通り持ってきたぜ。」すでに彼女達は互いをあだ名で呼びあうほどに親しくなっていた。4日前から壕掘りをしていた彼女達を、こっそり円匙で手伝ったのがキッカケだった。面白い素振りや、不思議な話や、芸人の真似等聞かせてくれる彼に心惹かれるのにそう時間はかからなかった。そして、つい、吹田二士は大見栄切ってカワサキKLX250オートバイに乗せてやると約束してしまった。・・・常軌を逸脱した世界で暮らし、尚且つ恋人に裏切られた彼にとって、島袋ノブをはじめとする彼女達の純粋さは新鮮で魅力ある存在に思えた。・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.69 )
日時: 2013/02/02 16:37
名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)

「美幸へ」・・・久幸さんの戦争話が始まった。「そう言えば戦争当時はな、電灯もロクになくこのロウソクで・・・」今度は皆が辟易としはじめる。「おい、何だか頭に冷たいものが落ちてくるぞ。」友成が最初に気付いた。「まずい。悪いことに雨じゃ。」「えーっ。」文子さんが言うと皆叫んだ。「正月早々雨かよ。ついてねぇな。おい、母さんビニールシート用意してくれ。」「あいよ。」慣れてるのかすぐに用意された。・・省略・・悪戦苦闘の末、ようやくビニールシートを屋根に張ったものの、中に入れば漏れてる。結局傘をさしていた。・・・続く。          「ひめゆり自衛隊」・・・「見てくれよ。これが俺達自慢のカワサキk・・・いや、二輪偵察車さ。」「凄い。これが走るんですか。・・・ほら、新垣さん。来てよかったでしょ、こんな機械を真近で見れて。」「新垣っ。・・・」物珍しく見た島袋ノブが、初めて連れてきた新垣に声をかけた瞬間、反応したのは新垣陸士長だった。「あ、紹介するの忘れてました。予科三年の新垣ハルさんです。」そう言われたものの新垣陸士長は言葉を失った。嘗て祖父から聞かされていた沖縄戦の悲惨な話の中で際立って聞かされていたのは親族の犠牲者である新垣ハルの事だ。「君が、新垣ハルか。俺は、俺は。・・・」・・省略・・言おうとした新垣陸士長の肩を掴んで植村三曹が制した。「新垣。・・・さぁ、君達にこのオート・・・じゃなかった二輪車に乗せる約束だったよね。吹田二士、用意しろ。」「勿論、そのつもりっすよ。」言われて彼は早速エンジンをかけた。鋭い轟きが一瞬彼女達を驚かせた。・・省略・・「わぁ、凄い。え、どうするんですか、こうですか。」そう言って自然と吹田二士の腰に手を回す島袋ノブだったが、彼は不思議な感じだった。「この娘、本当に昔の人なんだろうか。」触れてみた瞬間にどこか自分達の現代と変わらない気がしたことに妙な交錯感を持った。そう、この今は若く生きているのだと、そしてそれは自分達と変わらないのだと。「よし、行くよ。」ヘルメットを被せてから急発進する。吹田二士も島袋ノブも、草原を進むそのスピードに酔いしれた。彼女は彼の首筋に頬を擦りよせて強く抱きついていた。彼の温もりを少しでも繋ぎ止めておきたい。それは吹田二士に対する恋だと知った。・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.70 )
日時: 2013/02/03 18:38
名前: 梶原明生 (ID: UlsZCx61)

「ひめゆり自衛隊」・・・後から植村三曹と新垣ハルの乗ったカワサキklx250オートバイも走ってきた。風を切り、草原を駆け抜け、束の間の青春を桜花して走り回った。後に名城美恵、比嘉ヨシ、渡嘉敷良子も順番に乗りまわった。吹田も新垣も植村も、違う時代にいることなどすっかり忘れて、無邪気に乗り回した。・・省略・・「え、おお。そうだな。じゃあ後で。美紀ちゃん乗りな。」「はい。」運動神経がいいのか、助けもいらず後部座席に乗る美紀。彼女は必要以上に吹田二士のお腹に両腕を巻きつけた。彼の背中の温もりが胸に伝わってくる。そして彼女の心臓の鼓動もまた吹田二士に伝わった。・・省略・・砂川美紀は、確実に今まで味わったことのない不思議な感情を覚えていた。彼女もまたそれは「初恋」である。その気持ちを乗せて二人の乗るオートバイは草原の風と共に若き二人を包み込んだ。島袋ノブに対して心が動いていただけに多少彼は困惑していた。・・・そんな彼等を見つめるもうひとつのペアがあった。「あ、あいつ。普連の吹田二士だ。」「ああ。植村三曹も新垣陸士長もいるぜ。」その二つの擬装した影は、スナイパーライフルであるレミントンm24のスコープと、双眼鏡で発見していた。その二人とは、空挺団の吉川悟三曹と増田栄吉二曹である。26歳と30歳になる。共に空挺団で、狙撃の腕は超一流と言われている程だ。その二人が自主的に遊撃訓練をやっている最中だったのだ。「どうします増田二曹。やはり報告したほうが。・・・」「別にいいだろう。少しは情けかけたって罰は当たらんよ。」「随分と古い事言うんですね。」「そうか。・・・でもな。今日の夜からは明日ない命じゃないか。・・省略・・その代わり奴等にはビシバシ戦ってもらうさ。甘い顔すんのも今日までだ。」・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.71 )
日時: 2013/02/04 16:22
名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)

「ひめゆり自衛隊」・・・そんな彼等の事も知らずに吹田二士等は一時、束の間の喜びを味わっていた。もうすぐ地獄の戦場が待ちわびていることも知らずに。・・・天幕の中で夕方。神谷三尉はお腹の膨らんだ美しい女性の写真を眺めていた。彼女の名は神谷理香。27歳の聡明な女性だ。こっそり帰っていた吹田二士が覗いてきた。「あれ、神谷隊長。その写真誰ですか。随分とキレイな人ですね。もしかして。」「もしかも何も去年結婚したんだ。もうすぐ子供が生まれる。来月予定でな。」「えーっ、知らなかったな。てっきり神谷隊長、独身かと思ってたのに。で、子供は男の子ですか、女の子ですか。」「女の子で、しかも双子だそうだ。」「えーっ、女の子か。で、名前は決めてるんですか。」「いや、急に女房が私が絶対きめるから、それまでのお楽しみにしといてくれと言われた。だから未だわからないんだ。」・・省略・・その話の途中に植村三曹が報告にきた。「神谷隊長。沢田一尉からの伝言です。今から早めの夕食を中央の大広場で全員集まってするそうです。」「わかった。所謂ささやかな宴というわけだな。それじゃ、吹田二士。行こうか。」「了解。」・・・続く。


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