複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.147 )
- 日時: 2014/10/07 13:26
- 名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)
「美幸へ。」・・・「話が逆だな。言っておくが、お宅の息子が、私が居候になっている部屋で酒を飲み食いした揚句、注意して帰らせようとしたら殴ってきたのはその少年だ。それに苛められているのは天原義弘という子の方だ。」余計に血相を変えた高志は興奮が治まらない。「グダグダ言うな、問答無用だ。空手かなんか知らんが、下らん遊びとボクシングは違うってところ見せてやる。」「下らんお遊び。・・・」俺は少し頭にきたが、話し合いできる状態ではないので受けて立たざるおえなくなった。いきなり右ストレートがきたものの退き身でかわした。「先・・・いや、師範。」「おう、義弘か。すまんがこのビデオカメラ持っといてくれ。」彼が何故か駆け付けたので、V900を手渡すとすぐに高志のパンチを再びかわした。「どうした。逃げてばかりの腰抜けスポーツか。」「もうやめませんか。話し合いましょう。こんなことしても意味ないですよ。」「だから文句はいらねぇーって言ってるだろ。」俺は諦めて羅心流空手拳法の構えをとった。「やっとその気になったか。」高志のチャンピオンテクニックがさらにヒートアップ。上段下段受けを駆使するも、元チャンプの拳はかわしきれず、ヒットしはじめた。「止めだ。」高志が得意の右ストレートを撃った時、俺は彼の視界から消えた。「何、馬鹿な。・・・」次の瞬間、右横から縦拳の連打が炸裂した。「ふざけやがってこいつっ。」また受け技が炸裂し、連打を繰り返した。「師範っ、蹴り技あるだろ。ハイキック。・・・蹴り技が有利なのに、何で使わないんだ。それにあんな弱い突きじゃ倒せない。波動拳使えばいいのに。・・・」義弘の叫びは正しい。だが、あえて俺は拳のみで立ち向かった。そこにはある思いがあったからだ。「効かねえなそんなパンチ。お得意の卑怯な蹴りでも使えよ腰抜け・・・まさかお前。」・・・続く
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.148 )
- 日時: 2014/10/07 14:21
- 名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)
ひめゆり自衛隊」・・・しかし、まさか本当に撃つことになろうとは。弾丸は鉈を振り上げた男に命中し、壁に頭をぶつけるように倒れていった。子供二人は無事だった。「ヤダッ、撃った。ええっ、撃った、人を、私が人を・・・そんな。」半分パニックになる森山三曹だったが、銃声を聞きつけた田上曹長が片瀬陸士長等と共に駆け付けた。「落ち着け森山。落ち着くんだ。」言いながら田上曹長はふと横を見た。集団自決が起こっていたことは、彼自身、状況を見て分かったが、家の中で倒れている男性は明らかに銃殺されていることは明白だった。・・省略・・怯えているオカッパ頭の女の子二人を見て田上曹長は一瞬、娘達3人を思い浮かべていた。確かうちの娘もこんな頃があったな。どうしているか。そう、心に呟いていた。「しかし、ひめゆり学徒隊員以外は干渉するなと。・・・」「構わん。後で私が話を通しておく。とにかく、装甲車まで連れていけ。」「わかりました。」仕方なく、保護した片瀬陸士長は外へとふたりの女の子を連れだした。「森山、気持は分かるがな。これは正当防衛だったんだ。やむおえん。だがもし、お前が撃っていなかったら、あの子達は死んでいたんだぞ。お前は二人の命を救ったんだ。そのことは忘れるな。」「田上曹長。・・・」「うむ。さぁ、早く本隊に戻るぞ。来い。」「了解しました。」田上曹長は彼女の肩を軽く叩きながら外へ出た。そして感極まりつつ着いていく森山三曹。やがて本隊に戻ると、田上曹長はどういうわけか片瀬陸士長から女の子二人を引き取り、他の隊員の目を盗むようにとある96式装甲車まで連れていった。「高山。」「おう、これは田上曹長。で、その子供は。・・・」眠らずに89式小銃とミネベア9mm拳銃の手入れをしていた高山陸士長のところへ来た。「うむ。可哀そうな子供だ。集団自決した一家があってな。この子達はその生き残りで、親を亡くしている。黙ってあの母子と一緒に匿ってやってくれ。」「集団自決。・・・やはりそんなことが起こっていましたか。まさか実際に出会うなんて。・・・あっ、いや、わかりました。この子達も匿いましょう。」彼は子供達を抱えて96式装甲車の中にいれた。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.149 )
- 日時: 2014/10/10 17:54
- 名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)
「美幸へ」・・・一瞬、高志の拳が止まった。「いや、そんなはずはない。こいつに限って。・・・」またもや彼の猛攻がはじまった。もはやかわしきれず、パンチがもろ顔面に入り始めた。「師範っ。」義弘が叫ぶ中、ボディブローも食らう。そんな中、勇気が不敵な笑みを浮かべた。それをチラリと見ていた高志。「やはりな。あんたは潔白だ。男は拳を交えて語り合えるって、俺の昔のトレーナーが言ってたが、いまがその通りだ。あんたの拳には邪念がない。そればかりか、懐かしい思いやりの匂いすらする。そんな人間が苛めなんかに加担するはずがない。おい、勇気。お前嘘ついたろ。苛めてたのはお前だな。」突然の豹変に彼は血相を変えた。「何言ってんだよ。父ちゃんはどっちの味方だよ。」「お前さっきの拳見て何も思わなかったのか。見損なったぞ、それでもプロボクサーの息子か。お前に苛めのボクシングを教えた覚えはないぞ。」・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.150 )
- 日時: 2014/10/11 15:44
- 名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)
「ひめゆり自衛隊」・・・「すまんが奥さん、この子達は戦災児なんだ。一緒にこの中で隠れていてくれないか。」「はい、分かりました。」率先して彼女は受け入れた。「あ、そうだ。聞き忘れていたな。あんたの名前は。」「はい、私の名は具志頭恵子と申します。この子が洋介、そして奈津と健一です。」そう言って恵子は胸に抱いた赤子と二人の子供の名前を答えた。「恵子。そうか恵子さんか。」「何か。」「いや、何でもない。それじゃ具志頭さん。しばらくここで過ごしてくれ。」「はい。」実直に応えた恵子に、いつしか高山陸士長は好意を抱くようになっていた。しかし、そんな余韻に浸っていられるのも束の間。沢田一尉からの怒号が無線機から響く。「コルセア戦闘機の一団が空母から飛び立った。総員、全車両に乗り込め。時空波が来るぞ。」「了解。」掛け声とともに慌ただしく乗り込み、ハリケーンのような光の雲を発生させ一瞬の」うちに姿を消していた。「おのれ、またしても。奴等本当に読谷等へ行っているのか。」三田軍曹と共に直々現れた貴嶋大尉であったが、一歩遅れて沢田一尉とは再会できなかった。「はぁ、しかしこればかりは疑いようが。・・・」「うむ、わかってはいるが。」そう思案にくれる二人の後ろからあの師範学校の教師、松金太郎が歩み寄ってきた。・・省略・・貴嶋大尉は目を丸くしたが、次の言葉で納得した。「大尉は陸軍中野学校をご存知のはず。・・・」「まさか。・・・」松金は不敵な笑みをこぼした。彼等、陸上自衛隊第708実験中隊が次にタイムスリップするのは、昭和20年6月13日。 次回、「F−2墜落」に続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.151 )
- 日時: 2014/10/31 15:18
- 名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)
「美幸へ」・・・「だって・・・」「うるさい、男なら言い訳するな。」俺は義弘に預けたソニーV900を指さして言った。「柳さん。実はあのビデオカメラにうちの義弘に暴行を加えてた一部始終を映した証拠映像があるんです。本来なら学校に提出するはずでした。ですが、今後息子さんが反省し、いじめをやめてくれるなら提出はしません。」高志はまるで別人のように態度が改まった。「いや、提出してもらって構わんよ。それよりさっきはあんなことして済まなかった。俺の監督不行き届きだ。このとおりだ、天原君そしてお兄さん。悪かったすまん。」彼の肩をあげながら言った。「いや、いいんですよ俺のことは。でもこれは提出しません。俺は息子さんを信じたいんですよ。」・・・続く。
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