複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.328 )
- 日時: 2017/11/01 17:18
- 名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)
「ひめゆり自衛隊」…「我々は今から60年以上も先の世からやってきた、自衛隊という日本の防衛に編制された軍隊であります。そして我々が所属するのは陸上自衛隊第708実験中隊と言います。」長参謀長が驚く。「何と…そんな馬鹿な。」沢田一尉は続ける。「そこで牛島司令官。私達と一緒に未来の日本へ来る気はありませんか。あなた方をこのまま自決させるには実に惜しい。せめて我々と共に現代へ。」「それはできん。」腕組みをしていてじっと聞いていた牛島中将は、突然口を開いて語りだした。「お前達の素性はあいわかった。しかし、こんな立派な装備に武器を持っているということは、わしらが死んでも大和の地を守る軍人は不滅であるという証じゃ。逆にもう思い残すことはない。安心して黄泉の国に行けるわい。…薩摩魂ここにありじゃ。」喝破する牛島中将に向かって神谷三尉は哀願する。「お気持ちはわかります。しかし、少しでも生き残る可能性があるなら私達と…」「いや、その気持ちだけいただいておこう。それよりも神谷君、沢田君、そしてジエイタイという軍人諸君、未来の日本をよろしく頼んだぞ。」沢田一尉も神谷三尉も、歯を食いしばって敬礼した。「了解しました。必ず。」沢田一尉は踵を返し、神谷三尉等に声をかけた。「各持ち場に戻るぞ。急げ。」彼は振り返ることもなく、司令官室を後にした。涙を見せないように。その後、長参謀長は三池典太という名刀を持ち、坂口副官は長い軍刀を携えた。佐藤経理部長も続いたが、彼はいきなりコメカミに南部十四年式拳銃の銃口を当てて言った。「司令官、そして皆さん。お先に失礼いたします。」言うといきなり引き金を引いて頭を打ち抜いた。「パーンッ。」この大音にあっても、牛島司令官は目を閉じて落ち着いて冥福を祈っていた。カッと見開いた目で彼は部屋脇に倒れた佐藤経理部長を見た。「安心してくれ。わしらもすぐ後を追う。坂口。」「はいっ。」坂口副官は軍刀をさらりと鞘から抜いた。牛島司令官は所定の場所に座りこみ、切腹の用意をはじめた。名刀、来国俊を抜いて腹に突き当てる。そして切腹されて、剣道五段の坂口副官が介錯を行った。見事な一刀であった。こうして歴史上での沖縄戦はこの日終結したのだ。…次回「来世で会おう」に続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.329 )
- 日時: 2017/11/07 18:02
- 名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)
「ひめゆり自衛隊」…「来世で会おう」 同日 午後01:30時。摩文仁本部壕。神谷三尉の機転により、牛島大将自決の報を米軍はおろか、ニューヨークタイムズなどの各新聞社に、この時代では信じられない出力の無線電波で伝えた。それに先立って、原爆投下中止を願い出たことから、米軍の無線は筒抜けとわかってしまったため、両方の理由からニミッツ提督は原爆投下中止命令を出さざるおえなかった。が、しかし。…時間が押しているのはわかっていたが、予定より30分遅れなのは変えられない。だが既に壕入り口周辺には、ひめゆり学徒と救出した沖縄県民数百人を待機させていたので、遅れを取り戻すには十分だった。82指揮車の三浦三曹が叫ぶ。「大変です、沢田中隊長。UAVからの映像に数百を超える米軍部隊がこちらに向かっています。」「何っ…」そのLCD画面には、ロングトム155ミリ加農砲や40ミリ加農砲はじめ、戦車や装甲車部隊に加えて歩兵も数知れず向かっていた。「くそっ。とにかく今すぐ摩文仁の海岸に移動だ。歩けぬ者は96式車や高機動車に乗せているから、すぐに壕からひめゆりと県民を出せ、早くっ。」「了解。」一斉に全隊員が無線で応えた。神谷三尉は一瞬空を仰ぎ見るように目をやった。「皆、今すぐ外に出るんだ。植村の後に続いて歩け、行こうっ。」ぞろぞろと多くの人達が長蛇の列をつくって歩き始めた。そして捕虜となっていたスティーブクロフォード大尉とジャックネルソン軍曹を、田上曹長と高山陸士長が連れてきていた。神谷三尉が二人に告げる「さぁ、これで君達も自由だ。この先2キロに米軍が来てる。合流すればいいだろう。」処刑されるとばかり思っていた二人は呆気にとられた顔になった。「バックナー中将はどうした。釈放してくれるなら彼も一緒だ。」「それはできない。何故なら…彼はもう戦死していることになっているからだ。」「ワッツッ…」全て英語で話しながら神谷三尉はパソコンで23日以降のニューヨークタイムズの新聞を見せて、自分達の素性を明かした。「ばっ、馬鹿な。…オーマイガッ。信じられん、こんな事があるのか。」ジャックネルソン軍曹の言葉にクロフォード大尉がこたえる。「ありえなくはない。今までのことを考えれば全て辻褄が合う。」納得した彼等は急いで米軍に向かった。もう攻撃する必要はないと告げるために。こうして最後の隊列が摩文仁本部壕を後にした。と、その時。ロングトム加農砲の砲撃が始まった。…続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.330 )
- 日時: 2017/11/09 19:40
- 名前: 梶原明生 (ID: 0Q45BTb3)
「ひめゆり自衛隊」…「急げ、海岸まで近くだ。走れっ。」後藤曹長が戸倉一曹等に叫んだ先から砲弾があちこち落ちて、凄まじい爆音を辺りに轟かせた。今度は海からの艦砲射撃である。これに対し、沢田一尉の部隊も応戦しはじめた。同時に空自の心神やF−A2、そしてF−15やF−1すらも数機編制を組んで参戦していた。「艦を叩けっ、上陸させるな。」地上部隊もさることながら、艦船にも93式AMS−2ミサイルを次々と撃ち込んだ。木許二尉は鬼気迫る表情で、波寄せる米軍部隊を叩いていた。「いかん、後藤曹長、最後尾に米軍がレッドラインにさしかかってる。応戦しろ。」「了解。」無線で応えると、腕のLCD画面でUAVの映像を確認した。「戸倉、戦闘配備だ。」その頃沢田一尉は82指揮車の中で木村三尉に叫ぶ。「木村、佐藤三尉と共に応援に向かえ。少しでも米軍の進撃を食い止めるんだ。橋頭堡は確保する、急げ。」「了解。」一部の96式装甲車と高機動車LAVが折り返して向かった。戸倉一曹は戦車を筆頭にやってくる米軍部隊に向けてパンツァー110ミリ対戦車砲を肩に担いで構えた。「テーッ。」後藤曹長のかけ声で一斉に弾頭を発射した。次々と爆炎をあげて戦車が破壊されていく。96式装甲車や高機動車LAVを盾にして12.7ミリ重機関銃で応戦する。「右、3時の方向。左、11時の方向から来る。」「了解。」UAVの映像で三浦三曹からの指示が出て、ミニミ軽機関銃と89式小銃で応戦し、並みいる米軍歩兵を次々に倒した。そうしているうちに木村三尉や佐藤三尉率いる部隊が到着した。神谷三尉等もいる。そんな時、貴嶋大尉率いる三田軍曹や酒田一等兵等も合流した。彼等は僅かに99式小銃や38式小銃で応戦している。神谷三尉が驚いて叫ぶ。「貴嶋大尉、皆さん、ご無事で…」「ああ、だが話している時間はない。縁あったらまた
来世で会おう。
牛島司令官からの命令でな。先の世、いや未来の子孫、ジエイタイを無事送り届けてくれと言われてな。素性は知っておる。後はわしらに任せて後退しろ。時空波とやらが待っておるぞ。」「りょ、了解しました。」感動のあまり涙を流しそうになったが歯を食いしばり、米軍に向けて応戦した。「突撃ーっ。」三田軍曹が38式小銃に銃剣を付けた状態で米軍部隊に進撃しようとしていた。「危ないっ行くな。」96式装甲車に隠れてコルトM4A1カービンを構えている先から木村三尉が叫ぶ。…続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.331 )
- 日時: 2017/11/15 11:48
- 名前: 梶原明生 (ID: SKF4GgT1)
…やがて、美幸さんに次いで正彦や勇に建人も道場にやってきて、羅心流空手拳法の鍛錬に勤しみ、そんな美幸さんの姿に恍惚とする日野さんやシズさん。その頃、坂本達は、ある車を襲撃していた。「大人しくしな。あんたがこの車で、この日、大金積んで運ぶのは知ってたのさ。早くしな。」覆面した山本はナイフを男に突きつけて脅した。「車は1キロ先のコインパーキングに乗り捨ててやる。歩いて取りにきな。」山本は他二人の手下達と男の車に乗りこみ、そのまま走り去った。「うまくいきましたね社長。取引先の接待で昔の裏金の話、聞いといて役立つとは思ってませんでしたよ。おかげで数億円ボロ儲けですよ。ハハハッ。」「当たり前だ。プラチナンプロダクション社長にこき使われてきたんだ。これぐらいのボーナスに当たって当然だとも。今頃社長は悪のドン扱いになってるぜ。黒幕は俺だとも知らずに。」「で、これからどうします。」「先ずは拠点を作ってそこからまたボロ儲けするさ。何せ俺達は未来人なんだからな。」「笑いがとまりませんな。ハハハッ。」アジトで笑いあう二人。札束の山がニヤリともせず積み重なっている。…美幸さん達は礼式を終えて道場を後にした。暗い夜道の前まで美幸さんは建人を見送る。お別れのキスを交わそうとした途端、美幸さんはうつむいた。「どうしたんだい美幸。」「ううん。ただ何となく。」「ま、まさか、他に好きな奴でもいるのか。」「そういうわけじゃ…」美幸さん自身も何とも言えない心の空間を感じていた。…続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.332 )
- 日時: 2017/11/17 15:49
- 名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)
「ひめゆり自衛隊」…米軍部隊の機関銃掃射に合い、三田軍曹達は犠牲となった。もんどりかえって倒れる姿を見て木村三尉が叫んだ。「援護しろ。助川三曹、地賀谷一曹来い。」「了解。」佐藤三尉や、神谷三尉等の援護下において一斉に走り出し、三田軍曹等を引きずって96式装甲車の掩蔽に寝かせた。「三田軍曹、しっかり。」「あっ、はっぐぐっ…わしらは…もういいです。それよりも…早く…ありがとう…わざわざ助けてくれて。…この、未来の戦車を見れて…」「おいっ、三田軍曹っ。」叫んだものの彼は息絶えていた。「くそっ、あんたの死は無駄にはせん。おいっ、少しずつ後退だ。先ずは片瀬からだ。」すると近くにいた彼女が血相を変えて叫ぶ。「何故です。私も戦えます。木村三尉と共に。」「バカを言うな。命令だ。今すぐ後退しろ。」「りょ…了解。」唇をかみしめて後ろへと下がっていった。「こいつは駄目だな。こうなったら…」掩蔽にしていた96式装甲車で最後まで居残った新垣陸士長は、セムテックスの時限爆弾をセットした。「こちら、96式装甲車20の新垣。爆弾をセットしたので退避します。扉側援護射撃願います。」神谷三尉が応える。「了解、今すぐ出ていいぞ。掃射位置についた。」高山陸士長が、諸岡三曹の負傷のために譲り受けたミニミ軽機関銃を連発し始める。すると扉から勢いよく新垣陸士長が出てくる。しかし…「危ないっ。」そう叫んだ酒田一等兵が彼を庇うように撃たれた。「ああっ、酒田一等兵どうしてっ。」助け起こしながら血まみれの彼を抱き寄せる。「いいんです。何故かそう…したく…なったんです。でも、…母ちゃん…すまねぇ…」「酒田ーっ。」新垣陸士長の胸の中で彼は息を引き取った。「新垣っ、急げ。米軍部隊が来てる。」高山陸士長がミニミ軽機関銃を連射しながら叫んだ。「了解っ。」泣く泣く酒田一等兵を寝かせ、後方へと走った。これに続き、神谷三尉も高山陸士長も撃ちまくりつつ後退した。何も知らない米軍部隊は96式装甲車に近づく。そして、「ドカーンッ」と轟音を立てて爆発した。これで一時膠着状態となった。…省略…「さらばだ神谷三尉、ジエイタイ諸君。」そう言い残して貴嶋大尉は突撃していった。「貴嶋大尉ーっ。」「神谷小隊長、怯むな、後退するぞ。」木村三尉はそう呼びかける。一方、先の橋頭堡にて時空波を待機中の富岡三曹等は沢田一尉と共に風車陣形を取って89式小銃折曲銃床式を構えていた。折曲部には黒ビニテープが…続く。
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