複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.348 )
日時: 2018/04/04 01:11
名前: 梶原明生 (ID: JnkKI7QF)  

「ひめゆり自衛隊」…一方、お騒がせなイサムは相変わらずバンド活動に精を出し、沖縄戦の語り部として修行中である。上田美十子は古波蔵満子と再会。黒砂糖菓子の詰め合わせを渡す古波蔵。感動の再会に涙した。その他の隊員達は一部を除いて一階級以上の昇進をしていた。島袋ノブはアイドルのオーディションを受けることになり、新たな夢に向かって歩き出した。沢田三佐は習志野の特戦群本部で、入隊試験の隊員達に対応している。ほんの小休止の時、神谷からの絵葉書を見ていた。「ふん、あいつ相変わらずだな。また沖縄に行ってやるか。」呟きながら葉書の文を読む沢田三佐。「拝啓 沢田三佐。昇進おめでとうございます。…私は最近こう思うんです。たとえ長きに渡る命でも、短く終わる命でも、長生きしたと同じくらいこの現在を一秒一秒生きてゆけるなら、その人の人生は輝いていられる。だからこそ、今を、瞬間を、大事に生きる素晴らしさをすぐに始められたなら悔いることもないだろうと。全ての時の空間には意味がある。そう思えるんです。いつかまたお会いしましょう。神谷より。」

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.349 )
日時: 2018/04/12 18:27
名前: 梶原明生 (ID: 0Q45BTb3)  

「美幸へ」…「まさかそれで美幸さんを…許さんっ。」俺は道着の帯に巻いていた羅心流空手拳法道直伝の分銅鎖を引き出した。縦斜め横と、死角なく振り回す姿になす術なく刺してくる山本。空かさず手甲に叩きつけてナイフを落とし、2打目をかわす。「痛っ。何すんだコラッ。」怒ってナイフを再び飛ばしてくるが、山本の手首を鎖で巻きつけ、もう片方の分銅を顔面に叩きつけた。怯んだ隙に腕を反対側へ引き込み、投げ飛ばした。そして……渾身の後ろ足刀蹴りを山本にお見舞いした。「山本ーっ。」怒り狂った俺は正拳落とし突きを入れようとした瞬間。「やめろっ、至善さん。」堂守が叫んだ。「そいつを殺して美幸さんが喜ぶとでも思いますか。罪を償わせるんです。あなたの拳は守るためにある。愛する人々を守るためにあるんです。」「ガーッ。」俺は思いっきり床を殴った。やり場のない怒りを込めて。…その後、山本を拘束。坂本も日野さんのパワーに倒れて拘束された。「美幸さん。とうとうあなたの仇は討ちましたよ。見てくれましたか、美幸さん。」天を仰ぐように俺はただ立ちすくんだ。「至善さん、こいつら二人を連れて現代へ参りましょう。」「はい。」秋季さん達が駆けつけてくれた。「やはり、あなた方は未来人なのか。」「どうしてそれを…」「所謂、勘ってやつかな。その男達もか。」「はい。もう隠せませんから言いますが、我々は約20年も先の世界から来た者です。こいつらを捕まえて元の時代に戻すために。」「相わかった。20年後また会おう。良き強敵(友)として。事情はその時に聞く。さぁ、もうすぐ警察が来る。君達は元の時代に戻った方がいい。早く。」「はい。ありがとうございます。柴彦君も元気で。」「さようなら。」日野さんは蒼碧石を使って時空波をつくり、俺達を青白い光に包んでこの時代から消えた。「未来人か。20年後が楽しみだ。」秋季はその言葉を残して空虚なる居城を後にする。そして現代……トップニュースに坂本、山本の写真が張り出された。「今日未明、目黒区の某マンションの柱にロープで縛られた、天原美幸さん殺害の容疑者二名が発見されました。何者かが二人の罪状を詳しく書いた貼り紙を柱にしており、警察は…」渋谷の大ビジョンの映像でニュースキャスターが報道している姿を横目に、俺達は成田空港を目指していた。「それではこの蒼碧石は、お約束通り戻して頂きます。よろしいですね。」堂守は念を押した。「え…で、でも。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.350 )
日時: 2018/04/17 20:25
名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)  

「あとがき」ひめゆり自衛隊…
構想実に二十年。執筆に二年かけてようやく完成したのですが、今思うと「あれも書けば良かった。」「これも書けば良かった。」と逆に後悔することも多かった小説です。なにせ始めからフィクションばかり書くわけにもいかず、如何に時と史実を噛み合わせて描くかの戦いだったと思います。従って、一部史実や人物像などが、実際の記録とは異なる部分もありますが、ご愛嬌ということで。…しかし、それでも筆を取らせたのは、私が16歳の頃のインスピレーションによるものでした。映画「ひめゆりの塔」を思い出したんです。初めて見たのは小学生の頃です。良かれ悪かれ、子供心に強く印象に残っていたんです。「そうだ、もし、今現代の自衛隊がタイムスリップして、彼女達を救い出しにいけたなら。…」どうしてそう思ったかはわかりません。まだこの時は「戦国自衛隊」を全く知らなかったのに、そんなインスピレーションが働いたわけです。ただ、まだ当時はこれを執筆する自信がなく、忙しさにかまけていた面もあります。しかし、年を負うごとに、筆を取りたいという霊感にも似た不思議な衝動に駆られて書くに至ったわけです。…何はともあれ、この「ひめゆり自衛隊」を多くの方に読んでいただければ幸いです。そしてこの後、「美幸へ」に繋がっていく物語があります。それでは他の作もお楽しみください。2010年9月1日執筆終了。2018年4月17日カキコ執筆終了。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.351 )
日時: 2018/04/23 05:41
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

…つい二言を吐いてしまう。「もう一度美幸さんのいた時代に帰りたいんですが。」「それはできません。」「でもやり残していることが…」「至善さん。本来なら罰はもっと重かったんですよ。それを軽くしただけでも良いことのはず。どうか汲み取っていただきたいですな。至善さん、日野さん、藤川さん、チケットは取りました。手当ても付けましょう。このまま元の生活へお戻りください。いいですね。」俺達は渋々承諾するしかなかった。成田空港で堂守と別れた俺達は三人別々のゲートに向かおうとしたのだが。「あーっ、残念そうにするお芝居疲れた。」「ど、どういうことですか。」俺は怪訝そうに尋ねた。「えっ、だって本物の蒼碧石を堂守さんに渡してないってバレたくなかったもの。ほら。」「えっ、…」俺と藤川さんは驚いた。確かにそこには石が輝いて掌に。「さぁ、準備はええんかいっ。」「はいっ。」三人は青白い光を発して、周囲を驚かせながら、再び美幸さんのいる鹿児島県52島へとタイムスリップした。2003年3月。美幸さんの卒業式は終わっていた。胸に淡い色合いの花をつけて、最後となる卒業証書とカバンを手に持ちながら。文子さん、久幸さんもいた。「先生っ。」彼女は泣きながら一目散に駆けてきた。生まれて初めて美幸さんを抱きしめた。(勿論軽くだが)「もう会えないかと思ってた。」「心配してくれてありがとう。無事君の仇討ちは果たした。と言っても警察に突き出しただけだけどね。あっ、いけないよ。イケメン彼氏の建人が見てるじゃないか。それに君には可愛らしい笑顔がよく似合うよ。俺にとって永遠のアイドルなんだから。」俺は彼女の両肩を持ち、引き離した。「ごめんなさい。でも…」「でもはなしだ。君には相応しい彼氏がいる。君を幸せにしてくれる。俺は建人に全てを託したいんだ、わかってくれ。」「うん…わかった。お願い、この後お別れ会するから、私と教室でもう一度だけ羅心流空手拳法の型を披露して。」「お安い御用だ。」俺はリュックから羅心流空手拳法着を取り出し、教室にお邪魔した。美幸さん、建人、そして俺は型の演武を卒業生皆の前で行った。割れんばかりの拍手に思わず涙ぐむ。何故か岩佐社長と荒谷師範が車で迎えにきた。「ゲッ、岩佐さん。これにはワケが…」「知らんよ。私はただこの島で君の後見人。契約には関与してない。」「そ、そうだったんですか。」「じゃあ、天原家に向かうよ。」「はい。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.352 )
日時: 2018/05/12 06:45
名前: 梶原明生 (ID: UvBorD81)  

…一路、我が道場のある場所へ向かった。「はーっ、帰ってきたなこの道場。もうお別れか。…」「至善さんと美幸さんの思い出が詰まってるんですものね。羨ましい。」「日野さん、いいじゃない。折角元気な美幸に会えたんだし、未来救ったし。」「そうね。」感傷に浸りつつ、日野さんも藤川さんも、俺としばし佇んだ。「至善師範。俺と勝負してくれませんか。」「何だよ建人、藪から棒に。」「このまま未来に帰ってしまうなら、正直後味悪いです。美幸を託すと言うのなら、恋敵でもある至善師範を倒してからでないと、気が晴れません。もし負けたら美幸を諦めます。勝ったら美幸と……結婚します。」「建人。…わかった。では三分一本勝負でどうだ。」「望むところです。」俺達は互いに道着に着替えて、道場の試合線中央にて対峙した。荒谷師範も同席し、審判を勤めることとなった。「構えてっ。はじめっ。」拳と手刀を前に構えながら試合は始まった。互いに探り合いながらジリジリと円を描くように前屈立ちから横へ横へと移動する。一瞬雲の切れ間が見えたように、互いに先の先で打ち合う。俺の前蹴りを下段受けで建人が防いで、建人の上段縦拳を鈎拳受けで防ぐ。今度は俺が縦拳で、建人が手刀受けし、瞬足の前回し蹴り。それをブロックして、回転裏拳打ち。それを建人が掴み受けして、両手で大きく回旋して俺を投げた。一瞬の隙だった。ドタンッと大きな音がして仰向けに倒れたところへ顔面に正拳突き。俺は足甲前蹴りを打たなかった。「先生っ。」美幸さんが家から学生服のまま飛び込んできた。「これは一体…」「一本っ、建人の勝ち。」荒谷師範は無視して叫ぶ。「建人、お前の勝ちだ。」「いや、相打ちだった。わざと蹴らなかったでしょ、至善師範。」「いや、お前の実力が上回ってたんだよ。いい拳だった。美幸さんを幸せにしてくれる拳を受けられたんだ。もう思い残すことはない。今度こそ本当に美幸さんを頼んだぞ。二人共幸せにな。」「至善師範…」互いに拳を上にして手を握り合う。と、俺はいきなり彼を引っ張り、美幸さんの手を取った。「ほら、二人共手を握り合って。お似合いの幸せカップルだ。」美幸さんは顔を赤らめた。「そんな先生。……はい、決めました。私、建人と共に生きていきます。でも先生のことは忘れません。」「ありがとう。」「そろそろ行きませんと。」日野さんが時計を見ながら促す。「わかりました。では元気で。もう俺は必要ない。美幸さんは立派に強くなった。」続く


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