複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.77 )
- 日時: 2013/02/15 18:41
- 名前: 梶原明生 (ID: .8sHsKzk)
「美幸へ」・・・「どうして私のhnを知ってるんですか。」「どうしてって、・・・俺は日本復帰ですよ。これで覚えがあるはずです。青いベレー被って鹿児島に行った動画を送ったあの日本復帰ですよ。天原美幸さんを偲ぶ会の掲示板でお世話になった。」「まさか、そんな。・・・」彼女は驚きと当惑を隠せなかった。堂守が割って入る。「そのことも調べはついています。あなたの親友に梨田恭子がいますね。」「はい。」「そこから先は言わなくてもいいです。至善さん、少し席を外してもらえませんか。」言われて逆らえる雰囲気でもなく、渋々承知した。「梨田恭子。大阪理工大学時岡研究所大阪支部に勤務していますよね。」「はい。」「彼女は優秀だったが時折、時岡博士と口論になったり、反目し合っていたと聞く。が、ここ最近研究所を辞めている。そしてここにもう一つの蒼碧石がある。・・・つまりあなたは意図的に別の次元を接続しようとしてる。それがどれだけ危険か分かりますか。」しばし彼女は閉口していた。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「激変」 1945年4月1日 すでに米軍は慶良間列島、座間味に上陸占領して基地とし、午前0530時。艦砲射撃と空襲を沖縄本土に向けて行った。わずか2時間で12センチ砲が44825発、ロケット弾223000発、臼砲弾22500発、の砲弾を撃ち込んだのだ。そして0830時に海兵隊が上陸。だが彼等は驚いた。初めから日本軍との凄まじい戦闘になると覚悟していたが、いざ、上陸してみると、全体がもぬけの空でまるでピクニック気分で海岸を歩くことができた。誰もが「今日はエイプリルフールだな。」と口にした。やがて海兵隊は読谷、嘉手納の飛行場を無血占領した。楽勝だったが逆に不気味さを感じた。これも牛島司令官や、長勇参謀長、八原博通大佐等による策略だった。沖縄南方の首里に兵力を集中して、そこでの決戦に賭けたのだ。・・・そしてこの日、沢田一尉率いる第708実験中隊は二度目の時空波発生日であった。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.78 )
- 日時: 2013/02/16 17:50
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「ひめゆり自衛隊」・・・「全隊員に告ぐ。今から5分以内に車両に乗り込み、時空波受信装置を稼動させろ。各自点検を怠るな。・・・次の時間移動予定は、昭和20年4月14日午後1300時だ。」この無線連絡により、また慌しく用意しはじめる神谷三尉達。この時すでにひめゆり学徒隊はそれまでの学校独自の編成から、病院側の第一、第二、第三病棟の分隊編成となり、各科看護婦長の直接の命令を受けるようになったのだ。やがて神谷三尉は車両に乗り込み、あの日のように辺りから青白い電磁波の光が静電気のように迸りはじめ、各車両を大きく包み始めた。・・省略・・彼等が再び姿を現すのは13日後の4月14日なのだ。しかし、この2週間はひめゆり学徒隊を目まぐるしく変えてしまう日々となった。・・省略・・それは、これを見れば誰もが言葉を失うという生易しいものではない。運ばれてくる新患者は軍医のいる壕で診察と外科手術は受けられても、すぐ各壕へ担架で運ばれる。治療はほとんど行き届かず患者の体には蛆が湧き、むせるような臭気と呻き声が壕内に響き、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。「美紀、しっかりして。」4月5日、南風原陸軍外科壕にこれまでに比べ物にならないくらい患者が増えた。この日、牧港、嘉数、我如古、南上康、和宇慶を結ぶ最前線にロングトム155ミリ野戦砲と戦車と歩兵部隊による米軍の総攻撃が始まったのだ。砂川美紀は、腕を銃撃で負傷した上等兵の手術に立ち会っていた。「駄目だ。このままでは助からん。すぐに切断手術だ、皆で抑えて。」と言って鋸を取り出し、彼の腕を切り始めたところから手伝っていた美紀が白目を向いて倒れかけたのだ。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.79 )
- 日時: 2013/02/18 15:53
- 名前: 梶原明生 (ID: UlsZCx61)
「ひめゆり自衛隊」・・・姉の美佐も同じ思いだったが、何とか気をしっかり保って妹を気使った。「何してるの、しっかりなさい。こんな事で倒れていたらこの先何もできないのよ。さ、早く抑えて。」先輩の看護婦が叱咤した。それで気を取り直したものの今度は吐き気に襲われた。「こ、こんな事って。・・・」美紀は美佐に抱きかかえられながらもふと壕の天井を仰ぎ見た。彼等が現れるまで、残り後9日。・・・「激変」終わり。 次回「初戦」に続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.80 )
- 日時: 2013/02/20 17:21
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「でも、私は天原さんを・・・」「分かっています。ですがこれはあまりに危険すぎる。ちなみにご主人のケータイに電話してごらんなさい。」「え、」日野さんは早速電話してみた。「お客様のお掛けになった電話番号は現在・・・」「嘘よ、そんな。か、会社にしてみる。」だがそれでも答えは同じだった。「そんな、あなた達が何かしたのね。は、・・・」最初はそう言おうとしたが、彼女は堂守越しにある写真立てを見て愕然とした。「そんなまさか。・・・」ご主人と写っているはずの写真が、そのご主人がいない状態になっている。気付いた堂守が、振り返ったまま話した。「やはりね。おわかりいただけましたか。二つの次元を接続したために、あなたの過去も無くなりはじめている。今後他の人達も同じ運命を辿る。それでも次元を接続したままになさるおつもりですか。」日野さんは迷った。ご主人のあの温もり、そして笑顔。失ったまま生きていくことに耐えられなかった。「ごめんなさい。私やっぱり。・・・」「では、梨田に連絡して下さいますね。彼女がしたんでしょ。独自の研究で。」「いえ、・・・違います。その必要はありません。」「何ですと、それはどういう意味です。」堂守ですら、予測不能だった。「私自身の力によるものですから。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「初戦」 4月14日1000時。大里野戦病院壕付近の複雑な地形の原野に、青白い光の雲が地上でスパークするように現れた。沢田一尉率いる陸上自衛隊第708実験中隊である。「急げっ、もうすぐ炊き出しで瑞慶村春子という学徒隊員が出てくる。・・・米軍のコルセア戦闘機が飛んでくる。ここからは戦闘射撃を許可する。」慌てて各隊員が車両を飛び降り、素早く配備した。しかし。・・・辺りを見回すとこれまでとは違った。砲弾や銃撃を受けたであろう、生々しい戦場跡が残っていた。「幸村、UAVを飛ばせ。」「了解。」・・省略・・現場となる炊事場に到着すると、防空頭巾とモンペ服姿のひめゆり学徒隊員が慌てて炊き出しと水汲みを行っていた。しかし、その姿は炭鉱作業を何日もしてきたかのような汚れようで、14日前のそれとは比べられるものではなかった。「君は予科三年の瑞慶村春子だな。」「君は我々と同行するように。」そう話している時に幸村二尉から無線が入った。「こちら02。沢田中隊長、コルセア戦闘機が空母を飛び立ちました。こっちに向かってきます。」「了解。クソッ、やはり間に合わんか。総員、戦闘準備。戦闘機が来るぞっ。」その一声で全員に緊張が走った。諸岡三曹は窪地に身を伏せてミニミ軽機関銃を上空に向けて構えて、木村三尉と柿村陸士長等は低木の影に身を潜め、軽地対空砲AATを構えた。10機ほどの一個編隊で飛んできたコルセア戦闘機は、空に轟音を靡かせて2キロ先まで迫ってきた。「敵機捕捉。」スコープサイトからロックオンしたのを合図に、ひめゆり学徒隊員を低木に誘導して安全を確保した沢田一尉が叫ぶ。「テーッ。」バシュッと言う近未来的な小型ミサイルの規則的な発射音と共に、白い光煙がチョークで黒板に直線を描くように青空へと飛んでいく。「いかん、ロケット弾だっ、回避しろ。」「バカな。日本軍にロケット弾等あるはずが・・・」戦闘機部隊は誰もがそう叫んでミサイルを避けた。つもりだった。「何だ、コイツッ、追いかけてくるぞー。グアーッ。」断末魔の叫びと共にミサイルが命中し、爆発と共に空に散った。「そんな、こいつは誘導弾だ。まだどこも未開発のはずなのに、ワーッ。」最後まで粘っていた一機もやがて追いつかれて命中した。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.81 )
- 日時: 2013/02/22 18:47
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「どういう意味ですか。」「見ていれば分かります。」そう言って日野さんは両手で蒼碧石を強く握り始めた。すると青白い光が俺や堂守を包み始めた。「これはまさか。・・・」堂守が叫んだ後、再び元の日野さんの一室に戻った。思わず俺は彼女のいる部屋に飛び込んだ。「これは一体どういうことですか。」「至善さん、落ち着いて。・・・日野さん。あなたは特殊異能者ですね。世間では超能力と言いますが、我々は特殊異能者と呼んでます。」慌てて日野さんは堂守に訴える。「これは私が無理に恭子に頼んだんです。ですから、彼女の事は・・・」「分かりました。ではこのことに関しては不問と致しましょう。その代り。・・・その力を私達に貸してもらえませんか。協力するだけでいいんですよ。共に天原さんに幸せな人生を歩ませていこうじゃないですか。」日野さんは泣き崩れながらも頷いていた。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・そしてこの事は即座に二ミッツ提督やスプルーアンス海軍大将に報告された。「何だと、その少尉はそう叫んでいたというのか。」姿勢正しく立っている士官を睨み、聞き返した。「はっ、間違いありません。」「だとすると、一体どういうことだ。誘導弾など、まだ海軍ですら研究中の実験段階にも満たない兵器のはず。それこそ未来小説とかいう代物だ。それをあの旧装備だらけの日本軍がもう開発し、実戦投入しているのか。そんな馬鹿な信じられん。」指令官室で落ち着き払って座っている海軍大将と言えど、この異常な事態に思わず立ち上がって士官を凝視した。「はっ、私もそうは思ったのですが、間違いありません。」しばらく言葉を失いながら、後ろの窓を見やった。その頃、瑞慶村春子等数名の学徒隊員を確保した沢田一尉は早急に96式装甲車に辿りついていた。神谷三尉は空を見上げつつ真剣な眼差しで見ていた。「俺達、本当に米軍軍人を殺したのか。・・・あの友好国の米人を、・・・殺したのか。」・・・続く。
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