複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.32 )
- 日時: 2012/11/29 15:39
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・しばらく考え込んで沈黙する久幸さん。重い時間が流れたもののすぐに口を開いた。「ちなみに聞いてもいいかなぁ。」「何ですか。」「何で今まで放浪の旅を続けてきたんだい。」「それは、・・・」理由をそのまま言うわけにもいかず、どうしたものかとつい、妙子さんと遊んでる美幸さんを見てしまった。その時に浮かんだ感情をぶつけてみた。「実は。・・・結婚したいと思うほどに惚れて愛した一人の女性がいました。でもその人には別れを告げた彼氏がいて、絶望した彼女はマンションの一室で首を吊って自殺したんです。自分は彼女を助けることができなかった。それで自分は。・・・」半ば美幸さんの行く末を思い出したために作り話とはいえ、哀しい気持ちになってきた。「もういい。・・もういいから。事情は大体分かった。よか。若佐んとこのことだから信用もできる。早速明日造ってもらいなさい。」「えっ、本当ですか。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「遭遇」・・・陸上自衛隊沖縄第15旅団の普通科連隊と機甲師団、並びに第一空挺団と特殊作戦群の隊員と一人・・の合わせて161名は「陸軍義烈空挺隊」と名を変えて、96式装甲車やlav高機動車、カワサキklx250等で那覇を抜けて一路、東へ向かっていた。向う先からすでに朝陽がオレンジ色に彼等を照らし出す。しかし、この時からやがて違う時代に来ていることを実感させられる。・・省略・・高山陸士長が呟く。「・・でも今俺達がいるのはそんな時代じゃない。ほぼ同じ戦法がこの時代に確立されたうえに、兵器も基本的にはこの時代のものが本になってる。ましてやこの頃の米海兵隊や陸軍は、フィリピン戦線やレイテ沖戦等を経験した兵揃いが集結している。いくら俺達が最新鋭のハイテク装備を持ってたって2週間もいたら勝ち目はない。」そう喋っている間にlav高機動車上に設置されたミニミ軽機関銃銃座に立って四方を常に警戒している空挺団の富岡一成三曹は恐怖と不思議な気持ちに晒されていた。過ぎていく光景がまるで白黒写真で嘗て見たような昔の沖縄の人々の姿をカラーで見ているような気分だ。朝早くから、珍しい見たこともない装甲車や兵隊の姿に子供や主婦達をはじめ、老若男女問わず表に出て我も我もと集まって見ていた。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.33 )
- 日時: 2012/12/03 16:56
- 名前: 梶原明生 (ID: UlsZCx61)
「美幸へ」・・・思わず聞き返してしまうほどだった。「そうよ。きっとここに住めば、心もいつか晴れるかも知れん。」文子さんが割って入ってきた。「あ、有難うございます。」礼を言うとその後皆に挨拶して、この日は若佐工務店へと帰っていった。・・省略・・皆に感謝の言葉をかけると、早速その武道場へと足を踏み入れた。床は板張りだが、何か温もりを感じる。畳15畳はあるスペースにポツリと立ちすくんだ。正直に言えば、ここは四男である義弘君の離れ家になるはずだった場所だ。・・省略・・若佐が帰った後にリュックに忍ばせていたあるものを取り出した。それは布の横断幕みたいなもので、そこにはこう書かれていた。「羅心流空手拳法道」これは嘗て父の友人だった我が師範が記念にと自分にくれたものだった。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・その時、富岡三曹が頭の禿げた白髭を生やした小柄な老人が藍色の着物を着て、しゃがみ込みながら畑でキセルをふかしている姿を目撃した。そのお爺さんの爛爛とした目が彼の脳裏に深く焼きついた。「全隊員に告ぐ。もうすぐ沖縄師範学校のグラウン・・いや、運動場に到着する。いよいよだ。全員打ち合わせた事を忘れるな。準備と点検をもう一度しておけ。直接の交渉は特戦群が行う。以上だ。」無線で全車両の隊員に通達を行う沢田一尉。やがてその話にあった運動場に次々入っていく。砂埃を巻き上げつつ、轟音とともに自衛隊の車両が走り去る。全車両が整列して停車すると轟音の後の静寂が砂の舞とともに厳然と辺りを支配する。驚いた顔になって旧日本軍兵士と野田校長以下、数人の教師が出迎えで立っていた。・・省略・・やがて装甲車の扉が開き、沢田一尉はじめ、幸村二尉、木村三尉、三浦三曹の4人が歩み寄る。「こっ、これが昔の人間か。・・・」百戦錬磨の沢田一尉ですら、思わず小声でそう呟いてしまった。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.34 )
- 日時: 2012/12/04 16:11
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・早速額縁に入れて壁の上にかけてみた。「おおーっ。」思わず感嘆の声を上げてしまう。「今日からここが俺の道場だ。美幸さん達に伝えなきゃいけない事をこの道場で伝えていかなければならない。」心新たにそう呟く俺だった。「あたしの事っ、」えっ、と驚いて振り向くとそこに美幸さんがポツンとたっているじゃないか。「あーっ、いやー、その何ていうか。教えられるものもあるかなぁーなんてね。ハハハッ。」慌てて誤魔化したものの、そこへ久幸さんと文子さんが入ってきた。「コラ、美幸。勝手に上がりこんで。駄目じゃろが。」文子さんが少し咎めた。「いやーっ、立派なもんだな。プレハブ小屋とは思えんなぁー。まぁ、困ったことがあればいつでも言いな。出来ることがあったら相談に乗ってやるから。」「有難うございます。何もお礼は出来ませんが、せめて自分が身に付けた技を披露したいと思いますので、しばしお付き合いを。」そう言って上着を脱ぐと、その下には既に羅心流の道着に身を包んでいた。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・姿勢を正した小柄な中年男性が目の前に立っていた。「ご、御苦労さまです。私は、第32軍司令部から来ました、三田良助軍曹であります。話は全て聞いております。皆様をご案内するよう命を受けてまいりました。」「自分も同じくやってまいりました、酒田友成一等兵であります。」勢いのいい、キビキビとした挨拶に少し気押されつつも負けじと沢田一尉も応える。「うむ、御苦労。我々は天皇陛下直轄の陸軍義烈空挺隊である。私はこの部隊の指揮権を任された沢田亮元一尉だ。もうすでに話は通っているはずだな。」「はい。しかし、・・・今回看護隊を護衛しつつ南風原病院へ向かわれるそうですが、その目的とは一体。」血相を変えた幸村二尉が叱りつける。「黙れ、卑しくも天皇陛下直々にいただいた、お墨付きの紋章なるぞ。陛下直々に御命令いただいた事をいちいち詮索するな。」そう言って御紋を突き出す。「水戸黄門か。」佐藤三尉が後ろで呟いた。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.35 )
- 日時: 2012/12/05 16:41
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「おっ、そうか。それでその額が掛ってたのか。いやーっ、こりゃ驚いた。」久幸さんが感嘆の声を上げる。「ハッ〜、エイッ、ヤーッ。」掛声と共に淡々と羅心流空手拳法の套型を演武する。風を切るが如く流れるように技を披露する。そして、いつの間にか天原家総出で割れんばかりの拍手が起こった。「よく動くな〜。いやーっ感心した。」文子さんがそう言ってくれた。「有難うございます。もし宜しかったらいつでもお教えしますんで、来てください。勿論、無料ですよ。せめてものお礼です。」「おー、そうかいそりゃ良かった。なんせうちは貧乏だからなぁ。習い事なんてやらせられなかったから助かるよ。」久幸さんは勇君、正彦君を抱えながら、笑顔になってくれた。2「一人が怖かった」終。・・・次回3「戦争とお父ちゃん」に続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「もっ、申し訳ありません。」頭を平に下げる三田軍曹。「分かればいい。それよりも野田校長はいるか。」沢田一尉が見渡すと率先して前に出てきたスーツ姿の年配の男性がいた。「私が沖縄師範学校校長の野田貞雄です。よろしくお願い申し上げます。」「うむ。早速だが校長、看護隊として従軍する女生徒全員を講堂に集めてくれ。私から話がある。」「わかりました。」そう話している間に三田軍曹等がさっきからキョロキョロ辺りを見回している。気になった幸村二尉が咎める。「おい、何を見ている。」「あっ、いえ、そのー。・・・随分と変わった戦車をお持ちのようで。それに着ておられるその戦闘服も、まるで見るもの全てが初めてのものですから。・・・その小銃も三八式でも九九式でもないようですが、一体。」沢田一尉が応える。「当たり前だ。我々は天皇陛下直轄の研究機関によって再編された新日本陸軍部隊だ。武器、装備、戦車にいたるまでありとあらゆるものが新兵器だ。見たこともないのは当然だろう。」「はっ、失礼いたしました。」恐縮して引き下がる三田軍曹。・・省略・・「いよいよだな。皆、気を引き締めていけ。」「了解。」神谷三尉を筆頭にした普通科連隊は辺りを警戒しつつ、少し落ち着いた気持ちを取り戻していた。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.36 )
- 日時: 2012/12/07 15:25
- 名前: 梶原明生 (ID: UlsZCx61)
「美幸へ」・・・3「戦争とお父ちゃん」 あれから丸三日経った。今日は朝から若佐の人が置いていった金槌で180センチもある木の板を外の土の上に打ち付けて埋めているところだった。打ち終わるとその長い板に藁紐を巻いて結んだ。「よし、こんなもんでいいかな。早速突きこんでみるか。」軽く拳を当てて突いてみた。久々の感触だった。・・省略・・「あーっ、可哀そう。よしよし埋めたげるね。」ツバメのヒナはすでにしんでいた。「美幸ちゃん、何なら手伝おうか。」「ありがとう。」初めて二人っきりになった気がする。スコップがあったので、家の片隅を掘り返して美幸さんはその穴にそっとヒナを置いた。「天国に行けるかなぁ。」土を被せていると彼女は悲しそうに見つめていた。「大丈夫だよ。きっと美幸ちゃんのそのやさしさがヒナを天国へ導いてくれるよ。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「おい、神谷三尉、全員に今のうちに腹ごしらえしておけと伝えろ。喫食の時間ここでしばらく待機だ。」「了解。」木村三尉が通達した。・・省略・・神谷三尉も講堂へ同行していた。彼はつい、女学生の中の一人、砂川美佐と目が合った。その瞬間、何故か他人とは思えない気がしていた。・・省略・・沢田一尉の演説が始まった。「諸君、先ほども説明があったように、我々は天皇陛下より、直々に命を受けて、君達の護衛と保護の任務を課せられた陸軍義烈空挺部隊である。・・省略・・ある日陛下は夢を見られた。沖縄にある一高女の乙姫と師範学校の白百合を会わせた ひめゆり学徒隊 の選ばれし者達を守りながら戦えば、日本に神風をもたらすであろうという御神示があらせられた。・・・」・・・続く。
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